
帰れない探偵
柴崎友香
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刊行日 2025/06/24 | 掲載終了日 2025/06/23
ハッシュタグ:#帰れない探偵 #NetGalleyJP
内容紹介
これは、今から十年くらいあとの話――。
『続きと始まり』『百年と一日』が話題の
柴崎友香による全く新しい「探偵小説」!
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「世界探偵委員会連盟」に所属する「わたし」は、ある日突然、探偵事務所兼自分の部屋に帰れなくなった。
急な坂ばかりの街、雨でも傘を差さない街、夜にならない夏の街、太陽と砂の街、雨季の始まりの暑い街、そして「あの街」の空港で……
「帰れない探偵」が激動する世界を駆け巡る。
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【 担当編集より 】
十年前、わたしたちはどんな世界を想像していたでしょうか?
十年後、「世界とわたしたち」はどうなっているでしょうか?
本作では、探偵が世界のいろいろな街を訪れ、いろいろなひとに話を聞く。さまざま場所の面白さはもちろん、「事件」の背景には、政治的動乱や気候変動、AIやテクノロジーの暴走、陰謀論といったテーマが見え隠れしています。
まさに世界の「いま」がつまった小説です。
『続きと始まり』で芸術選奨文部科学大臣賞、谷崎潤一郎賞、『百年と一日』のポリー・バートンさん(『柚木麻子さん『BUTTER』、金井美恵子さん『軽いめまい』なども手掛けた)による英訳が刊行され、国内外から新作が待望されている柴崎さんの、新境地となる本作をぜひご一読ください!
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著者/柴崎友香(しばさき・ともか)
1973年、大阪府生まれ。99年「レッド、イエロー、オレンジ、オレンジ、ブルー」が文藝別冊に掲載されデビュー。2007年『その街の今は』で芸術選奨文部科学大臣新人賞、織田作之助賞大賞、咲くやこの花賞、10年『寝ても覚めても』で野間文芸新人賞、14年「春の庭」で芥川賞、24年『続きと始まり』で芸術選奨文部科学大臣賞、谷崎潤一郎賞を受賞。その他の小説に『パノララ』『かわうそ堀怪談見習い』など、エッセイに『よう知らんけど日記』ほか、著書多数。
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出版情報
ISBN | 9784065397107 |
本体価格 | ¥1,850 (JPY) |
ページ数 | 288 |
閲覧オプション
NetGalley会員レビュー

まず、各章の魅力的な言葉が並んでいた。更にその各章は全て、「今から十年くらいあとの話」で始まり、終わっていく。それだけでもう、吸い寄せられる思いだった。
〝わたし〟が探偵として最初に派遣された急坂の街で、自分の事務所兼自宅に辿りつけなくなってしまうことに、最初は首を傾げた。でもそれは、〈本当の居場所〉に彼女は戻れないという運命の一片なのでは、と思い至った。
だから各章の最初と最後の「今」とは、〝わたし〟が祖国を旅立った時のことなのだろう。彼女の心はその時点から前に進めていない。その不安が本のタイトルにさえ現れているのだろう。だから、〝わたし〟は「その時にいる場所が、わたしの居場所」と言い切り、願いも祈りもしないのか。なんと健気なことだろう。辛いことだろう。
坂の街、雨の街、砂漠の街と、〝わたし〟の勤務する国と街は変わっていく。そんな内面を隠して、〝わたし〟は人々の後悔や不安を和らげるために探偵の仕事を続けていく。
人は人と結びつくことを願う。たとえもう会えな相手であっても。そんな依頼人の心に共感し、時に〝わたし〟が目にする光景の視覚イメージに感嘆しながらページをめくって行く。
そして、流されるように、でもその流れに乗るようにして、〝わたし〟が運命と向き合って行く様子を、そして、歌いながらその流れより先に進んでいく様子を、息を殺して追っていった。
真摯な行いの積み重ねが運命を乗り越える力となっていく。それを見届けることが出来た。

久々に自分がいた場所に帰ると自分がいた頃とは変わっているというのはみんなが感じることだと思う。
ただその変わり方は年月によっても変わるが、今回の探偵ほど環境の変わり方が著しいというのは
今後、実際にも起こってくるのかなと感じました。
ただ自分の家(事務所)に帰れないというのはこの探偵だけなのかなと思った。
帰れないのはどこかで帰りたくない、という気持ちがあったからなのではないのだろうか。
社会に見張られ、情報を収集される世の中は楽しいのだろうか、幸せなのだろうか、そう思ってしまいました。
窮屈に感じることは無いんだろうか。

探偵…物。主人公の戸惑いが自身の事の様に感じられて…ドキドキが止まらなくなりました。
実は、最近30年ぶりに海外に出かけました。だから尚更?帰国してからのモヤモヤをわかってくれた様な作品でした。
今までの自分がこれからの自分になる、だけどこれからの自分はどんな風にでもなれるし、どこにでも行ける…と、背中を押してくれた様に思いました。

柴崎友香さんの「探偵小説」! 意外な(失礼かな)切り口に驚きました。
ミステリ要素は淡泊ですが、謎めかしく立ち位置の不確かさが全体を覆っています。
特に、各章の冒頭 これは、今から十年くらいあとの話――。
この部分からして、えっ? 何これ、どういうこと? 不思議な世界に引き込まれます。
帰れない探偵が世界中を彷徨いながら探索活動をする不思議な話。
日本・たぶん・が舞台の、登場人物の苗字に色の漢字が含まれている話は、次に現れる人は何色かなあと、展開以上に楽しめました。
色で性格を暗示させる手法かもしれませんね。

面白かった!具体的な国名は出てこないものの、あの国だろうと思われる国々に仕事で行く探偵のお話。国外に出ている間に故郷の国の体制がぬるっと変わり、帰れなくなってしまうのも、探偵が各国で受ける仕事の裏に大企業が絡んでいそうなのも、現実になりそうな、いや、もしかしたら私が知らないだけで、そのような動きが進んでいるのではと思わせる怖さがある。そこに、主人公が探偵ということでの面白さが加わって、私はかなり好きな作品だった。

あの『寝ても覚めても』の柴崎友香が探偵小説?もしかしてミステリー?そそられるものしかありませんでした。読んでみるとミステリー要素は薄かったものの、『葬送のフリーレン』みたいな探偵のその後の話みたいなどこか落ち着きのある柴崎友香らしい物語がそこにありました。何かを得ようとしてもそこにあったとしても、その手からずり落ちることがほとんどで、そんなものを一つ一つ掬い上げるのではなく、それそれとして、また落ちてくるものを見つけるのが人生なんかなと思う。

ちょっと異世界のような街並み、でも全部リアルにありそうで、気づいたらワクワクしながらページをめくっています。ちょっと不穏で幻想的で、でもどこか現実の延長にも感じる世界観、癖になります!私は大好きです。
帰れないことは、悲劇か、それとも始まりか。見届けた先に、また物語の世界が広がります。

ちょっと不思議でちょっと不穏でちょっとノスタルジー。ときどきに出てくる「これは、今から十年くらいあとの話。」というフレーズがずーっと通奏低音のように効いていて、不思議な夢の断片みたいな話たちをまーるく包んでいるようでした。以前、柴崎さんの『百年と一日』を無人島に持っていく一冊に決めたのだけれど、こちらもセットで持って行きたいな。