熱源

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刊行日 2019/08/26 | 掲載終了日 2020/03/02

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内容紹介

樺太で生まれたアイヌ、ヤヨマネクフ。 開拓使たちに故郷を奪われ、集団移住を強いられたのちに、 天然痘やコレラの流行で妻や多くの友人たちを亡くした彼は、 やがて山辺安之助と名前を変え、ふたたび樺太に戻ることを志す。 一方、ブロニスワフ・ピウスツキは、リトアニアに生まれた。 彼が祖国とするポーランド・リトアニア共和国は、 三度に渡り国土を分割され、いつのまにか地図からその姿を消していた。 強烈な同化政策によりポーランド語を話すことも許されなかった彼は、 サンクトペテルブルグの学生たちによる皇帝の暗殺計画に巻き込まれ、 苦役囚として樺太に送られる。 日本人にされそうになったアイヌと、 ロシア人にされそうになったポーランド人。 文明を押し付けられ、それによってアイデンティティを 揺るがされた経験を持つ二人が、樺太で出会い、 自らが守りたいもの、継ぎたいものを確認しあう。 樺太の厳しい風土や、トンコリ(五弦琴)の澄んだ音色、アイヌの風俗が鮮やかに描き出されます。 金田一京介がその半生を「あいぬ物語」としてまとめた 山辺安之助の生涯を軸に描かれる、壮大にして胸に迫る書き下ろし長篇です。

樺太で生まれたアイヌ、ヤヨマネクフ。 開拓使たちに故郷を奪われ、集団移住を強いられたのちに、 天然痘やコレラの流行で妻や多くの友人たちを亡くした彼は、 やがて山辺安之助と名前を変え、ふたたび樺太に戻ることを志す。 一方、ブロニスワフ・ピウスツキは、リトアニアに生まれた。 彼が祖国とするポーランド・リトアニア共和国は、 三度に渡り国土を分割され、いつのまにか地図からその姿を消していた...


おすすめコメント

昨年、『天地に燦たり』で松本清張賞を受賞。新人らしからぬ壮大なスケールで選考委員からも大絶賛。ついに、最新作が発売となります。今回の舞台は樺太。前作を超えるスケールをお約束いたします。これほど濃い作品を書ける新人作家はおりません。是非ともご一読いただき、ご感想をお寄せください。よろしくお願い申し上げます。

昨年、『天地に燦たり』で松本清張賞を受賞。新人らしからぬ壮大なスケールで選考委員からも大絶賛。ついに、最新作が発売となります。今回の舞台は樺太。前作を超えるスケールをお約束いたします。これほど濃い作品を書ける新人作家はおりません。是非ともご一読いただき、ご感想をお寄せください。よろしくお願い申し上げます。


出版情報

発行形態 ハードカバー
ISBN 9784163910413
本体価格 ¥1,850 (JPY)

NetGalley会員レビュー

未開人と侮られ、「立派な日本人」になる教育を強いられてきたアイヌのヤヨマネクフ。
母語を禁じられ、ロシア人として生きることを強いられたポーランド人のブロニスワフ。
数多の理不尽にさらされ、自己を脅かされ続けてきた2人の葛藤や生きざまを読んでいると、今の時代や自分の環境がなんと恵まれているものかと思わずにはいられません。
淡々と紡がれているようで、根底にはタイトル通りの熱源をひたと感じる骨太な作品。

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ひとつの物語の中で、何人もの人生が絡み合って繋がりあって、読み終えたあとは何倍もの濃厚な人生を生き直したような感じもあった。
無主の地である樺太で、祖国と母語を失ってなお生きる力を得た者、1度は追われた故郷に戻り、文明に押し流され失われる伝統を守ろうと足掻く者。個人にとってのアイデンティティとは、故郷とは何か?
読む物にずっとずっと問いかけてくる、はっきりとした圧力のある物語だった。

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「宝島」を読んだとき作者が沖縄の人でないのが不思議だったが、今回もアイヌじゃないことが本当に不思議だ。

なんという壮大で熱い物語か。
カラフトから北海道へ、ポーランド、フランスへ、はたまた日本から南極まで。
あちらこちらを旅するように巡る話もだが、自身の立ち位置を見据える人たちが印象深い。それぞれが故郷を探している、ように思える。ぼんやり生きている私(純然たる日本人)には衝撃的だった。
一貫して教育の大切さ、同時に怖さをも訴える。
不安定な世情に反映したかのようなこの本は、自己を振り返り、前を向いて生きていく支えにもなると思える。

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近年の文芸作品を見ていると、スケールが小さい作品が増えたと感じる。「文明」という正義感を背負った、IT化の流れが小説界にも確実に浸透している。安易に答えを求める世界は、私たちから何を奪っていったのだろう。
舞台は、樺太(サハリン)。雄大な自然、壮大な物語。
その地で暮らすアイヌの人々を、史実に基づき、丹念に描き切った本作は、近年稀に見る「ホンモノ」の文学であり、2019年ナンバー1の傑作だった。
静寂の森、白い闇に響く琴の音。
これほどに美しい物語を、私は他に知らない。

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知らなかった日本の歴史。樺太アイヌの物語。
美しく荒涼とした北の大地で歴史に翻弄される人々が手を取り合い生きていく様が暖かかった。
どこに寄る辺を持つのか分からずにいる暮らしは私たち現代人も一緒かもしれない。

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ただそこに産まれ生きただけなのに、同化の圧力や、異化の疎外、蔑視などの困難にあいながら、自分とは何なのかを問い、人生を真摯に生きる者たちが生き生きと描かれていて、熱への渇望を感じずにはいられなかった。生きるとは一体どういうことなのかを考える。生きるための熱の源は人だ。人によって残され、未来へと繋がれていく。そして生まれたから生きていく。強弱も優劣もない。生まれたのなら生きていいはずだ。生きることは困難の連続。人生に迷いが生じた時、熱のあるほうへ、熱を感じられるほうへと選択をしていけたらいい。

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本の中には、今も涙を零す人がいる。
それは、故郷を去った悲しみ。アイデンティティを奪われた嘆きだ。
けれど、それ以上に輝き躍動する命がある。
嘆き悲しみながらも、前を向き命の炎を燃やす人々。
その姿に、とても心揺さぶられる。
偉大で勇敢な人々を突き動かした熱い塊。
その源は、私の中にもあるのだと、たしかに感じられる瞬間があった。

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あちらこちらにちりばめられたアイヌの祈りに込み上げるものを抑えきれなかった。滅びていい文明なんてない。お互いを尊重しあって高め合うことができるはずなのに、それをヤヨマネクフはしようとしているのに、日本政府の勝手な差別の醜さよ。知らないで済ませない、知ろうとすることの大切さ。たくさんの人に読んでほしい作品です。

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まず、装丁の良さに惹かれました。次に、時代と題材にも魅力を感じ読み始めました。
日本人と旧ソ連との間で、翻弄されるアイヌ民族。その民族の生き方に感銘を受けた方々、その心豊かな生活を守るために行動された様々な人たち、故郷を守るために立ち上がった主人公たちの熱源とは。日本人でありながら、北海道のこともアイヌ民族のことも、樺太のことも知らない自分が恥ずかしく思いました。
読み終えたとき、私はこの本が直木賞を受賞することを願っておりました。
そして、この素晴らしい民族のためにも世界平和を願いました。

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