リデルハウスの子どもたち
佐原ひかり
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刊行日 2025/11/20 | 掲載終了日 2025/11/20
ハッシュタグ:#リデルハウスの子どもたち #NetGalleyJP
内容紹介
金色にかがやく草原の果てに佇む、緑におおわれた白亜の校舎。全寮制の名門校リデルハウスには、奇妙な制度があった──。新鋭が紡ぐ、懐かしくも新しい少年少女たちの物語。
金色にかがやく草原の果てに佇む、緑におおわれた白亜の校舎。全寮制の名門校リデルハウスには、奇妙な制度があった──。新鋭が紡ぐ、懐かしくも新しい少年少女たちの物語。
出版社からの備考・コメント
・多くのレビューをお待ちしておりますが、物語の核心をつくような、所謂「ネタバレ」はお控えください。
・ネタバレ行為はネットギャリーのみならず、読書メーター、ブクログ、Twitter 等の多くの方が目にする場でも同様にお控えいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
・本作は校了前の大切なゲラデータを著訳者よりご提供いただいた上で公開をしています。本作の刊行を楽しみにお待ちいただいている、多くの読者のためにも、ご理解、ご協力のほど何卒よろしくお願い申し上げます。
・多くのリクエストをお待ちしておりますが、過去のフィードバック状況やレビュー内容からリクエストをお断りする場合がございます。予めご了承ください。
・いただいたコメントは帯やPOP、X等SNSでのご紹介など、弊社販促活動に使用する場合がございます。予めご了承ください。
出版情報
| 発行形態 | ソフトカバー |
| ISBN | 9784488029388 |
| 本体価格 | ¥1,700 (JPY) |
| ページ数 | 320 |
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教育関係者 645139
《才能と秘密を抱く子どもたちへ——リデルハウスに、永遠の祝福を》
リデルとは、『不思議の国のアリス』のモデルとなったアリス・プレザンス・リデルのことだろうか。
その名を冠した学校の物語に、いつしか引き込まれていった。
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『金曜日のゆううつ』
アモニカは、謎の篤志家フライデーに手紙を書いている。彼がなぜラヴについて知りたいのかは不明だが、楽天的なアモニカは気にしない。
でも、ラヴの一人・ギーディーとの出会いが、彼女の世界を変えていく。
ギフトやサンプルという謎が少しずつ浮かび上がり、フライデーへの手紙の調子も変わっていく。それは、無自覚な恋と、そこからくる言葉にできない憂鬱なねだろう。
でも、真相を知ると、驚きとともに温かさが残った。フライデーはすべてを知っていながら、アモニカをそのまま見守っていたのだ。
彼の優しさか、それとも目的のためか。いや、きっと違う。彼自身が気づいていないだけで。
アモニカは真実を知らぬまま、ギーディーと笑い合い、未来へ進んでいく。その姿が愛おしくてならない。
そして、彼女がこの物語のキーとなるとは、この時には予想だにしなかった。
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『水曜日の誘惑』
エレインは、誘拐したはずの少年タキに最初から主導権を奪われている。もともとは、教師とそれよりも才能ある教え子。反発しながらも惹かれ合う二人の関係には、劣等感と憧れが絡み合うのは当然のことなのか。
音楽を愛するエレインと、才能を持ちながら音楽を拒むタキ。矛盾する二人が傷を映し合う。
でも、我が身をかえりみずタキを救いに向かうエレインを
危機を乗り越えて真実を知ったとき、タキにはエレインが必要だったことに息をのんだ。屈折したタキらしい態度の影に隠されていた、音楽への愛と人への思いやり。
そして、2人の歌声が重なる場面の美しさに息をのむ。それは自由への願いであり、赦しの旋律。そして、未来への約束。
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『木曜日は真夜中に』
夏の寮に残ったリリは、真夜中の鐘の音に導かれてミーシクと出会う。異なる性格と背景を持つ二人は、双子のように言葉と髪を編み合い、次第に絆を深めていく。
だが、言葉のラヴであるミーシクが突然リリのヒウーフとしての訛りを否定し始めた時、物語は痛みを帯びていく。その様子に言葉もなかった。
それでもリリは恨まず、彼女を想い続ける。
やがて、歴史に残る悲劇を生き延びて大人になったリリが残すのは、滅ぼされる民族ヒウーフの血に残る「記憶の遺志」ではなく、「文字」としての記録。それはミーシクへの想い、感謝、そして押し殺してきた恨みさえも。
それは、例えミーシクしか読めない滅んだ文字であっても、歴史の証そのもの。
そして、時を結ぶための本。
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『月曜日のページ・ボーイ』
傲慢なマミアンに仕えるページ・ボーイ(雑用係)のペジー。誰もが呆れる二人だが、ラヴの仲間たちは、ペジーへの教育に協力を惜しまない。案外といい奴らなのだと見直してしまった。ただ、ミーシクの「訛りの矯正は金輪際したくない」という言葉に、胸が痛んだ。リリのことが忘れられないか。
マミアンとペジー。「飼い主と飼い犬」としか見えなかった二人の内面を知った時、自分が恥ずかしくなった。二人の本当の結びつきに気づけなかったから。
リデルハウスの生徒として再びマミアンの前に現れるペジー。拒絶するマミアン。でも、大丈夫。それは彼の本心ではないのだから。
この物語は、マミアンの「胸を張れ!」という言葉で終わる。その一言でペジーは報われた。そう思ったら、泣けてきた。
そしてこれは、ラヴたちが初めて力を合わせた、彼らの成長の物語でもあった。
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『日曜日の魔法使い』
温室で語られる、マミアンだけが見ていた現実のズレという不可解な現象。
そこで彼らは、ラヴの創設とリデルハウスの秘密を探り始める。
明らかになる創設時の“9人目のラヴ”と、滅びた民族ヒウーフの関係。リリから始まる時間が今、円環となる。
更にアモニカは、対立する仲間たちの心をひとつにし、第三の道を示す。ラヴ達との交流の中で、彼女はここまで成長していたのか。
9人目のラヴ、リデルハウスの廃止を望むセオと向かい合う彼ら。みんなリデルハウスの子どもたち。だからこそ、リデルハウスの未来を選び取る。
エンディングも、アモニカのフライデーへ宛てた手紙。それは、リデルハウスの子どもたちへの祝福であり、読者への祈りでもあった。
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リデルハウスの子どもたちに、永遠の祝福を。
書店関係者 907063
大切な宝箱の中を眺めているかのような、わくわくとキラキラ、愛しさ溢れる物語。
金の海に浮かぶ緑の王宮、リデルハウス。
親しみやすい一般生徒のアモニカ、特別な才能を持つ生徒「ラヴ」たちと、ただ素晴らしいだけではないリデルハウスの秘密に少しずつ迫っていくストーリーが、めちゃくちゃおもしろい!過去と現在を行き来して繋がっていく物語の虜になってしまいました。
登場人物もみんな個性豊かなキャラクターばかりで、とくに私はミーシクが大好きになっていました。なので木曜日は真夜中にも大好きです!不思議なストーリーとミーシクの優しさがたまりません。
もっと読みたい!と思ってしまう一冊。すっごく楽しかったです!
図書館関係者 841977
リデルハウスでの出来事、「ラヴ」の存在、特権の行使など、魅力的な設定がたくさんあって、その所々に大切なメッセージがさりげなくはさみ込まれていました。登場するキャラクターもそれぞれ魅力的で、ワクワクしました。「ラヴ」に隠された秘密は、ちょっとせつないけれど、それでもそこにもちゃんと愛があって良かったです。
『リデルハウスの子どもたち』(佐原ひかり著:東京創元社)
共感して頂けるかどうか、分からないけど、嘗て集英社で緻密な作品を描いていた『内田善美』さんを思い出した。
本作は全寮制の名門校『リデルハウス』で暮らす、少年少女達を描く連作短編集である。
各編に描かれる物語に共通するのは、古き良き時代の懐かしき良質で濃密な空気感であり、多感な少年少女たちの瑞々しくワクワクする日常である。
ギーディーの友人アモニカは特別クラス『ラヴ』を調べて、毎週金曜日にフライデーさんに手紙を書く。
タキは水曜日にエレインによって誘拐される。
木曜日の夜中、大時計の鐘が鳴り、ヒウーフのリリはミーシクと出会う。
月曜日にマミアンは、ペジーに礼儀作法と教養を躾ける。
日曜日に、シェニーとセオとランスは『おきまり』をする。
そしてマミアンたちはセオに会う。
最終章で全てのお話が収斂される様は圧巻。
ナルニア国やトムは真夜中の庭で
、が好きな方には堪らない素敵なファンタジー・ワールド。
秋の夜長に温かい紅茶を飲みながら、ゆっくりと読み進みたい極上良質なお話。
教育関係者 1049327
いつまでも、このお話の中にいたいと思わせてくれるものだった。
ふしぎな学園には懐かしさが満ちていながらも、
きらきらした新しい風が吹いているようだった。
個性的な生徒たちはそれぞれが魅力的だ。
10代特有の傷つきやすさと鋭い感性と純粋さが、
尖って光っている。
個人の才能だったはずが国にまで広がり、謎解きにもはらはらした。
時間を忘れて読んだ一冊だった。
書店関係者 993596
実はファンタジーに苦手意識があるので読むまで不安でしたが、話がどう発展するかワクワクする気持ちがすぐに上回りました。スピンの連載が終わり、ショックを受けていたので書籍化されて嬉しいです!
少しずつ登場人物たちが成長していく様子を保護者のような気持ちで見守りつつ、若干散りばめられるミステリ要素に先が気になりながら読みました。途中物語が終わるのが勿体なく感じて寝かし過ぎてしまいました。。。
個人的に私が大人になってしまったので、10代の読者がどう感じるのか純粋に知りたいと思う作品でした。
書店関係者 575593
私もみんなと同じようにリデルハウスの一員になったような気分で読みました。
こういう学校で青春を送ってみたかった!
読み終わった今、その願いが叶ったような気持ちで嬉しい。
時系列はちょっと複雑なところがあるけど、薄々もしかして…と予想はしていたのでつまづくこともなくスラスラ読めました。
佐原さんの作品を読むのはスターゲイザーに続いてまだ2作目なのですが、他の本も読んでみようと思います。
図書館関係者 1171113
冒頭の手紙で、ああ、あれね、と思った。子どもの頃読んだあの話だ。身寄りをなくした子どもが、裕福な人物の援助で立派な学校に入る。ただひとつの条件があって、その支援者に毎週手紙を書くこと。あの話をベースにどう展開するのだろうと思ったら、どうも様子がおかしい。手紙を書いている主人公が適当すぎる。そして、手紙を書かせたのが、え、あの人?となったあたりで、ページをめくる手が止まらなくなった。
短編が五つ、どれも異なる雰囲気で始まるけれど、てんでに広がった話は、最後の1話に集約されていく。子どもの頃に海外文学によく馴染んだ人なら、途中で何度か、あの話かも……と感じるだろう。そこからなんとなくイメージしていた展開を裏切られ続け、見当もつかないまま、最後まで気持ちよく連れて行かれた。
読み終わって、もうリデルハウスが懐かしくなっている。想像の向こうで、美しい草原の果てに佇む、白亜の校舎。寮で暮らす癖のある仲間たち。子どもの頃に夢中になった物語のその先に、この学舎はある。
書店関係者 836390
特別っていう言葉が孤独に響いて、いつの間にかこの子たちから目が離せなくなっていました。不器用で不格好だけど、未来を投げてしまいそうだったけど、きっとみんな大丈夫。時空を超えた想いが届いてよかった。
不思議な物語なのに自然と受け入れて、ぐんぐん読みました。少しずつほぐれていく関係に引き込まれました。
書店関係者 1034604
子供の時にファンタジー作品に胸を躍らせた感覚を思い出させてくれる世界観。そこに佐原さんの生み出すキャラクターや台詞回しによって、大人っぽいエッセンスが加わっている。中でも最年長の生徒・タキがいい。モラトリアムの魅力を存分に感じられる読書体験だった。
書店関係者 940038
一枚の絵画から物語が立ち上がったような、穏やかで美しい情景描写が印象的です。
読み進めるほどに登場人物の心の扉が少しずつ開き、いつしかその感情が読み手の心と響き合っていく。閉ざされた空間で育まれる友情や対立、秘めた思いがリアルな温度で伝わってきます。
ノスタルジックでありながら新鮮さも失わず、青春小説ならではの透明感が染み渡ります。
読書好きの心に、きっと長く寄り添ってくれる一冊です。
書店関係者 571250
リデルハウスの中で、憧れと秘密と特別を抱えこんでいるような一握りの存在“ラヴ”。校舎も違い接触も推奨されていない。そんなラブについての手紙を書くのと引き換えにリデルハウスへ編入したアモニカ。たまたま出会ったギーディーを足掛かりにラヴである人々に接触するアモニカの心には割り切れない気持ちも生まれてきて…。
それぞれの章で、別の人物たちが各々の物語を繰り広げるけど、それは緩やかに横で繋がっていて、リデルハウスのラヴというシステムの秘密を明らかにするラストへ向かう展開に夢中になりました。
中でも、個人的には3章の『木曜日は真夜中に』がめちゃくちゃ刺さりました!ファンタジーの要素が強めの入口から突然の現実を突きつけられる感じが良かったです。
少しずつ様々な人たちにスポットが当たるけど、最終的に考えるとやっぱりアモニカが軸になっていて全体のペースメーカーみたいな役割を果たしていたのかな、と。
経緯はそれぞれだけど、みんながギフトを他者のために使っている点も好きです。