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星の花 表紙

星の花

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刊行日 2025/06/12 | 掲載終了日 2025/06/12

ハッシュタグ:#星の花 #NetGalleyJP


内容紹介

わたしにとって世界は、いつも陽が沈んだあとの夕暮れのようだった。あの日が訪れるまではーー。森に囲まれた湿原に春が訪れるといっせいに小さな花が咲く。5枚の花弁を持つその花を、人びとは星の花と呼んだ。湿原のすぐそばに暮らす少女リシュの目は、光に弱く、いつも遮光眼鏡で覆われていた。その瞳が、いつかあるはずのないものを見つけ、母の、そしてこの国の、過去を開いていくとも知らずーー。感動の長編ファンタジー。

わたしにとって世界は、いつも陽が沈んだあとの夕暮れのようだった。あの日が訪れるまではーー。森に囲まれた湿原に春が訪れるといっせいに小さな花が咲く。5枚の花弁を持つその花を、人びとは星の花と呼んだ。湿原のすぐそばに暮らす少女リシュの目は、光に弱く、いつも遮光眼鏡で覆われていた。その瞳が、いつかあるはずのないものを見つけ、母の、そしてこの国の、過去を開いていくとも知らずーー。感動の長編ファンタジー。


出版情報

発行形態 ハードカバー
ISBN 9784863898837
本体価格 ¥1,800 (JPY)
ページ数 408

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NetGalley会員レビュー

近代に似た諸国から成る異世界での、ナジャとリシュ母子の奇遇な運命。
戦争は全てをいかに酷く壊していくかを、愛情や信じることがそれをどのよいに癒していくか。この群像劇は登場人物の心に寄り添って、それを骨太に描きだしていた。

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第1部は納得がいかないことの羅列だった。
目が悪いと思われないリシュに遮光眼鏡を強制する母のナジェ。2人が暮らすジンカ村の湿原は、春には星の花が咲き乱れるが、一切咲かない場所があること。そして、成長していくリシュが絵の才能に目覚めていくことを否定しようとするナジェ。
虐待ではないかと思ってしまう母の態度。でもそれが、第2部から始まる過去編でのナジェの経験と愛情から来るものだったとは、この時点では想像さえしていなかった。

過去編の第2部では、カザランとナジェの物語と平行して、神聖帝国となったパスキルの様が描かれていた。ハーシスという指導者のもつカリスマ性によってわずか数年でこうも変わってしまうのか。人々は熱狂的にそれを支持してしまうのか。その有様を読みから寒気を覚えた。そして、侵略戦争の敗戦がもたらす反動としての灰色の瞳を持つ者への迫害。ここまで人の心は手のひらを返すように変わるものなのか。
それに対して、自らに使命を課しリグロンの妻のふりをして彼を助けるナジェ。国への想いとサルナンへの想いという辛さを抱えながらも、ブレがないその行動の様に尊敬の念を覚えた。
そしてコノルから異能を受け継いだリシュの誕生。それに向けるナジェの愛の深さに、それに負けないリグロンの抱擁力に、人の心の大きさを見せられた。
これによって第1部でのもやもやが解消された。だから、改めてリシュとナジャの第1部でのぎこちないやり取りと、そこに込められた本当の気持ちを察することができた。

第3部。ナジャの半生を知り〝母〟と和解したリシュの、共和国となったパスキルのピシケ市の美術学校での生活。明るくなり裸眼ですごす17歳のリシュにホッとした。
しかし、かつての侵略戦争の影が迫ってくるとは。リシュがジンカ村の湿原を描いた時に無意識に付け加えていた建物の謎が明らかになる。その非人道的な秘密は戦争という闇を今まで以上に深く感じさた。戦争を行った当事者だけではない。被害者の心の傷、知らぬふりをした者の罪。それらが、コノルから異能を受け継いだリシュを通して明らかになっていく様子を、真摯な思いで読んでいった。戦争はあらゆるものを傷つけるということを、切々と訴えてくる様を。

「自らの過ちに目を塞ぐ者は同じ過ちを繰り返す」
この言葉はこの物語に関してのものだけではない。私達自身が心得ておかなければならないこと。ナジェを中心とした様々な人々の関わりの中で、それがいかに大事なことかがはっきりと示されていた。

そしてまた今年もジンカ村の湿原には星の花が咲く。どうかこれからは、心安らぐ生活が続きますように。

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