砂上の王国
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刊行日 2025/10/14 | 掲載終了日 2025/10/15
ハッシュタグ:#砂上の王国 #NetGalleyJP
内容紹介
第17回角川春樹小説賞受賞作
沙漠の風が吹く、オリエント歴史小説の新星。
「大陸的な人物が上手く描けている」北方謙三
「力作。古代中国に関する豊富で確固とした知識に裏付けられている」今野敏
「リーダビリティが高い」今村翔吾
「可能性、伸びしろという点で一番」角川春樹
誇り高き小国の皇子とその兄弟の物語。
七世紀、小国でありながらシルクロード交易の要衝である高昌国は揺れていた。大国ながら新興国である唐につくか、強大だが荒々しい西突厥と手を組み、この地で独立を貫くか――。第一皇子である麴(きく)智盛は、そのどちらでもなく、西域の国々で手を取り、助け合って生き抜くべきだ、と考えていた。だが父王の考えは違い、中華文化をこの干からびた土地へ持ち込んだという矜持から、高昌国こそが盟主として立つべきだ、と西突厥と組むことを選ぶ。この砂の海に浮かぶ小さな舟のような国は、時代の荒波をどう渡っていくのか。
オリエントの風を感じる歴史浪漫、開幕!
【坂井のどか】
宇都宮在住。大学では中国文学を専攻。西域をふくむ中国全土を数ヶ月間放浪し、10キロほど痩せて帰国。2023年、居合にうちこむ高校生を描いた青春小説『もののふうさぎ!』で第6回文芸社文庫NEO小説大賞優秀賞を受賞、2024年1月に刊行された。本年3月、『上田娘は動画で生きる』を上梓。
出版情報
| 発行形態 | ハードカバー |
| ISBN | 9784758414951 |
| 本体価格 | ¥0 (JPY) |
| ページ数 | 344 |
閲覧オプション
NetGalley会員レビュー
書店関係者 1068733
新興国の唐につくか、強い者がのし上がる西突厥につくか、高昌国は揺れていました。
漢人ファーストの父王文泰の治世に危機感を抱く三兄弟。
国とは民とは⋯⋯、と考えさせられます。
どんな状況でも民の幸せを一番に考えられる大兄智盛。その曇ない慧眼は賢王の兆しをみせます。
部下に慕われる武人の史含。他の兄弟と母が違うところで苦労したことも多いと思いますが、人情味の厚い優しい人でした。
末っ子の智湛は聡明な策士ですね。何を企んでるのか楽しみでした。
息を詰めて見守る剣戟シーンがいくつかあってハラハラと手に汗握りました。智盛が、私の剣は残忍だ、というのですが、そう評価できることが優しい性格ゆえだな、と思いました。
胡散臭いアシナ・ボグド。可汗でもある彼がどんな動きをするのか要注意で読み進めてました。
市井の人びとが強か。こういう民が笑って暮らしていることが豊かな国なので、高昌人だから、とか人種で侮蔑されない時代への足がかりを作ろうとした兄弟たちは偉大です。
レビュアー 513020
中華・唐の時代。周辺小国の皇子・麴智盛は高邁な理想を追い求めていた。しかし周囲の不穏な状況は、麴智盛に数奇な運命を辿らせらせていく・・・。
民族の垣根を越えての融和という理想論は、高尚で素晴らしいものだが、周囲の自然環境と相まって言葉通り「砂上の楼閣」如く頼りなく思えてしまうのは、麴智盛の若さなのだろうか。しかしながら、民への優しい視線と父、異母弟との確執に揺れ動きながらも少しずつも逞しく成長していく姿に安堵する。また亡国を経て臣下となりつつも揺れ動かない理想への希求は、今の為政者にも見せつけたい思いだ。
さらには、逞しく生き抜く民の生活の鮮やかさ、宿敵との邂逅、決着、迫力の戦闘シーンと様々に体感できる中華歴史エンタメ作品。
レビュアー 781279
七世紀に小国の高昌国が、二つの国のどちらかにつくのかという局面に立たされ、その決断が大きく国の運命を変えていく。
西域、沙漠、天山山脈、シルクロード
こんな言葉だけでも胸がときめいてしまいます。
国か、民を選ぶのか。
血とはなにか、親とは、兄弟とはいったい何なのか。
争い、憎悪や、苦悩をどう向き合っていけばいいのか、真の敵とはいったい誰なのか。
物語が進むにつれて、どんどん惹きつけられました。
高昌国の三兄弟がとても魅力的で、それぞれの決断が胸を打ちました。
小国であるがゆえに、砂上の王国のように脆さがありながらも、高昌国の民たちは運命に翻弄されながらも地にしっかり足を踏ん張り生きていこうとする姿もあり、とても素敵な物語でした。
レビュアー 1542197
7世紀の中央アジア、シルクロードの交易都市として栄える小国・高昌国を舞台に、誇り高き皇子三兄弟の運命が描かれます。冷静沈着で心に熱い志を抱く長兄智盛、一本気で情に厚い次兄史含、あどけない笑顔の裏に知略を秘めた末弟智湛――そんな個性豊かな兄弟の絆が、心を強く掴みます。大国唐や西突厥との政治駆け引きでは、炎天にかげろえる火焔山を背景にした激突や、鉄壁の要塞・交河城での攻防戦がド派手に繰り広げられ、思わず息を詰めてページをめくってしまいました。巨大メトロポリス長安の国際都市っぷりも異国情緒たっぷりで、まるで自分がシルクロードを旅しているような没入感! 特に、饅頭や羊肉の串焼きなど、美味しい食事描写がてんこもりで、読んでいて本当にお腹が空いてしまうほど魅力的です。そんな彼らの選択を通じて、国や民の尊厳、そして人間の熱い意志について深く考えさせられる、熱血歴史ロマンです。
図書館関係者 601014
中国×歴史物ではあるけれど、その素養がなくても、
国を治めるとは、家族とは、異なる人とともに暮らすとは、
…などいろいろな視点からたのしめるお話。
砂上の楼閣なんて言葉を吹き飛ばす砂上の王国は、
砂漠好きにはロマンを感じられる世界。
百聞は一見に如かず、という言葉があるけれど、
一見は実は一見でしかないことにトップが気付かないと、
待っているのは悲劇であることを父王が示し、
傾いていく国にそれぞれをそれぞれに食い止めようとする三兄弟。
見ることも聞くことも大事にする主人公である長男が、
今後どのように国を動かしていくことになるのか続編に期待。
レビュアー 1015203
第17回角川春樹小説賞受賞作。
7世紀のシルクロード交易都市・高昌国を舞台にした歴史小説。
あまり読んだことがない時代なので、大国・唐や西側諸国の関係性も興味深い。
3兄弟の皇子それぞれのキャラが立っていて読みやすかった。
書店関係者 1052272
砂上の王国/坂井のどか 角川春樹事務所
【要約】
シルクロードの熱気、兄弟の絆に痺れる、熱い歴史浪漫!
中国の唐の時代、唐と遊牧民突厥に挟まれた高昌国。
その高昌王の3人の息子を中心に描かれる戦記。
高潔な敵将、一癖ある蛮族、そして個性派揃いの兄弟、
燃える!萌える!キャラ最高♪
#読了
【感想】
兄弟の絆、シルクロードへの情感が熱い物語
中国の唐の時代、その西に高昌国はあった。
唐と、遊牧民族突厥の強者に挟まれながらも
シルクロードの要所として栄えていた。
唐の侵攻という最大の危機に、
高昌国の王子である3兄弟が挑んでいく…
高潔な唐の将軍、いかにも悪だが一癖二癖ある突厥の王
そして個性的でそれぞれに得意分野を持つ三兄弟
史実をベースに、歴史上の人物に魂が入って描かれた物語
当時の街の景観や住民たちの熱気が伝わってきて
また波乱万丈で無常な展開をも覆す兄弟の絆
読んでいて胸が熱くなりました。
読みやすく、新しい歴史に触れられるナイスチョイス
戦記モノとしても、兄弟の絆を描いた青春モノとしても良い
素敵な物語をありがとうございます。
書店関係者 673506
新興国の大国・唐と国境を接する中、強大だが荒々しい西突厥と手を組み西域の盟主として独立を貫こうとする父王が、10年前の見聞から唐を侮り、その領土に手を出したことで侵攻を受けてしまう高昌国。現実を見ない父王の存在もあって後手に回る中、冷静で理想を掲げる智盛、情に厚く真っ直ぐな史含、知略に富む智湛といった三兄弟や、唐の将軍や西突厥の可汗ボグドといった登場人物たちや、その生き様には存在感があって、長安に舞台を移した後半の陰謀に巻き込まれていく緊迫感のある展開や、兄弟たちそれぞれの選択もなかなか印象的でした。
書店関係者 1816442
7世紀のシルクロードを舞台に、小国・高昌国の運命と、そこに生きる三兄弟を描いた歴史小説。
西域、沙漠、天山山脈、シルクロード……。
もう、この言葉が並んでいるだけでめちゃくちゃワクワクしました!
広い沙漠に隊商が行き交う景色まで頭の中に浮かんでくるようで、普段あまり馴染みのない時代や土地のお話なのに、読み始めるとどんどんその世界に引き込まれていきました。
物語の中心となる高昌国は、シルクロード交易の重要な場所にあるものの、国そのものは決して大きくありません。
そんな小国が、新しく勢力を伸ばしている大国・唐につくのか、それとも強大な西突厥と手を組んで独立を守るのかという、とんでもなく難しい選択を迫られます。
どちらを選んでも安心とは言えないし、一歩間違えれば国そのものがなくなってしまうかもしれない。
まさに広い砂の海に浮かぶ小さな舟のような高昌国が、大国同士の思惑に翻弄されていく様子にはずっとハラハラさせられました。
そんな中で第一皇子・麴智盛が考えていたのは、「強い国について生き残ればいい」ということではありませんでした。
西域にある国々が民族などの違いを越えて手を取り合い、助け合いながら生きていけばいい。
言葉にすると、とても綺麗な理想です。
でも、それぞれの国に思惑があり、力のある者が弱い者を飲み込んでいくような時代に、それを実現するのはものすごく難しい。
読んでいる私も「智盛の考えは素敵だけど、本当にそんなことできるのかな……」と思ってしまいました。
それでも智盛が好きなのは、彼が自分の地位や国の名誉だけではなく、そこで暮らしている「民」をちゃんと見ているところです。
国を守るとは何なのか。
王や皇子の誇りを守ることなのか、それとも民が安心して笑って暮らせる場所を守ることなのか。
読み進めるほど、「国って誰のためにあるんだろう?」と考えさせられました。
どんな状況でも民の幸せを第一に考えようとする智盛は、まだ若くて危ういところもあるけれど、すでに賢い王になる片鱗が見えているようで、とても魅力的でした。
そして智盛だけではなく、三兄弟がそれぞれ全然違う魅力を持っているところも好き!
武人である史含は、人情味があって部下からも慕われている、とても優しい人。
他の兄弟とは母親が違うことで、これまでいろいろ複雑な思いもしてきたんだろうな……と思うと、その優しさがさらに胸に刺さりました。
一方、末っ子の智湛は頭の回転が速い策士タイプ。
「この人、今何考えてるの……?」と気になってしまう人物で、次は何を企んでいるんだろうと楽しみながら読んでいました。
同じ兄弟なのに性格も考え方も違う。
それぞれが「国」「民」「家族」と向き合い、自分なりの答えを出していくところがすごく良かったです。
だからこそ、血が繋がっていれば家族なのか。
親とは何なのか、兄弟とは何なのか。
そして、自分が守りたいもののためならどこまで戦えるのか。
歴史上の国同士の争いだけではなく、家族のお話としても楽しめました。
そして戦闘シーンがめちゃくちゃ迫力ある!
剣戟の場面では、本当に息を止めるような気持ちで読んでしまいました。
誰かやられないよね!?大丈夫だよね!?と、ページをめくる手にも力が入ります。
特に智盛が自分の剣を「残忍」だと考えているところが印象的でした。
人を斬ることに慣れて、それを何とも思わなくなるのではなく、自分がしていることの残酷さをちゃんと理解している。
自分の剣をそう評価できること自体が、むしろ智盛の優しさを表しているように感じました。
そして、個人的にずーっと警戒していたのがアシナ・ボグド。
胡散臭い……!
出てくるたびに「この人、絶対何かあるでしょ」と疑いながら読んでいました。笑
可汗でもある彼が次にどんな動きをするのか分からなくて、その存在が物語の緊張感をさらに高めていたと思います。
一方で、王族や戦いだけではなく、普通に暮らしている人たちの姿がしっかり描かれていたのも好きでした。
どんな時代でも、市井の人たちは本当に強い。
国同士が争って、偉い人たちが政治をしている間にも、ごはんを食べて、商売をして、家族と暮らして、今日を生きている人がいる。
結局、そういう人たちが笑って暮らせることこそが「豊かな国」なんじゃないかなと思いました。
高昌人だから、漢人だから、と民族によって人を分けたり侮ったりするのではなく、同じ場所で生きる人間として手を取り合える世界を作ろうとした三兄弟の考えは、今読んでもすごく大切なことだと思います。
もちろん、そんな理想だけで世の中が動くほど簡単ではありません。
智盛が目指すものは、厳しい現実の前では、まさに「砂上の楼閣」のように危うく見える瞬間もありました。
でも、それでも理想を捨てないところが良かった。
国が揺らぎ、自分自身の立場や運命まで大きく変わっていく中で、悩んで、傷ついて、それでも少しずつ逞しくなっていく智盛。
最初は若さゆえの理想論にも思えた考えが、いろいろな経験をしたあとも消えずに残っていることで、「これはただの綺麗事じゃなくて、この人が本当に目指したい世界なんだ」と感じられました。
「国を守る」という大きなテーマの物語だけど、その中心にあるのは、結局そこに暮らしている一人ひとりの人生なんですよね。
国を選ぶのか、民を選ぶのか。
血とは何なのか。
家族とは何なのか。
憎しみや争いにどう向き合うのか。
そして、本当の敵とは誰なのか。
読み進めるほどいろいろなことを考えさせられました。
大国に挟まれた小さな国は、砂の上に建つ王国のように脆い。
それでも高昌国の人々は、運命に翻弄されながらも地面にしっかり足をつけて、生き抜こうとする。
その姿がとても力強くて素敵でした。
壮大な歴史と政治、家族の葛藤、民族を越えた理想、迫力満点の戦闘、そしてそこで逞しく暮らす人々。
いろいろな魅力がぎゅっと詰まっていて、読み始めたときよりも、読み終わったときのほうがずっと三兄弟のことを好きになっていました。
沙漠を吹き抜ける風まで感じられるような、とても壮大で熱い物語でした!
この先、三兄弟がそれぞれどんな道を歩いていくのか、もっともっと見ていたくなります。