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或る集落の● 表紙

或る集落の●

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刊行日 2025/07/14 | 掲載終了日 2025/07/16

ハッシュタグ:#或る集落の #NetGalleyJP


内容紹介

・ ・・・ ・ ・・ ・

青森県のP集落にまつわる
悍ましくも、不思議な因習ホラー短編集!

あの家のわらしは、

膨れて死ぬぞ。


・P集落に暮らす姉を訪ねた「私」は、土地神《べら》を祀る小さな社に毎日お参りをする姉の様子がおかしいことに気づく。
―――「べらの社」

他、「うず山の猿」「がんべの兄弟」「まるの童子」「密室の獣」「天神がえり」「拡散にいたる病」を収録。

日本推理作家協会賞短編部門受賞夫の骨、話題の伏線回収ホラー撮ってはいけない家の著者が手がけたKindle版『或る集落の●』に、新たな「恐怖」を加えた因習ホラー短編集!

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著者/矢樹  純(やぎ・じゅん)
1976年青森県生まれ。弘前大学人文学科卒業。実妹との『加藤山羊』の合同ペンネームで、2002年に漫画原作者デビュー。2012年、第10回「このミステリーがすごい!」大賞に応募した『Sのための覚え書き かごめ荘連続殺人事件』で小説家デビュー。2020年、『夫の骨』に収録された表題作で、第73回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。他の著作に『撮ってはいけない家』『マザー・マーダー』『血腐れ』『彼女たちの牙と舌』などがある。

・ ・・・ ・ ・・ ・

青森県のP集落にまつわる
悍ましくも、不思議な因習ホラー短編集!

あの家のわらしは、

膨れて死ぬぞ。


・P集落に暮らす姉を訪ねた「私」は、土地神《べら》を祀る小さな社に毎日お参りをする姉の様子がおかしいことに気づく。
―――「べらの社」

他、「うず山の猿」「がんべの兄弟」「まるの童子」「密室の獣」「天神がえり」「拡散にいたる病」を収録。

日本推理作家協会賞短編部門受賞夫の骨、話題...


出版社からの備考・コメント

★校了前の仮データを元に作成しています。刊行時には内容が若干異なる場合がありますがご了承ください。
 空白ページは削除して公開しております。

発売前の大切なゲラをご提供させていただいております。弊社では、下記のような方からのリクエストをお待ちしております。
○発売に向けて、一緒に作品と著者を応援していただける方
○NetGalleyへレビューを書いてくださる方
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おすすめコメント



今年も この季節がやってきましたね・・・・



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読み終わりましたら是非NetGalleyへレビューをご投稿ください!
著者・担当編集者ともに楽しみにお待ちしております。
また、適したメディアやお持ちのSNSにもレビューを投稿いただき、多くの方に本を拡げていただけますと嬉しく幸いです。

※発売前作品のため、ネタバレになるレビューはくれぐれもお控えくださいませ※

ご協力の程、何卒宜しくお願いいたします。

★★★
作品の拡材や指定配本をご希望の書店様は
恐れ入りますが<講談社 書籍営業部>まで直接お問合せをお願いいたします。

★★



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ご協力の程、何卒宜しくお願いいたします。

★★★
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出版情報

ISBN 9784065401477
本体価格 ¥1,700 (JPY)
ページ数 208

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まず読者を迎え撃つのはP集落の話──連作ホラーである。
 山間の社に存在する『べら様』
 人の病を吸い取っていく『うず山の猿』
 ヤクザ二人組の情モノと逃避行『がんべの兄弟』
 青森の或る集落にまつわる因習『まるの童子』
 そのどれにも、体の芯からブルリと震えるような怖さ奇妙さ不気味さ、あるいは生理的嫌悪が含まれている。
 これらは一見独立している短編なのだが、或る事実を整理しながら読むことで、さらなる恐怖の渦に巻き込まれることになるのだ。
 怪異の力にはひれ伏すことしかできない人間。
 伏線回収ホラーとして上梓された『撮ってはいけない家』の源泉が、ここにある。

 「夏の夜にぴったりだ」と思った。

 本作にはその他、ミステリー雑誌や朗読用に書き下ろされた短編を収録しているのだが、「P集落から抜け出せた」と安心するにはまだ早い。
 そこここに集落を想起せずにはいられない要素が散らばっており、全体を通して非常に考察が捗る構成となっている。し、“逃すまい”とするような戦慄を味わうことができた。

 頁数が200強と読みやすいこともあり、「とにかく怖くて不気味なホラーを読みたい」読者に自信をもって薦めることができる一冊だ。

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『P集落の話』は独特の世界観を持ったホラー小説だ。かなり不気味だ。中盤まではかなり怖かった。人の病を吸い取っていくという世にも奇妙な物語『うず山の猿』が好みだった。少しミステリータッチになっているのだが、アル中の先生の世話係の川辺がいい。他の話しにも出てくるが、これは川辺の話しなのかもしれない。すべてはP集落が関わり、そこに出身の川辺の存在が光っていた。この発想力に感服した。夏に相応しい作品でした。

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離れて暮らす姉の許へ訪れた大学一年の夏休み。その田舎の集落はある伝承が伝えられておりそれが示す怪異に飲まれていく・・。
虚実織り交ざった伝承から派生した新たな伝承が、カウンターパートのようにある意味対極のような伝承となりまた伝播しているのを体感する。そしてそれは誤解を恐れずに言うと、形は成さずともある意味生命の象徴たる血と肉、そして臓腑などを目の当たりにした時に覚える興奮、そして興奮すること自体が倫理観と照らし合わせて忌むべきこと恥ずべきこととして捉えてしまう奇妙な感覚を得た。また現代の倫理観からすると忌むべきことでも、因習にとらわれれば当然として捉える、人の純粋さ、またその裏返しでもある愚かさを如実に示してくる。
人であり、人外でもある存在に、嫌悪と畏怖同時に味わうホラー連作集。

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え、怖すぎない?こんなに怖いことある?
詳細でありながら簡潔にするっと頭に入る文体のお陰か、情景がしっかりと頭に浮かんでしまうため、ただ文字の情報として認識するよりも数倍怖い。自分が体験しているような錯覚だったり、リアルタイムで掲示板の怖い話を追っているような、作品と現実の境界線があやふやになるような感覚で一気に読み終えました。
もちろんまだまだ深く咀嚼していく楽しみが残っているのも分かるし、出来る限り全ての恐怖を理解して戦慄し楽しみたいとも思う。……でも、ちょっとこれは……怖すぎて読み返すの嫌だ〜!!と思っている自分もいる。
間も無く刊行されるとの事なので取り敢えずは買っておこうかな、と。怖いけどまた読みたくなる、読まなきゃ!と思わせられる作品だった。

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身体に悪い恐怖を全人類に読んで頂きたいです。
表紙で既に悍ましいのですが、中身はもっと早ましいが過ぎます。
矢樹純さんの頭の中をもしものぞいたら、のぞいた側の頭がおかしくなりそうです。のぞいてみたいですが笑
あまりにも面白くて、一気読みでした。
こんな匂い立つようなムワッとしたホラー、最高です。
Instagramでもさっそく投稿しました。

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閉ざされた地域の古い習慣、信仰を巧みに表現した作品だと思う。
インターネットで検索すればなんでも情報を得ることができる現代で、その現代の常識が通じない地域や習慣、信仰、価値観を描いている。
東北のある集落で信仰されている神、その集落で神に使える役割を担う人々。
神がいるから役割があるのか?
人々が神を作るのか?
神はなんのためにこのような行動を取らせるのか?
一見別々の物語が、見えない糸で繋がっているような物語。
最後まで読んでも全容がはっきりと見えてこない部分が不安を増幅する。
実はリアルに自分にも起きているかもしれないというジワジワ感がすごい。
この不安、共有したい。

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「怖い」というより、「恐ろしい」……。

本当にありそうな話が恐ろしい。読んでいる最中、何度か眉間にシワが寄り、見たくない、でも見たい……という不安定な心理になりました。
なにより、読んだあとは暗闇が恐ろしくなるのです。小説に出てきた人物や「何か」が、ぼうっと現れそうなのです。

矢樹純さんの『或る集落の●』は、もともとKindleで拝読していたのですが、さらに短編が加えられており、満足度も恐怖もパワーアップしておりました。読んだことあるなあという人も、ぜひ読んでみてください。
そして、恐れてください。

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恐怖のどん底に突き落とされました(泣)。
極めて日本的な怖さと、常軌を逸した世界観が圧倒的な不気味さを放ちます。
現代の感覚では理解しがたい“神聖”が、静かに、しかし確実に“恐怖”へと変質していく様は、まさに悪夢そのもの。
これはホラーというより、「異界とつながった土地に生きる者たちの記録」。
そう思った瞬間、また鳥肌が立ちました。

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すごく怖かった。
特に2話目のアル中と猿の話。グロい描写も出てきたが怖いもの見たさで読む手が止まらなかった。
がんべって本当にあるのかな、こう言う集落にはそういうのもあるかもしれないなと調べてみたところ真菌が出てきました。
東京からP集落に嫁いでいき子供を産んだ女の話もすごく怖かった。一体2歳から5歳の子供に何をしているのか。
恐ろしすぎる。
がんべの川辺もぶっ飛んでいてすごくすごく怖かったです。
夏にぴったりな怖い本ですが、怖すぎるかもしれません。

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この季節になると読みたくなるのがホラー。

得体の知れないものにたいする畏怖。
閉鎖的な村で行われてきた風習。
こういう土着信仰ものは理解できないから本当に気味が悪いですね。
神様はこんな儀式望んでるんでしょうか。
「人ではない何か」の川辺が狂気的悪人にもかかわらず
面倒見のいい善人な面もあり、どう消化してよいのやら・・・

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自信を持ってオススメしたいホラーはこちら!
少しずつ繋がりがある短編で、しかし全容が見えずそこがまた恐ろしく、おぞましい。
不快さはつきまとうのに、⚫︎には神秘も感じてしまい、ああこういう人間が魅入られてしまうのかもしれないと思った。
怖さの中には、因習だったり虐待か?と思うような人間の業もあり、そしてラストはやはり人間の業なのでは?
川辺の存在が際立っている。

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Kindle版『或る集落の●』を『P集落の話』べらの社・うず山の猿・がんべの兄弟・まるの童子として、新たに『密室の獣』『天神がえり』『拡散にいたる病』を収録した因習ホラー短編集。
『天神がえり』以外は再読だったが、すっかり内容を忘れていたため何ともいえない気持ち悪さと怖さに二の腕に盛大に鳥肌が…。
少しリンクする部分に気付くとゾワゾワして、見えそうで見えない部分を想像してはまたゾワゾワ。おぞましくて不気味な因習ホラーは夏にピッタリ。二度読みすると更に色々と気付けて怖さが倍増しそう。寝汗のようにじっとりと肌にまとわりつく恐怖をお求めの方は是非!

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「夫の骨」以来注目している矢樹さんの連作短編ホラー。もちろんおばけというか人ならざるものからくる怖さはあるのだけれど、それ以上に人間のいやなところを感じさせるえぐみが好きです。「がんべの兄弟」などグロテスクな描写を含みながらもここに出てくる男たちの関係性には正直ロマンも感じます。全体的にはじとっとした薄暗さとなのに終わり方は妙にひらけた明るさを感じるアンバランスさがとても面白かったです。

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デビュー前に書かれた作品をさらに肉付けして。ということを後から知り驚いた。もともと矢樹純ってホラーというよりサスペンスのイメージが強かったのでデビュー前にホラーを描かれていたなんて、こうなる未来が見えていた!?というか講談社さんの担当さんの鋭さに感服。村とホラーの相性の良さってなんでこんなにそそられるものがあるんだろうか。家の後ろには森がある、山がある、その中には鳥居があって、、、。手に取るようにわかる。そして飲み込まれそうになる。その瞬間を一度目にしただけで都会の生活に戻っても以前の自分には戻れない。

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青森県のP集落という場所についての不思議で不気味な話の連作短編集。

ホラー大好きですが、久々に続きが気になり没入できる作品に出会いました!
別々の話のようで、読んでいるうちに現れる既視感。そして、想像力を掻き立てる文章に、ついつい眉をしかめながら止まらない、ページをめくる指。
気持ちが悪いのにやめられない。
お化けの強さとは少し違う、「因習」というのか、その土地に根付いた考え方というのはまた違う意味で怖いものです…。

他の作品も読んでみたくなりました!

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モキュメンタリー作品。青森県のある集落にまつわる話を集めた作品。モキュメンタリーとしては最近まあよくありそうと言えばありそうだけど、短編集で多層構造になってるのは少し珍しい気がする。時系列とか諸々ちゃんと整理しないと、読み落としてる事とかありそう。とても面白い作品だった。

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青森県P集落にまつわる因習ホラー短編集。言葉に表しずらい不気味な怖さと気持ち悪さが詰まった1冊でした。「うず山の猿」が生理的に一番無理でしたね。「がんべの兄弟」単体ならあり得ないですがこの中にあるからいい話の様な気すらしました。P集落と川辺には絶対関わらないようにしないと。

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青森県のP集落をめぐる、連作形式のホラー短編集。
人ならざる《がんべ》が棲み、《●》が祀られる山奥の村。そこを起点に、恐怖は静かに、そして確実に広がっていく。

目を背けたくなるようなイメージ。不意に切り裂かれるような結末。
その繰り返しが、読者の心にじわじわと爪を立てる。ぜひ、その感覚を体験してほしい。



『べらの社』

姉は「べら様」に取られ、《めはしぇは》になった。
《めはしぇは》とは?《まる》とは?「頭が生える」とは? そして、姉は何に変わり、どこへ行ったのか? 
姉が残した“わたし”への《予言》の意味は?

わからないからこそ、怖い。
読了後、姉が連れてきた恋人が「川辺」であったと気づき、背筋が凍った。



『うず山の猿』

白い猿による口吸。そこから“先生”に流し込まれる何か。
その酩酊の先で、先生がしたこと。もはや目を逸らすことはできず、ただ読み進めるしかなかった。

理由はわからない。先も見えない。先生は気にしていないが、それこそが一番恐ろしい。
川辺が見せた優しささえ、どこか不穏に思えてくるほどに。



『がんべの兄弟』

雪田がフライパンで焼いていたもの――その正体に気づいた瞬間、考えたくない想像が脳裏をよぎる。
川辺は自分を《がんべ》と呼び、人間ではないと言う。
その優しさと凶暴さの二面性。

過去と現在が繋がっていく。そして、恐ろしいのは、これがまだ終わりではないことだ。



『まるの童子』

舞台はすぐにわかる。《まる》が敬われ、《がんべ》が蔑まれている村。
異様な慣わしに振り回される母子。だが、大智の言動から、我々の理解が誤っていたことに気づかされる。

《まる》の童子であり、《がんべ》でもある大智。小学生になってからの彼の行動が、社での3年間を物語る。
そして、そんな彼を妹より優先した父の選択。村の因習の恐ろしさが浮かび上がる。

この一家の苗字は語られない。けれど、それでも、誰なのかがわかってしまう。



『密室の獣』

「川辺」という姓の由来。
名は体を表す――その意味がここにあった。
彼は村に帰ることができたのか? その答えは、言うまでもない。



『天神がえり』

天神様の力で、死者は《あるべきかたち》へと還る。
それは罪を償う姿。だから、たとえ異形でも、愛しい。側に置いていたい。

《あるべきところ》へ戻ってきたサチの姿には戦慄した。
そして、“お姉さん”の鞄の中にあるもの。その《かたち》と《あるべき場所》を想像してしまった。

原罪を超える恐怖が、そこにあった。



『拡散にいたる病』

榊玲司の著した『P集落の話』が実在する。川辺としか思えない人物が現れ、虚構と現実の境が曖昧になっていく。
榊の言葉――「増やしてもらってありがとう」――その意味とは?

結論は語られない。
けれど、“事実”を並べていけば、自ずと“真実”が見えてくる。
その最後の一歩を、読者に委ねてくる。
これほど、静かで、残酷な恐怖があるだろうか。



なんというホラー短編集だろう。
読むだけでは終わらせてくれない。
その意味、その先を、読者に考えさせる。読後にこそ恐怖が忍び寄ってくる、稀有な作品だった。

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繋がっていないようで繋がっている厭に不気味なお話。
どれもじっとり怖くてほんのり厭なのだけれど、最終話が普通に厭。
明記されることのない厭さ、怖さはジャパニーズホラーの醍醐味。と言った趣。
何が増えたんですかね?読まれた方々、どう思います?

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青森県にあるP集落にまつわるホラー短編集。

山に住む形ないもの《まる》を崇める集落のひとたち。
ヘブライの宗教文化が伝わっている青森。
名前を口に出してはいけない唯一神ヤハウェが●と伏字にされているという。

古い因習に則って生きる田舎のひとびとを描いたホラー。
怖いのにページをめくる手はとまらない傑作。

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短編集かと思いきや、どうやら話は繋がっているようだ。 『亀の刺青の男』や、やたらと『腸』に触れてくるところなど…。1話から語られていたのはラジオへの投稿??拡散されているものと、目的は?『がんべ』や『まる』とは??うーん…難しくてもやもや感が残る。それでもそれぞれの物語は怖いし、嫌悪感も抱かせる。グロい描写もあってしっかりとホラーだ。とにかく、『村』や『集落』は危険。絶対に行きたくない。もう行くだけでフラグ立つから。この物語はフィクションだが(本当に?)何処かの集落にありそうと思えてしまうのも怖い。

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読んでいて気持ち悪い場面もたくさんあったのに先が気になって読みました。
本当にどこかの山奥にある集落で今も細々と怪異が続いているのではないか、そしていつか気がついたら自分もその集落の前に立っていることがあるのではないかと想像してしまうような読書体験でした。

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土着思想の根強い集落にまつわる、不気味とグロテスクが応酬する習わしに息を呑むホラー短編集。

あり得ない、と思うような話も閉鎖された環境だと不思議と抗う気が失せてくる。そんな人間心理を巧く利用し、恐怖と好奇心を交互に刺激する。続きを読みたい、でも、と一瞬の躊躇いすらも至高のエッセンスとなり楽しめた。
同じ集落を舞台にしているが、各話毛色が全く違い、それでいて少しずつ繋がって深くなる。ホラーでは珍しく、いつの間にか感情移入してしまうような話も含まれているのが異質でとても良かった。

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初読み作家さん。薄気味悪いお話でした。

作者が青森出身という事で、
田舎の怖さがこれでもかと詰め込まれた連作短編集。

個人的に一番イヤーな気持ちになったのは、「まるの童子」です。
子供には何の罪もないのに、因習に人生を狂わされた親子がとても可哀想でした。

最後の「拡散に至る病」もはっきりとした終わりが無くて、
非常にイヤーな気持ちになりました。
イヤミスならぬイヤホラですね。

とにかく薄気味悪くて肌寒くなるようなお話を求めている方にはぴったりの1冊だと思います。
矢樹先生の今後の作品にも期待してます。

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