ウィッチスパーク
ふたりの魔女
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刊行日 2026/10/06 | 掲載終了日 2026/10/06
ハッシュタグ:#ウィッチスパーク #NetGalleyJP
内容紹介
生きている屋敷、言葉を話すドラゴン執事、神出鬼没の魔法教師――1833年、魔法が国家に管理され、一部の特権階級だけに許された世界。12歳のエグランティーヌは、偉大な魔女だった母の魔力を受け継げず、父と屋敷を守るため禁じられた魔法を求める。一方、王族として魔力を禁じられてきた14歳のヴィクトリア王女は、突然目覚めた危険な魔力を消し去ろうとしていた。魔法がほしい少女と、魔力を捨てたい王女。正反対の願いを持つふたりが、謎の魔法教師ミス・ヘゴティを追い、壮大な冒険へと踏み出す。
出版情報
| 発行形態 | ハードカバー |
| ISBN | 9784863899308 |
| 本体価格 | ¥2,200 (JPY) |
| ページ数 | 416 |
閲覧オプション
NetGalley会員レビュー
教育関係者 1300823
さいごまで一気に読み終えました。次どうなるのだろうと心を動かされる物語でした。魔法を持ちたい、魔法を持っているけどいらない二人の魔女の心の動きの描写が生き生きとしていてよかったです。魔法好き、魔女好きにはぜひ手にとってもらいたいと思います。高学年から中学生におすすめしていきたいです。
レビュアー 946550
魔法が制限された不思議な世界。魔法を求める少女と魔力を消したい王女。
設定がとってもいいですね。魔法系冒険ファンタジーはやっぱりこうじゃなくては。
新聞に突如現れる怪しい広告や、言葉を話すドラゴン執事、意志を持つ愛らしくも不気味なお屋敷など、ワクワクするような仕掛けが満載。
作中に描かれる愛らしい挿絵や物語の世界観を引き立てるデザインも非常に魅力的。自分らしさを受け入れて一歩を踏み出す少女たちの絆に、温かい勇気をもらえました。たくさんの人に読んでもらいたい傑作です。
図書館関係者 719465
良質の児童向けファンタジーに出会えました。
主人公は魔法を持たないことで悩む少女と、魔法を持っていることで悩むプリンセス。
ふたりに次々に訪れる難問と苦難。
それぞれを支え、手助けをしてくれる友。
本人の勇気と愛情。
主人公たちのがんばりが生き生きと描かれ、冒険といろいろな良いものが詰まっています。
自分自身を見つめ、進む道を探しながら成長するという児童書としての大きなテーマがきちんと織り込まれていて、とても良い作品だと思いました。
書店関係者 1816442
魔法が存在しているのに、誰でも自由に使えるわけではなく、国家によって管理され、一部の特権階級にしか許されていない――。
まず、この世界観がすごく面白かったです!
魔法のある世界と聞くだけでもワクワクするのに、「魔法が制限されている」という設定が加わることで、魔法を使えることが単純に素敵なものではなく、身分や社会の仕組みにまで関わる特別な力として描かれているところに惹かれました。
物語の主人公となるのは、12歳のエグランティーヌと14歳のヴィクトリア王女。
この二人が正反対の悩みを抱えているところが、とても印象的でした。
エグランティーヌの母親は偉大な魔女だったのに、エグランティーヌ自身はその魔力を受け継ぐことができませんでした。
偉大な母親がいたからこそ、「どうして自分には魔法がないんだろう」という気持ちは、普通以上に強かったんじゃないかなと思います。
しかも、ただ「魔法が使えたら楽しそう!」という憧れだけではなく、大切な父親や屋敷を守りたいという理由がある。
そのために禁じられた魔法にまで手を伸ばそうとする姿には、危ないよ〜!と思いつつも、その必死な気持ちが分かるから応援したくなりました。
一方のヴィクトリア王女は、エグランティーヌとはまったく反対です。
エグランティーヌが「魔法がほしい」と願っているのに対して、ヴィクトリアは自分の中に突然目覚めてしまった危険な魔力を「消してしまいたい」と願っている。
同じ魔法というものを前にしているのに、一人にとっては喉から手が出るほどほしい力で、もう一人にとっては自分を苦しめるいらない力になっているという対比がすごく面白かったです。
「持っていないから苦しい」と「持っているから苦しい」。
どちらか一方だけを見ていたら、「魔法が使えるなんて羨ましい!」とか「そんな力がなくてもいいじゃん」と簡単に思ってしまいそうです。
でも、それぞれの立場から物語が描かれることで、本人にしか分からない苦しみがあるんだなと感じました。
だからこそ、この正反対の二人が出会い、謎の魔法教師ミス・ヘゴティを追いかけて冒険へ踏み出していく展開にはワクワクしました!
魔法がほしい少女と、魔法を捨てたい王女。
目的は正反対なのに、同じ「魔法」に悩まされている二人が一緒に進んでいくという関係性がすごく好きです。
そして、この物語には「魔法ものといえば、こういうのが読みたかった!」と思わせてくれるような仕掛けがたくさん登場するのも楽しかったです。
新聞に突然現れる怪しすぎる広告なんて、もう絶対何かあるじゃん!と気になってしまいますし、神出鬼没の魔法教師ミス・ヘゴティも、一体何者なの!?とどんどん興味をそそられました。
さらに、言葉を話すドラゴンの執事まで登場するなんて最高です。
ドラゴンなのに「執事」という組み合わせが可愛くて、それだけでもう好きになってしまいました。
そして特に惹かれたのが、「生きている屋敷」です。
屋敷そのものに意志があって、愛らしいところもあるのに、どこかちょっと不気味でもある。
普通の建物なら絶対に起こらないことが起きそうで、「この屋敷、次は何するの!?」と想像するだけでもワクワクしました。
魔法教師、ドラゴン執事、生きている屋敷、怪しい広告……。
魔法ファンタジーで見たいものがぎゅっと詰め込まれているようで、次は何が出てくるんだろう、次はどんなことが起きるんだろうと、どんどんページをめくりたくなりました。
物語を彩る挿絵やデザインも、作品の雰囲気にぴったりで素敵でした。
文章から想像していた魔法の世界が、可愛らしい挿絵によってさらに広がっていくようで、眺めているだけでも楽しいです。
でも、この作品の魅力は、魔法や冒険のワクワク感だけではありませんでした。
物語を読み進めるうちに、これは二人の少女が「自分自身」と向き合っていく物語でもあるんだなと感じました。
エグランティーヌは魔法を持っていない自分に悩み、ヴィクトリアは魔法を持っている自分に悩んでいる。
つまり二人とも、今の自分とは違う自分になりたいと願っているんですよね。
「自分にはあれがないからダメ」
「自分にはこんなものがあるから嫌」
そんなふうに、自分の一部分を理由に自分自身を好きになれなくなってしまう気持ちは、魔法のない現実の世界でもきっとあると思います。
誰かと比べて「私にもあれがあったらいいのに」と思ったり、逆に自分が持っているものをコンプレックスに感じたり。
だから魔女や王女が登場するファンタジーなのに、二人の悩みそのものは意外と身近に感じられました。
そんな二人が次々と難問や苦難にぶつかりながらも、自分だけの力ですべてを解決するのではなく、周りの人たちに支えてもらいながら進んでいくところも好きです。
助けてくれる友達がいて、自分も誰かを大切に思って、その気持ちが勇気に変わっていく。
魔法という特別な力だけではなく、人を思いやる気持ちや、怖くても一歩を踏み出す勇気もしっかり「力」として描かれているように感じました。
そして二人が少しずつ、自分が持っているもの、持っていないものも含めて「これが自分なんだ」と向き合っていく姿には、あたたかい気持ちになりました。
自分らしさを受け入れるって、言葉にすると簡単そうですが、実際にはすごく難しいことだと思います。
嫌な部分を急に好きになることなんてできないし、誰かを羨ましく思うことだってある。
それでも、自分自身と向き合って「じゃあ私はこれからどうしたいんだろう」と考え、自分で進む道を選んでいくことが大切なんだろうなと思いました。
12歳と14歳の少女たちが主人公なので児童書として楽しめる作品ですが、大人が読んでも心に残るテーマがたくさんあると思います。
「自分にないもの」を求めるエグランティーヌと、「自分にあるもの」を捨てようとするヴィクトリア。
正反対だった二人が出会ったからこそ、自分一人では気付けなかったことに気付き、少しずつ成長していく姿がとても素敵でした。
魔法の世界を冒険するワクワク感、次々に現れる不思議な存在、ちょっぴり怪しい謎、少女たちの友情や勇気、そして自分自身を受け入れていく成長。
いろいろな魅力がぎゅっと詰まった物語でした!
「次はどうなるの!?」「この人は一体何者!?」とドキドキしながら楽しめるのに、読み終わったあとには優しく背中を押してもらったような気持ちになれるところも大好きです。
魔法や魔女のお話が好きな人にはもちろん、自分に自信が持てなかったり、誰かを羨ましく思ってしまった経験がある人にも読んでほしいなと思いました。
私もこんな不思議な世界を冒険してみたい……と思いつつ、生きている屋敷にはちょっとだけ優しくしてもらいたいです(笑)。
魔法の楽しさと少女たちの成長を一緒に味わえる、ワクワクして、可愛くて、最後には心まであたたかくなる素敵なファンタジーでした!
教育関係者 645139
《欲しい魔法、消したい魔法。ふたりの願いが、魔法の国の“当たり前”を揺らしていく》
グレートブリテンといえば、さまざまな伝承が残るところ。それが〈マジックスパーク〉によって、マジックアイランドという国として復活するとは。
ただ、魔法の復活によって、人々の生活は根本から変わったはずだ。
魔法的存在が復活しただけではない。魔法を持つ者と持たない者が生まれたことによる、社会の混乱もあっただろう。
その混乱期を経たからこそ、この物語に描かれるような制度をもつ王政へ落ち着いたのだと思う。
まず、魔法を持たない人を守る〈マジックスパーク規制省〉の存在。
次に、子どもへの「マジックスパーク検査」。魔法を持っていれば、それに応じた教育を受けることになる。
そして、強い権力をもつ王族には、魔法を持つことが許されない。
王族まで含めた、ここまでの制度をつくりあげるのは大変なことだっただろう。
その一方で、こうした制度の副産物として、継承などにおける男女の差がなくなっていることを、喜ばしく思った。
それでも、魔法への憧れまでは抑えることはできないだろう。
差別が減った代わりに、魔法は一種の特権になったのだから。
だから、〈マジックスパーク規制省〉の禁制魔法一覧のトップに〈ミス・ヘゴティの魔女入門講座〉が指定されたのも無理はないだろう。
それが本物であってもなくても、現体制を揺るがすものになりかねないのだから。
ここまで緻密に構築された世界だからこそ、登場人物たちは自分を見つめ、信念や願いを持ち、他者と関わりながら、生き生きと動くことができる。
だから、読み手も共に喜び、悲しみ、応援していけるのだと実感した。
⸻
現存する三つの「生きた館」の一つ、ハスワイバーン。通称ハス。
話すことはできない代わりに、館やその備品が動く。
ユーモアたっぷりに、優しく、気づかいに満ちて。
そこに住むのは、魔法を持たないエグランティーヌと、ワイバーンの執事アーサー。
ただ、エグランティーヌは魔法を持たないため、大好きなハスを継承できない。
だから、持っていない魔法を何とか身につけたい。
一方、女王が治めるマジックアイランドの王女ヴィクトリアは、自分が魔法を持つことに気づく。
知られれば王族ではいられず、追放されてしまう。
だから、自分の「時を操る魔法」を封じ込めたい。
このふたりの少女が、正反対の目的を胸に、密かに〈ミス・ヘゴティの魔女入門講座〉を受講することになるとは。
突然現れるヘゴティからの手紙を頼りに、互いを知らず、それぞれの目標へ向かって努力するふたり。
エグランティーヌの前に立ちはだかるのは、ハスの所有を企む、叔父ライケンと魔女ホイッスルウィッチ。
一方のヴィクトリアは、制御できない自分の魔法が気づかれないよう必死になる。
交互に語られるふたりの躍動感あふれる姿に、思わず手に汗を握っていた。
ふたりの願いはどうなるのか。
ヘゴティとは何者なのか。
そして、ふたりの努力の背後から、魔法をめぐる制度的な線引きと、体制を維持するためにつくられてきた仕組みが、しだいに浮かび上がってくる。
そして迎える、壮大なクライマックス。
思わず拍手してしまっていた。
でも、それで終わりではなかった。
これが新たな始まりなのだと知り、これから先のみんなの姿に、しばらく思いを馳せていた。
教育関係者 468529
「魔法」が制限されている世界。設定されている社会構造は現代社会となんら変わらない。
もちろん魔法は私たちの世界では使えないけれども。
魔法が特権のようになっていながら、王族は過去の失敗から魔法を使える存在は王位継承はできず、
むしろ身分もはく奪されるくらいの制限だ。
さらに、その権力をわがものとしたいたくらみ。
また家自体が魔力を持つという設定も面白いところに、その権利を奪おうとする叔父の存在。
繰り返し出てくるのは「女性を理由に今まで不可能だったことが、出来るようになった」
世の中に対応できていない存在や組織、考え方。
最後まで読み進めると、さらにある仕組みをもって制限されていたことがわかる。
それらを解き放つために、ふたりの魔女はこれからどんな活躍をしていくのだろうか。
ファンタジーでもありながら、社会構造への壮大な挑戦小説でもある。