ベルリンは晴れているか

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刊行日 2018/09/25 | 掲載終了日 2018/10/03

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内容紹介

大ヒット『戦場のコックたち』を超える衝撃!
第二次大戦直後のドイツを舞台にした圧倒的スケールの歴史ミステリ

戦争が終わった。瓦礫の街で彼女の目に映る空は何色か
1945年7月。ナチス・ドイツが戦争に敗れ米ソ英仏の4ヵ国統治下におかれたベルリン。
ソ連と西側諸国が対立しつつある状況下で、ドイツ人少女アウグステの恩人にあたる男が、 ソ連領域で米国製の歯磨き粉に含まれた毒により不審な死を遂げる。
米国の兵員食堂で働くアウグステは疑いの目を向けられつつ、彼の甥に訃報を伝えるべく旅立つ。
しかしなぜか陽気な泥棒を道連れにする羽目になり――
ふたりはそれぞれの思惑を胸に、荒廃した街を歩きはじめる。


大ヒット『戦場のコックたち』を超える衝撃!
第二次大戦直後のドイツを舞台にした圧倒的スケールの歴史ミステリ

戦争が終わった。瓦礫の街で彼女の目に映る空は何色か
1945年7月。ナチス・ドイツが戦争に敗れ米ソ英仏の4ヵ国統治下におかれたベルリン。
ソ連と西側諸国が対立しつつある状況下で、ドイツ人少女アウグステの恩人にあたる男が、 ソ連領域で米国製の歯磨き粉に含まれた毒により不審な死を遂げる。
米国の兵員食堂...


出版情報

発行形態 ハードカバー
ISBN 9784480804822
本体価格 ¥1,900 (JPY)

NetGalley会員レビュー

#ベルリンは晴れているか 1945年、英米ソ仏の四か国統治下のベルリン。17歳のアウグステが見上げる空の色は、はたして何色だろうか。
恩人の不審死の謎と、日増しに緊張する米ソ。
ナチスが台頭していく過去を幕間に、戦争が作り出す人間の悲惨で醜い物語が綴られていく。
徐々に過去が明らかになっていく中盤からは、カフカの過去を筆頭に読みごたえあり。
ナチス統治下でのさまざまなエピソードも刺さる。
調べあげた史実の舞台の上に載せられた物語は、誤解を恐れずにいえば、ファンタジーやディストピアの香りさえする独特の読み心地。漫画のようなコマ割の情景がはっきりと浮かぶ。こういう設定も漫画の独壇場だと思っていた。小説の枠を広げる新世代的な世界。面白かった!この著者さん、追います。

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戦時中・戦後混乱期のベルリンを分割統治の側面をとらえての作品。
体験した人にしかわからないような傷み、悲しみ、苦しみを伝えてくれています。
戦時中を生き抜いた少女が恩人の死を甥に伝えるための2日間が描かれています。
元撮影所のシーンから一気に謎解きが加速され、結末へ・・
様々な人が、様々な考えで、精いっぱい生きた時代なんですね・・

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とてもよかった。
わたしは世界史を学んでこなかったことをここ何年か後悔していて、意識してこの時代のドイツの市民目線の小説や映画を観るようにしているのですが、今回もその一環でした。
著者の深緑さんのツイッターはその前からフォローしていて、その人柄や考え方を好いていたものの作品を読んだことはなく、良い機会だと思いました。
そして、読んでよかったです。戦中ドイツの国民同士の関係やそれぞれの立場はそれだけで衝撃を与えるものですが、国民としてではなく、ひとりの人間としての固有の感情も合わせてその動きを描いてある。すばらしい小説でした。
こうした惨劇を防ぐためにはどうしたらいいのか考えます。想像力だけでは実は足りず、自らをのぞき込み、それに向き合う勇気、さらに必要ならば自らを変える一歩を踏み出す勇気をもつこと。考え続けること。そしてそれができなかった人の後悔に思いをはせる。
ほかにも書きたいことはありますが、うまく表現できそうにないしネタバレは避けたいのでこのあたりにします。
読んでよかったの一言です。著者のほかの作品も読んでいこうと思います。

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『戦場のコックたち』から早三年。深緑野分が満を持して放つ新作は、1945年のベルリンが舞台。
敗戦直後のどさくさに紛れ発生した毒殺事件を主軸に、ナチス非道の時代を少女アウグステの視点で描く。
彼女に心の拠り所として一冊の本を履行させ、希望のモチーフに据えている。
彼女と苦楽を分かつ作者の熱誠が、事件の真相を深々とペンで抉る。
ベルリンの空の下で太陽を見上げる気持ち、とても言葉では言い表せないだろう─“ベルリンは晴れているか”アウグステの声がこだまになって届く。

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鮮明で美しく、残酷で生々しくもある、情景描写に冒頭から、引き摺り込まれてしまいました。

戦争に敗れたナチスドイツが舞台で、このへんに関することは学生時代、授業やビデオ学習などで学んだ気がするのですが、印象に残っているのはユダヤ人迫害、アウシュビッツ収容所のことばかりで、当時の人たちの生活や心境はあまり意識したことが無かったなと、読んでいて思いました。(単純な勉強不足ですね。)

とても過酷で、常に死と隣り合わせで、悪意と敵意が跳梁跋扈する街で、懸命に生きる登場人物達、その姿だけで、胸に込み上げてくるものがあって、もうこの要素だけで、作品が成立してしまっているんじゃないかとも思えたのですが、なんと本作はミステリー小説です。
最後の仕掛けが放たれた瞬間、主人公の行動一つ一つの意味が頭の中で反芻され、深く感動してしまいました。

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1945年の夏、17歳のアウグステは米軍の食堂で働いている。肌身離さずにいる鞄の中には、両親の愛に包まれて育った過去とつながる唯一の品物、ケストナーの『エーミールと探偵たち』英語版が入っている。反ナチを貫いた彼女の両親は、同胞に殺された。

英米ソ仏4か国連合軍の統治下にある、敗戦直後のベルリン。瓦礫の町にひとりで生きる少女の数日が、とある殺人事件と絡めて描かれる。しかし、本書はミステリーとして読むべきではないように思う。幕間にはアウグステの過去が挟み込まれ、これが実に胸迫る物語なのだ。

自分の信念を貫いて生きた両親は密告され、“移住先”でユダヤ人が何をされているのか突き止めてチラシを撒こうとした人々は、逮捕されたまま戻ってこない。激しい差別感情がどんな風に広まってゆくのか、貧しくとも温かい家庭がどんな風に破壊されたのか、ひとつの価値観に社会が染まってゆく様子が、迫真の描写で描かれてゆく。

もしバラの花の前に、”○○な人は見学禁止”という立札があれば、それを引っこ抜いて、誰にでもバラを見せてあげる人になって欲しい。「わかる?」とアウグステに父は言った。このような社会の中では、その行為がどんなに勇気がいることかはわかる。憎悪と敵意に支配されない未来への祈りをこめて、この本は書かれたのだろうと強く感じた。戦後という混乱期、罪の意識も悲しみも恨みも、様々な感情に寄り添って書かれ、そのひとつひとつに心が揺すぶられる作品だった。

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のめり込むようにして読みました。

「戦場のコックたち」もとても面白く読みましたが、本書はそれ以上だと思います。アメリカ、イギリス、フランス、ソ連によって分割統治されていた終戦直後のドイツ・ベルリンを舞台にしたミステリ小説ですが、それ以上に戦後の混乱の中で東西の大国の思惑に翻弄されながらも懸命に生きていこうとするドイツ人の姿を描いた小説としての印象が強いです。

『幕間』として、戦時下のヒトラー独裁によってもたらされた悲劇が描かれています。アウグステは、両親を奪われ、それでも生きていかなければならない。戦争が国民にもたらすものは、結果がどうであれ、悲劇でしかないのだと感じます。

読み終わって、余韻に浸りながらあらためて表紙とタイトルをながめてみました。

「ベルリンは晴れているか」

そこには、とても大きな意味があると思いました。そして、今わたしたちの住む世界は晴れているのだろうか、と考えています。

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戦争に敗れ米ソ英仏四か国の統治下におかれたベルリンでドイツ人少女アウグステの恩人に当たるクリストフが不審な死をとげ、疑いの目を向けられながらも、彼の甥に恩人の死を伝えるために旅立った濃密な2日間の話。幕間として過去の出来事を挟むことで戦争中の人種、性差別を鮮明に描き、残酷さを浮き彫りにし奥行きのある物語になっている。戦時中だから、非常時だから、そんな理由で一線を越えてしまう人がいる。また、そうしなければ生き残れないのかもしれない。正しく生きようとすると自身が危険に晒される中で、懸命に生きてきた人々の暮らしが胸に迫り、事件の真相が明かされるとやりきれない気持ちになった。アウグステの心の中が晴れるようにと願わずにはいられない。

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第二次世界大戦下のドイツ。
ナチスの所業について知ってはいたけれど、そこに生きる人々の、一人一人のおもいや生き様が確かに存在したことを、鮮やかに描き出されている。
舞台は現在を1945年7月のポツダム会談直前のドイツ、ベルリン付近とし、主人公アウグステを軸に彼女の過去も同時に進んでいく。
作中には、ユダヤの人たちが連れていかれたアウシュヴィッツなどの中の様子は一切書かれていないけれど、そこに至る人々の生活、行動によって何が愚かで弱さなのか、私たちは他山の石として見ていられるのか?と突きつけられている。
人の命が、いとも簡単に奪われ、尊厳など皆無、そこにあるのは奪う側の卑屈な弱さからの残虐性だ。
ミステリーを読みながら、これは戦争という舞台に立つ人々の心の醜さと、脆さを浮かび上がらせながら、多様性を認めない社会の愚かさを問われていると感じた一冊。

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丁寧な取材と綿密な構成を基に書かれていて読んでいると著者が日本人なのを忘れこの翻訳読みやすいなぁと勘違いしてしまいました。

ここからドイツも日本も復活を遂げて今の自分の生活がある。

でも、いくつかの歯車が噛み合えば日本も戦争に巻き込まれるのは対岸の火事ではない、その時は突然で自分が戦場に立つのか報道で見るだけになるのかはこの国の船頭が誰なのかにかかっている、それを決めるのはこの手にある一票なのかもしれないと危機感を感じました。

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