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会員のレビュー

レビュー投稿者

レビュアー 1045834

『二月の勝者』ロスの人にも
そうでない人にも薦めたい家族愛の物語。

同じ吉祥寺が舞台ですが
今までにない中学受験小説でした!

主人公は傍目に恵まれた家庭にしか
見えない家でひとり思い悩む受験生。

小4で受験のレールに乗せられ
塾にはすぐに馴染む彼女ですが、
小6になっても意欲は湧かないまま。

そんな彼女が情緒の臨界点を越え、
驚きの目標を掲げ、目の色を変えて
動きはじめます。

アツい!

しこりをはらみつつ歩んでいた家族が
重大な決断を機に変わっていくさまが
猛烈にアツい!

歯車が噛み合いだしてからの疾走感に
読む手が止まらなくなりました。

一方で、入試の本番や合格発表の
くだりでは、ドキドキが余りに響くので
何度も何度も中断して息を整えましたよ。

この物語、リアリティがありすぎる!

家族関係だけでなく、
受験が近づくにつれ塾友たちが
煮詰まっていくさまも迫真でしたね。

そんな中、絶妙にズレていて
ほっこりさせてくれる例の店長さんが
出てきたのは救いでしたよ。

書店員さんとの迷コンビぶりも健在!

受験や子育てだけでなく、
生きていくうえで大切な気づきが
散りばめられていた点も魅力でした。

特に、前半と後半にある
体験記を扱うくだりで、父の信念が
こぼれ出る部分には共感しきりでしたよ。

不穏さを纏いつつ流れるストーリーは
どこに着地するのか?

彼らは、彼女らは、
過酷な道のりの先に何を見るのか?

少女を駆り立てたものの正体とは?

注目ポイントを数え上げたら
きりがありませんね。

母の計算されたふるまいや、
妹のナチュラルな名優ぶりにも
注目ですよ~。

(対象年齢は13歳以上かな?)

ぜひ本作品をお好きな書店で注文、または購入してください。