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自分は「底辺の人間」です 京都アニメーション放火殺人事件 表紙

自分は「底辺の人間」です 京都アニメーション放火殺人事件

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刊行日 2025/07/07 | 掲載終了日 2025/07/09

ハッシュタグ:#自分は底辺の人間です京都アニメーション放火殺人事件 #NetGalleyJP


内容紹介

// 2024年度新聞協会賞受賞//
連載「理由」をもとにした書き下ろし

《 書店員推薦!》
記憶することに意味はあるのか。しかし、
記憶しなければいけない、と思う。
たいへんな労作。広く読まれてほしい。
  ――大垣書店 高野店 倉津拓也さん

---------------------------------
2019年7月に起きた京都アニメーション第1スタジオへの放火。
36人もの尊い命が奪われた悲惨極まりない事件はなぜ起きたのか。

被告の青葉は、公判で自身のことを「底辺の人間」と呼び、「底辺の論理」によって罪を犯したと話した。事件を防ぐ手立てはなかったのか。そして、遺族が直面した喪失と苦しみを生まないためには何ができるのか。地元紙ならではのネットワークをいかして遺族に寄り添い、取材を積み重ねた。
2024年度新聞協会賞を受賞した地元紙・京都新聞の連載「理由」をもとに書き下ろされた真相。

〈目次〉
第1章  暴走   現場近くの公園/惨劇/逃走/娘との対面
第2章  喪失   涼宮ハルヒにそっくり/『氷菓』に託された青春
第3章  遺族   メディアスクラムのなかで/風化への思い/実名か匿

第4章  半生   初公判/「バオウ」と呼ばれた少年/真面目にやっても報われない
第5章  執着   京アニとの出会い/無差別殺人/連鎖/司法と福祉の狭間で
第6章  対峙   「青葉さん」/11分間/叱ってくれる人
第7章  罪科   死刑囚の心/控訴取り下げの理由/喪失の痛みを抱えて
 ……など

---------------------------------
著/京都新聞取材班(きょうとしんぶんしゅざいはん)
2019年7月18日の京都アニメーション放火殺人事件発生直後に、本社報道部社会担当を中心に取材班を発足させ、企画や連載などを展開する。事件発生当初からの一連の報道で第27回坂田記念ジャーナリズム賞(2020年)、連載「エンドロールの輝き」「ユートピアの死角」で第25回新聞労連ジャーナリズム大賞(2021年)、連載「理由」と公判報道で2024年度新聞協会賞と第31回坂田記念ジャーナリズム賞(2024年)を受賞。

// 2024年度新聞協会賞受賞//
連載「理由」をもとにした書き下ろし

《 書店員推薦!》
記憶することに意味はあるのか。しかし、
記憶しなければいけない、と思う。
たいへんな労作。広く読まれてほしい。
  ――大垣書店 高野店 倉津拓也さん

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2019年7月に起きた京都アニメーション第1スタジオへの放火。
36人もの尊い命が奪われた悲惨極まりない...


出版社からの備考・コメント

★校了前の仮データを元に作成しています。刊行時には内容が若干異なる場合がありますがご了承ください。
 空白ページは削除して公開しております。

発売前の大切なゲラをご提供させていただいております。弊社では、下記のような方からのリクエストをお待ちしております。
○発売に向けて、一緒に作品と著者を応援していただける方
○NetGalleyへレビューを書いてくださる方
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著者・担当編集者ともに楽しみにお待ちしております。
また、適したメディアやお持ちのSNSにもレビューを投稿いただき、多くの方に本を拡げていただけますと嬉しく幸いです。

※発売前作品のため、ネタバレになるレビューはお控えくださいませ※

ご協力の程、何卒宜しくお願いいたします。

★★★
作品の拡材や指定配本をご希望の書店様は
恐れ入りますが<講談社 書籍営業部>まで直接お問合せをお願いいたします。

★★



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★★★
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出版情報

ISBN 9784065403044
本体価格 ¥1,700 (JPY)
ページ数 256

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途中、何度も読むのを断念しそうになった。本著はまず、あの事件の再現から始まる。憤怒に燃え、京都アニメーションに放火して、その炎がスタッフを焼きつくす惨状と、残された者達の苦悩が著される。wikipediaにだって載ってるだろと思う人もいるだろう。しかし、wikipediaにだって、焼死したその人の遺体の損壊が激しくて、少なからぬ人が、最後の死者との対面さえ叶わずにあったことは書いてない。その後、青葉被告の裁判が始まる前に逝ってしまった遺族もいることも。作中でも度々書かれているが、「36人の死者」の数字ではない。個々の苦しみが、この1冊には、克明に描写されているのだ。その凄惨さに言葉を失う。本当にキツい前半だった。後半は、青葉被告に真摯に向き合い、その犯人像を明かそうとした、寺脇氏という1人の遺族の行動と、裁判と共に話が進む、その中で徐々に明らかになっていったのは、ロスジェネという時代に生まれてしまい、家庭内の問題に巻きこまれ、差しのべられた手を自ら拒みながら孤立していく、1人の幼稚な男の姿だった。孤絶したままに生き続け、自らの姿勢を更生するチャンスを逃し続け、精神さえ病んでしまうような激しいアイデンティティの喪失の中に沈むと、人はあっけなく壊れるのだと再認識させられる。寺脇氏が、ねばり強い対話の中で、青葉被告から謝罪を引き出しても尚、彼の心の真相に迫ろうとする姿は圧巻。また、同時に本は極めて強い現代性に富む1冊でもある。青葉被告の陥った苦境というのは、一歩間違えば誰でも陥りかねない。孤立と、社会関係資本の喪失と、貧困と。ハッキリ言うと良くないが、ごくごくありふれた話だ。問題は、救われ方なのだ。自力救済を求めようとすると、一歩間違えると対話不能からの「底辺の論理」と青葉氏が呼ぶ、「暴力と服従」の世界になってしまう。また現代は、それが容易な世界だ。トランプ大統領やヴァンス副大統領の支持基盤であった、ラストベルトの白人達はまさにアイデンティティの喪失による陰謀論めいた妄想と「底辺の論理」とロスジェネと同じく経済の変化によって、生活を奪われ、どす黒いニヒリズムを抱きながら生きる人達ばかりだからである。リー・マッキンタイアー「エビデンスを嫌う人たち」やヴァンス副大統領「ヒルビリー・エレジー」には、青葉氏そっくりに傷ついた人がたくさん出てくる。マイルドな青葉被告達が、世の中を動かす時代であるとも言えるのだ。そう思うと、本著がつまびらかにする青葉被告の心象風景というのはもっと切迫した現代性を帯びているとそう思えるのだ。明日は我が身という、切実な危機感も含めて。圧巻の1冊でした。また、改めて、京都アニメーション放火事件で亡くなった方にご冥福をお祈りするとともに、事件に携わった方々、本著を執筆した京都新聞取材班、また出版社に最大限の敬意を。

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時間は等しく流れる
「また明日電話するね」 その明日はいつ来るのか
手付かずの弁当と黒焦げの髪留めは帰ってきたのに 愛娘の「ただいま」を母は待つ
面会ができるかどうかわからない けれど 拘置所へ足蹴く通った記者の回数
念願叶った入社からまだ3ヶ月 「面白いことしましょう!」口癖だった 
「私は、まだまだ絵が下手やから。もっと、うまくなりたい」
と自宅でデッサンを繰り返す取締役

とてつもなく 大きいものを 突然 一方的に奪われた
買えない 替えられない 戻らない 帰らない
努力の証を 生の奇跡を 彼等の未来を 日本アニメの明日を 
なんてことを してくれたんだ

「水は青がキレイな印象になるように 淡いというよりやわらかさを表現」
通勤バッグに遺されたメモは
世界中を彩る光の源泉になる はずだった
どうして 過去形なんだ 

聞こえるか 慟哭を
見えるか それぞれの名前を 
彼等が成した 仕事 ひとつひとつを

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非正規の派遣労働で生計をつなぐ「底辺の人間」と自ら定義する加害者。
真面目ゆえに、他人を許せない気質。
自身の小説を盗用されたという、被害妄想が止まらない。

判決文をまとめた文章も掲載されており、「京アニに一切の落ち度がない」と言及。
被害人数の多さに注目された感があるが、犠牲が一人なら許されるということではない。

メディアスクラム(集団的過熱取材)ゆえに、報道や裁判で実名か匿名かで苦悩する遺族の話が印象に残りました。

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京都新聞による6年間の取材をもとにしたルポルタージュ。最大の読みどころはやはり被害者の遺族に対する丁寧な取材だろう。犯人に対する怒りや家族を失った悲しみ、それぞれの形で事件に対して向き合い、時間をかけて変化していく様子の記述は、地元紙ならではだと思う。

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綿密で緻密、そして相手のことを尊重した取材の結晶であるこの本。
読みながらずっと、自分の目の前、たとえば仕事や何かでかかわりのある相手に事件前の青葉氏がいたら、何かできたであろうか?
という自問が頭から離れなかった。

強い他責思考と、やり返すという意識。
自分が救われた存在である「京アニ」への憎悪。
正常な判断ができずすべて「パクられた」という意識が、なぜそこまでの犯行に及ぶほどの行動のきっかけになるのか。

更にもう一つ感じたのは、憎悪の対象として「京アニ」を客体化してしまうのはなぜかということだ。
文中で、被害者家族が「相手に家族、子どもがいることなどを想像できなかったのか」と問う場面がある。
そこで気づいたのか、または頭のどこかでだけ分かったのか、真実はわからない。
なんともやりきれない。

死刑制度についても様々な意見、観点から論じられている章があり、とても読み応えがある。
優れたノンフィクションである。

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京アニ放火について様々な視点から追った地元紙のルポ。
「どうすればこのようなことが防げるのか」という視点で真摯に取材され文章が構成されており、記者の皆様の矜持を感じました。
読んでよかったし、多くの方へ届いてほしいと思いました。
被害者の章ではあまりの理不尽さに心が締め付けられ、犯人の章では福祉と犯罪の間について考えさせられました。

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事件の背景が、裁判が行われる中での遺族の姿が、丁寧に描かれている。

あの日、報道を見て大きな衝撃を受けた人間の一人だが、この事件について詳しいことは知らなかったのだなと気付かされた。読んでいると、胸が非常に痛むけれど、読むべき本であると感じた。読んで良かった。特に「京アニ」を好きな人にこそ勧めていきたい本だと思う。

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とてもしんどかったです。感情を揺さぶられるノンフィクション作品でした。
もちろん知ってはいるこの事件ですが、この作品を読んで知ることがかなり多かったです。特に引き込まれて涙してしまったのは被害者遺族の取材。極刑を望む者、風化を望む者、謝罪を望む者… それぞれの遺族たちの葛藤が丁寧に綴られていて取材力の高さが感じられました。
一方で公判内容や面会を通しての被告側の様子は、読んでいても腹が立ってくるほどでした。
この時間を風化させたいと望んでいる遺族には申し訳ないですが、やはりこの作品はたくさんの人の目に留まって欲しいと思いました。

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アニメに詳しくないけど、この事件は知っていたし、36人も亡くなって悲惨な事件。
被告の青葉の半生。
なぜ京アニを狙ったのか。
なぜ事件をおこすまでになったのか。
夢を叶えて、京アニで働く人たちを一瞬にして失った悲しさ。
被害者遺族の揺れ動く心境。
実名を公表するのか、匿名にするのか。
奥さんを亡くし、小学2年の息子に被告を恨んだり憎まないようにしていく姿。憎しみだけになりそうなのに、極限にいて、そう考えられることに素晴らしいし尊敬。残された遺族のせつなさ。本当につらい。
こんな事件がないような世の中にしていきたいし、子どもたちにも伝えていきたい。

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2019年7月18日に起きた京都アニメーション放火殺人事件。明治以降で最悪の犠牲者(36人が死亡し34人が負傷した)を出したこの事件に、地元である京都新聞の記者たちが多方面から向き合った力作である。
あとがきによれば、2023年8月から約10ヶ月にわたって連載企画「理由」を紙面に掲載。この企画と公判報道で2024年度新聞協会賞を受賞したそうだ。本書はこの連載をまとめたものではなく、事件発生から現在までの取材をベースとした書き下ろしだ。
被害者遺族と向き合う姿勢、青葉の心の闇を探る取材など、抑えた筆致ながら熱い思いが伝わってくる。読むべきポイントは多い。青葉が「パクられた」と主張する小説のタイトル(2本あった)も初めて知った。
一審で死刑判決、控訴するも自ら取り下げ刑は確定した。執行までどのくらいの時間が残されているのかわからないが、何らかの形で本心を吐露してほしいものである。

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自分は「底辺の人間」です 京都アニメーション放火殺人事件/京都新聞取材班 講談社

【要約】
感情を挟まず事実のみを伝え、その場にいるかのような臨場感のある編集に、
より自身から感情が沸き上がりました(泣きました)。
素晴らしいノンフィクション、知って良かった、知るべき一冊
#読了

【感想】
生々しい事件の全貌に、何度も涙が込み上げて来ました。

2019年に起きた、京アニ放火殺人事件を追い続けた京都新聞の記録

犯人の生い立ち、犯行当日の詳細、逮捕後裁判の詳細
被害者の家族の怒り、悲しみ、何年も続く苦しみ

忘れないでやってくれと言う被害者の家族がいる一方で、
記者の風化させてはいけないという言葉に
なぜ風化させてくれない、ずっと覚えておかないといけないのかと
怒鳴る被害者の家族の言葉が忘れられない。

犠牲となった36名一人ひとりに別のストーリーがあり、
犠牲となった36名の家族一人ひとり受け止め方が違う。
被害者を一様に捉えていた自分に気づかされました。

実名報道や、殺到する取材によるメディアスクラムなど
被害者の心情に寄り添えないような状況にも胸を打たれました

何年も追い続けた「理由」の活動、素晴らしいと思います。
淡々と事実を伝えるドキュメンタリーであるがゆえに
自身から感情がより湧きあがりました。
素晴らしいノンフィクションをありがとうございます。

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2019年に発生した放火事件。
36人が犠牲となり、32人が重軽傷を負った。
その被告人である青葉真司と犠牲になった遺族への取材を重ねたルポ。

「人生をもてあそぶ闇の人物への対抗手段、反撃だった」
両親の離婚、無職となった父からの虐待など複雑な家庭環境とロスジェネ。

確定死刑囚となった被告と死刑制度について。
誰もが青葉になりうる可能性があるとしてたくさんの人に読まれたい一冊。

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まだ記憶に新しい「京都アニメーション放火事件」
アニメには詳しくないので、「京都アニメーション」と言われても名前を聞いたことがある程度の認識しかなかった。しかし事件が起き、このスタジオが人々に心から愛されていたこと、愛されていることを知った。そしてその作品には観たことのあるものもいくつもあり、感動した作品もあった。日本を代表するアニメスタジオの一つで、世界からも熱く支持されている。
そんな作品を生み出したスタジオで、ありえない悲惨な事件が起きてしまう。もしかすると犯人は「ここまで大きなことになるとは思っていなかった」のかもしれない。しかし冷静に現場を選び、そして多くの人を犠牲にした。極めて個人的な動機から発生したその犯行は残虐だった。

命を落とした犠牲者には0:100で全く非はない。普通のノンフィクションならば、100の責任を有する犯人の動機やバックグラウンドを探っていく。
しかしこの作品では、記者たちはあえて責任0の人たちも描くことで、事件の本質を浮き彫りにしている。
実に丁寧で、粘り強い作業だ。
実名を明かされることを拒否した遺族もいる。好奇の目に晒されることを嫌ったり、記者の取材を嫌ったり。あえて1/36の匿名であることを選択する遺族もいれば、生きた証をきちんと残したい遺族もいる。そのどちらにもきちんと寄り添い取材を進めていく様は、これぞ記者という矜持を感じさせてくれる。

最近、ある新聞が「アメリカで蔓延するフェンタニルの原材料が、名古屋の会社経由でアメリカに流れている」ことをスクープした。実に丁寧な調査報道だ。この本やこのスクープ記事を見ていると、まだまだ新聞にも存在意義はあると感じさせてくれる。

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私も京都アニメーションが作り出す世界に魅せられ、時に癒され、力づけられ日々を彩ってもらっているファンの1人です。当時家族と共に「どうして」と呆然としながらニュース映像を見ていました。翌年『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の映画を観に行き、その素晴らしさと美しさに夫と静かに泣きました。そしてその翌年に、諦めかけていた子どもを授かることが出来ました。夜中に子の寝顔を見ていると、愛おしさに涙が出そうになります。ありがたいことに、平凡で平和な大切な日々を過ごすことが出来ています。
 そんな時間をある日突然、残酷な形であの方たちは奪われてしまった。
 二度といつものお家に、ご家族のもとに帰れなくなってしまった。当時青葉容疑者の情報を見たり聞いたりするのを完全にシャットアウトしていたので、私は今回初めてと言っても良いほど、彼の半生を知りました。確かに彼の境遇は酷い。彼が両親から与えられるべきものを与えてもらえなかった現実は哀しくて苦しいものです。けれど、それがこの凶行に繋がって良いのかといえば、そうではない。絶対に違う。作中で、彼と同じような半生を過ごし苦労されて今の生活に繋げていった男性の取材が記されていた。本書を読めば、この男性と青葉容疑者の違いが、明確に浮き上がってきます。
 本書を是非大人は勿論中高生大学生の方にも是非読んでほしいです(なんなら授業で使ってほしい)、他人事の恐ろしい事件ではなくなるから。私は1人の大人として、子として、親として、本当に胸に刻み込みたいと思いました。

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京アニ事件に関して、青葉被告や遺族についてまとめた一冊。
情報がわかりやすく、この事件について興味がある方、調べている方にとって大助かりな内容だと思います。

氷河期世代、ロストジェネレーションは最近よく話題になっていますが、実際、今回の被告の一歩手前くらいにいる方ってすごく世の中にいっぱいいて、事件を起こすケースもちらほら見かけますよね。
人間の精神って環境に少しずつ追い詰められていくので、本人だけの問題じゃなくて社会の問題だなと。
犯人が犯人になるまでの間に、例えば誰かが手を差し伸べるとか、救済みたいなのがあれば、人生は変わっていたと思う。

人間は社会的な生き物なので、なにかしらのグループがあって、そこで彼が承認されるような、居場所みたいなのがあったらよかったんじゃないか。
彼は匿名掲示板が安心して本心を吐き出せると言っていたけど、匿名掲示板であれこれ吐き出しても人間関係が作れるわけではなくて他者承認が永遠に得られないから、穴の開いたバケツに水を注ぎ続けるみたいにむなしい。1+1は2になるけど0をいくつ積んでも1にすらできない。
「小説の読者が20人いれば」というのは、0ではなくて1にしたかったのかな、なんて思ったりしました。

失われた命は戻ってこなくて、取り返しがつかないし、「真実は絶対こうだ」と思っている人の真実は変えられない。
社会に問題がある、予備軍がいっぱいいる、でもどうしたらいいのか。
なんともやりきれない気持ちになりました。

そんな風に真剣に人間の精神や社会、人生について考えさせてくれるので、良い本だな、と思います。

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過去を知った上で、「で?」としか出てこないよな。どんな過去があったらこの犯罪が許されるというのか。控訴しなかった理由もまたすごい。『京アニがパクってない』という点を本人納得してないとは…。後半メインで書かれてた寺脇さん、本当にすごい。同じ子どもを持つ父親として、自分が寺脇さんの状況であんな立派な態度を取れる自信がない。子どもに恨み言を聴かせはしないと思うけど、それでも無理だと思う。そこまで人間ができてない。こんな事件二度と起きてほしく無い。

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先日、新聞紙上に6年目の京アニ慰霊祭の記事が載せられていた。本書を読んでいた途中であったので感慨深かった。あれからもうそんな月日が経ったのかということ、それにヒントを得たかのような精神科医院の放火事件も思い出させた。最近言われる無敵の人の起こす事件が後を絶たないと言っても過言ではない。それが青山死刑囚の言う「底辺の人間」の別称でもあるのかもしれないが。
 本書では加害者の境遇と被害者及びその遺族のその後の両方を丁寧に取材し書き記すことで、生きると言う意味を私たち読者に問いかけているように思う。死刑という国家が下す懲罰の是非は別にして、失った命に向き合うそれぞれの人がどのように自分を納得させてきたのか、そのためにどう行動し言葉を紡いできたのかー読者としてそれを知ることで自分自身が生きる今を見つめ直す機会ともなったように思う。
 本書の中で家庭環境に恵まれず荒んでいく少年、青年時代にそれでもサポートしている人々がいることを知り深く尊敬の念を抱く。それでもとめることのできなかった凶行に打ちひしがれながら再びそうした人たちを支援する人々がいる。やりきれない想いが募る事件の報告集ではあるが遺族の方々の深い思いや人々の善意を知ることで、微かな出口も探ることができたのではないかと感じた。京都新聞の記者の皆さんんにも感謝したいと思う。

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あの日から6年。平成以降最悪の大量殺人が起こってしまった。何が起こりなぜ発生し、その後どうなったのか、京都新聞取材班の記録書。被害者や遺族の苦しみが癒えることはない。青葉真司はどういう環境で育ち、なぜ歯止めが効かず罪を重ねたのか。彼は公判で語った。自分は底辺の人間であると。自作小説のアイデアを盗まれたと逆恨み、他責思考に陥った果ての悲劇。永遠の苦しみを耐えられなかったのか。確かに救われない世代はあったが、その行為は決して許されない。人生は誰もが思い通りにはいかない中で困難の影に希望を探しているというのに。

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この手の手記?じゃないけど、ドキュメンタリー?の話はあれだけの話題(不謹慎)を振りまいたので知ってはいた。
未だにこの年齢になっても京都アニメーションのアニメは好きなので、この本はきになりました。
昔、「無知の涙」?だったかを読んだ時も思ったが、やはり教育が大事なことだと思う。なんでも他人のせいにしていては解決しないのを解っているのにこういうことになるかな?
よほどの天才じゃない限り、新しい閃きは無いと思うが。
これは個人的なことだが、こんな無駄な裁判を行わないで即時死刑執行で良いと思う。

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