
親愛なるカンパニュール
あなたに花を贈る理由
柑実ナコ
この作品は、現在アーカイブされています。
ぜひ本作品をお好きな書店で注文、または購入してください。
出版社がKindle閲覧可に設定した作品は、KindleまたはKindleアプリで作品を読むことができます。
1
KindleまたはKindleアプリで作品を閲覧するには、あなたのAmazonアカウントにkindle@netgalley.comを認証させてください。Kindleでの閲覧方法については、こちらをご覧ください。
2
Amazonアカウントに登録されているKindleのメールアドレスを、こちらにご入力ください。
刊行日 2025/09/20 | 掲載終了日 2025/09/10
ハッシュタグ:#親愛なるカンパニュール #NetGalleyJP
内容紹介
この出会いは
世界一しあわせで
せつなくて
大切な
「大誤算」だった――。
ことのは文庫×魔法のiらんど「泣ける文芸小説コンテスト」大賞受賞作家が贈る、待望の200%号泣小説。
☆ ☆ ☆
【ゲラを読まれる方へ大切なお願い】
・校了前のデータを元に作成しています。刊行時には内容が異なる場合があります。
・レビューなどでのネタバレ行為はネットギャリーのみならず、外部サイトやSNS等の多くの方が目にする場でもお控えください。
・本文に対するご指摘などは「コメント」にてお願いします。
・自分には合わない作品だった場合、今後のためにも建設的なご意見をよろしくお願いします。
※今作は作者のご厚意によって提供いただいた校了前の大切なゲラを公開をしています。
※今作にこれから出会うであろう多くの読者のためにも、ご理解の上、素敵なレビューによる応援とご協力のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
☆ ☆ ☆
【あらすじ】
――私はいつも、人を傷つける言葉ばかりが得意だ。
他人と距離を置く孤独な女子高生の桔帆(きほ)は、バイト先の花屋で「毎月20日、必ず奥さんのために花を買いに来る」お日様のような笑顔を放つ謎の大学教授・東明(しのあき)に出会う。
夏休みに入った頃、東明は彼女にある提案をもちかけた。
「自分がバカンスへ行く間、家の庭の世話をしてほしい」
戸惑いながらも了承した桔帆が、東明の自宅へ向かうと。
「……なんだお前、やっぱストーカーとかだったわけ?」
以前、桔帆が大学に花を届けに行ったときに、彼女を東明のストーカー扱いした「東明の弟子」と呼ばれる不機嫌そうな大学院生・綾瀬(あやせ)がそこで待ち構えていて――。
東明が仕組んだ、不思議な「同居生活」。
三人はいつしか、かけがえのない「友人」となるが、その奇妙であたたかな生活は、ある日突然終わりを迎える――。
【目次】
P10 第一章「ピンクのない花束」
P64 第二章「ちぐはぐな友達」
P130 第三章「繋がない優しさ」
P204 第四章「二人だけの世界」
P260 第五章「迫るタイムリミット」
P276 第六章「愛しいことば」
■著者について
柑実ナコ(かんみ・なこ)
東京都在住。2022年「ことのは文庫×魔法のiらんど『泣ける文芸小説』コンテスト」にて大賞を受賞。受賞作『君はいつも、迂回する』にてデビュー。幸せを感じる時間は、大好きなアーティストの音楽ライブへ行く時、大好きな人達と美味しいご飯を食べる時。
■イラストレーターについて
池上幸輝(いけがみ・こうき)
イラストレーター。緻密で繊細、かつ透明感のあるタッチが特徴。2023年、翔泳社より『絵の勉強おたすけノート うまい人がコツコツ見つけたイラスト上達法』を刊行。
出版社からの備考・コメント
◎拡材や新刊配本のお申込みにつきましては、
【マイクロマガジン社 営業部】までお問い合わせいただけますと幸いです。
件名に「ことのは文庫 9月新刊の注文」と明記の上、
「番線 or 番線情報」「書店名」「ご発注者様名」をご記載いただき
【hanbai-bceigyou@microgroup.co.jp】までメールにてご連絡くださいませ。
※受注状況によってはご希望数より調整が入る可能性がございます。予めご了承ください。
※価格は予価です。
◎こちらの新刊タイトルのお申し込み締め切りは2025年8月18日迄承っております。
おすすめコメント
◆やっと手に入れた大切なものを失う「喪失感」を乗り越えていく物語。
絶対に手に入らないと思っていたものがうっかり手に入ってしまったのもつかの間、あっさりとそれが失われてしまう強い絶望を、それでも自分たちなりのやり方で少しずつ乗り越えていく主人公たちの姿に非常に勇気づけられます。王道のヒューマンドラマです。
◆世代も年齢も超えた「友情」の物語。
ひょんなことから共に生活することになった、性別も年代もバラバラの男女三人。居場所がないと思っていた不器用な彼らが、少しずつ「同居人」として過ごし始め、そしていつしかお互いがかけがえのない存在となっていく。血のつながり等の証明できる絆はないけれど、何よりも大切な「友」「家族」を得る物語は、きっとたくさんの方にとっての小さな救いになるのではないかと思います。
販促プラン
あなたの【おすすめコメント】大募集!! 拡材に使わせていただきます!
①応援レビューを拡材(帯またはPOP)やECサイトに使用させていただきます!
期間内にいただい応援レビューを、拡材に使用させていただく場合があります。
掲載文字数に制限がありますので、一部抜粋の上、整理した文面になります。
書籍オビに採用された方にはサイン本を1冊進呈します。
※掲載時には事前にご連絡・確認をいたします。
※サイン本の発送は国内に限らせていただきます。
※出版社にメールアドレスを開示設定されていない場合は、送付先の確認のご連絡ができかねますのでご注意ください。
《拡材用の応援レビュー募集期間》
~2025年8月7日(木)午前10時
②応援レビューを特設サイトで紹介します!
期間内にいただいた応援レビューは、刊行時に公開する予定の作品特設サイトのレビュー紹介欄にて掲載する場合がございます。
※レビュアー様のお名前も併せて掲載させていただきたい場合は、事前にご連絡いたします。
《特設サイト応援レビュー募集期間》
~2025年8月7日(木)午前10時
作品の拡材や指定配本をご希望の書店様は、
恐れ入りますが『マイクロマガジン社 営業部』まで直接お問合せをお願い致します。
出版情報
発行形態 | 文庫・新書 |
ISBN | 9784867168356 |
本体価格 | ¥730 (JPY) |
ページ数 | 320 |
関連リンク
閲覧オプション
NetGalley会員レビュー

泣けると評判の本を読んで実際に泣けることは多くないが、今回は違った。
読み始めてすぐに桔帆の魅力に取り憑かれて応援したくなり、彼女のことをもっと知りたい関わりたいと思い3分の1のあたりで涙腺崩壊、そのまま一気に読んでしまった。
癖があって不器用で誠実で優しい人たちが共鳴しあっていく。周りの個性的な人たちや不器用な人たちがまた誠実で思慮深くて笑いや涙を誘う。こんなにいい人ばかり出てくるのに夢中になる展開って何事ですか。
心穏やかに過ごしたい夜でも、落ち込んだ時でも、理不尽な目に遭ってやりきれない時でも、きっとどんな精神状態で読んでも没入できると思う。

桔帆は、家でも学校でも、優等生でいられず上手く息ができないような日々を過ごしていました。
優秀な兄と比べられ、期待に答えられない自分に落胆し、自分のことがわからなくなっていきます。
そんな桔帆は、早く自立をしたくてお花屋さんでアルバイトを始めます。
「お嬢さん。その綺麗に咲いているお花をいただけますか?」
桔帆の耳に届いたその言葉が、少しずつ彼女の世界を変えていきます。大学教授と大学院生と女子高生の奇妙な同居生活は、なんたる少女漫画的展開なんでしょう。それがもうたまりません。キュンとしたり、それぞれの過去を知り胸が苦しくなったり、涙を流しながら、ずっと優しい陽だまりに包まれているようでした。
桔帆を家に招いてくれるシノさん、口は悪いけれど過保護な大学院生の綾瀬、少し不器用だけどやさしい亜久津、そして花屋を営む夫婦。
誰もが桔帆に寄り添ってくれます。
桔帆と亜久津の関係が、とても印象的でした。
周りから見たらちぐはぐに思えるかもしれないけれど、ふたりだからこそ築ける関係がありました。
「頑張らなくていいよ」と言われて、ほっとする気持ちや焦燥感、取り残されるような不安。私ならきっと桔帆のように心が揺れてしまうと思います。無理をさせたくなくて「頑張らなくていい」と声をかけることもあると思います。でも安易には言えない言葉だなと痛感しました。
色の違いで花言葉が違う桔梗。どちらの花言葉も包んでくれるようなお話で読んだあと、心の中に色の違う桔梗の花がそっと咲いた気がしました。
誰かに認められることよりも、自分が進みたい道を決めて、自分が大切だと思う人と一緒に笑っていたいなと心から思いました。
桔帆や綾瀬にかけてくれた言葉が、奇妙な関係の三人が住む家の縁側に注ぐ日差しのように優しくて、シノさんが愛おしくてたまりませんでした。

花屋さんでのアルバイト中の桔帆ちゃんに、「友達にならない?」と声をかける大学教授のシノさん。シノさんのことがわからないうちは不審でしかなかったです。
そこへ介入してくるシノさんの一番弟子の綾瀬くん。
桔帆ちゃんと綾瀬くんのつっけんどんな言葉のやりとりが好きでした。どの言葉もいつわりが無い。人間関係をそれなりに済ませるなら、もっと上滑りでもいいから適当に合わせればいいけれど、この2人はそれをしない。だからどの言葉もむき出しの本心。それでこその結べた関係性だろうと思います。
シノさんも桔帆ちゃんも綾瀬くんも不器用な人生の歩み方。でもダサくてももがいて回り道したって自分の人生を見つけていく生き方って本当に愛おしい。
シノさんの素直な温かいことばが詰まったお手紙には感涙でした。
今はまだ足踏み期間だったかもしれないけど、この何ものにも代えがたい素晴らしい出会いがあって、彼女たちはそれを糧にして明るい未来へ歩いていくんだろうな。

妻を亡くした大学教授、家業を継がなかった院生、優等生を諦めた女子高生。
ひとつ屋根の下、同居することになった3人が、それぞれの「喪失」と「過去」をどう乗り越えていくのか。
そして、その先に何が待つのか。それを彼らと一緒に、受けとめてほしい。
----------------
『君はいつも、迂回する』が好きだった自分は、本作の情報を見て迷わずリクエストを送った。読後、想像以上に心に残る物語だったと実感した。
『ピンクのない花束』
花屋でアルバイトをしている桔帆は、花に詳しく、仕事熱心。ただ、人を寄せつけず、愛想もまったくない。彼女の独白に思わず吹き出す瞬間もあるが、その態度の奥が読み取れず、気づけばページをめくる手が止まらなくなっていた。
『ちぐはぐな友達』
桔帆の過去が語られる。頑張れば評価されると信じてきた彼女に、世間の目はあるきっかけで突然冷たくなる。傷ついた少女は「花は裏切らない」と心に壁を築き、自衛のために無愛想になるしかなかった。
そんな彼女に綾瀬が「諦めて自分の本心から逃げてる」と図星を突く。その瞬間、むしろ力が抜ける。否定されなかった。だから立ち戻れた。綾瀬の笑いは、悪意とは無縁だったのだ。
そして「唯一無二」と思っていた東明が、もう一人の“友達”を得たことに動揺する姿がまた彼らしく、クスリときた。
『繋がない優しさ』
綾瀬の過去もまた重い。豆腐屋を継ぐと決めた矢先、親に拒絶された中学生の彼は、未来を喪失したまま大学に進む。そこで出会った東明教授の言葉――「日本語学の魅力は、自分でどこまでも決められる」――が、彼の中に微かな光をもたらす。
口調と態度はそのままでも、綾瀬はもう変わっていると信じた。心の奥の優しさを、きっと少しずつ見せていけるはず。母の言葉「好きなこと、好きな人たちを大切にしなさい」に導かれて。
『二人だけの世界』
変化し始めた綾瀬に、桔帆は過剰なまでに反応してしまう。そこに、東明の過去が挿入される。
「守り抜きたい自分」がまだないままで医師への道を拒否し、勘当される東明。そのまま惰性で社会学部に入った東明が出会った梗佳の、「お日様みたいに笑うね」のひと言が彼の本来の心を照らす。
梗佳に愛され、応援された東明の人生。だが、その幸福な日々も唐突に終わりを迎える。彼の過去を聞いた桔帆が涙を流す場面に、こちらも思わず胸が熱くなった。
『迫るタイムリミット』
高校三年生になった桔帆の心には、ぽっかり穴が空いていた。話したいことがたくさんあるのに、バカンスに出た東明がまだ帰ってこない。その「時」が刻々と迫る中、ページをめくるスピードは自然と上がっていく。
だが、ある出来事を前に、手が止まった。
『愛しいことば』
桔帆は決意する。東明の家を出て、誰かと交わり、自分の足で立っていくことを。
まずは実家で「まだ諦めないで」と言葉をかけ、意外にも受け入れられる。それは、東明と綾瀬が準備してくれた“時間”の力だった。
花屋へも、自ら歩み寄る。そして東明の家では、綾瀬に――。
巡礼のような旅の終わり。最後の綾瀬の優しい笑顔が、東明のそれと重なるように見えたのは、気のせいではないと思う。
そして、東明=シノさんの最後の手紙。
「2人と出会ったことで、一緒に生きようと頑張れた」
あまりにも東明らしい、静かで強い遺言だった。
桔帆は変わった。歩き出す準備が整った。一方、東明にとって、綾瀬にとっても、桔帆は人生最大の“大誤算”だったのだ。けれどその“大誤算”が、東明に生きる意志を与え、綾瀬の心の棘を抜き、その弱さを認める強さを与えてくれた。
そして、最後にタイトルを見直した。
「親愛なるカンパニュール あなたに花を贈る理由」
綾瀬は間違えなかった。確かな理由をもって、花を贈った。まさにカンパニュール=花の精のような、あの人に。
空の向こうからは、きっと、あのお日様のような笑顔がそれを見守っていたと信じている。
物語を読み終わり、3人の歩みを思い返した。
最初は皆、独りだった。けれど出会うことで、変わることができた。
人は、人によって変われる。救われる。
それも――お互いに。

フラワーショップでアルバイトしている高校生の桔帆。傷を抱えたまま新たに出会う人々は温かく明るい・・・。
明るくお節介な大人たちに囲まれ(不愛想の例外あり)、気づきを経て再生していくが、それは誰もが持つ人の多面性の一面で桔帆本人も持ち、季節や時間帯によって様々な表情を見せる花や光景のよう。優しさに包まれ様は微笑ましいが、そこまでの当人しか分からない傷の深さに触れるものでもあり切なさまでもが漂う。
様々な真意に触れる度に、涙が溢れてくる花言葉に寄り添う感動作。

決して交じり合うことのなさそうな3人の奇妙な出会いとその後の同居生活。それぞれが抱えた悩みを一つずつ克服していってハッピーエンドで終わるかと思っていたら…。
予期せぬ結末に言葉を失いそうになりましたが、シノさんのたった2行の遺言にグッときました。さらにはそれぞれに宛てた手紙まで。
悲しみを一人で抱えずにリスタートできそうです。
桔梗の花に隠されたエピソードも物語に重要。それぞれの想いに胸アツでした。

大号泣した!!!全人類に読んでほしい。
お日様のように穏やかに柔らかく優しく見守ってくれる『シノさん』
月夜のようにじっと時間が過ぎるのを暗闇に紛れて待ち続ける『桔帆』
風のように時には荒れて、時には寄り添い、時には背中を押してくれる『綾瀬』
他の登場人物たちも魅力的で大好きになりました。本当に夢中で惹き込まれる物語だった。
音や香り、彩りまでしっかりと感じられる繊細で柔らかい文体もあり1つ1つの文章が心にじんわりと染み込んで、
登場人物たちの関わりや苦悩や葛藤にふれる度に胸が締め付けられて涙が止まらなかった。
『自分』を大切に育んで『自分』なりの未来を切り開いていきたい、それがどれほど大切なのかを教えてくれる。
全人類、特に学生さんたちには絶対に読んでほしい。

「少女漫画的展開」から始まった物語は、色々な顔を見せ始める。
家族小説、「くされ青春群像」…そのどれもが切なくて温かくて、そして優しい。
関西出身の私は、「アホちゃうか」には親しみを感じ、「馬鹿じゃない」には冷たさを感じていた。どっちも悪口には違いないから使っていい言葉ではないんだろうけど…。
それでも、こんなに心が温かくなる「馬鹿」は初めてだった。不器用さが愛おしかった。
嫌な予感はしていて、覚悟を決めていたけれど、それで悲しみが襲ってこないわけもなく…。
だけど、いい意味での大誤算と、お日様が照らしてくれた道に救われた。
ニヤニヤとウルウルしっぱなしの1冊だった。

「あなたはがんばらなくてもいい」と
言われることに、ずっと違和感を
感じ続けていた梗帆(きほ)。
あることをキッカケに頑張ることを
辞めてなげやりに生きるようになる。
そんな梗帆の前に突然現れた
大学教授シノさん...お日様のような
シノさんと出逢ったことで梗帆の止まった
時間は意図せぬ方向に動き出す。
シノさんとの出逢いが新しい出逢いを
よんで、更に断ち切った関係までも
繋いでいく...人は一人では絶対に
生きられない。どんなに避けても
強がっても誰かと繋がらずには生きられない。
この小説を読んで、少なくても大切な
繋がりを丁寧に繋いでいこうと思った。
どんなに煩わしくても切ってはいけない
そんな人との繋がりをわたしも大切に
していきたい。
そして始まりがあれば終わりがくる。
だからこそ大切にしないといけない今。
いつか終わりが訪れるときもしも最後に
本を読めるとしたらこの本を読みたい。