イオラと地上に散らばる光
安壇美緒
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刊行日 2025/11/18 | 掲載終了日 2025/11/18
ハッシュタグ:#イオラ #NetGalleyJP
内容紹介
【2023年本屋大賞第2位『ラブカは静かに弓を持つ』著者の最新作】
ワンオペ育児で追い詰められた母親による刺傷事件が発生した。
犯人の名前はイオラ。
赤ちゃんを抱っこ紐で帯同したまま夫の上司を刺したらしい。
なぜ我が子を抱いたまま? なぜ夫ではなくその上司を?
事件のWEB記事をきっかけにSNS上ではイオラ擁護派と否定派の論争が勃発。
記事の担当者であるWEBメディア「リスキー編集部」の岩永は予想を超える反響に満足し、さらなる盛り上がりを求めてネタ探しに奔走する。
岩永に使われる「張り込み界隈」出身の青年・デニーズ。
岩永の敏腕さに憧れる編集部の新人・小菅。
イオラの中学時代の同級生・伊沢。
そしてまたひとりワンオペ育児に疲弊する母親が......。
読んでしまったらもう傍観者ではいられない、衝撃と共感の事件小説。
おすすめコメント
【担当編集者より】
『ラブカは静かに弓を持つ』で話題を呼んだ安壇美緒さん、三年半ぶりの長編小説です。
限界状況の母親が起こした衝撃的な事件。彼女はなぜ赤ちゃんを抱っこしたまま犯行に及んだのか。なぜ夫ではなくその上司を刺したのか。
犯人のイオラはひとことも語りませんが、事件を取り巻く人々の物語を読み進めれば、その原因が十分に理解できるはず。
事件を利用するメディアと、エンタメとして事件を消費する人たちの構図を突きつけられたとき、あなたは関与していないと言えるでしょうか。
読んでしまったらもう傍観者ではいられない、現代に生きる我々のための事件小説です。
出版情報
| 発行形態 | ソフトカバー |
| ISBN | 9784041162422 |
| 本体価格 | ¥1,700 (JPY) |
| ページ数 | 224 |
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NetGalley会員レビュー
母です。生まれて7年、8年しか経っていない我が子ですが、そりゃ〜もう毎日ちゃんと生きてます。勉強したり、運動したり、遊んだり。友達には忖度なく、顔色を伺うこともなく、悪いことは悪い。と言える低学年。成長と共に人間はいつからこんなにクソになってしまうのか。相手を敬うことを忘れ、優越をつけたり、見え方を気にしたり。束縛してコントロールしたり。そういう負からいかに自分を遠ざけられるか、人生の舵取りは自分にしかできない。私は自分が居心地よく過ごせる家族、友人、同僚、上司がいてくれて幸せだ!
教育関係者 897563
同じ作者の『ラブカは静かに弓を持つ』がとても良かったので、読んでみようと思いましたが、全く雰囲気の違う作品でした。
カバーの帯に
「最も軽蔑されるだろうキャラクターを主軸に…」とあるように、主人公に共感できる部分はなく、
嫌気がさします。(それが狙いかとも思いますが)
ネットニュースでいち早く話題を提供して、読者の関心をひきつけることに価値観を見出している岩永。彼に雇われるアルバイトや同じ職場で働く上司にも部下にも感情移入できません。
そう言いながらも、人間の醜い好奇心とか「人の不幸は蜜の味」的な嫌な部分は誰でも持っていると思うし、やはり自分にもあるんでしょうね。
ついつい不幸なニュースを見て、
「自分でなくて良かった」なんて思う自分もありますから。
刺激的なタイトルを見て、気になって開いてしまうネットニュース、作っている人はこんな感じなのかな、と思いながら読みました。
図書館関係者 1038994
実際にありそうな話で他人事では無い感じで背筋が凍る。
マスコミもネット民も好き勝手書いて煽っている。現代社会の縮図がここにある。
ワンオペ育児のママたちがイオラを神聖化してしまう気持ちも少し理解できる。でも少しでも理解できてしまう自分が怖い。
図書館関係者 841977
岩永は、なにも特別な感じじゃない。どちらかと言えばこんな人はその辺に普通に居るんじゃないかと思う。だからこそ気持ちが悪いし、腹が立つ。残念なことに自覚もないし、自分を正当化して、なんなら自分は上手くやれてると思ってる。小菅は予備軍ってところでしょうか。奈瑞菜は人を見る目があってよかった。人を人とも思わず、都合よく使ったり、自分の付属品のような扱いをしていたら、やっぱり相手の気持ちは離れてしまう。心無い人の側にはいたくない。確かに、岩永は左遷され、小菅は自分の存在価値に疑問を抱えて余裕がなくなっている感じもありましたが、大切なことを見失ってはいけないのだろうと思います。そんなことを言う自分も、身近な人に当たり前のように甘えていることや、傷つけていることがあるかもしれない。だから、我が身を省みる意味でも、多くの人が読むといいと思います。それと、気がつかないうちに都合よく使われているかも、ということに気付ける人もいるかもしれない。デニ君や涼子みたいに。
書店関係者 1869099
ワンオペ育児に疲れた母親が抱っこひもで子供を抱えたまま夫の上司を刺した。
その事件を報道したwebメディア「リスキー」で働く人々と、その周りの人々を描いた物語。
中毒性が高く、どんどん夢中になって読み進んでしまい、で?で?で?どうなるの????となった瞬間まさかまさか終わってしまいました。
私自身はあまりwebの報道やソーシャルメディアに熱心ではないのですが、ここに描かれた嫌ーな気持ち悪い感じは、確かにすぐそこにあるものだと感じました。
物語の主軸である岩永を、嫌だな、気持ち悪いな、悪意しかないじゃないかこいつは・・・と他人事のように読みましたが、私にだって岩永のようなところがないとは言い切れなかったりするのです。
誰だって聖人ではないから、岩永やこの物語に出てくる人々の嫌な部分に、嫌だと思いながらも、ちょっとわかるなと思わされたり、共感させられてしまう。
じゃあ、その嫌な共感を浄化するようなラストが待っているのかな、と思っていたら、そうではない。
実にすっきりしない。嫌な気持ちを抱えさせられたまま終わってしまう。
でも、そこがこの物語のいい部分なのかもしれないと思ったりもします。
読後、酷くもやもやさせられた結果、今、私たちが生きている世の中の嫌なところを考えさせられてしまっているので、傑作と言える作品なのかもしれません。
図書館関係者 603863
ラブカを気にしつつ未読なので、初読み。
とても巧みな書き手だと感嘆しました!
テーマが現代社会の闇という感じで、視点が変わりつつ話が進むのですが、ストーリーがどうというよりも描写の凄みに圧倒されました。
中心人物の嫌らしい部分がこの上なくリアルに浮き彫りになっていく様にゾッとしながら、もしかしたら自分もそうなのではないかと思うと更に背筋が寒くなりました。
楽しい部分がほぼ無いので「おすすめ度」が5でも人に薦めにくい作品ですが、いろいろなものを読んでいる人には刺さるのではないかと思います。
今後、さらに注目していきたい作家さんの一人です。
書店関係者 545342
読んでいてものすごく辛かった。イオラがかわいそうとか、イオラのお子さんどうなるんだろうとか、そういうのもあるけど、……岩永の気持ちもわかってしまうところが、最も辛かった。
安壇さんが「最も軽蔑されるだろうキャラクター」と言っている岩永なのに!本当なら全力で軽蔑したいのに!!
暴力は上から下へ流れてくるもので、止められない。
その憂さ晴らしをSNSに求めていたら、相手も、自分だって、どん詰まりになるだけなのに。
SNSをやっている人、一人でも多くの人に読んでもらいたいと思った。
書店関係者 1821104
面白かったです!ドキドキハラハラ楽しませていただきました。
岩永にとって、イオラも涼子もデニーズも、彼の人生を思い通りに動かすための一部と捉えられていました。あくまで自分が正しく、彼の道を邪魔をしてくるものはまるでないものとして扱われます。
岩永のような人たちの目を輝かせるのは認知の歪み。彼らは悪意を悪意とも思わず正当化しています。
手の中で光る小さな板を世界のすべてだと錯覚してしまう気持ちはわかります。その中で見た意見がものすごく大きな声に聞こえることがあることにも共感できます。視線を少し上げれば、目の前には現実が広がっているにもかかわらず。自分はそうはならない!!と思っていても、実際のところは不安です。
涼子の視点の章で、事実より感情を述べ続けていたのが印象的でした。私たちの最も近くに、手の中にある大事なものは、誰が誰にこうしたとかよりも、何を感じているかという気持ちなのだと思いました。
書店関係者 412917
すごい小説を読んでしまった……!
タイトルなのにイオラ出てこない(笑)
でもその存在感はスゴい。
SNSの投稿だけで、勝手に「イオラ」のひととなりを創り上げてしまっている。
現実にもリンクしたこの小説を素直に怖いと思った。
書店関係者 1737364
『ラブカ』が大好きで読ませていただきました。
冒頭の文章がなんだか違和感だらけで、読み進める気分にならなかったのですがなんとか。
元々WEB記事に関しては信用度はかなり低く、数を稼がせたくないのでなるべく開かないようにしている私。これを読んでますます・・・・。
事件現場の撮影係(使い捨てバイト)とか、リアルですねぇ、本当に各地にいるのでしょうね。
AI使ってそれらしい記事文章を書くとか、なるほど~と思ってしまいました。
私はイオラの方が気になってしまい、彼女にインタビューして欲しかったです。
教育関係者 468529
どこに自分の感情の軸を持っていったらよいのか。
自分の中の天使と悪魔が戦い続ける。
読みながらそんな感情に襲われてしまう。
PV至上主義になっている昨今のSNS。
岩永という人物は、唾棄すべき行動をとり・・・
この人物に対して抱く気持ち悪さは、本の中に入っていき
殴り倒したい気持ちにさえなる。
しかしながら、現実の自分はSNSでPVの多い投稿をつい見て
しまっているではないか。
だからこの物語のラストは、自分の中で消化する。
おそらく、こうなったはずだ、という物語だ。
この物語世界の中に自分もどこかで生きているから。
書店関係者 993596
岩永の仮面というか本性がだんだん分かってきて怖くなった…!てっきりイオラを中心に物語が進んでいくかと思いきや、そっちだったかという驚きもありました。
誰も信用できなくてとにかく恐怖を感じるけれど、先が気になって仕方がない作品でした。
教育関係者 528943
「ラブカ」からの「イオラ」。知っていそうで知らないこの三文字が妙に心を惹き付ける。
前作とはかなり毛色が違うが、現代社会の問題にスポットを当てている部分は同じ。今作の方が更に根深い所まで掘り起こしている印象を受けた。さらっと表面だけをなぞって知った気になっているSNSへの警鐘でもあり、その反面、SNSが拠り所になっている事で防げている何かがあるという事実。確かな共感と、後ろ暗い肯定と―――表向きの自分と内側の自分とが、誰にともなく言い訳をするように葛藤させられた。
あらゆるものを使い捨てていく現代の恐ろしさが浮き彫りになったセンセーショナルな作品。
書店関係者 1084454
Agora というSNSに炎上させるような記事を投稿する岩永とその周囲の人の物語。自分がこの場を人を結末をコントロールしている、支配しているという万能感と承認欲求が根差した悪意は、同じようなSNSを中心に見られていて、それとどう戦うのか。その一つの答えを示してくれていたようにも思う。
書店関係者 575593
私がSNSに感じていた、言語化できない嫌な感じが全てこの本に詰まっていた。
私の代理かな?
ぜっんぜん共感できないし、なんなら嫌悪感すら感じる岩永が主人公ポジションなのが意外。でもこの本にはそれが不可欠だと思う。
図書館関係者 970815
読んでいて重苦しくなる作品。
登場人物の大半は日常に倦み、疲弊しきった人や
WEBの毒に飲み込まれて人としての真っ当なあり方を失った人など、ある意味今ある現実を否応なくなく見せつけてくる。
終わり方の唐突な感じも、それ故にリアルなのかもしれない。気の利いたオチはつかず、そのまま延々と続いていくのが実際の生活だものね。
にしても
WEB記者の岩永に何らかの鉄槌を下したい人は多いと思う。
書店関係者 718722
前作「ラブカは静かに弓を持つ」が本屋大賞2位そして新作、待ちに待ってました。今作は前作に比べてまったく違った趣きの作品だと思います。SNSを駆使した現代のミステリーと感じました。イオラが抱っこひも抱えたまま夫の上司を刺した。何ということであろうこれからの展開が気になってしょうがない、テーマが現代社会の暗闇という感じがします。
あなたも読んでこの異色作を何か感じで下さい。
教育関係者 645139
《SNSも、AIも、私たちの“本音”を映さない。
映し出されるのは、剝き出しの現代そのものだ。》
【第20回本屋大賞第2位】【第25回大藪春彦賞】『ラブカは静かに弓を持つ』の著者の新作。
前作の延長線上にあると思いながら読み始めたが、今回の物語はまったく別の方向へ舵を切り、現代という実相そのものを突きつけてくる。
その意外性に驚きつつ、気付けば逃げ場のない吸引力に飲み込まれていた。
私たちは、人としての「本音」と、他者と関わるための「社会性と距離感」との間で、かろうじて均衡を保ちながら生きている。
けれど、ネットが自我の一部にまで溶け込んだ今、そのバランスは簡単に崩れる。
本書は、まさにその暗い渦へと落ちていく人々の物語であり、同時に「時代」そのものの物語でもある。
弱小メディア〈リスキー〉の岩永が、ワンオペ育児の末に夫の上司を刺したイオラの事件をスクープし、桁違いのPVが叩き出される。
国内最大級SNS〈Agora〉では、怒涛の書き込みが渦巻き、やがて模倣犯まで現れ始める。
そこで露呈する様々な「本音」。存在しているのかさえ曖昧な他者へ向けられる悪意。
いつの間にか共有され、真実のように扱われていく思い込み。
その渦の中で、現実とAgoraの境界は曖昧となり、岩永をはじめ登場人物たちのバランスは壊れていく。
同時に読んでいる側も、社会を生きるために身につけてきた“皮”を容赦なく剥がされ、隠してきた本音をひとつずつピンセットで摘まみ出され、テーブルに並べられていくような感覚に襲われる。
作中に投げ込まれる言葉たちは、単なる台詞ではなく、現代の生の温度を帯びている。
嘲笑される側に立たされたら負け
情報は社会のエサ
ネットのおもちゃ
人々の悪意が私の心を落ち着かせる
自分の人生から逃げるには、他人の不幸が必要
しかし、物語はそこで終わらない。もうひとつの“現実”に踏み込んでいく。
岩永の妻・涼子が生成AIと対話を始める。
……いや、「対話」と言えるのだろうか。涼子の一言に対して、何十倍にも膨らませて返すAI。
代わりに考え、代わりに感じ、気付けば涼子の思考は押し流されていく。
臨界点を迎えた時、彼女は社会性を脱ぎ捨て、本音を堰を切ったように吐き出し始める。
そして岩永は、再びスクープをつかむ。閲覧数に血が踊るその姿には、もはやイオラの輪郭は薄い。
けれど、ひたすらランニングマシンを走り続けるように、彼は前には進んではいない。
その彼が、現代が限界を迎えた時、何が起きるのか――想像するだけで鳥肌が立った。
読了後、タイトルを読み返す。
冒頭で「美しい」と感じたその言葉は、いつの間にか思い込みと虚構で飾られた“虚なきらびやかさ”へと変質していた。