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言語化するための小説思考 表紙

言語化するための小説思考

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刊行日 2025/10/21 | 掲載終了日 2025/10/23


ハッシュタグ:#言語化するための小説思考 #NetGalleyJP


内容紹介

その文章、「自分のため」に書いていませんか?

「伝える」ではない、「伝わる」言葉を、文章を生み出すために、小説家はいつも何を考えているのか——?

『ゲームの王国』『地図と拳』『君のクイズ』
今、時代を席巻する直木賞作家・小川哲が、「執筆時の思考の過程(=企業秘密)」をおしみなく開陳!
どうやって自分の脳内にあるものを言語化するかを言語化した、目から鱗の思考術!

小説——それは、作者と読者のコミュニケーション。

誰が読むのかを理解すること。相手があなたのことを知らないという前提に立つこと。抽象化と個別化、情報の順番、「どこに連れていくか」を明らかにする……etc.

小説家が実践する、「技術」ではない、「考え方」の解体新書。

『やめてほしいんだよなあ。小説家にこんなの書かれたら評論家は全員廃業です。これから小説を読む人と書く人は全員この本を通らなければならない。「面白い小説とは何か?」そのすべてがここに書かれてありました。』——渡辺祐真(作家・書評家)

この本を読んだからといって、「小説の書き方」がわかるわけではない。小説家が小説について考えてきたことを人生にどう活かすか、あなた自身で見つけてくれれば言うことはない。——小川 哲

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著者/小川 哲(おがわ・さとし)
1986年千葉県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程退学。2015年に『ユートロニカのこちら側』で第3回ハヤカワSFコンテストの〈大賞〉を受賞しデビュー。2018年に『ゲームの王国』で第38回日本SF大賞と第31回山本周五郎賞を、2022年に『地図と拳』で第13回山田風太郎賞を、2023年に同作で第168回直木三十五賞を、『君のクイズ』で第76回日本推理作家協会賞〈長編および連作短編集部門〉を受賞。他の著作に『嘘と正典』『君が手にするはずだった黄金について』『スメラミシング』『火星の女王』などがある。

その文章、「自分のため」に書いていませんか?

「伝える」ではない、「伝わる」言葉を、文章を生み出すために、小説家はいつも何を考えているのか——?

『ゲームの王国』『地図と拳』『君のクイズ』
今、時代を席巻する直木賞作家・小川哲が、「執筆時の思考の過程(=企業秘密)」をおしみなく開陳!
どうやって自分の脳内にあるものを言語化するかを言語化した、目から鱗の思考術!

小説——それは、作者と読者のコミュニケーション...


出版社からの備考・コメント

★校了前の仮データを元に作成しています。刊行時には内容が若干異なる場合がありますがご了承ください。
 空白ページは削除して公開しております。

発売前の大切なゲラをご提供させていただいております。弊社では、下記のような方からのリクエストをお待ちしております。
○発売に向けて、一緒に作品と著者を応援していただける方
○NetGalleyへレビューを書いてくださる方
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読み終わりましたら是非NetGalleyへレビューをご投稿ください!著者・担当編集ともに楽しみにお待ちしております。

※発売前作品のため、ネタバレや、読書メーターやブクログなどNetGalley以外の外部書評サイトやSNS等で発売前にレビューを投稿することはお控えください。(SNSにてNetGalleyレビューページのリンクをご投稿いただくことは問題ございません。)

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出版情報

ISBN 9784065410431
本体価格 ¥1,100 (JPY)
ページ数 186

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小川哲さんの本には、次はどんな世界を見せてくれるのだろうとワクワクが詰まっている気がします。今回の新刊で、なぜこうもワクワクしてしまうのかの謎が少し解明された気がします。
職業小説家、なんと厳しく険しく、そして美しい道なんだろうと思いました。

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「ランナーは 100のうち99は どろまみれだものな」
敬愛する作品の一説である。
本書で作家のどろまみれを 知ってしまった。
どうしようもなさと向き合い
表現とは文体とは 考えた
読者をどこへ連れて行くのか
答えよりも大事なことがあると知り
何のために 誰のために
いくつもの問いを自分に課した。
99のどろまみれを並走した。
あとがき、その先に
他の誰とも似ていない 小川哲の小説があった。
「あとは自分で考えてください」の先が そこにあった。

これだけ作家とは、をみせられて
偶然を拾いあげるだけの限界突破力もなく
二流の広告マンのマーケティングさんよりも分析力もなく
美容室と便所サンダルを結ぶ偏見もなく
だからこれからも レビュアー人生を全うしようと思った。

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小川哲氏の創作術。いかに相手に伝えるのか、ということを前提に、巷の文章術とは一風変わった創作術を教えてくれます。
音の文章術系だと、いかに伝わるのか、みたいなコモディティ化ー本に指南がなることがよくありがち。それを小川氏はあとがきにて、芸術家としてのふるまい」と「商売人としてのふるまい」と述べ、読者を変化させるためには商売人としてのふるまいとおなじくらい、芸術家のふるまいを行うことで、読者を変容させなければならないとする。この本で面白かった所が、本文中で細かく細かく問を立てながら、進行させていくところ。その実、本著そのものが、さっきの「商売人としてのふるまい」をきれいにクリアしながら進んでいる点はなるほど感心だ。ややとりとめのない印象の1冊ではあるが、面白かった。

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わたし自身文章を、小説を書くのが好きで、趣味としているのだが、こういう文章術の本は避けてきた。自分が独学で身につけたものが、プロの手によって全てを否定されて、ズタボロになる気がして恐ろしいからだ。
今作も勇気を出して読んだようなものだった。普段なら避けるのに、「読まなきゃ」と強く思ったからだ。
感想としては「読んでよかった」に尽きる。全編にわたって目から鱗、長らくもやもやしていた事柄何点かが小川さんの的確な言葉や表現により、ようやく納得できた。
例えで出てくる小説も「これは例題なんだよな」と短い中にもしっかりストーリーを感じられて、小川さんが正面から我々読者と対話してくれていて嬉しかった。

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小川先生の思考術。
思考過程が分かりやすく書かれていて、さすがだなという面白さでした。
この本は創作術ではなく、小説は作者と読者とのコミュニケーションという言葉がとても印象的でした。

この本、自分に合わないな。
この作家さんの前の作品のほうが好きだったな。
誰だってそんな経験をもったことがあるのではないでしょうか。
〈10 小説ゾンビになってわかったこと〉でそんな思いについて言語化されていて、どこかすっきりとした思いになりました。

ああ、これは何度も返し読みたい。
自分が何を小説に求めているのか、どんな本が合わないのかは、漠然と分かっていますが、それを自分の言葉で頭の中で整理できそうな気がします。

この本を読みさらに小川先生のこれからの作品も楽しみになりました。

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直木賞作家・小川哲さんの新刊で、デビュー10年目の「企業秘密」を公開した一冊。頭の中の曖昧なアイデアを、相手に「伝わる」言葉に変換する思考術を、小説執筆のプロセスを通じて解説しています。小説を作者の独りよがりではなく、読者との「コミュニケーション」と位置づける視点が新鮮で、いつも文章が上手く書けない私にとって、まさに救世主のような本でした。
特に役立ったのは、3つの手法です。1つ目は「抽象化と個別化」のバランス:漠然とした概念を具体的な例に落とし込むことで、読者の想像を刺激する。例えば、感情を比喩に変えるアプローチ。これをビジネス文書に活かせば、提案書が生き生きと伝わるはず。2つ目は「情報の順番と構造」:読者を「どこに連れていくか」を明確にし、流れを設計する。私の業務では、プレゼン資料の道筋整理にぴったり。3つ目は「改稿のプロセス」:初稿を修正し、不要な部分を削ぎ落として核心を際立たせる。巻末の短編「エデンの東」で、このプロセスを体験できるのが秀逸です。
これらの思考法は、日々の業務やビジネス文書に直結すると感じました。言葉のプロの脳内を覗いたようなワクワク感があり、読了後すぐに自分の文章を見直したくなりました。おすすめです!

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めちゃくちゃ面白かったです!
小川哲さんて、面倒くさくて面白い人なんだなぁ、
と嬉しく思いました。
小説法、ご都合主義は純文学には非常に深刻な罪、クリシェ使用罪、起承転結逃亡罪等、他にも造語が盛り沢山、
…と言う話は僕は考えた嘘だ、とかお茶目なジョーク盛り沢山、そして
いろんな角度から小説や小説家を洞察していて、すごく面白かったです。

小説の技術を基礎から教える専門学校、
あったら入学してみたいです。

自分の価値観を捨てることは、今日から私も実践したいと思います。とても生きやすくなりそうです。

小説を探求するあまりゾンビ化した作者にも大笑いしました。

11章では偏見とコミュニケーションについて語られていたけど
私はなにか違うものを感じていまして…
てか
美容師さんはLINEの予約情報を教えてくれなかったのは…それって、単に小川さんと喋りたくないだけでは??
あ、もしかしてこれは謎解きか?伏線か??
なんにせよ最後のエデンの東まで読み応えがあり、とにかくめちゃくちゃ面白かったです!
読ませてくださり本当にありがとうございました!

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聡明な方だと思っていたけれど、その感を強くした。

物事をぼんやりと眺めるのではなく、観察して分析して表現する、というのは大変難しいと思う。
小説という表現は、「正解」がわからないから、なおさら難しいだろう。
まして小説は「コミュニケーション」だという。

小川さんの小説は、自覚されているとおり、時には背景知識が無ければ理解できないことがあったり、挑戦的すぎて読後感が微妙だったりする。
しかし、それは小説というものを並々ならぬ熱意をもって探究しつづけておられるからであることがわかった。
本書を読んで、今後どんな作品を生み出していただけるかという期待が高まった。

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小説とは何なんだ。小説はどう書くのか。小川哲の自問自答と、小説に対しての思考が語られていく。かくも深く考えて書いていたのか。小説を書くということは、読者とのコミュニケーションだと言う。ちょっとした言語の組み替えで、そこに見える世界は変わってくる。巻末に収められた作家を題材とした短編小説を読みながら、この文章は、どのような思考のもとに言語化されたのだろうと考えてしまう。

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よくぞここまで自分の思考を言語化できるなあ。小説家としてのテクニックはもちろんのこと、なるほど小説とはこうやって出来上がっていくのかと感心した。「小説はコミュニケーションである」と言うが、小説は作者からの一方的なコミュニケーションであり、受け取る側の読者は様々だ。「伝える」ではなく、「伝わる」言葉をや文章を生み出すための思考過程が延々と語られる。小難しいのだけど、よくよく読んでいると妙に納得してしまう。どんな小説家もこんな風な思考をしているのか。誰もがなれるわけではない職業だ。

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ラジオ『Street Fiction by SATOSHI OGAWA』や、河出書房新社の文藝賞の選評など、さまざまな場で発揮されていた、小川哲先生の巧みな言語化スキルが本作でも鋭く唸っている。
小説の「面白い/つまらない」のような、各人の胸の中だけにあるぼんやりとした基準が明晰に言語化され、現代文のテスト課題文のごとき精緻な筆致で描かれている。
小説分野に限らず、あらゆる物事をどんな風に切り取ってどんな風に捉えるか、という思考の動きが可視化される様子が興味深かった。
小説家の脳内の思考の流れに迫ることができる一冊だった。

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『ゲームの王国』、『君のクイズ』の著者が読者に「伝わる」文章を生み出すために創作に向け常日頃実践している「思考法」の一端を披露してくれました。ファンなら垂涎の一冊でしょう。ホントに編集者とそんなやりとりをされているかは?ですが、小説の改稿を生き生きと描かれた短編『エデンの東』が収録されているのも嬉しい限り!企業秘密の暴露本ですが、誰もが真似できるモノではありませんよね。

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この本そのものが「わたしのための本だ」と思わせられてしまっている時点で、なんだか小川さんに負けたような悔しさがある(もちろん、これは最上級の褒め言葉である)。頭がいいひとは小説を書いているときにこんなにいっぱいのことを考えているんだなあと思ったけれど、自分も小説を書いているときには情報量とか、問いに価値があるかとか、考えていることは考えていて、だからこの本は教示する本というよりは言語化の本で、言語化というのは快楽なので、気持ちがよかった。『エデンの東』がサイコーにおもしろかった! 何回も笑った。『ほんへ』って感じがする。

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小川哲流、小説の因数分解。(素数まではしてないと思う)書き手としての分解だと思うが、読み手としても分かりやすかった。小説法は本当に人によるから、勧めるのも難しくなる要因。そして最後に入っていた短編の『エデンの東』は「あえのがたり」にあったから読んだことあるけど、この流れで読むと完全にこの本の内容を体現した短編。面白かった。

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自分は、小説家になりたいと思い小説を書いている。
本書を拝読し、自分は本当に小説を書いているのか、そもそも小説家とはなんなのか、こんな面白いことを考えられる人でないと小説家にはなれないのか、など考えた。
特に読者を想定する点について深い感銘を受けた。このような凡庸な表現では自分が感じたとおりに伝わらないのでは、と不安に感じるところもあるが、凡庸がイコール無価値であるということはなく、伝わりやすさを念頭に置いた選択であるならば、作者の主張とも合致するのではないかと考えている。この文章の読者は本書の作者を想定している。作者には大変感謝している。自分にとってとても貴重な読書体験となった。作者に自分の思いが伝わることを願う。

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君のクイズ、地図の拳でファンになった小川哲さんの小説を捜索するための指南書。編集者との掛け合いが、妙にリアルで、作家を先生、先生とあがめたてているかと思いきや、売れ筋の本に誘導しようとする、駆け引きが面白かったです。

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小説を書くための本というテーマ設定。
とはいえハウツー本というよりは小川哲という作家の異質さを感じさせるような本なのかも。

小説はそれそのものが布石とか考えたこともなかった。歴史は布石を切り取ったものであり、小説もそこに役割のない文章はないというのは結構眉唾物かなとは思うもののそういう見方で小説読んだことなかったなと。

あとがきの後の「エデンの東」はその実践編みたいで面白かったです。

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「おもしろい小説とはなにか」
正解がないその問いを解体して、そこにたどり着くために道筋を定義していく。
才能やセンスみたいなふわっとしたものではなく、技術で小説を書くという著者の覚悟が見えるようだった。

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この本は筆者が「小説」について考えてみたくて書いたといいます。
でも、感想は小説について考える小川哲さんの魅力全開エッセイだと思いました。
テーマは「面白い」の言語化。

普段から笑顔で面白い人の話より、むっつりとした人が真顔で語る話の方が笑えますよね。

まさか小川哲さんの作品を読んで笑う日が来るなんて!

「情報」を説明するためにマッチングアプリで出会った女性との別れ話のストーリーを作ったり、「伏線」についての見解だったり。

短編『エデンの東』は『あえのがたり』で読んでいたのですが、ようやくこの短編のことが理解できたと思いました。

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「小説とはやり直しのできる飲み会である」
「小説とはコミュニケーション」
「文学とは、ある人間の認知を言語に圧縮したものである」

群像連載の小説技法である。
書いてしまったことから逆算的に新しさを見つけるなど小説技法についての手の内をこれでもかと惜しげもなく披露。

純粋な小説技法というより、頭のいい人の頭の中を覗き見するというような一冊。

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好きな作家さんの、小説に対する考え方を知ることが出来て、とても面白かったです。
「文章の書き方」を教えてくれる本はたくさんありますが、「小説の書き方」は見たことがなかったので、読んでて新鮮でした。
読者が本を読むことによって得られる効用をしっかり計算したうえで物語を紡いでいて、その凄さに圧巻されました。

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『直木賞作家・小川哲の小説論』

SF・歴史・エンタメと幅広いジャンルの作品を執筆する直木賞作家・小川哲。本書は一般的な「小説の書き方」の本ではない。小川氏が小説を書く上で大切にしている“ポリシー”や“哲学”といった小説論を包み隠さず綴り、一冊の読み物として集約した作品である。

まず、作家が小説を書く上で頭の中で考えていることを作品にして商業出版すること自体が少ない。それは、真似できるかどうかは別にして、作家にとって開示したくないスキルの核となる部分だからだ。小説家を志望する人にとって、このノウハウは垂涎の的である。創作活動のヒントがゴロゴロと転がっている。小説家志望ではない私のような読書家にとっても、稀有な作品としてとても楽しめた。

一般的な小説の書き方ハウツー本ではないとはいえ、本書は小川氏の金言にあふれている。「読みやすさとは視点人物と読者の情報量の差を最小化すること」、「実際の会話の劣化版になってはいけない」、「小説は作者が何を表現したかではなく読者が何を受け取ったかによって価値が決まる」、「書き手のために存在している文章を徹底的に削る」などなど。こういった感覚を言語化できる表現力が凄まじい。

小川氏は他書でも「自分は小説家にしかなれなかった」というような発言をよくしている。『君が手にするはずだった黄金について』は、まさしくこの“謙遜”をエンタメに昇華した作品だ。しかし、この何気ない日常から小説を探し、文章で表現するという作業はとてつもなく労力を必要とするはずだ。

本書の巻末に収録された短編「エデンの東」は、こちらも“読者にとっての読みやすさ”を皮肉たっぷりにエンタメに昇華した作品である。石川能登地震のチャリティ作品『あえのがたり』ですでに読んでいたが、本書を読んだ後では意味合いが変わってくる。資格も入社試験もない小説家という仕事。たしかに自分で名乗ることでしか表現できない特殊な職業だ。でも、言語化という作業を呼吸をするようにできる小説家・小川哲を、私はやはり尊敬している。

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とてもおもしろかった。小川哲さんの頭の中をのぞいているような文章。まさに小説思考。小説を書けるようになりたい人が読むというより、小説家の思考回路を知ってみたい人におすすめです。といいながら、小説を書くときの参考にもなる、とても楽しい本でした。
裏の裏の裏をかいて、実は表とも思わせて真下でした、みたいな例文が多くて笑ってしまいました。

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小川哲を通して小説家の思考を読み解くプロセスのようなものをちょこっと覗ける不思議な作品。
読みやすさ=情報量の差であるなら、未読の人へ向けたレビューというのはとんでもなく読み難いものだ。そっちの定義を守る事で、小説法の何条かにあるであろうレビューの項目に触れてしまう。よって何も書けない。恐ろしい作品だ。自分の「言語化」能力の低さを転嫁して免れようと、必死に脳をフル回転させてみたが、圧倒的な言語化能力の前にひれ伏すしかない。
難しい(と感じているのは私だけかもしれないが)事は置いておいて、尋常じゃないトラウマ級の「桃太郎」が最高すぎて忘れられない。人様の作品を使わせてもらうという手法が、一番手っ取り早く作家を体験出来るのかもしれない。とても面白く、勉強になった、はず。

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なぜ小説を書くのだろう。なぜ書いてみたいと思うのだろう。その考えを数多の言葉から探してみるが、文章にするとなぜ伝わらないのだろう。何が問題か。言語化するための小説思考。意識の届かないところに発想はある。共感できない部分に価値はある。何を伝え、何を残し、誰のために書くのか。作り手側と読み手側それぞれの気持ち。それぞれに合わせた文章の書き方はあるが、どうしたら面白さにつながるか。伝えるために必要のない情報を削ぎ落とし、加えてはまた削り、生み出された発想は形にならなくても記憶に残り、いずれ小説で紡がれるだろう。

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思考というのは言語のみでするものだと思い込んでいた私は
小川氏のこの本を読んで、その思いを新たにするとともに、改めなければならない部分もあることに気付いた。

この本は小説をうまく書くための一考、ではない。
小川哲という作家が、小説を書くという大きな活動のもとで
思考していることを、文章にしている。
小説とは何か、簡単なクローズクエスチョンに見えて
この問いに答えるのは容易ではない。
しかもなかなか、複雑な感情を小説に対して持ちつつ、挑んでいる
ことがわかる。

伝えること、伝わること。
これはなかなかに難しいことだ。

国語教育のなかで、作者が書いていることをくみ取り、問題として
生徒に解かせなどしている身としては、ひたすら申し訳ない気持ちも
抱きながら読んだ。

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小川さんの小説を未読のままこちらを読んだので、ちょっとネタバレ感ありつつ。
この方は本当に他者に向けて小説を作られているのだなぁと感じながら読了。
それが小説家を職業、つまりは生業とするということなんだろうと思いながらも、
シンプルに物語やお話は別の次元でも存在しうるなと感じました。
(料理だって、自分だけを満足させるためだけに尽力したっていいものですからね、個人的には)

商業としての小説について興味深く視界を開かせてくれる本だと思います。
「伏線」についての考え方とか、たしかにね、と思いました。

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君のクイズを読んでずっと気になってた小川哲さんの本。著者の言うとおり、「小説の書き方」ではないけど、ものすごく鮮明に小説家頭の中を見せてもらってる感覚になって、驚きと感動と尊敬とが入り混じる本でした。

本を書く時にそこまで考えてるのかという発見はもちろんたくさんあったけど、今後私が本を読む上でもっと楽しめるわ〜と思える考え方をたくさん手に入れた気がする。

小川さんが好きな人も、小説家を目指す人も、小説が好きな人も、誰が読んでも面白い一冊でした!!!

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こんな風に小説が作られていくのかと、小川哲さんの頭の中を覗かせてもらったような気がしました。小説を書く人はもちろんですが、小説を読む人にとっても面白い内容になっていると思います。最後の物語も面白かったです。

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もっとオカタイ内容かと思っていたら、ウィットに富んだ語り口でとても読みやすく、多くの気づきを得ました。
わかりやすく言語化しているところは、さすがだと思う。
どうして小説という形式を選んだのか? 本気で小説を探そうとしているか?
私も自分自身に問いかけていこうと思います。

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作者の本を初めて読みました。
最初、括弧書きでの説明が多く、読みにくいなと思っていました。
しかし、小説法のくだりが出てきたあたりから、評判が良い本でもこれまで読む気がしなかった理由が良くわかり、先を読むのが楽しくなってきました。
著者の他の作品も読んでみたいと思いました。

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小説ではなく、小説について考えていることが
書かれた本。
教科書を読んでいるような。
それが、とても面白かった!

小説の読者と作者のあらゆる視点から
「面白い小説って何だ?」
を考える。

小説国の法律、という考え方は、
これまで私が抱えてきたモヤモヤを
救ってくれた。

小説を読む時は自分のルールで読めばよい。
一方で、誰かの感想を読んで安心する気持ちもわかる。

こんな風に分析されるとは。

巻末に小説『エデンの東』がついていて、
それまでの考え方を踏まえて読むとなるほど
となる。

ん?既読?と思ったら
『あえのがたり』にも収録されていた小説でした。
この小説がこんな風に考えられて描かれたものだったとは。
また違った印象になる再読で楽しい体験でした。

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アマチュアが書く小説とプロが書く小説の違いがわかりやすく言語化されていて、だからプロの文章は面白いんだなと勉強になりました。
日常で感じたことの膨らませ方だったり、会話の読みやすさや情景が浮かぶような文章など、小川先生が考えていることがわかって面白かったです。

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ひとつのジャンルに収まらない小川哲先生は、どのように小説を作り出しているんだろう・・・
その頭の中を覗き見できる一冊。
小説は文字情報だけで読み手に伝えるもの。やっぱり言語化できるってすごく大事なことなんだなぁ。
言葉でのコミュニケーションすべてに言えることですね。

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小説家・小川哲さんが、小説とはなんなのか……と自身の考えを言語化した一冊。
学歴が全てではないけれども、さすが東大……と思ってしまった。
著者のように考えたことはないけれども、私自身文章を書きはじめてぼんやりと感じている「これってこういうことじゃないかな」が明確に言語化されていた。
ありがとうございます。
特に伏線と、技術(技法)、小説はコミュニケーションという話については深くうなずいた。
技術が優れているから素晴らしい小説ではないし、伏線を回収したから面白いのでもない。
問題は何をどこからどう伝え、面白い(共感)と感じてもらえるか。
小説を書かずとも、なんらかの形で自分の考えや思いを伝えることは誰しもしている。本書は自分の思考を整理する時にも参考になるのではないかと感じた。
「自分自身、小説とは何かの答えを求め続けている」とあったが、著者の示した考えは、もちろん文章を書く人にとっては「なぜ書いているのか」を再度考える良い機会になったと思う。

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「小説家は何を考えているのか」という内容紹介通り、頭の中を覗かせていただいたような一冊でした。
考察・哲学論文とか、エッセイみたいな。
小説を書くのって大変なんだな……って思いました。
美容師さんの話が心に刺さって、すごく印象的でした。
ラストのあとがき小説が面白くて、ターゲット層を見据えての作品の作り直し過程を見せてもらった、みたいな。

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