内角のわたし

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刊行日 2023/03/23 | 掲載終了日 2023/07/17

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内容紹介

わたしの中の、リアルな「わたしたち」会議


歯科助手のアルバイトをしている森は、社会が望む女性像に擬態して生きている。

愛され守られていたい、

自立し強くありたい、

無関心で平穏に過ごしたい――


内側にあるいくつもの声に引き裂かれながら、自分を見失っていく森は、仕事が終わるとゲームの世界に逃げ込むのが常がだった。

ある日、新しく職場に入ってきた男の子が同じゲームをしていることがわかり、彼とゲーム内で「友達」になるが……。

可愛いに囚われ、強さに縛られ、諦めに蝕まれ、その先で彼女が目にするものとは――?

一人の女性が見つめる世界の歪みを克明に描いた渾身の長編。


【著者プロフィール】

伊藤朱里 (いとうあかり)

1986年生まれ、静岡県出身。2015年、「変わらざる喜び」で第31回太宰治賞を受賞。同作を改題した『名前も呼べない』でデビュー。他の著書に『緑の花と赤い芝生』『きみはだれかのどうでもいい人』『ピンク色なんかこわくない』がある。

わたしの中の、リアルな「わたしたち」会議


歯科助手のアルバイトをしている森は、社会が望む女性像に擬態して生きている。

愛され守られていたい、

自立し強くありたい、

無関心で平穏に過ごしたい――


内側にあるいくつもの声に引き裂かれながら、自分を見失っていく森は、仕事が終わるとゲームの世界に逃げ込むのが常がだった。

ある日、新しく職場に入ってきた男の子が同じゲームをしていることがわかり、彼とゲ...


出版社からの備考・コメント

※発売前作品のため、ネタバレや、読書メーターやブクログなど外部書評サイトで発売前にレビューを投稿することはお控えください。

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出版情報

発行形態 ソフトカバー
ISBN 9784575246148
本体価格 ¥1,600 (JPY)
ページ数 200

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NetGalley会員レビュー

伊藤さんの作品は『きみはだれかのどうでもいい人』が刺さり、それ以来読んでいるが、読後感は重くひりひりした思いが残る。

今作『内角のわたし』も、この感じ分かる、こういう人いるよねと頷きながら読んでいた。でも最後に残るのはやはりひりひりした思いだった。
主人公の内側にある感情が互いにぶつかり合う。
ゲームでは正三角形の形を愛でるのに、それぞれの感情は時に尖りパワーバランスも変わる。自分が定まらないとき、いつだって自分の内側では感情が揺れ、誰でも自分の内側の様々な声に戸惑うことがあるだろう。その自分のなかの感情が、個性ある声として描かれているので脳内会議の騒がしさが伝わる。

主人公の過去は誰かと共有できるものなのだろうか。
繊細な感情をよく言語化したなと思う。
読後に残るひりひり感は、私自身の内側にいる何人もの自分の感情を揺さぶられたからだろう。

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サインとコサインとタンジェント、内なる自分の声が三人分の感じ方や考え方で脳内がいっぱいになる状況に始終支配されている歯科助手の森さん。
女性であるというだけで弱々しいと受け取られ、威圧されたり、はけ口にされたりする一方で、若くはない自分が「かわいいもの」を好み、気持ちの中に「守られたい」意識があることも自覚している。歯科医院の院長が圧倒的男性の立場で接してくる描写には、今どき、こんな男まだいたのか! とも思ったが、「すべての加害者には自覚がないものです」には心の底から同意しました。そして、ひどい連中ほど、ふつうの顔をしている。
弱い(外見の)人間は標的にされやすい。標的にされたとき、その怒りの矛先を向ける相手は弱そうに見える人とは…。そうやって生きていくしかないんだよなあ。

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サイン、コサイン、タンジェント。歯科医でアルバイトをしている森ちゃん。その頭の中でこの3人が常に存在していて共に会話をし、時に3人の内の誰かが実世界で仕事をしている。三角形の内角が本当の森ちゃんなのか、どうなのか。森ちゃんは女性だからこその嫌な経験や出来事に敏感になっていて、常にびくびくしながら生きている。そしてプライベートではスマホアプリの農場作りにひたすら時間を費やしている。そういうアプリに私も短い一時はまった事があり、その気持ちも分かるしで、森ちゃんが一体どうなっていくのか、まるで妹を見守るような気持ち。途中から登場する歯医者の甥が、同じゲームをやっていることから、物語は少し新たな展開を見せるのだが...。誰が助けてくれるわけでもなく、誰が正解を出してくれる訳でもない。そして森ちゃんは、新しい一歩を踏み出していくのだ。一時消えたタンジェント、そしてサイン、コサイン、つまりは自分自身と共に。

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サインコサインタンジェント。
数学嫌いは聞くだけで嫌になる。
そんなものに例えた不思議な関係の3人。その3人の会話が頭の中で賑やかに繰り広げられる。
ゲームの世界も並行して話が進み、はじめはちょっと、この本の内容がよく分からなかった。
でも、
「見られているからには、保ちつづけなければならない」このセリフ、すごく分かります!共感。人からどう思われるか気にして本当の自分を出せない時がある。誰かと繋がれば、それだけ誰かから見られていると感じる。まさに自分の内角にせめていってしまう。
「たった一度の人生だから、できるかぎり笑って過ごしたい」本当に単純な望みなのに叶わない。でもそこに打ち勝ったあの日の主人公。あのシーンもお気に入りです。

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頭の中にたくさんの言葉と思いがあっても、それを口に出して誰かに伝えたりはしない。考えて考えて、何もしない。今まで通り本心は隠したまま、大抵の人が選びそうだと思う方へ進む。その方が安全だから。
正しい答えはなんだろう。知りたいけど自分で考えたくない、決めたくない。変わるのはこわいし面倒だ。
自分がどうしたいかは、自分で決めればいいはずなのに、ぐるぐるぐるぐる。
主人公はこれからどこへ行くのだろう。考えて考えて、何を見つけるのだろう。

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自分の中に3人の自分がいて
ひとつの物事にも自分ひとりの考え方ではないと
思うくらい、正反対の気持ちが自分の中にある
ので、この本を読んだときに
とても共感しました
でもそれはどれも本当の自分で
外から見たら箱に入れられているひとつに
見えるという考え方表現の仕方が
斬新でとても新鮮に頭に入ってきた

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歯科医院で働くわたし、森ちゃんの中にはサインコサインタンジェントの3人のわたしがいる。ある日患者からいやがらせを受けたわたしは「新人くん」から言葉をかけられたのをきっかけに2人で会うようになる。ひきこもり経験のある「新人くん」との話しは共感できるが、何かが違う。わたしが女だから?

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自分の内なる三人のせめぎ合いが痛々しくも切実で、現実に立ち尽くす無力感が全編を覆う。歯科助手のバイト先でのやりきれない森の気持ち。患者も同僚も、どうにもなじめないし、求められる「女」像に辟易。なのに、かわいいものが好き、守られたいという気持ちの矛盾に苛立つ。生きづらい、はけ口のない日々に現れたバイトの新人くんと話すようになって、突破口が見えたかに思えたのも幻想。傷つく自分に振り回されてしまう。自分らしくあることの難しさに、自傷的な内面の葛藤。引き裂かれそうなメンタルを俯瞰するのは自虐か。けれども内角の三人の声を聞きながら一歩を出すのだ。

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歯科医院で働く主人公。読み始めから『何やら複雑でしんどそうな主人公だな』と思った。彼女の内には3人が存在しているのだから。読み進めていくうちに私自身も辛くなってきた。信じたくない事だが主人公と自分が似てる部分がある。常々『生き辛い』と感じていたが何故だかは不明だった。その答えを突き付けられた感じ。答えがわかった喜びはなく、むしろ驚愕に近い。人は自分が思っているよりも複雑なんだと知るのはショックに近い。一方で『自分だけじゃない』という安堵もある。読み手によっては衝撃的な作品なのではないか。

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かわいいもの好きのサイン、毒舌家のコサイン、なぜか関西弁でことなかれ主義のタンジェント。歯科医院で働く主人公森ちゃんの本心たち。ジェンダーバイアスに生きづらさを感じながら社会生活を営むわたし。だれにも従わず、だれのせいにもせずにどう生きたらよいのか。考えるのをやめたらダメだ。どうしたいのか、自分の意思を尊重して生きていく。そのことに最後まで覚悟が決まらず及び腰の主人公だからこそ今リアルな物語だった。

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歯科医助手のアルバイトをしているヒロイン・森の心の中には気弱で状況に合わせるサイン、強気で毒舌を吐き否定するコサイン、ぶつかる二つの意見をまあまあと調停するタンジェントの3つの人格がいてどんな状況にも対処します。本書の良さは、この3つの人格のやり取りが、まるで掛け合いのトリオ漫才みたいな抱腹絶倒の面白さがある点で、多重人格者からイメージされる暗さが全くない事ですね。中年の院長と「直線」「曲線」の性格が真逆で険悪な仲の女性の先輩二人と大学生男子「新人くん」達と過す毎日で家ではスマホの農場ゲームに没頭します。本書は単なる冗談小説ではなく真面目な部分もあるのですが、とにかく型破りで予定調和のハッピーエンドとは無縁のストーリー展開で常に予想を裏切られる読み心地ですよ。ヒロイン・森の最後に選んだ道は賛否両論の意見があるだろうとは思いますが、まあ全てが未だ人生の道の途中という事で私は彼女を応援してあげたいですね。未だかつてない異色の若い女性の人生の物語には笑いだけでなく今を生きる若い女性にとって参考になる大切な教訓が多々あるかと思いますので、ぜひ一読をお奨めしますね。

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