希望のひとしずく
キース・カラブレーゼ
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刊行日 2023/07/04 | 掲載終了日 2024/05/31
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内容紹介
第70回青少年読書感想文全国コンクール
課題図書 中学校の部
オハイオ州の小さな町には、願いを叶えてくれるという井戸がある。中学一年生のライアンは、裕福な家の一人っ子アーネスト、幼なじみのリジーとともに、この井戸を見つける。そして、クラスメイトや町の人たちのさまざまな願いごとを知る。アーネストの亡くなったおじいちゃんが屋根裏部屋に遺していたものたちが、不思議な縁でいろんな人の手にわたり、奇跡的にその願いがかなっていく。悩みや問題をかかえる人々が、ちょっとしたやさしさで救われていく、希望と愛でいっぱいの物語。
おすすめコメント
あなたの思いは、きっと、だれかの幸せにつながっている。そんな素敵なメッセージが聴こえてきます。
あなたの思いは、きっと、だれかの幸せにつながっている。そんな素敵なメッセージが聴こえてきます。
出版情報
ISBN | 9784652205679 |
本体価格 | ¥1,800 (JPY) |
ページ数 | 312 |
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閲覧オプション
NetGalley会員レビュー
こどもたちの日常。
すれ違ったり、腹をさぐりあって疑心暗鬼になってみたり。
貧富の差があったり。出身地の違いから微妙な空気が流れていたり。
父さんが友たちの父さんに雇われていたりする、てそれだけで微妙な感じなってしまうだろう。
そんなみんなのありふれた日常は、とある出来事で思いもよらなかった大きな事件に展開する。
奇跡ってあるんだろうか。
願いごとが叶うかもしれないという噂の場所に行って、声に出してみてあることをする。
もしかしたらそうすることで、より強く願いを意識し、強い力でポジティブな方に物事が動くってこともあるんじゃないかな、という気がした。
子どもたちの心理描写が巧みだった。
「クリフ・ドネリー」、通称「if only =残念」な町。その廃れた閉鎖的な町での、様々な縛りに囚われたアーネストら中学生の日常。タイトル付きで細かく区切り語られることで、浮き上がってくる一人ひとりの生き様が圧巻。
その群像劇に、「トンプキンス井戸」が入り込んでくる。アーネストが亡き祖父から頼まれたことを触媒とし、一人ひとりの願いを偶然の連鎖によってかなえていく。それに頼るのは、人は無力である故か。でも、その幸いなる連なりはつづいていく。人を助けていく。
しかし、アンドレアの登場による「トンプキンス井戸」の危機。ここで、「願う」のではなく「行動する」ことを選んだアーネストやアール先生たち。そう、ただ待つのでなく、希望を信じて自分から切り開くことを選んだ彼らに拍手。
その勢いが一気に広がる。「願いごと」をした人たち、持っている人たちの想いが見事に噛み合い、動きだす。それそれの気持ちが意思へと昇華する。人は無力じゃなかった。奇跡をもたらすのは物ではなく、思いやり。それを持てることに気づくことの素晴らしさ。だから「トンプキンス井戸」は役目を終えて退場し、その思い出=バージョン2が残される。思い出ほど、希望を元気づけるものはないのだから。
だから、この「if only」な町の看板を少年たちは書き換えたんだ。希望と誇りを持って、確信をもって。
希望というものは、最初はいつもひとしずく。でもそれは集まってくるもの。そしていつかは、奇跡を起こす皆を繋ぐ力となる。タイトルを見直して、そうに感じた。
アーネストのおじいちゃんが死んじゃった。「屋根裏をかたづけてほしい」という約束を残して。屋根裏から持ち出したお絵かきセットが思いもよらない相手の手に渡ることで不思議な化学反応が起こる。トンプキンス井戸は、願いのかなう奇跡の井戸。
劇的にファンタジックな仕掛けで願いがかなうのではなく、ささやかに願いがかなう。日本のわらしべ長者のように、アーネストのおじいちゃんの屋根裏のものが必要な人の手に渡る。パズルがぴたっとはまるように。人生って捨てたもんじゃない、そんな気持ちにさせてくれるパワーをもつ物語。
『残念な町』に昔からある願いの井戸。亡くなった祖父の家の屋根裏。もうこれだけでワクワクしてくる。3人の中学生をメインに始まる物語だが、巻頭の『主な登場人物』を見るとものすごい人数ではないか…。『一方その頃』的に展開されていく物語はスピーディーで、とは言っても絶妙な繋がりがあるのだから読んでいてとても楽しい。一見関係ないものが奇跡を生み出す瞬間は笑いや涙を誘い出す。『奇跡』は思いやりの心がもたらす、とても素敵な物語だった。とにかく物語の展開が素晴らしく、読んでいてスカッとするような気持ち良さが最高だった。
とある災難から逃げている途中で、願いを叶えてくれるという井戸を見つけたアーネストとライアンは思いがけずクラスメイトの願いごとを聞いてしまった。
井戸に願われる希望のひとしずくが停滞していた町を少しずつ変えていく。
それぞれの登場人物の話が短く交差することもあるので、いいところで話の流れが切れると感じた。登場人物が多く物語に入り込むまでに時間がかかったが、話が動き始めてからは楽しく読めた。
先生がしっかり生徒のことを考えてくれる先生な作品は読んでいて安心する。
希望を持つ。願いや望みをことばにする。そこから生まれる心の動き、あるいは言霊の不思議が連鎖していくテンポのよさに清々しさを感じました。中1のライアン、リジー、アーネストが巻き起こす、残念な町と呼ばれるクリフ・ドネリーを根こそぎ変えるかのようなエフェクト。人と人を繋ぎ、新しい価値観をもたらした、トンプキンス井戸を巡ることごとが、ついに行動を勝ち取ることを選ばせる。閉塞感に満ちた町が変わり始める。自分たちの力で。パズルのピースがひとつずつ嵌っていくかのような快感。希望は人を強くする。
YA向けの本かなー軽い感じの読みものかな、と思ってましたが、大人も断然楽しめる作品でした。
小さな町の、家庭環境も性格もバラバラな中学生たちが一つの井戸を中心に、かけがえのない仲間に。孤独だった心が満たされて、町の住民もうまいこと歯車がまわりだしていくー
願い事を聞いてくれる井戸。
でも思ってる以上に、自分のことではなくて他人のためのお願いが多いのが素敵。
子どもたちも生き生きしていて、心配ごとや家族との関係の複雑さにハラハラしたり。読んでいてよい気分になれる作品だったと思います。
読んでよかったです!
願いを叶えてくれる井戸があったら、何を願うだろう。ある町にあるトンプキンソン井戸。町の老若男女が願い事をしにくるのだけれど…。アーネストの祖父は彼に「屋根裏をかたづけてほしい」と言い残した。井戸と屋根裏が人の手によって繋がる時、誰もが考えない奇跡的な事が起こる!この町に必要な様々な人が願った事とは⁉️ミステリーではないけれど、あちこちにこれらを繋げる伏線があった。タイトルにも納得。それはほんのひとしずく✨
今の世の中、友達をつくることは、かなり難しいのかもしれない。それは、どんな国にも共通で、今に限ったことではないのかもしれない。それでも、案外、ちょっとしたきっかけで、友達ってできるかもと思わせてくれるお話。読みやすく、中学年くらいでもチャレンジできそう。
みごとな物語でした。
登場人物がいっぱいで、これはどうなることやら、中学生に読めるのかなあ、なんて思っていましたが、
ぜんぜん、ぜんぜんそんなことないですね。
ぐいぐいぐいぐい、素敵な展開が続いていって、すごくハッピーな気持ちになって読み終えることができました。
対象が中学生だからこそ、こういう物語が今、必要なのだと思いました。
まさに、希望のひとしずくが、そこにある。厳しくうつる時代だからこそ、この本を読んで、未来への勇気をもってほしいなあと思いました。
課題図書に選ばれるして選ばれた本ですね。
もし可能なら、HPにでも、登場人物をもっとわかりやすく載せるというのはどうでしょうか。
アーネスト、ライアン、リジー。中学生3人。トンプキンス井戸。扉の言葉が不穏なものを感じさせるし、登場人物は多いし、それぞれの目線でどんどん語られるからグルグルしながら入り込めずに読んでいた。でも終盤からバラバラに語られていたものが繋がってきて、ちゃんと素敵な話に落ち着いていた。すごいな。
私のお気に入りの登場人物はライアンだ。
この本を読んだ人は、きっとみんな彼のことを好きになっちゃうと思う。
彼は、家族思いだし、友達思いだし、ご近所さんにも優しい。
心のなかでは「めんどくさいな」と思いながらも、先に体の方が前に出て行動してしまう、根っからの優しさがある男の子だ。
そんな彼のやさしさで一番いいなと感じたのは、近所に住むおばあさんヘメルレさんへのやさしさだ。
ライアンは、ヘメルレさんは、記憶がときどきあいまいになっているのだろう、体が昔のように思うようにきびきび動けないのだとわかっている。
さらには、ヘメルレおばあちゃんが、そうなりたくて、なっているわけじゃない、好き好んで老いているわけじゃないのも理解している。
芝刈りのあとに、関節炎で痛いだろう指をつかって、しぼりたてのレモネードをライアンに飲ませてくれる、ヘメルレおばあちゃんの優しさも知っている。
だからこそ、ヘメルレさんの気持ちを想像して、やさしくできるのだ。
ライアンは、友達についても、家族についても、気を配って観察しながら、相手の気持ちを理解しようとしている。
ライアンのようになるのは難しいかな?
いいや、ライアンを見習ってみよう。
その人の気持ちを想像するには、まず、その人のいろんな情報が必要だ。
情報を知り、その人自身を知り、そこから気持ちを推理していく。
まるで謎解きのようだと思うと、案外、自分にもできる気がする。
ライアンのように、だれかの気持ちを想像してみる、そして、その人のために行動してみる。
それが、だれかにやさしくできる一歩なんだと思う。
社会のみんなひとりひとりが、「だれかの気持ちを想像して行動する」
それをするだけで、もっともっとやさしい社会ができると思うと、幸せな気持ちになった。
ライアンは、これから、もっともっとすてきな大人になっていくんだろうな~と思う。
閉塞感が蔓延している町に伝わる、願いをかなえていくれる井戸の伝説。
この井戸の伝説は本当か、それとも、ただの偶然か。
物語が始まる前の登場人物紹介が2ページにわたっていたので、最初は気後れしたが、読み始めてみると、なんということはなかった。
いくつも伏線がしかれ、その全てが奇麗に回収される様子は、ルイス・サッカーの「穴」を彷彿とさせる。
ファンタジーでありながら、家庭環境、人間関係、格差社会など、子どもたちの抱えるいろんな問題がそれぞれの観点から書かれていて、とても読みごたえがあった。
全てが収まるところに収まって読後感がとてもいい。
特にトミーについては、うれしく思った。
優しい物語だと聞いていましたが、本当にその通りの本でした。井戸に真剣な願い事をかけた人のもとに届く魔法。おじいちゃんの屋根裏に残された物たちが、バタフライエフェクトのように少しだけ力を貸して、そして幸福に導いていたのだと思います。もしかしたら、おじいちゃんの想いが突き動かしたのかもしれません。
ただ、あの物達は必要な人のもとに届くので、「ものを受け取った人」(例えば、おもちゃのピストルやカードゲーム)にも、素敵な幸福が訪れたのかもしれないと思うと、ドキドキします。
アーネストも、おじいちゃんの屋根裏の物たちのおかげで、友だちが増えました。「必要な人のもとに届く」というのは、きっと、アーネストのことも入っていたのではないでしょうか。
アメリカの中学生3人を中心とする出来事が、波紋となって拡がり、やがては町中を巻き込んで、世代を超えて展開するストーリーである。
過去の事件や出来事、思い出が現在の状況と相まって、また登場人物の想いが多様に絡み合っているが、いつでもその根底にあるのは、人が人を想う「愛」だと感じた。今年度の中学生の課題図書になっているが、ぜひ彼らにも読んでもらいたい1冊である。
それにしても、はじめの方のページ2Pを割いて、登場人物の名前と一言紹介があり、初めて見た時は「こんなに多い登場人物は覚えられない、読了できるかな?」と少々、心配した。日本人のワタシは感じの氏名だと比較的、スムーズに頭に入りやすいがカタカナの名前、それも長いネームになると「あれ?誰だっけ?」とお手上げになる。しかし有難いことに、それは杞憂に終わった。なぜならば、純粋に本が面白かったから。気づくとスイスイ読んでいた。そして、目にし慣れない登場人物が出てきた時に、前述のページはとても役に立つ。「この2Pをつけていただき、ありがとうございます!」という感想に都度都度、読むたびに変わっていった。
表紙の装丁も綺麗なブルーで手に取りやすい1冊ではないかと思う。ビュジュアルも本を手に取る大切な要素だと思っている。