給水塔から見た虹は
窪 美澄
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刊行日 2025/07/04 | 掲載終了日 2025/07/31
ハッシュタグ:#給水塔から見た虹は #NetGalleyJP
内容紹介
あなたと私は違う。だから、一緒にいよう――。
『ふがいない僕は空を見た』『夜に星を放つ』の著者が、今を生きる人々に贈る感動作。
【各界からの反響続々!】
なんて誠実な小説なのだろう。今、この時代に、この本と出会えてよかった。――武田綾乃(作家)
白か黒かでしか断じない、この時代に絶対に有効な“あわい”の物語。――早見和真(作家)
何度も胸が潰されそうに痛かった。彼らの日々に、どうか幾重にも虹がかかりますように。――町田そのこ(作家)
その人の涙のわけを知らない。分からない。けど私たちは何かを思うことが出来るから見つめながら目を逸らさずに、あなたの話を聞きたい。――山本奈衣瑠(俳優)
【あらすじ】
中学二年生の桐乃は、団地での暮らしに憂いていた。
郊外にある古い団地群には、様々な国にルーツを持つ人が生活している。そのせいか桐乃のクラスは衝突が絶えず、ベトナム人のクラスメイト・ヒュウがいじめの標的になっていたのだ。
家に帰っても、母の里穂は団地に住む人々を国籍問わず日夜助けており、「娘の私より、他人を優先するんだ」という思いがどうしても消えない。この場所で生活することに対する桐乃の嫌悪感は、日々強まっていく。
そんな中、中学校で起きたとある出来事をきっかけに、桐乃はヒュウと話すようになる。ヒュウは、理由は違えども、桐乃と全く同じことを望んでいた。
「この団地から出て、遠くに行きたい」と。
はじめてできた友達、母とのすれ違い――。
桐乃・ヒュウ・里穂のそれぞれの視点から、社会に蔓延る様々な分断に翻弄される2人の“こども”が少しずつ“おとな”になるひと夏を描いた、ほろ苦くも大きな感動を呼ぶ、ある青春の逃避行。
【著者略歴】
窪 美澄(くぼ・みすみ)
1965年東京都生まれ。2009年「ミクマリ」で女による女のためのR-18文学賞大賞を受賞。受賞作を収録した『ふがいない僕は空を見た』が、本の雑誌が選ぶ2010年度ベスト10第1位、2011年本屋大賞第2位に選ばれる。また、同年に同作で山本周五郎賞を受賞。12年『晴天の迷いクジラ』で山田風太郎賞を受賞、19年『トリニティ』で織田作之助賞、22年『夜に星を放つ』で直木賞を受賞。他の著書に『夏日狂想』『タイム・オブ・デス、デート・オブ・バース』『夜空に浮かぶ欠けた月たち』『ルミネッセンス』『ぼくは青くて透明で』などがある。
出版情報
発行形態 | ハードカバー |
ISBN | 9784087700060 |
本体価格 | ¥1,900 (JPY) |
ページ数 | 384 |
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NetGalley会員レビュー

桐乃の住む地域では、外国人や外国にルーツを持つ人が多く住んでいて、その人たちへの差別や偏見、それによる生きづらさなどが、中学2年生の桐乃の視点で描かれていました。桐乃自身も、授業中にケヴェンが騒いだり、勉強の得意でないヒュウに合わせることで勉強に集中できなかったり、母親が熱心に外国の人たちへのサポートをして、桐乃のことが後回しになってしまうことへの不満を募らせていました。ですが、夏休みに体験した出来事が桐乃の考えを変え、母親との関係を修復します。孤独なヒュウが、ティエンに悪いことをさせられても仲間がほしかった気持ちや、終盤で父親と対面する場面も胸が締め付けたれそうでしたが、自分のしたことと向き合い、正しい道を進もうと決心したヒュウを頼もしく思いました。物語を通して知ったこと、感じたことを通して、桐乃の母の想いや、横川先生が夏休み明けにクラスで話したことが、読んだ人の心に響くといいと思います。

里穂とヒュウの気持ちは想像することしかできない。でも、桐乃の気持ちは想像よりもさらに伝わってくる。
なんで娘である自分よりも、まわりの困っている外人(桐乃目線ですみません)ばかりを優先するの?自分も困っているんだよ、寂しいんだよ、という気持ちが物語の終盤までひしひしと心に入ってきて、苦しかったです。
ヒュウがティエンの仲間に入って、悪事に手を染めていく過程も、悲しくてつらかったです。
外人なんていう人はこの世にはいない。そんな風に諭されてもうまく飲み込むことができない気持ちも、なんとなくわかってしまう。
私だってこの物語を読む前は、心のどこかでそんな風に思っていたはずだから。
でも、桐乃とヒュウが家を出て2人が少しずつ変わっていったように、私ももっと知ろう。ちゃんと見よう。という気持ちになりました。そしてあんなに外人を鬱陶しく思っていた桐乃が、里穂を受け入れて自分も進んでいく姿勢が、とても眩しかったです。
ラストはとても清々しく、これから先の桐乃やヒュウが明るい方へ向かっていく未来しかみえませんでした。
悲しい現実や私たちが手を差し伸べるべき物事を、厳しく、そしてあたたかく伝えてくれる作品でした。この作品を読むことができてよかったです!ありがとうございました!