その意図は見えなくて

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刊行日 2022/06/20 | 掲載終了日 2022/08/19

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内容紹介

選考委員、大倉崇裕・長岡弘樹・湊かなえ 各氏満場一致!

第42回小説推理新人賞受賞作収録のデビュー短編集


“僕たちの日常には、安楽椅子に座っていたら解決できないことがある”

負けられないあいつ、気になるあの子、気が付けば隣にいる彼……

名前がまだない感情に翻弄される高校生達が人間関係の「事件」の謎を解き明かす青春ミステリー!


・「その意図は見えなくて」(受賞作「見えない意図」改題)

……生徒会選挙で集まった白票が意味するもの


・「合っているけど、合っていない」

……陸上部の部室を荒らしたのは誰?


・「ルビコン川を渡る」

……部活の合宿で成績の悪い生徒が突然姿を消し――


・「その訳を知りたい」

……“それなり”に生きる私を必死にさせたのは?


・「真相は夕闇の中」

……何者でもない僕があいつの側にいつづける理由


(著者プロフィール)

藤つかさ(ふじ・つかさ)

兵庫県出身、大阪府在住。2020年に「見えない意図」(「その意図は見えなくて」に改題)で第42回小説推理新人賞を受賞。受賞作を含む短編集『その意図は見えなくて』でデビュー。

選考委員、大倉崇裕・長岡弘樹・湊かなえ 各氏満場一致!

第42回小説推理新人賞受賞作収録のデビュー短編集


“僕たちの日常には、安楽椅子に座っていたら解決できないことがある”

負けられないあいつ、気になるあの子、気が付けば隣にいる彼……

名前がまだない感情に翻弄される高校生達が人間関係の「事件」の謎を解き明かす青春ミステリー!


・「その意図は見えなくて」(受賞作「見えない意図」改題)

……生徒会選挙で集まっ...


出版社からの備考・コメント

※発売前作品のため、ネタバレや、読書メーターやブクログなど外部書評サイトで発売前にレビューを投稿することはお控えください。

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※営業...


出版情報

発行形態 ソフトカバー
ISBN 9784575245332
本体価格 ¥1,600 (JPY)

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NetGalley会員レビュー

生徒会選挙、部活、文化祭活動etc…。ありふれた高校生活の中で起きる”日常の謎”を扱った連作短編集。

本作では、陸上部に所属する男子高校生・清瀬をはじめ、どの作品でも高校生が探偵役を務める。
また、表題作の「その意図は見えなくて」、最終作「真相は夕闇の中」には清瀬以外にも探偵役が登場するのだが、その描き方には皮肉が込められているように見える。「その意図は見えなくて」の探偵役・鴻巣は推理を行うが、それは結局清瀬にコテンパンに潰されるし、「真相は夕闇の中」の探偵役・高比良は一応真相にはたどり着くが薄っぺらい人物ととして描かれている。

その理由がずっと気になっていたのだが、本作の最後のほうに清瀬の陸上部の先輩・佐竹が語る言葉にその答えがあった。「探偵みたいに、ただ推理をして自分の見たい結論だけを求めたわけじゃない。キミがしていたのは、落としどころをみつけることだよ。キミは人と人との摩擦を、どうしても見逃せない」(p255)
これが鴻巣や高比良には足りなかったのだ。
そして、この「清瀬の”推理”が向かう先がどこにあるのか?」ということは本書の重要なキーになっている。

「高校生が多数登場する作品にしては明るさがあまりなくて、どちらかというと、嫉妬とか自惚れとか人の負の感情に目が向く作品だな」と感じていたのだが、その訳も同時に腑に落ちた。

こういうアプローチのミステリは読んだことがなかったので、とても印象に残った。
次作も楽しみです。

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青春ミステリーといっていいのか、それとも若い登場人物たちの心情を深く描いていく、純文学的なミステリーといっていいのか、とにかく心揺さぶられるお話でした。
細かく書くとネタバレになるので控えますが、米澤穂信さんを彷彿とさせながら、
そうじゃない独自の世界観がしっかりと展開されていて、ぐいぐいひきつけられました。
これからの課題は、どれだけの読者を味方につけられるかということですが、
とりあえずは、この路線をしばらくは続けてほしいと思いました。

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あの頃のなんともいえない感情とかがあふれていた物語でした。思い起こせば気恥ずかしい感情もある。今思えばそんなことで世界は終わらないし そんなことで全能感を感じてもとかね。

 清瀬くんって淡々としてそうだなと読んでいけば そんなことなくて いいやつじゃんか。どうして 幼馴染のユウくんにそんなに心酔してるのかなと。もしやBL的なと思ってしまった私は腐ってるw それも なるほどと自分なりの解釈ができた。きっと中学時代のあの事件が根底にあるんだろうな。うまくできなかった自分。だけじゃなくて 加担してしまったようになってしまったこと。いい子じゃん。

 まっすぐで素直で真っ白で眩しい。そんな人は魅力的で憧れるとしても 自分がそうなりたいとかじゃなくて守ってあげたいのベクトルなんだろうね。でもすべての人がそうだったら世界は息苦しいよ。きっと。どんなに頑張ってもその時はくる。いくら自分が防波堤になろうとしてもね。だから清瀬君。君はがんばった。自分にできる範囲でがんばった。だからいいじゃんと言ってあげたいかな。

 この五編は 誰かが誰かを傷つけたりする意図ではない事件がおこっている。不思議な白紙投票事件、部室荒らし事件、合宿行方不明事件、中学ピアノ伴奏事件、段ボール箱紛失事件。(本当の副題はこんなじゃないです。あらすじを兼ねて書いてみました。) どの事件もほのぼのとまではいかないけれどもそれなりに不穏なんですけれども ひとつだけ 私が憤ったのは 伴奏事件。これはあかんです! なんだってこんな教師が教師としていられるんだ。どうしてこのままにしておくんだ。絶対絶対 厳罰に処してほしいよ。人生狂わされたんだよ・・・。終わったことだからいいの?そうじゃないよ。罪に問われなくても 公表してほしいよ。証拠はないかもだけどもさ~ ずっとそのことを後悔して人生を楽しめなければいいのにと思いました。

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黙して調整役を担う人は、今、真のヒーローだと思う。
キャラが立っていることとか、個性とか、そんなものがまるでイチバン大事みたいに扱われることにはもう辟易としている。
だからこの本は、本当におもしろかった。見逃されがちな真のヒーローに光があたって、嬉しかった。

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高校生達が謎を解き明かしていく、青春ミステリー。青春といってもキラキラした青春ではなく、青春真っ只中だからこそあるドロドロとした部分がみえる面白い作品でした!
なぜそんな事が起きたのか事件の中の真実、謎を解き明かした後の結末、その結末から繋がる未来の為への結末。複雑に絡み合っていて読んでいてとても楽しかったです。
登場人物達も魅力的で、特にはじめから名前は出ているけど出てこないユウくんはめちゃくちゃ気になりました。
全体を通して読みやすく、一気に読んでしまいました!
こういう青春物語もいいですね。少し自分の高校時代も思い出しました。
面白い作品をありがとうございました!

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いわゆる「日常の謎を扱う連作学園ミステリー」なのだけど、そう思って読み始めると、いい意味で期待を裏切られる。
ミステリーとしては薄味で、青春小説要素が強い。主要な登場人物たちの高校生ならではの潔癖さとか、不器用で真っ直ぐすぎる悩みとか、その切り取られ方がとてもリアルで、小説全体を覆う清涼感がとても魅力的。
自分が高校生の頃も、確かにキラキラしてばかりじゃなかった。大人の目から見たら些細なことを、馬鹿正直に悩んでいた。そんな、あの時期だけの独特な空気を閉じ込めることに成功した小説だと思う。私はすごく好きでした。

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これはなんだかモヤッとする。いい意味で。高校生を主な登場人物とした日常の謎を解く短編連作。各章の視点が変わったりするけど、だいたい物語の中心になっているのは清瀬。能ある鷹の典型のような人物で、彼のそのあり方に歯痒い思いをしている登場人物もちらほら。特に佐竹先輩。登場人物の多くが、その立ち位置を定められていない感じがしたり、事件の当事者や犯人が明確に何かを語る場面がないこともあったりして、モヤッとするけど、読者にゆだねられている部分でいろいろと想像するのは楽しいし、読んだ人同士で感想を言い合うのもいいかも。

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高校生活の日常を切り取って謎を仕掛ける。連作短編でどの作品もひねりが効いていて面白い。
今どきの高校生あるあるも取り入れながら、信頼していた人に裏切られても大人な対応の女子生徒が
かっこよく描かれていたり、誰かを守るために奔走する男子生徒の優しさに胸を打たれたり・・・。
謎解きを堪能しつつ、高校生の友情や絆の強さに深く心を動かされた。

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表面だけ見て自分が納得したらそれで満足する人もいれば、その後を引き受けようとする人もいる。謎が解けたら全てが解決するわけじゃない。
事件を起こした人が何を思ってそうしたのか、どうしたかったのか。物語は簡単には終わらない。

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思春期特有の言葉では言い表しにくいもやもやを抱えた高校生たちの青春群像劇であり、日常にひっそりと存在するミステリーも堪能できる連作短編集。
主人公の清瀬は黒子のように目立たないんだけど、しっかり周りを観察していて、事件までにはならなくても“もやっ”っとさせる疑問や出来事のこんがらがった糸をほどいてくれる。
人と関わるのがあまり得意ではないのかな、と思わせるような面もあるけど、根底にある他者への優しさが感じられて、読めば読むほど良い奴じゃんと思わせる、なかなかな人物。
清瀬が心から信頼しているユウはまっさらで無垢で真っ直ぐな優しさに溢れていて、近くにいたら好きにならずにはいられないし、眩しくて仕方ない。
同級生幼なじみのちなつはユウに助けられた事もあって、ユウ熱狂的支持者。清瀬には辛口。
1つ年上の幼なじみの佐竹先輩はなにかと清瀬に絡んでくる、世渡り上手感が滲み出るバランス型才女。
そんな彼らの、何者にもなれてしまう可能性をたくさん秘めた、若者たちの眩しくも儘ならない日々を懐かしく感じつつ、夢中で読ませて頂きました。ありがとうございます!

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高校生の日常のなかで起こる不可解な出来事。謎ともいえないくらい些細な出来事のなかで彼らの行動や思考がそれなりにリアルで中学生勧められる勧められます。
同じメンバーが立場を変えて登場してくるところも、読んでる側も彼らのメンバーの一員になったように感じられ自然と作中に入り込めるので読みやすいと思いました。

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高校生でこれだと、将来が空恐ろしいよ…!清瀬くん!珍奇な謎を静かに解いたり、周囲の人物観察の鋭さと言ったら、、それはもう誰も敵わない。不思議と清瀬くんには人間味はあまり感じなくて、それは清瀬を通した視点で登場するユウもそう。やはり、1番気になったのは佐竹さん。後半、びっくりする活躍?!した時には、このまま終わるわけないとの予想が見事的中。そして普通ならこうはならないはずが、あんな風に、、どうしてそうなる?と王道で落ち着かせてくれない作風もミステリ好きとしては気になってしょうがない。とりあえず続編大希望です。

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高校生たちが日常にひそむ謎を解決していく話です。ただ日常ミステリというには青春色も濃く、彼らの悩みにも焦点が当てられているのが魅力のひとつです。
中心となるのは清瀬という高校生。そして彼の言葉に度々出てくる親友「ユウ」の存在。
彼らの物語を最後まで読んで初めて「安楽椅子に座っていたら解決できないことがある」の意味がわかります。

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学園ものミステリと聞くと、ハイテンションな会話劇や、イケメンの探偵役を思い浮かべるが、そういった事はない。地に足がついたリアルな学園ものミステリだった。

そうそう、高校生って、本当はこんな感じなんだよね。と思わせるローテンションな日々はすごく読み心地がいい。

謎解きはあるが、謎解きだけじゃない。
物語として強く訴えかけてくるのは、色んな人間が抱えているドラマである。日常の謎が暴かれた後、その後を生きる人たちの事をこんなにも考えるのは初めてだった。

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陸上部に所属する男子高校生・清瀬をはじめとした男女が日常に起こった謎をとく連作短編集。青春ものの日常系ミステリーといえるが、彼らの心情の変化や成長を感じられる描き方がされ、ライトな印象は受けない。米澤穂信さんの氷菓シリーズや「本と鍵の季節」が好きな人にはおすすめできる。全体を通してキーパーソンとなっている清瀬はもちろん、ユウも魅力的な人物で、ぜひシリーズ化してほしい!

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序章を読んだけだと面白さは伝わって来ない。
読み進めていくと連作なのが分かり、それぞれのキャラクターの性格が少しずつ明らかになっていく。
ただの推理小説とは思う勿れ。
真相は明らかにはなるけどお咎め無しだったりもするのでそれで解決したの?
ってなるモヤモヤ感もあったり
作中の世界線の中ではずっと中心にいるのに全然姿が出てこない気になる登場人物もいたりして。
陰の立役者として物語の中心人物となる清瀬くんは見る人によって性格が違う。
凡人である自分がしていることはなんなんだろう、偽善なのだろうかと悩める清瀬くんにかけた先輩の言葉に私も助けられた。
高校時代は何かと色々と揺れる年頃でもある。
読む度に違った感想が出てくる本だと思う。

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高校を舞台に、日常の謎を絡めて描く5つの連作短編。
幼馴染の天才スプリンター・ユウへの主人公・清瀬の複雑な思いが終始描かれ、そこに陸上部の先輩・佐竹優希も絡んできて、青くてヒリヒリとした青春の痛みを感じさせる青春群像劇に仕上がっている。

自己評価がすこぶる低い清瀬には次第にイライラしてくるものの、優希に諭され自分を少し肯定できるようになるラストに感動。
米澤穂信の古典部的なシリーズものになってくれるといいな〜。

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タイトルと表紙の絵から、学校を舞台にどんなストーリーが展開されるのだろうか、と期待して読んだ。

高校の陸上部員2年の清瀬がメインとなって、生徒会選挙や部室で起こった事件などの謎解きをしていく。
清瀬は、自分自身を部活でも勉強でも目立つことのない地味な普通の生徒だと評しているが、その冷静さと客観的な洞察力は、見る目のある者には一目置かれているようだ。
その見る目のある者というのが、部活の先輩で保育園から一緒の佐竹。
佐竹がメインとなる章もある。

2人それぞれの視点で語られる、文化祭や部活を共にする生徒達の像がリアルで、確かにこういうヤツいたな(現在形の読者も多いだろうが)と、その物語の状況を立体的に立ち上がらせてくれる。

今時の高校生はこんなに大人なんだろうか…とも感じた。

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大きな事件が起こるわけではないが、日々の些細な違和感には人それぞれの事情があり、その視点が面白い。タイトル通り出来事の意図を探ってみると、日常が物語となり、もっと楽しくなるのかもしれない。登場人物も魅力的に描かれていて、10代のみずみずしい現場感を感じることができた。

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高校生の日常の中で起こった「事件」を生徒達が推理し合い、謎を解き明かしていくミステリー。

清瀬くんとユウくんがなかなかいいキャラクター。
爽やか青春じゃなくて、そんなことまで考えてるんだ…と、高校生時代ならではの鬱々とした部分も描かれていたりして、面白かった。

仲の良いいつもの仲間で推理し合う、というミステリーとしては、石持浅海さんを思い出した。

デビュー作品っていうだけで初々しくて嬉しくなる。これからが楽しみな作家さん。

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高校生の日常を綴った連作ミステリ、と単純に括ってしまっては勿体ない。登場人物を重ね、視点を変えながら連作として綴られるそれはもちろんミステリとしても楽しめるが、高校生の彼らの言動に心を鷲掴みにされる。人はどこで自分が凡人だとかそつのない人間だとか、人を動かせる人間だとか気づくのだろう、そんなことも考えた。普段読んでいるミステリはたとえ日常の謎であっても、真相が究明されれば終わりなのかもしれない。しかし、高校生である彼らはクローズドサークルに招待された見知らぬ人々とは違うのだ。どんな真相であろうともその後の生活は同一線上を続いていく。リアルな高校生活が私の目の前に一気に戻ってきた。これがデビュー作とのこと、今後の作品も楽しみだ。

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共通して出てくる探偵役に近い存在である少年の気持ちがあまり変動しないことで、よりその周囲の人の心の動きが際立っている様に感じました。そしてまた、変動しないその奥で、少年が感じているだろうことを、周囲の人の視点から見ることは、この物語の奥に手を伸ばせているように感じさせられました。謎を追っていく、ミステリーとしての面白さはもちろんのこと、登場人物たちの関係性に興味を魅かれ、ぜひ彼らのほかの話も見てみたいと思いました。

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高校での、卒業した中学での人間関係による事件を生徒たちが解決していく、学園ミステリーになります。誰もなくなったり、怪我することもありませんが。
 解いても、解いても真相には辿り着けなくて。
 登場人物たちの心情の描き方も新鮮。文化祭や陸上部での出来事といえば爽やかなイメージですが、彼らの見た目と裏腹で自分の心の中で戦っている様子が薄暗く、現実に沿っている感じです。
 この作品がデビュー作⁉︎ 今後が楽しみです。

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5編の連作短編集。出てくる謎は小さな事件からハプニング程度のものまで誰の日常にもありそうなもの。謎を解くというより、落としどころを見つけてその先を見る。
ただの高校生たちが自身の存在を手探りで掴もうともがくような、熱くて痛くて残酷で清爽な物語。キラキラとしていて、時に息苦しい十代の空気感がたまらない。
最近、探偵の意義や在り方にフォーカスする作品は多いけれど、今作はそこに真っ向から挑んでいる印象。物語は探偵が謎を解けば終わってしまうけれど、現実はその先も続いていく。ならば探偵(役)はどうすべきなのか。そう、帯の通り「安楽椅子に座っていたら解決できないことがある」のだ。
ミステリをパズルや知的遊戯とせず、うまく日常に置いた作品。デビュー短編集にして本当にすばらしいリーダビリティで、早くも次作が待ち遠しい。

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日常系学園ミステリ。陸上部のメンバーが主な登場人物だが、短編ごとに主人公が交代、視点が入れ替わる。とにかく一編ごとに、あの登場人物の「彼」がいつ登場するのか気になって、ページをめくる手が止まらない。探偵役の彼の諦めのような静かな佇まいがとても魅力的。そして、ヒーローの「彼」を支える探偵という立ち位置。ラストの一話に満を持して登場した「彼」、期待を裏切らない!
シリーズ化を強く望む。

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探偵は、謎を解くだけでは誰も救わないのではないか。そんな虚しさを内包しつつ、『何者かになりたい』『何者かに見られたい』そんな永遠に続く青春の問いに意識が潜り込んで行きます。
高校という閉じられた空間で、「日常の謎」に迫るミステリだけに終わらず、謎を解いたその先を見据える若々しい力を感じました。
どんなに理論を並べ立てても、議論を交わしても、ひとつの実直な行動に勝るものはないと教えてくれる一冊です。

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日常起こり得そうな出来事に巻き込まれて、その謎を解決していくのですが、清瀬君は普通の人みたいなのに、器用に立ち回ろうとしていて、ユウ君との関係性を大事にしていそうなのに、肝心のユウ君がほぼ出てこないので、ユウ君、君は何者?というところから物語を始めてくれないと、結局何が何だか分からないかも?コンセプトは独創的で魅力あるので、続編出たら真っ先に読みたいです

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人間関係に悩んだり周囲と比べたり、将来に思い悩んだりしがちな高校生たち。そんな彼らの悩みに向き合う姿を日常の謎と絡めて描いてゆく群像劇で、なかなかほろ苦い展開もあったりしましたが、そんな彼らが乗り越えた先に見出した答えがなかなか印象的な物語でした。

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単なる「青春ミステリー」ではなく、自分が中高生だったときのイライラ、モヤモヤ、甘酸っぱい気持ちや自意識過剰だったことなどを思い出させてくれた作品でした。小説に出てきたような事件は起こらなかったし、あんなに頭の回る子は周りにいなかったけど、人間関係は色々あったし面倒くさいことも今よりたくさんあった気がする。私が思うにSNSが発達したことで、今の学生たちはあの頃よりも生きづらそうで、でも楽しいことも多そうで、羨ましいようなでも戻りたくはないような…
毎回主人公が変わる連続ドラマのような感じで楽しめました。

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学園ミステリーなんだけれど、ただの青春系とはなんだかちょっと違う印象を持った。途中で章ごとに主人公が変わり、この本の中心人物である「清瀬」がだんだんと浮き出てくる。”探偵”によってそれぞれ異なるトリックが考えられるのも面白かった。

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