夏酒
酒神さまの花暦
ログインまたは新規登録するとリクエスト可能か確認できます。
ぜひ本作品をお好きな書店で注文、または購入してください。
出版社がKindle閲覧可に設定した作品は、KindleまたはKindleアプリで作品を読むことができます。
1
KindleまたはKindleアプリで作品を閲覧するには、あなたのAmazonアカウントにkindle@netgalley.comを認証させてください。Kindleでの閲覧方法については、こちらをご覧ください。
2
Amazonアカウントに登録されているKindleのメールアドレスを、こちらにご入力ください。
刊行日 2026/11/11 | 掲載終了日 2026/11/11
ハッシュタグ:#酒神さまの花暦 #NetGalleyJP
内容紹介
三十路寸前で婚約者の裏切りに遭い、仕事も辞めてしまった徳田美桜。泥酔したある晩、奇妙な老人に日本酒の試飲を勧められる。口に含んだ途端、自分をがんじがらめにしていたすべてが、ほどけていくのを感じる美桜。だが、老人は消えていた。この酒を造る人と働きたい。掌に残されていたぐい飲みを頼りに酒蔵を訪ねた美桜は、押しかけ見習いとして働くことになるが――。
三十路寸前で婚約者の裏切りに遭い、仕事も辞めてしまった徳田美桜。泥酔したある晩、奇妙な老人に日本酒の試飲を勧められる。口に含んだ途端、自分をがんじがらめにしていたすべてが、ほどけていくのを感じる美桜。だが、老人は消えていた。この酒を造る人と働きたい。掌に残されていたぐい飲みを頼りに酒蔵を訪ねた美桜は、押しかけ見習いとして働くことになるが――。
出版情報
| 発行形態 | 文庫・新書 |
| ISBN | 9784334112073 |
| 本体価格 | ¥740 (JPY) |
| ページ数 | 256 |
閲覧オプション
NetGalley会員レビュー
メディア/ジャーナリスト 448563
この作品の主人公は、日本酒にがあまり得意ではなかった女性。だが私生活で大きなトラブルに見舞われた時、たまたま勧められた日本酒との出会いから、日本酒の持つ素晴らしき魅力に取り憑かれてしまう。そこから彼女の人生は一変する。
まず興味を持ったのが、私も酒は飲むものの、あまり日本酒が得意ではないというところだ。日本酒の独特の甘みがあまり好きではなかった。
だが、ある時寿司屋で大将に勧められた「これぞ」という一本の日本酒でその認識は変わった。日本酒にも色々ある。シャッキリすっきりした味のもの、ほのかな甘さのもの、口当たりだって水の如き爽やかなものからねっとりと舌に絡みつく重厚な持ち味まで、とにかく千差万別。
その店で色々な日本酒を飲ませてもらってわかったのが、美味しくない日本酒があるということ。この時代、美味しくない日本酒なんてないと思ったら大間違い。そもそも味の良くない日本酒もあれば、保管や輸送などのトラブルで味の落ちてしまった日本酒もある。それ以外の日本酒ならばそんなに間違いはない。
その後もたまにいくつかの店で日本酒を飲んでわかったのは、美味しくないもの以外の日本酒は美味しいということ。そして美味しくない日本酒が意外に多いということ。普通の日本酒であればきちんと美味しい。美味しい日本酒であればさらに美味しいということだ。
人生には何度か、転機が訪れる。
主人公の女性はその転機で人生を全く変えた。そして、お金では計れない幸せを手に入れることができた。そんなハッピーなストーリー。ただまだ物語は続く。今はまだ六月、七月、八月の物語しか綴られていない。九月からの物語、その続きを読むのが楽しみ。
スーパーナチュラルなファンタジー設定にちょっと苦手感はあったけど、それも持ち味。
日本酒という題材には、ファンタジーというペアリングもなかなかいい。
教育関係者 645139
《人と神様が手を取り合って醸す酒。その一杯が、失くしたものを思い出させてくれる》
内藤了先生と言えば、『ON 猟奇犯罪捜査班・東堂比奈子』から始まる「猟奇犯罪捜査班・東堂比奈子」シリーズなど、警察、猟奇・怪異・バイオホラーといったイメージだった。
でも、この『夏酒 酒神さまの花暦』を読んで、そのイメージは良い意味で覆された。そして、感動のあまり涙ぐんだ。
⸻
『プロローグ』
まだ9歳の美桜と、土蔵で出会った小さな神様との対話。
それは、美桜にとって驚きと嬉しさでいっぱいだったはず。
一方の神様は、忘れられるのが寂しくて、信じてもらえなくなるのが切なくて、臆病になっていたろうに。
でも、神様は優しいから、姿を現した。
ただ、覚えているのと信じるのは違う。
覚えているとは、存在していることを〝知っている〟こと。
信じるとは、存在してほしいと〝願う〟こと。
神様は存在している。
だからこそ、覚えていると誓った美桜を、信じた。
大人になっても神様が見える人には役目があることを、信じた。
そして、「美桜」という名前が、これから始まる物語にとって、なんとふさわしい名前なのだろうか。そう思った。
⸻
『第一話 五月の酒・月下美人』
29歳になった美桜が、結婚式直前にあんな破局を迎えるとは。
神様と出会ったことを、美桜は幻としてほとんど忘れていた。
そうでなければ、ペールピンクのワンピースの女性の意味にも気付き、あれほど辛すぎる思いさえしなくてすんだかもしれないのに。
それでも、「騙すより騙されたほうがいい」という美桜。
それは単なる受け身ではない、と感じた。
きっと、かつて神様を見た時と同じ態度。ありのままを受け入れていこうとする美桜の姿勢。それを、生きづらい社会に無理に当てはめた言い方なのだろう。
だから、危ういまでの傷心で彷徨う中、西之光酒造店の店主と出会えたのだと信じた。
綺麗な月のもと、花盛りのアカシアの香りを感じながら、日本酒「月下美人」を心の底から味わって飲む美桜。
だからこそ、心を綺麗に洗い流すことができたのだろう。
そんな美桜の背後を見て、店主の老人は微笑んだはず。
〝素質〟が残っているのを感じ取って。
ならば、読み手もまた、待とうと思った。
⸻
『第二話 六月の酒・紫陽花』
でも、美桜の傷心は「月下美人」だけでは洗い流せなかったのか。
仕事も辞め、あそこまでやさぐれた生活になっていたとは。
でも、美桜は自分から西之光酒造店に行けた。
そこで〝オニコ〟を見て、〝男の子〟と出会えた。
そこから始まる、美桜の身を呈した行動。
目まぐるしいまでの展開。
それはきっと、美桜が「今を生きる」ための準備だったのだろう。
「過去に縛られながら、未来の為に生きている」だけの読み手の胸が、チクリと痛んだ。
日本酒とは、人と神様が手を取り合って作るもの。
どちらかだけではできないもの。
「月下美人」に次いで「紫陽花」の味わいを知った美桜は、もう過去に囚われることはないだろう。
ほっとした気持ちで、美桜の独白を静かに追っている読み手がいた。
⸻
『第三話 七月の酒・つるばら』
パート従業員として、西之光酒造店で働き始めた美桜。
自分がなくしていたものがここにある。
でも、それが何かわからないから、ここで働く。
美桜のその姿勢に、はっとした。
ここに来る前の彼女とは、生き方の向きが全く異なっていたから。
そして、心依から試飲として振る舞われる「つるばら」。
それは、心依が美桜を認めたということだろう。
そして、葉月と香穂の小学生姉妹との出会いがきっかけになるとは。
いや、今の美桜だからこそ、それをきっかけにできたのか。
「月下美人」を試飲させてくれた靖士の真実。
オニコと〝男の子〟の素性。
そして今、日本酒の仕込み蔵で美桜が見上げている、たくさんの存在。
美桜は見えては、いたんだ。
でも、受け入れる心の準備がまだできていなかった。
だから、意識しないように、忘れるようにしてきたのか。
でも、今は見ることができる。
そのニコニコした顔を感じることができる。
なくしてはならないもの。
作り手が失われても残るもの。
そして、引き継がれていくもの。
⸻
『エピローグ』
最後の行に書かれているのは、
Next talk
でも、ただの続きではないはず。
その後に続く言葉は、今までのような花ではない。
それは、季節から舞い降りてきた言葉。
その言葉から広がっていく想いに、ワクワクした。