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こだま標本箱 表紙

こだま標本箱

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刊行日 2025/10/29 | 掲載終了日 2025/10/07


ハッシュタグ:#こだま標本箱 #NetGalleyJP


内容紹介

大人だって心のなかでは信じている。たとえ二度と会えなくても、彼らは消え去ってなんかいないと。

「思い出のとき修理します」シリーズの谷瑞恵さんが贈る、奇跡に満ちた物語。


「お客様、伝説をお持ちですか?」

夫を失い、息子が神隠しにあった百絵。

息子は見つかったものの、世間に騒がれたために、はるか遠くの地まで引っ越してきた。

百絵は「喫茶こだま」で働き始めるが、オーナーの賀見社は「伝説収集家」として、古くからの言い伝えを調べているのだという。

彼の元に舞い込む依頼は不思議なものばかり。誰もが二度と会えない大切な人とのつながりを探し求めているようだ。

思いがけず伝説収集を手伝うことになった百絵は、戸惑いながらも依頼主の願いを聞き始めるのだが――。

古くからの言い伝えを調べる伝説収集家との出会いが、不確かなものは信じないと心に決めていた百絵の未来を変えていく。


【著者プロフィール】

三重県生れ。三重大学卒業。1997年、『パラダイス ルネッサンス―楽園再生―』で集英社ロマン大賞に佳作入選しデビュー。他著書に「伯爵と妖精」シリーズ、「思い出のとき修理します」シリーズ、「異人館画廊」シリーズ、『木もれ日を縫う』『額装師の祈り 奥野夏樹のデザインノート』『まよなかの青空』『めぐり逢いサンドイッチ』『神さまのいうとおり』『あかずの扉の鍵貸します』などがある。

大人だって心のなかでは信じている。たとえ二度と会えなくても、彼らは消え去ってなんかいないと。

「思い出のとき修理します」シリーズの谷瑞恵さんが贈る、奇跡に満ちた物語。


「お客様、伝説をお持ちですか?」

夫を失い、息子が神隠しにあった百絵。

息子は見つかったものの、世間に騒がれたために、はるか遠くの地まで引っ越してきた。

百絵は「喫茶こだま」で働き始めるが、オーナーの賀見社は「伝説収集家」として、古く...


おすすめコメント

【著者コメント】

「こだま」は「木霊」と書きます。森の中に反響する音に、昔の人は木々の魂を感じたのでしょうか。現代でも、御神木や謂れのある木など、大切に守られています。日常のそばに、伝説は意外とあふれているのではないでしょうか。伝説収集家の賀見社と、現実的な感覚の百絵、二人のやりとりも読みどころです。どうして賀見社が伝説を集めるのか、身近な伝説に触れ百絵が何を得るのか、ぜひお楽しみください。

【著者コメント】

「こだま」は「木霊」と書きます。森の中に反響する音に、昔の人は木々の魂を感じたのでしょうか。現代でも、御神木や謂れのある木など、大切に守られています。日常のそばに、伝説は意外とあふれているのではないでしょうか。伝説収集家の賀見社と、現実的な感覚の百絵、二人のやりとりも読みどころです。どうして賀見社が伝説を集めるのか、身近な伝説に触れ百絵が何を得るのか、ぜひお楽しみください。


販促プラン

この度は谷瑞恵さん『こだま標本箱』をお読みくださり誠にありがとうございます。

よろしければ下記よりご感想をお聞かせください。


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この度は谷瑞恵さん『こだま標本箱』をお読みくださり誠にありがとうございます。

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ご不...


出版情報

発行形態 ハードカバー
ISBN 9784198660833
本体価格 ¥1,900 (JPY)
ページ数 288

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なんとも不思議なお話。オーナーの収集も摩訶不思議なものばかり。でもそれには理由があって…。
現実主義な主人公と周りの方々の対比が読み手を現実の世界に繋いでくれた。読みながら自分も森の中を彷徨うような、意識が飛ぶような不思議な感覚になった。

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ある事件を切っ掛けに、百絵は住んでいた土地から逃げるように別の地に移り生活を立て直そうとしていた。そこで勤め始めた「喫茶こだま」のオーナーの趣味は・・・
何かに急き立てられるかのように伝説収集に向かうオーナーに振り回されていく中で、百絵の頑なだった考えが徐々に変化していく様子がつぶさに描かれる。事実と不思議な現象がないまぜになった「伝説」を収集し標本化することが、発生した出来事とその時沸き上がった感情がないまぜになった「過去」を整理区分することで、そのまま受け入れることにつながることと重なっていく。最愛の息子に起きた変事、喪った夫と、不安や哀しみを受け止めながら再び歩みだす工程を踏んでいくことで、救いを得ているようにも思えてしまう。
誰もが奥底に持つ不思議な感受性を巧みに証明したかのような物語。

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谷瑞恵さんはライトノベルを書かれているときから読んでいますが、何かを失う経験をした人たちがゆっくりとそれぞれのペースで日々を紡いで少しずつ何かを取り戻してゆく-といった描写がとても丁寧な作家さんだと思います。今回の主人公もまた、大きな喪失を抱え最愛の息子に起きた事件もあり固い殻に閉じ籠ったようなところのある女性です(こんな状況になったら当然ですが)。それが新しい場所で出会った人たちと自身が全く信じていない不可思議な事象達と関わり合うことで、変化してゆく。それだけではなく、大きな気づきがあり彼女の心が救われる描写には思わず大きく息をはきました。

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神秘、伝承、そして怪異。
めくるめく不思議ワールドに
酔いしれる読書体験でした!

見えないものを信じない主人公が
仕事を通じてオカルティックな世界に
足を踏み入れるストーリー。

超常的な話は正直、苦手なのですが
気付けば夢中でしたよ。

奇妙にしか見えなかった謎の裏には
強烈なまでの人々の想いが
隠されていましたね。

まるで謎解き探偵のような雇い主に
助手として付き添う主人公。

彼らによって解き明かされていく
血の通った人間の生き様の中に
数えきれない魅力が詰まっていました。

活躍する二人の内にも
消しようのない葛藤があって・・・

ぁあ!語りたいけど何を言っても
ネタバレになりそうで、困るぅぅぅぅ。

生きがいのためならどこにでも行くし
何でもするというオーナーの熱意に
私もあてられてしまったようです。

静謐な余韻が彩るラストに浸りながら
私も空想に寄り添える大人でありたいと
心から思いました。

(対象年齢は13歳以上かな?)

5 stars
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不思議な標本が収集されている喫茶「こだま」
ここで働くことになったのは偶然じゃないと知った時、百絵の周りへの気持ちは揺らぐ。

彼、彼女らの体験は妄想か現実か……。
不思議な世界へはつながっているのか……。

不思議な世界の息遣いが優しく感じられる情景。
昔から伝えられる伝説には先人の祈りや願いがこめられているのね。
その思いが時を超えて、苦しみや悲しみを乗り越えられるようにそっと寄り添ってくれているのね。
時に姿を現しずっと見守ってくれている……。

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288頁分の 夢をみていた気がする
山にいた 白い家が見える
喫茶店にもいた そこには たまごの神さまがいた
木があった 切ってはいけない木だと言われた 

見えなくても つながっている確かさを
信じることで見えた真実を
握っていたと思っていた手の行方を
点は線になり 故人は個人の未来を観る

個々人が抱えていた あがらえない喪失は 
掬うようにつながり ありがとうという安堵へ行きつく

おとなの本にしておくのは 間口が狭すぎる
小学高学年の感受性に届けたい
心に何を残すだろう 

ファンタジーでもサスペンスでもない 文芸書だった

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「喫茶こだま」で働く百絵。
喫茶こだまには謎の予約席があり、オーナーの賀見社は「伝説収集家」であり、百絵はその手伝いをすることになる。

空堀商店街から路地を少し入ったところにある「喫茶こだま」。場所を思い浮かべながらあの辺りにあるのかなと想像しながら読みました。登場するメニューもどれも美味しそうです。
どこにでもありそうな喫茶店なのに、ふわふわと不思議な空気が漂っていて、現実から離れすぎていないところがとても好きです。

子どものころなら、もっといろんな声が聞こえていたのかもしれない。けれど大人になると、物事を自分の見たいようにしか見なくなり、大切なものを見過ごしているのだろう。
子どものときに心のなかで繋がったものは、今でも確かに繋がっているのだと思う。私の記憶を辿っていったとき、オーナーが探しているような伝説があるのかもしれない。

見たいものを見るのではなく、理屈ではありえないと否定せず、子どものころに見た不思議な風景や自然の声をいつか感じてみたいと思った。

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《手放せなかった想いが、標本になる》



『幸せの香』

不気味なオープニングから一転、百絵が働き始めた「喫茶こだま」での出来事へ。
そこには、50年続くという〈予約席〉や、伝説の“標本”が陳列された空間があった。

ロマンチストの賀見社と現実主義の百絵。
ケサランパサランに対するふたりの姿勢は真逆で、すれ違うやり取りに思わず苦笑する。けれど太貴の不思議な言動を、単なる幼さと断じきれない自分がいた。

季子と友里江をつないだケサランパサラン。
その想いを、百絵と賀見社は確かに引き継いだのだろう――木箱という伝説の“標本”と共に。
読み終えたあともしばらく、その余韻に浸っていた。



『水を染める色は』

太貴の〝神隠し〟を知り、彼とケサランパサランとの親和性に納得する。そして、母としての百絵の心配や、秘密にしたがる気持ちにも自然と頷けた。

百絵にとっての自分だけの初仕事は、井戸の主に関する聞き取り。
井戸が神聖視される由来に、よんでいてなるほどと納得する。その一方で、百絵の“見えないもの”を信じないスタンスに歯痒さを感じる。

長く人に慕われてきた井戸と、その周りに咲く赤いバラが織りなす物語に心が揺れる。そして、水に映し出されたその色に、確かに自分も納得していた。

「主になる資格は、信じる人と、その人によって生み出された物語にある」――賀見社の言葉が胸に残っていた。



『木々の声音』

タイトルを見た瞬間に、「これは標本にはできない」と思った。自然が奏でる音は、人の手に収まるものではないから。

家を隠すように並び立つ2本のけやき。
幸福を呼ぶ箸立伝説と死を招く呪いの伝説。世代を隔てた正反対の言い伝えに首を傾げてしまう。

やがて、ふたつの伝説を繋ぐ“真実”が明らかになったとき、「伝説は生きている」と心から実感した。

太貴の話す“不思議”を世界の一面として受け入れる賀見社と、眉をひそめる百絵。彼女にとってそれは、夫の死と、我が子が神隠しにあっているという喪失の恐怖を呼び覚ますもの。だからこそ、賀見社に対して真実を隠し通そうとする彼女の決意が、痛いほど伝わってきた。



『柳の下』

「喫茶こだま」とその予約席も、黒木ごと賀見社の伝説の“標本”となっていたとは。

柳の大樹がある踏切に現れる、幽霊をずっと待つ百絵。その間に浮かぶのは、太貴のこと。

幽霊とされたふたりの高校生のやり取りから、「幽霊同士は、互いに見えるのか?」という問いかけに至る。その流れに、静かに揺さぶられ
それはきっと、賀見社が“生きている者”へ差し伸べた、ささやかな救いだったのだ。

太貴が賀見社と関わることを百絵が恐れるのは、その先に“向こう側”があると感じているからだろうか。
けれど今、太貴と賀見社、更に誠太の思い出を通して、百絵は確かに変わり始めている。



『神隠しの山』

尾崎が持ち込んだのは、かつて誘拐事件に絡んだ“神隠し”の伝説。

賀見社がなぜ神隠しにこだわるのか――
その過去が語られたとき、思わず息を呑んだ。子供の頃に神隠しで弟を失っていた賀見社。神隠しは、彼にとって「守るべき伝説」であり、「辿り着くべき伝説」だったのか。

だからこそ、百絵と太貴に近づいたのか。知りたくて、苦しくて。

山地の石段に置かれた子供の靴。それに込められた神隠しに向けた願いを語る老人。

信じる者と信じない者の間に生まれる“標本”という存在。今、太貴はその境界の半ば向こう側に、百絵と賀見社はこちら側にいる。

それでも――
青い羽根とヨーヨーというふたりが得た伝説の“標本”は、今ここにある。

物語の冒頭を読み返し、手を離したのが誰だったかを知った今。百絵と賀見社が、その標本を手に、どんな一歩を踏み出すのか――
しばらく、もの想いにふけっていた。

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ケサランパサラン、曰く付きの井戸や木など、古くからの言い伝えを調べる「伝説収集家」がオーナーを務める「喫茶こだま」で働き始めたシングルマザー百絵。彼がなぜ伝説を集めるのか、収集を手伝いながらその心に触れていく。夢を見ること、何かを信じること、その想いが導く奇跡と希望の物語。

信じるも、信じないも、どちらもその言葉通りとは限らない。そう思う事で、自分や大切な何かを守っている。そんな繊細な心の葛藤と、そんなもの一瞬で吹き飛ばしてしまう熱情と、緩急自在の展開に魅了された。

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谷瑞恵さんの新作、舞台は標本箱だらけの「喫茶こだま」。
ファンタジー、ややホラーな部分も感じられる舞台設定、いままでの谷さんの作品の印象とはやや違うように感じる序盤。
登場人物は夫を亡くし、息子と今までとの縁を切るかのように引っ越してきた百絵。
ひょんなことから、働き始めた喫茶店だが、オーナーの賀見社から伝説収集の仕事の手伝いをさせられることになる。
神隠しにあって戻ってきた息子を持つ母としては、避けたい不可思議な世界との関わりだが、母子が生きるためには、働きやすい職場を失うわけにもいかず、引き受ける。
不可思議なエピソード、これが正解です、本当はこうでした、と断定することなく、ミステリアスな部分を残して着地させているのも良かったです。
不可思議な雰囲気が素敵だったので続編も期待したいです。

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科学的には証明できない、でも、簡単に「ない」と否定することをためらってしまう。
そんな存在やできごとには、少し怖いと思いつつも心惹かれてしまいます。
「伝説」という言葉そのものが力を持っているような気がします。

この本の喫茶店のオーナーが集めているのは、今の世まで伝わってきた言い伝えや不思議な物。
そこにはひとびとの暮らしや誰かの思いなどがあり、怖さよりも温かさを感じます。
過去の経験から伝説に恐れを抱いている主人公が調査に携わってどういう結論に至るのか……。

読んでいる間ずっと「本当にあるの?」と考えていて、最後に納得できる結末でした。

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不思議で、ちょっと怖いのに、読み終わりには温かな気持ちになる連作短編だった。
不思議なことをそのまま受け止める賀見社に付き合ううちに、受け入れられなかった百絵の頑なだった心が、緊張が、緩んでほどけていくところに、こちらもほっとする。
不思議なことを素直に受け止められないと思っている人も、全てにおいてそういうわけではないということに気づかされる。ジンクスもお守りも、誰かに安心を与える、それでいいじゃないか。
私の中の、標本といえば“理科室の怖い感じのあれ”を、宝物のように思わせてくれたミステリでミステリーな尊い作品。

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「だから人は、死んでも消えない。幽霊も、この世の理の中にいる」

かつて幼い子が神隠しに遭い、逃げるように町を去った親子。
若くして夫を亡くしたシングルマザーの常葉は喫茶店で働くことに。
伝説収集家と所狭しと飾られた標本。

曖昧な場所で、長い時間をかけて心の中につむぐ場所。

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伝説や昔からの言い伝えは、信じ難いと思いつつも、何故か受け入れてしまう自分がいます。
神隠しにあったかもしれない息子を持つ母と、そのバイト先の店長・伝説収集家との出会い…なんとも不思議な体験をしつつ、どんどん伝説は本当にあるんだという気持ちになっていきます。
見えないけれど、どこかにある神の領域。
DNAに組み込まれているのかもしれません。
優しい文体で不思議な雰囲気の物語が心をほぐしてくれました!

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開発が進む街の中にひっそりと佇む喫茶店。
店内は年代を感じさせる家具で彩られた内装で、植物の標本が飾られている。
そんな不思議な喫茶店で働く百絵は一人の女性客を切っ掛けに、摩訶不思議な『伝説』に関わっていく。

何かと空想的存在を強く否定している百絵が、『伝説』に触れる度に少しずつ過去を思い返し、自分なりに噛み砕いて少しずつ受け入れ、『伝説』が集まるごとに『再生』していく。
百絵なりの方法で、周りに巻き込まれ振り回されながら一歩ずつ一歩ずつ前に進み新しい未来を作る、優しさと温かさに支えられ励まされている気持ちになる一冊。

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