
うさぎのしま
近藤 えり / たての ひろし
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刊行日 2025/06/12 | 掲載終了日 2025/06/30
ハッシュタグ:#うさぎのしま #NetGalleyJP
内容紹介
毒ガスを製造し、「地図から消された島」広島県・大久野島。過去と未来を結ぶ、忘れてはならない物語。
・「うさぎのしま」に眠る、知られざる真実―。戦後80年によせて、今子どもたちに届けたい物語。
・広島県大久野島で暮らす、たくさんのうさぎたち。この島には、第二次世界大戦中、毒ガスの実験動物として、うさぎが使われていた過去があった。戦争の記憶と島の環境問題が交差する、著者渾身の一冊。
・『ねことことり』『どんぐり』で日本絵本賞受賞した作家たてのひろしと、柔らかなパステル画が魅力の近藤えりによる共作。
*巻末に、解説「地図から消された島-大久野島と戦争とうさぎ」(“大久野島のうさぎはどこから来たのか” 執筆/兼子伸吾・福島大学共生システム理工学類教授)と、あとがきを掲載。
広島県・大久野島。「うさぎのしま」として親しまれるこの島で、一組の親子が白いうさぎに出会う。
―「あの子のおかあさんも、白い?」何気ない一言が、封印された過去を呼び覚ます。
時は、第二次世界大戦へ―。防毒マスクに身を包み、毒ガスを製造する人々。手渡されるかごの中には……。
かつてこの島は、「地図から消された島」だった。無垢な存在が、浮かび上がらせる戦争の記憶と、現代の環境問題。過去と向き合い、未来を考える。忘れてはならない「記憶」の物語。
おすすめコメント
◆概要・企画への思い
2025年は戦後80年です。
人類史上はじめて原子爆弾が投下された街、広島。「戦争被害」の場所として、多くの人々に知られていますが、その対岸の島「大久野島」が過去に化学兵器の毒ガスを製造していたことは全国的にあまり知られていません。
現在は、たくさんのうさぎが暮らし、多くの観光客が訪れ「うさぎ島」とも呼ばれています。戦後、大久野島では人間が餌を与えることによって、うさぎが環境に適する数を超え、大量に増えつづけています。一方、毒ガスの影響で、現在も不自由な身体症状に苦しんでいる人々もいます。
今生きている大久野島のうさぎ、そして、わたしたち人間は、戦争という理不尽な出来事、被害と加害の側面で多くの死と苦しみを生み出した過去と切り離すことはできません。
著者のたてのひろしさんと近藤えりさんは、大久野島を数か月取材し、戦時中、毒ガスの実験動物として飼育されていた「白いうさぎ」の視点から、過去と今を繋ぐ物語を紡がれました。うさぎの姿を通して、読者の子どもたちが「自分」という存在と決して無関係ではないこと、<戦争被害・加害から見えるもの><小さな動物から見た戦争の歴史と環境問題>を、本書に込めました。
戦争の作品といっても、戦禍の様子ではない、直接的な描き方ではないからこそ、読者の子どもたちが現代との繋がりを感じていただきやすいテーマではないかと思っております。巻末には、言葉少ない物語を深く味わえるように、解説「地図から消された島-大久野島と戦争とうさぎ」(“大久野島のうさぎはどこから来たのか” 執筆/兼子伸吾・福島大学共生システム理工学類教授)と、あとがきを掲載。全国の学校教育の分野でも取り上げていただきたい、未来を繋ぐ今の子どもたちへ届けたいという思いで制作しました。
販促プラン
また、適したメディアやお持ちのSNSにもレビューを投稿いただき、多くの方に本を拡げていただけますと嬉しく幸いです。
ご投稿いただいたコメントはWEB等でご紹介することがございます。※スペースの都合等にて字数等の編集をさせていただくことがございます。ご了承ください。
ご協力の程、何卒宜しくお願いいたします。
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出版情報
発行形態 | ハードカバー |
ISBN | 9784418258260 |
本体価格 | ¥1,980 (JPY) |
ページ数 | 40 |
閲覧オプション
NetGalley会員レビュー

場面が切り替わった瞬間、ぐっ、と息を呑んだ。可愛く美しい『うさぎ』たち。身勝手に人間の都合で戦時中実験に使われ『処分』され……あまりのことに言葉になりません。残酷だ、けど史実だ。絵本の中のうさぎの目から、目を逸らしたくなる。けど、私たちは目を逸らしてはいけない。

うさぎにエサをあげている絵を見て、観光客がエサを好きなだけ与えていいのかな?と思いながら読んでいました。絵の時代が切り替わり、ガスマスクを付けた人が出てきた時に心がきゅっと締め付けられるような感覚になりました。絵から少しずつ疑問を感じ取り、色々なことを考えることができる絵本です。戦時中の人間の行動によって動物たちも苦しめられていたのだなと気付かされました。

美しい絵にうっとりしながら読み進み、不穏な絵面にぎょっとし、あとがきまで読んで愕然とした。
初めて知る事実に気落ちが重く沈んでいく。
原爆が落とされた広島の対岸の島で、人知れず毒ガスが作られていた。犠牲になったうさぎたち。
地図から消され、なかったことにされた事実と大久野島。
人間の醜い仕業になんとも言いようのない気持ちになる。
かわいいうさぎの過去を思うとき、今とこれからの未来へ繋がるものの本質をきちんと見ようと思う。

日本人に利用された広島県大久野島にいるうさぎたちが描かれています。
現代は、「かわいい」という理由で島の外から連れてこられたうさぎたち。
そして、戦争中は毒ガスを作る際の実験道具として利用された、しろうさぎたち。
どちらも、うさぎとしての生をまっとうできず、利用されるだけの存在です。
絵本のなかでまっすぐに見つめてくるしろうさぎに、人間のエゴを見透かされているように感じました。

瀬戸内の穏やかな海に浮かぶ、うさぎのしまと呼ばれる「大久野島」
柔らかい色彩で描かれ、うさぎたちもとても可愛らしい。
真っ白なうさぎの表情がとても印象的で、そこから過去へと辿る物語は私達が忘れてはいけない戦争の真実だった。
大久野島に写真を撮りに行ったことのある友人から、この島の歴史について聞いたことがある。でもここまで詳細には知らなかったので過去へ遡るうちにとても悲しい気持ちになった。
人間に振り回されたうさぎたちの物語は、子どもたちにどう伝わるだろうか。
うさぎの島という側面だけでなく、この真実が読みつがれていってほしいと思う。
この先の未来にはうさぎたちが人間に振り回されることなく、島でのびのびと暮らし続けてほしいと思う。

かわいいうさぎの表紙をめくっていくと、戦争の時代にこの島でうさぎにあたえられた悲しい環境と役割がありました。そして今、この島に住むうさぎは幸せなんだろうか。最後の解説を読んで、改めて、戦争と環境について深く考えさせられました。

コロナ禍を何とかやり過ごして、時代が新しくなったような昨今。
化学薬品を実験に使うというのは、人類の発展に対してとても前向きで、
いまでも研究者は世の中の為に研究をしている。
研究所から漏れ出て、人類の恣意的な欲望の為に、
都合よく誰かを傷つける為に、さらなる実験を課すのは心苦しい。
誰かを殺したり、誰かを排除するために実験をするのでなく、
誰かが助かって、誰かを活かすために実験をしてウサギたちに報いて欲しいなと思います。

以前、著者さんから、ウサギの島の絵本、毒ガス野島の絵本を作っているとお話をお聴きしました。
今までになかったような絵本になるのだろうなと思いました。
柔らかく美しい色彩で描かれた自然、風景ですが、その中にいる白くて赤い目のウサギに強い印象を受けます。テキストでは詳しくは語らず、絵でつきつける、訴えかけてくる。私たちが知らなかったこと、知らなかったではすませてはいけない、目をそむけてはいけない本当にあったことを絵本が教えてくれます。
巻末の解説と著者さんのあとがきもよかったです。
多くの人に読んで感じて、そして、誰かと話してほしい絵本だと思います。

歴史の資料の挿絵みたいな、リアルかつ丁寧な絵で、うさぎ島の過去に思いを馳せる絵本。
うさぎが沢山いる島は以前の悲しいニュースで知ったのだけれど、その島に戦争にまつわる過去があり、うさぎも関係していることを知ると、
某猫島なんかとは意味合いが全然違ったのだと思い知らされる。
知らないことを知る機会を与えてくれる絵本です。

可愛らしいタッチのカバーに目が止まりましたが、作品内容を読んでさらに興味が湧きました。いつか子供と一緒に癒しを求めて訪れたいと思っていた大久野島。こんな過去があったなんて知りませんでした。この作品を読んで訪れる大久野島はただ癒される島ではなく、戦争というものを深く考えさせられる機会になりそうです。戦後80年の今、戦後80年コーナーを作り多くの年代に手に取って欲しい一冊だと思いました。

白いうさぎがとつぜんこちらを見る。読者である私と目があう。
ドキリ、とする。
色がかわる。時代がかわる。
かわいい、美しいうさぎ。
どこかへ連れていかれるうさぎ。
地図から消されていた島、大久野島。
現在のイメージしかなかった私は驚いてしまった。
ねえ、私たちの犠牲はなんだったの?
白いうさぎの赤い目に問われている。おそらく。
さまざまな環境を変えてしまう力がある人間だからこそ、このうさぎの眼差しを受け止めなければならないのだ。

広島県大久野島は瀬戸内海にある小さな島です。現在は「うさぎのしま」として知られる観光地です。でもここは第二次世界大戦の頃は、毒ガスを製造する工場があって、その実験に使うためにうさぎが飼われていたのです。
毒ガスを使うことは国際的に禁止されて(もちろん、今も禁止です)いました。だからこの島のことは秘密でした。島の存在自体を地図から消していたのです。
現在この島へ行くと、たくさんのうさぎが迎えてくれます。でも、このうさぎたちは、戦争当時に飼っていたうさぎの子孫ではありません。なぜなら、戦後すぐにうさぎたちは殺処分されたからです。今、この島に住むうさぎたちは、戦後この島へ捨てられたうさぎたちの子孫なのです。
可愛いうさぎがいっぱいいるという話が有名になって、この島を訪れる人が増えました。観光客が与えるエサでうさぎたちは増え続け、今では1000羽を超え、島の規模に合わない数になっているそうです。
戦争中も、戦後も、人間の勝手でこの島へ連れてこられたうさぎたち。彼らの命を軽んじてしまっている人間はおろかです。
そして今も、世界のいろんなところで戦争を続けている人間のおろかさは、どうにもならないのでしょうか。

かつて「地図から消された島」だった大久野島。現在は沢山のうさぎが住むことから「うさぎの島」として多くの観光客から親しまれている。そして沢山のうさぎの中で一匹だけ白いうさぎがいた。物語は白いうさぎの過去へ遡っていく。テキストが最小限に抑えられ、ほぼ絵のみで進行していく。しかし、それがかえって深い悲しみをよぶ。かつてここでは「毒ガス」が作られていた。戦争のためだ。そしてその犠牲になったのは、実験として使われた沢山の「白い」うさぎたち。過去と現在、そしてその現在のうさぎ達も多くの問題を抱えている。戦争で犠牲になるのは、人間だけでなく生き物もなる。戦争が身近になっている今だからこそ、絵本を通して大人も子どもも戦争の悲惨さについて改めて考えてみたい。

少ないテキスト、美し家出物語る、恐ろしい過去の事実。
直接的な表現はないのに、人間とはなんと勝手なのか、と胸が締め付けられた。
物語後の説明文、たてのさんのあとがきに、全ての思いが詰まっていた。
その部分を読めない子どももいるだろう。
でも、本編だけでも、作者らの思いは通じると思う。

ふわふわの体毛にくりんとした瞳、真っ白なしっぽがピョンと走っていく。うさぎいっぱい人間いっぱい。小動物に癒されるため、瀬戸内海に浮かぶ島に集まっている。今は観光地になっているけど、そこで起こった戦争の記憶を忘れないために、大久野島毒ガス資料館、地下壕や工場跡などが残されている。犠牲になった生命は数え切れない。この島のカイウサギは多すぎて、食べられる自然の植物が足りないそう。人間が餌を与えて増えて、2年の寿命という。白うさぎの赤い眼差しが印象的に訴えてくる絵本。楽しさの背景に何があるのか考えないといけない。