休館日の彼女たち

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刊行日 2023/03/16 | 掲載終了日 2023/03/29

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内容紹介

デビュー作が14か国で翻訳! 世界が注目する新人作家、待望の2作目

 太宰治賞受賞作にしてデビュー作『空芯手帳』が世界中で注目されている八木詠美。ニューヨーク・タイムズ、ニューヨーカー、ニューヨーク公共図書館のオススメ本に取り上げられています。英語以外にもドイツ語、フランス語、スペイン語、イタリア語、中国語、韓国語、フィンランド語、ポーランド語、デンマーク語、インドネシア語などの翻訳が刊行・進行中です。いま注目すべき新鋭作家の待望の第2作目です。

【あらすじ】

算数で「平行」を習ったときから、ひとには見えない黄色いレインコートに身をつつむことになったホラウチリカ。ある日、大学の恩師から紹介された仕事は古代ローマの女神像のおしゃべり相手だった――。

 誰もがコミュニケーション不全を抱える世界で、有機物と無機物の境界すら越えて、わたしとヴィーナスは手に手を取り合い駆け出していく。

新しい関係性の扉をひらく無敵のシスターフッド小説!

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【著者プロフィール】

八木詠美(やぎ・えみ)

1988年長野県生まれ。東京都在住。早稲田大学文化構想学部卒業。2020年、「空芯手帳」で第36回太宰治賞を受賞。同作は現在世界14カ国語で翻訳が進行しており、2022年8月に刊行された英語版は発売まもなく増刷し、ニューヨーク・タイムズの今年の収穫に取り上げられるなど話題となった。

デビュー作が14か国で翻訳! 世界が注目する新人作家、待望の2作目

 太宰治賞受賞作にしてデビュー作『空芯手帳』が世界中で注目されている八木詠美。ニューヨーク・タイムズ、ニューヨーカー、ニューヨーク公共図書館のオススメ本に取り上げられています。英語以外にもドイツ語、フランス語、スペイン語、イタリア語、中国語、韓国語、フィンランド語、ポーランド語、デンマーク語、インドネシア語などの翻訳が刊行・進行...


出版社からの備考・コメント

今回アップしたデータは校了前のものです。刊行時には内容が異なる場合があります。ご了承ください。

今回アップしたデータは校了前のものです。刊行時には内容が異なる場合があります。ご了承ください。


出版情報

発行形態 ハードカバー
ISBN 9784480805102
本体価格 ¥1,400 (JPY)
ページ数 160

閲覧オプション

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NetGalley会員レビュー

めちゃくちゃ面白かったです!そしてすごく好きです!!新しいコミュニケーションの形というか、新しい愛の形を魅せていただきました。美しい彫刻とラテン語でお話しすることが出来れば、心を通わすことが出来れば…!ロマンチックで憧れます。
そして自分でも気付かないうちにレインコートや耳当て、マスクなどで自身を守る人々の存在に、きっと私もなにかを纏って生きているんだろうなぁと感じました。
ラストもすごく好きで、わくわくする未来しか想像できません。
すごく自分好みの作品でした!素晴らしい作品をありがとうございました!

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落ち着いた美術館で彫像とお話ができるなんて夢のまた夢、を味わうことができて本当に楽しかったです。著者さんは本作が二作目ということですが「すごい人がまた出てきた」というのが率直な感想です。

不自由さを身に纏っているのは自分だけ、それに合わせて生きているし生きていくと思っていた女の子たち。彼女たちの友情と愛情ができるかぎり続きますように。

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先日こちらで読ませていただいだ『空芯手帳』がとても面白かったので、新作楽しみにしていました。

主人公ホラウチリカはコミュ症で、他人と上手く言葉が交わせない。しかし恩師から紹介されたアルバイト先では女神と積極的に言葉を交わすようになる。しかもラテン語で。
ホラウチリカはいつも黄色いレインコートを纏っている。黄色いコートはなぜか時々現れて彼女にまとわりつく。そして他人との距離をその一枚が隔てていった。誰しも何かをまとっている。それは何かを隠すため、誰かとの距離を開けるため、自分を守るため色んな理由がある。
だからこそ、なにもまとわない女神との会話から彼女が変化していく様子がとても面白かった。

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なにこれ?
一行目からもうすでに面白い!
黄色いレインコート、私には見えてないだけで纏っている人はたくさんいるのだろう。
そしてこの本を読んだら無性に女神に会いたくなり美術館に行って来ました!(絵画しかなかったですが、、、)
でもやっぱり休館日じゃないと女神はすまし顔でポーズをとっているだけかしら?

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リクエスト承認ありがとうございました。予想外のラストでした。石像とのラテン語の会話、ひとに見えない黄色のレインコートとくれば、なんとなくふんわり悲しいか、なんとなくふんわり無かったことになるか、そういう終わり方の中に淡いなにかを読み取らなければならないだろうなと思っていました。まさか力技で自由を手に入れ、愛し合うもの?たちが手に手?をとって世界に旅立つなんて。予想外で、とても嬉しく思いました。

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最初は状況を把握できなかった。女神?大理石?ラテン語?アルバイト?
でも、それを文字通りに受け入れられた時、物語は生き生きと動き始めた。ラテン語を話す大理石の美しき彫刻「ヴィーナス」。その相手をするアルバイトのホーラ。二千年も在りつづけた存在とモータルな存在の、非現実的で哲学的でユーモアをも漂わせるやり取り、それを追っていく楽しみ。
更にホーラと「黄色いレインコート」。その関係が新たな非現実感を引き起こした。彼女の心の有り様が呼んだのか?苦しめかつ守るのか?
2人の会話に生活感が浮き出てくるにつれ、ホーラの実生活も変わっていく。レインコートだけはそのままで。それがひたすら悲しい。
そしてありうるはずのない、めくるめく一線を2人が超えた時、物語は三角関係へと加速していくとは。更に分厚くなるレインコートの中、受け身ばかりだったホーラの毅然たる行動に唖然とした。でもこれは、2人が話し始めた時からの運命だったのだろう。そして、レインコートもその役目を果たすとは。
イモータルとモータル。決して添い遂げられない2人。でも、今がある。さらに、もう一つの声。2人を繋ぐ黄色からの声がある。だから、きっと進んでいけるだろう。信じる。

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人とうまくコミュニケーションがとれないホラウチリカがラテン語で古代ローマの女神像のおしゃべり相手のバイトを始める。
先ずはこのシュールさ満載の設定をどう受け止めるかどうかで物語の味わい方が違うと思う。
あの『空芯手帳』で私の心を鷲掴みにした八木詠美さんの物語だもの。
どっぽんと身を委ねて飛び込むがいい。
彼女の生きづらさや不自由さを黄色いレインコートを着ていることで表現する凄さ。
それは、レインコートに限らず人によっては様々なもの。
もしかしたら私も身につけているんじゃないかしらね。
一見ネガティブに思えていた身を包むものを
自らを守るために役立てる瞬間は巧いなと唸った。
どこにも行けないヴィーナスと
ホーラ(ホラウチリカ)の決断とは?
ラストはなんだか、私までワクワクしてきた。

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ラテン語の指導教授から紹介されたアルバイトは博物館が休館日の月曜日に彫刻であるヴィーナスの話し相手になること。

彼女の言葉はどこまでも優しく、同時に有無を言わせぬ暴力性をもって私のこころのくぼみに絡み付く。

美しく奪われるだけの存在である彼女を救うために『ホーラ』はある計画を立てる。

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まさに純文学作品。
表現の仕方がとても美しく、流れるような世界観に引き込まれていきました。

他人には見えない黄色いレインコートを身に纏い、他人とのコミュニケーションに
壁を作るホラウチリカ。
時に不自由さを感じつつも、何かに守られているという安心感。
誰もがそれぞれ身に纏っているのでしょう。
私は一体何を纏っているのか考えてみる。

人間と彫刻、有機物と無機物、限りある命と永遠の命。
相反する存在、決して交わることのない「平行」。
…のはずが。

彫刻ヴィーナスとのかかわりで少しずつ、ヴェールを脱いでいくリカ。
人は変われるのだと教えてくれる。

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独特の世界。言葉の繋ぎ方がキレイ。表現や雰囲気ほふわふわとして美しさもあるけれど、人物ほまたしても不思議な存在。一般ではない、ありふれていないこの交わらない人を描くのが得意なようで、常と違うところは面白い。

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最初から不思議な空間に引き込まれた感じになりました!
読み進めていっても、まだまだ不思議な空間に居る感じなんですが、それがだんだんと心地良くなってきました。
現実を書いてあるようで、なんか境い目を行ったり来たりしているようで、この世界観がすごく私の好みです。
ラストもステキで、ハッピーエンドは難しいかな?との予想を覆すとってもわくわくする終わり方で、良かったです!
ありがとうございました。

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どこまで行っても交わることない「平行」を学んだ時から現れた黄色いレインコート。これって他者との関わり方や生きづらさから自身を守るための存在なのかと思いきや、重度の汗疹には苦しむし時には裾につまづいて転倒するし鎧としては心許ないばかりか不都合の方が多いみたい。でもなければ困るもの。
何かに導かれるように学び習得したラテン語での日常会話。その後の出会いのために必須だったスキル。もう運命だったのかも。淡々と過ぎていく日々にただ身を任せて傷つかないように生きていた主人公が突然暴力的とも言えるくらいの大胆な行動にでて、そしてラストの素晴らしい未来しか想像できないようなシーン。もうあのレインコートは存在しなくなってるのかな?
もっと掴みどころなく終わってしまうのかと想像してたからこのラストはすごく良かったです

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文章の美しさと独特な感覚の表現で、長い長い詩を読んだよう。
無機質な博物館、冷凍庫の職場、誰も渡ってこない橋のこちら側のアパート。一見寒々とした舞台に息づく人々は、案外人間臭くて、現代社会そのものが描かれていた。
フード付きの黄色いレインコートの厚みが増すほどに、彼女の心の柔らかさと鋭敏さが浮き彫りになる。私は何を身につけてる?周囲の人たちは?と、考えずにはいられない。
読み始めには想像できない爽やかな読後感にやられた。

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コミュニケーションが不得意な彼女が、「博物館で彫刻と会話をする」アルバイトを通し少しづつ変化していく話でした。
「彫刻家と会話をする」「彫刻が話す、しかもラテン語で」全く新しいコミュニケーションの形が彼女の世界では日常と化していく過程が非常に面白かったです。
彼女の心の殻を「レインコート」で表現するのが素敵でした。湿気がこもるレインコート、雨から守ってくれるはずなのになぜか苦しめられてしまうレインコート。多くの人が想像できるけど、それを日常的につける苦しさはきっと理解できない、わかるけど本質は伝わらないコミュニケーションの複雑さが伝わってきます。
主人公を通して世界を魅せるのがとても上手で、読んでる時と読み終わった後ではなんだか違う世界にいたような気がしました。読中は、不思議な世界が広がっているのにまるでそれが当然の世界であるように感じてくるんです、一度だけじゃ満足できない病みつきになる感覚がおすすめです。
誰もがどこかで感じる世界の息苦しさ、そんな中でも自分なりの愛と自由を求めてしまう。精一杯生きるってこういうことだなと思わされる優しい本です。

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『空芯手帳』で注目していた作家さんの新作、凄いです、夢中で読みました。
週1回のバイト先の博物館で女神と出会ったホラウチリカ。
与えられた仕事は、ビーナスとのラテン語での会話。
この設定が個性的。
博物館の展示作品であるビーナス=閉鎖空間に留まることしかできない女性。
そこに毎週通ううちに芽生えた二人の友情と呼ぶには深いつながり。
女性の解放、最近は死語ですが、未だに不自由な思いをしている人は多いはず。
劣化を理由に、ビーナスを閉じ込めておきたいハシバミとの対立と、博物館からビーナスを持ち出す場面が最高でした。
自立への道を探るビーナス。
「そうね、動画配信でもしてみようかしら。世界の美術館にいるラテン語ネイティブたちや、ラテン語が必修の中高生に向けて、動画を編集できる指があれば」。
ビーナスとホーラペア、最強です!

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とても不思議な感覚の世界。
大理石のビーナス像と、ラテン語を話せるアルバイトの女性、そして博物館の学芸員の男性。女性の住むアパートの大家や、勤め先の社員。登場人物は少ない。けど、存在感のある人たち。ラテン語は、すでに話す人のいない言葉。それを話せるということは、それだけで稀有な存在と言える。

静謐で、不思議な世界観のまま、物語は進んでいき、150ページほどの中編なのに、十分に読ませてくれる作品。
ラスト、現実感を帯びてきて、光がさしてきたような気がした。

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他の人には見えない、黄色いレインコートで守られたホラウチリカ。ラテン語が堪能な彼女は、大学時代の教授の紹介で、週に1回博物館でアルバイトを始める。その仕事とは、ヴィーナス像とラテン語で会話をすることだった……。
なかなかに異常なシチュエーションを、当たり前のことのようにさらっと書いてしまうのがこの作家のすごさだ。レインコートは、人に心を開けない彼女の隠喩だと理解して読んでいたが、そういうわけでもなさそうで……。
この物語自体をどう解釈するか、なかなか難しかった。

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初めて読む作家さんでした。
「交わることはない」の呪縛は後半部分にも出てきて、若干の戦慄を覚えました。
ヴィーナスと人間の会話、関係性は度肝を抜かれる設定でしたが、本当に彫刻たちが会話んしていたらこんな感じなのかな?とか想像してみると楽しかったです。
隣の家に住む男の子には何もかも見えていたのも驚きました。もしかしたらみんな何かしら身に付けて自分を守っているのかも知れませんね。

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休館日の美術館で、彼女は
とても不思議で魅惑的で懐疑的な体験をします。
心が空っぽになって終えた時には
なんとなくエネルギーをもらえる
そんな場所だと美術館を思っています。
神秘的だからこそこんなことがほんとに
あるんじゃないかなんて思うこともあって
ワクワクさせられました。
文章自体はとても淑やかで洗練された感じで
芥川賞とかそういった文学賞に参加されている
作品を読んでいるようでした。

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無理筋なのに、それを突き通したところに本書の面白みが存在します。
欠点をあげると、場面展開が早く、何の話しをしているのかわかんないうちに、次の場面に進行しててとまどった。そういうところは何となく素人みたいな感じがする。だから没入しずらい。
しかし、発想が豊かで展開が不可思議、ヴィーナスの石像と休日の博物館でラテン語でおしゃべりするバイトというだけでも驚きなのに、人には見えない黄色のレインコートを着ていたり、家主の婆さんとの交流、虐待されているぽい子供とも関わる。そして、学芸員の変態との闘い。面白かったです。

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冷凍倉庫でアルバイトをしているホラウチリカ。そして月曜日には休館している博物館に行き、ラテン語でヴィーナスと会話をすると言うアルバイトを、大学のラテン語の教授に紹介されて、通い始めるのだ。住んでいる借家の大家さんも一風変わったおばあさん。同じ借家に住んでいる男の子に、小学生の頃から知らぬ間に着ていて脱ぐことが出来ない黄色いレインコートが見えると指摘され…。全てが荒唐無稽のストーリーながら、最初はなんだかおかしいと思っていたのに、いつしかミイラとりがミイラになってしまったように、その世界が当たり前みたいになって、入り込んでしまうと言う感じの不思議な小説だった。結末もまた愉快で、この先一体ホラウチリカさんと、ヴィーナスは一体どんな珍道中になるのかと、続きが読みたい気持ちになった。

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ラテン語で会話をする「2人の女性」。芸術は美しく高尚なものという概念を、休館日の2人の会話が覆していくようだった。もっと私たちは自由であって良いんだ!というメッセージを受け取るとともに、言葉を発しないものとの会話は、奇想天外なんかじゃないと気付かされた。誰しも幼い頃は、自分の大切な美しいものと、ひっそり会話をしていたのではないだろうか。

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ラテン語で会話ができる特技を買われ就いた新しいバイトは、大理石のヴィーナス像と週一回会話を交わすこと。日常会話に不自由を感じ、会話をしなくてすむという理由で冷凍食品の倉庫の仕事に就いていた主人公は、ヴィーナスと会話を交わすうちに自己を変容させてゆく。会話というものの力を感じさせてくれる作品でした。主人公のアパートの大家のセリコさんのキャラクターが味わい深かったです。

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毎週月曜日に博物館でヴィーナス像の話し相手になるバイトを始める主人公。会話はラテン語で行われる。この内容紹介だけで面白いに違いないと思った。作者のレビュー作『空芯手帖』もかなり良かったので2作目もと思い読んだが…流石です。今作も女性の生き方に焦点を当てている。話す事は出来ても博物館の台座から動けないヴィーナス。重く、通気性の悪いレインコートを纏って暮らす主人公・ホーラ。決して分かりやすい文章ではないが、必死に考えなくても、スーッと心に入ってくる。シニカルでありながらユーモラス。次作も楽しみだ。

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八木詠美さんの待望の第2作で今回も惚けた奇妙な味わいのファンタジー小説に仕上がっていますね。ヒロインのホラウチリカはラテン語ができた事から博物館の古代ローマの女神ヴィーナス像と週一度のおしゃべり相手になる仕事を引き受けます。普段は冷凍倉庫で働く彼女は最後に思い切った決断をして行動するのですが、それは読んでのお楽しみとしまして、常識外れのエピソードで私が大好きなのはネット予約した美容院に行くと葬儀屋で死者の髪結い女性が手すきの時に生者に仕事をすると言う訳で、リカは髪のスタイルを聞かれ「いつもの」と答えます。すると女性が「あんたね初めてなのに何言ってんだよ!」と怒る場面ですね。こういう読者の好みによって笑える場面が随所にあって楽しめますよ。著者は寡作の方のようですが魅力的な作風の稀有な才能の持ち主ですので、今後とも大いに期待して作品を追いかけて行きたいですね。

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不思議な感覚に読み始めた瞬間からなります。正直置いてけぼりのまま読み終えたような寂しさを感じている。
ファンタジー?と言ってよいのか分からないこの設定の中で、主人公は変化してゆく。不安に満ちたラストなのに、どこか謎の安心感もあって、こんな読書体験もあるんだなあと息をつきました。

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これが「純文学」というものなのか。
大学の恩師から、美術館の女神像とラテン語でおしゃべりをするアルバイトを紹介される。ものすごく魅力的なストーリーだが、ものすごく訳がわからない感覚でもある。
前作の「空芯日記」は、会社で「妊娠している」と口走ってしまったので、偽装妊婦になることを決意した女性の話だった。こちらもなかなかのトンデモ設定、素晴らしきトンチキ小説だった。
自由に想像を巡らし、突飛なストーリーに筆を巡らせる。そんな「純文学」、でもけっこう楽しい!

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大変面白かったです。
主人公のお仕事は石像の女性神ヴィーナスの話し相手をする事。
いやいや、石像と話をするとはどういう事?
と思いながら読み始めると、本当に石像であるヴィーナス像と会話をしてる!
それを文字通り受け止めると、もうめちゃくちゃ面白い。

動けない石像とユーモアを交えたお話はちょっと哲学的。
そして主人公と石像に恋愛感情が芽生え始めると…
博物館学芸員の男性が主人公と石像の関係に横やりを入れ、なんとも奇妙な三角関係に。
それが更に面白さを加速させます。

ヴィーナス像を細部までルーペで見分する学芸員。その会話がなまめかしい。
動けない石像の憂いと、変わらない事にこだわり閉じ込めようとする学芸員らしい束縛が私はツボでした。

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映画の「ナイトミュージアム」は博物館だったけど、美術館にある作品はアーティストたちによって命を与えられているから時代を問わず多くの人たちの心を捉えて離さない気がする。開館中は老若男女にじろじろ覗き込まれる彼らの休みの日は一体どんなだと読んでみた。建前とか空気とかが呪いの装備になってる感覚と動く自由がないのに自由気ままな彼女が魅力的に見えるの解るな。

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なんだかとても不思議なお話だった。
冷凍庫で派遣として働く主人公のリカ。
毎週月曜日は休館日の美術館でヴィーナス像とのラテン語でお喋りのアルバイト。
何とも言えないこの感じ。
1番興味を持ったのは、リカが行った葬儀屋の美容室だなぁ。
友引だけ生きた人間を相手にしているというのが何だか魅力的でしたー。

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