リスペクト

R・E・S・P・E・C・T

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刊行日 2023/08/03 | 掲載終了日 2023/09/18

内容紹介

2014年にロンドンで実際に起きた占拠事件をモデルとした、
ブレイディみかこの
本領発揮の傑作小説、誕生!!


やれるか、やるべきか、じゃない。
やるしかないときがある。

そのスピリットを世界に示した若い母ちゃんたちがロンドン東部にいました。
2012年にロンドン五輪が開催された地域で、
彼女たちが実際に起こした運動に触発されて書いたフィクションです。
アレサ・フランクリンの歌声にのせて。

――ブレイディみかこ

バービーさん、栗原康さん、絶賛!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

【目次】

序章 オープニング・スピーチ

第一章 それはオリンピックの翌年に始まった

第二章 自分たちでやってやれ

第三章 住まいは尊厳

終章 エピローグからまた始まる

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

【著者プロフィール】
ブレイディみかこ
ライター・コラムニスト。1965年福岡市生まれ。音楽好きが高じてアルバイトと渡英を繰り返し、1996年から英国ブライトン在住。ロンドンの日系企業で数年間勤務したのち英国で保育士資格を取得、「最底辺保育所」で働きながらライター活動を開始。2017年、『子どもたちの階級闘争 ―― ブロークン・ブリテンの無料託児所から』(みすず書房)で第16回新潮ドキュメント賞受賞。2018年、同作で第二回大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞候補。2019年、『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(新潮社)で第73回毎日出版文化賞特別賞受賞、第二回Yahoo! ニュース―本屋大賞 ノンフィクション本大賞受賞、第七回ブクログ大賞(エッセイ・ノンフィクション部門)受賞。
著書は他に、『花の命はノー・フューチャー DELUXE EDITION』『ジンセイハ、オンガクデアル ―― LIFE IS MUSIC』『オンガクハ、セイジデアル ―― MUSIC IS POLITICS』(ちくま文庫)、『ワイルドサイドをほっつき歩け――ハマータウンのおっさんたち』、『両手にトカレフ』(ポプラ社)他多数。

2014年にロンドンで実際に起きた占拠事件をモデルとした、
ブレイディみかこの
本領発揮の傑作小説、誕生!!


やれるか、やるべきか、じゃない。
やるしかないときがある。

そのスピリットを世界に示した若い母ちゃんたちがロンドン東部にいました。
2012年にロンドン五輪が開催された地域で、
彼女たちが実際に起こした運動に触発されて書いたフィクションです。
アレサ・フランクリンの歌声にのせて。

――ブレイディみかこ

バービ...


出版社からの備考・コメント

今回アップしたデータは、校了前のものです。刊行時には内容が異なる場合があります。ご了承ください。

今回アップしたデータは、校了前のものです。刊行時には内容が異なる場合があります。ご了承ください。


おすすめコメント

ブレイディみかこさん2作目の小説となる本作は、2013年にロンドン東部で始動したFOCUS E15運動と、同運動が2014年に行ったカーペンターズ公営住宅地の空き家占拠・解放活動に着想を得たフィクションです。「政治」や「運動」なんて全く馴染みのないものだったシングルマザーたちが、理不尽な理由で住居の退去を迫られたことをきっかけに、自らの尊厳と権利を守るために立ち上がる――実際の事件を元にした小説ということで、ブレイディさんのノンフィクションの書き手としての力強さと気迫・そしてユーモアに小説の魅力が合わさり、広く多くの人に手に取っていただきたい一冊が完成しました。

【小説のモデルとなった事件とは?】
ロンドン・オリンピックの2年後、オリンピックパーク用地だったロンドン東部のホームレス・シェルターを追い出されたシングルマザーたち(FOCUS E15マザーズ)が、公営住宅占拠運動を起こした。彼女たちの運動はオリンピックに端を発する下町のジェントリフィケーション※への抵抗であり、反緊縮運動の象徴でもあった。さらに同運動は2014年のカーペンターズ公営住宅地の空き家占拠・解放活動へと繋がっていく。

まさに東京オリンピックの2年後となる今年、東京の再開発のニュースと重ねるような読み方もされそうです。社会問題としても今注目の話題を取り扱った一冊、どうぞご注目ください。

※ジェントリフィケーション(gentrification)
都市において、低所得の人々が住んでいた地域が再開発され、お洒落で小ぎれいな町に生まれ変わること。「都市の高級化」とも呼ばれ、住宅価格や家賃の高騰を招き、もとから住んでいた貧しい人々の追い出しに繫がる。

ブレイディみかこさん2作目の小説となる本作は、2013年にロンドン東部で始動したFOCUS E15運動と、同運動が2014年に行ったカーペンターズ公営住宅地の空き家占拠・解放活動に着想を得たフィクションです。「政治」や「運動」なんて全く馴染みのないものだったシングルマザーたちが、理不尽な理由で住居の退去を迫られたことをきっかけに、自らの尊厳と権利を守るために立ち上がる――実際の事件を元にした小説と...


出版情報

発行形態 ソフトカバー
ISBN 9784480815736
本体価格 ¥1,450 (JPY)
ページ数 288

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NetGalley会員レビュー

オリンピックに伴うジェントリフィケーションにより、住まいを奪われそうになった若い女性たち。

ひとは旅の途中でみんな何かを奪われているが、あらかじめ何かを奪われた場所で育ったシングルマザーたちによる尊厳をめぐる闘い。
それは「自分たちでやれる」というアナキズムの実践でもある。

女性たちの声をなきものにする政治家たちに一矢報いるための夏の課題図書のような一冊。

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モデルとなったホームレス・シェルターを追い出された女性たちによる公営住宅占拠運動については全く知らなかったので、非常に驚きであり、新鮮であった。
作者のブレイディみかこさんは「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」が非常に衝撃的で、それ以降、全てではないが新作が出るたびになるべく目を通すようにしている作家だ。時代をシャープに捉えているだけばなく、常に生活者の立場から事態を描いているのが気持ちいい。もちろん弱者への心配りを忘れることはなく、しかしベッタリと入れ込むこともしない。その加減が絶妙だ。
この作も、過分に入れ込むことなく、一方に冷静な視線もきちんと持ちながらフラットに語っているところがいい。
ただ歴史を学んだというだけではなく、人の持つ可能性、物事を諦めないことの大切を教えてもらった。
なんだか今の日本は壊れかけている。変な事件が多発している。そんな絶望の時代だからこそ、過去に学び、勇気と希望を持つことが大切なのだ。

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本作のモデルとなっている、2014年にロンドンで実際に起きた、反ジェントリフィケーション運動を、
初めて知り衝撃を受けました。
理不尽で横暴な社会に、声を上げ、働き続ける事がどれだけ大変なことなのか。
ページをめくる指先から、人間の尊厳を求め懸命に戦う人々の、熱い想いや、息づかいが
伝わってくるようでした。
個人の権利と自由をあきらめない、大きな力があふれています。
そして、物語の隅々まで、強い勇気と信念がひしめいていました。
まさに、未来を切り開く、人生の矜持のような物語。
読み終えた後、心身共に大きなパワーがみなぎりました!

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やはりブレイディみかこ氏の本はすさまじい。一気読みでした。貧困層ホステルからの強制退去を命じられた女性たちが実際に起こした抵抗運動「Focus E15」を土台にした1冊。最初は只の抵抗運動だったものが、次第に人間の尊厳の回復とアナーキズムについての問いを突き付ける、アツい1冊に変貌する。本著は単なる社会問題を書くだけではなく、社会運動を通して、女性たちが社会関係資本を獲得し、尊厳を取り戻していく社会派の純文学の意味合いも持っている。また、アナキズムの権威からの脱却の姿勢は、現在の脱資本主義、ローカリズムに非常に近似した地点にいる。低所得層のアナーキズムとローカリズム、脱資本主義の融合について、密かに警鐘を促す1冊として必読。重層的な1冊。おススメ。

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「いまだ彼女たちがしたことを知らない日本の読者にこの本をぶち投げます」

物語に入る前のこの一文からドキドキさせられた。そして、「いまだ彼女たちがしたことを知らない日本の読者」である私は、読み終えた今、恥ずかしい気持ちでいっぱいだ。

知ろうとしなかったこと、見ようとしなかったこと、聞こうとしなかったこと。
「世の中ってこんなものだよね」と受け流してきたこと、深く考えようとしなかったこと、狭い枠の中に留まりつづけていたこと。
何より、抵抗しようと思うことすらなかったこと。

アナーキーや抵抗、反対運動、占拠…。
これらの言葉に対してどこか禍々しい、暴力的なイメージをもっていた。
だけど、今は違う。もちろん、暴力的なものには反対だけど、自分が自分であるための抵抗は、人からのリスペクトを勝ち得るためだけでなく、自分自身が自分をリスペクトできるための戦いでもある。決して簡単なことではないけれど、人はそのために抵抗しなければならないんだ。
そう感じました。

この本を読んだ人の数だけ、社会がいい場所に近づくのではないかと思っています。できるだけたくさんの方に広めたい本です。

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ロンドンオリンピックの跡地がジェントリフィケーションされることに抵抗した運動があったと本書で知りました。シングルマザーたちをはじめ、登場人物みんながカッコいい! さすがブレイディさん、海外を舞台にした作品を日本語でリアルに書かれる稀有な方です。
イギリスの若者はサフラジェットやシルビア・パンクハーストについてあまり知らないのですね(少なくとも物語上では)。かなりマイルドではあるもののサフラジェットの活動に通じるものがあり、胸が熱くなりました。
一か所だけ、「塒」が読めなかったのでルビをふるかひらいてはと思いました。

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貧困は自己責任と公言する人に突きつけたい!

ロンドンで起きた公営住宅占拠事件を題材にした小説です。

住む場所を奪われそうになった母たちが、
世間を驚かす行動に出て、共感を呼び、
ついには政治をも動かしていきます。

誰かが戦わないと何も変わらないと考え、行動に移す勇気。
クールですね。

助け合いの輪が広がっていくくだりには
胸が熱くなりましたよ。

貧しさが人の尊厳を奪うのは
遠い国だけの問題だけではありませんね。

私にとっては、広く社会に目を向ける
きっかけをくれる貴重な読書体験になりました。

身近なテーマとして自分でも深掘りしたくなりましたよ。

物語の力ってホントに凄い!

(対象年齢は13歳以上かな?)

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土壇場に追い込まれた人間は強い!この小説は、政治から最も遠いところにいる、ハイティーンのシングルマザーたちが住居の確保のために行なった活動の顛末です。スーパーの前でスピーチをすることから始まった活動は、いろんな人を巻き込んで拡大し、空き家になっている公営住宅を占拠することで、ピークに達し、コミュニティを形成していきます。この過程が圧倒的なリアリティーで語られていて、自分もどんどん彼女たちの活動に巻き込まれていくような感覚に陥りました。コミュニティとは、持ちつ持たれつの関係、つまり一人一人が社会の歯車の一つとして感じられる、同時に他の人にも歯車としてリスペクトされる関係だということを強く感じました。

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ブレイディみかこさんの小説。
しばらく、リクエストすることを躊躇していた。読むには楽しいけど、社会問題を扱っている作品だし、レビューできるかなあと。
でもやっぱり読みたいと思ったので。

小説なんだけど、ドキュメンタリーみたいだと思った。
知らないことばかり。というか、知っていたけど、その視点からは見たことがなかったということが多く、噛み締めるように読んでしまった。
登場人物の一人、史奈子も「知らないことばかり」と言っていたが、自分ごとでないと、人は見ないようにしてしまうのだろうか。
史奈子は、この小説の、もう1人の主人公だなと思った。2章では彼女の視点から物事が進んでいく。
彼女もまた、ジェントリフィケーションとは別の問題に直面し、越えられずに諦めていた。

解決した、と一瞬思っても、また次の問題が出てくる。
スッキリ勝負が決まらないのが、現実。
それでも小説だから、読後感は悪くない。現実を突き付けてそれで終わりでないから、読んでいてホッとする。
終章では、やり直し、生き直し、は、いつでも始められるのだと勇気をもらった。

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ホームレス用のシェルターからの管理者から退去を求められたシングルマザー達が、退去を拒む運動をおこし、1か月にわたって使われていなかったロンドンの集合住宅を占拠する、というのがこの物語の大筋だ。
で、それと並行して、書きたい記事が書けなくて行き詰まりを感じている日本人新聞記者の物語が絡んでいく。

この物語がモデルにした2014年の、ロンドンの占拠事件なのだけど、背景には、サッチャー政権以来の保守党による小さな政府・市場化政策がある。生活保護の削減による生活苦と、同時に起こる不動産価格の高騰による住宅不足。
だけど、タイトルが示しているのは、これは経済(だけ)の問題ではない、ということだ。「自分の声を聴いてほしい、もう自分の声をかき消されたくない」という活動のリーダー、ジェイドの思いはまさにそこにある。お金がないことは事実だけど、お金がないことで、人として尊重されないこと、それこそが問題だということだろう。住むところを確保すること、生活の前提だし、重要なことだけど、この物語の中では、その先にあるものをみている。

この物語がモデルにした2014年の、ロンドンの占拠事件、当時のGardianの記事がいまも読める。実際の事件は、この物語のようには進まなかったし、このような結果になったわけでもない。
だから、現実のこの物語の差分は、著者の願望のようにおもえたのだけど、その解釈は単純すぎるかもしれない。

自分には、今の日本にすむ人々に向けた扇動かもしれない、とも思えたのだけど、そこは読む人の価値観に依存するのかもしれないので、読んで判断してみてもらうのがよさそう。

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著者らしい読み応えのある作品だ。実話に基づいている点も良い。ストーリーにリアルさを増す。アナーキーズムに対して、物語のシナコと同じような認識・意識しかなかったので、今回この作品を読んで、シナコと同じように目からウロコ状態で共に学んだような気がする。著者の意図もそのあたりもあるかもしれないと思う。若い人たちにぜひ読んでもらいたい。

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社会的弱者であるシングルマザーたちが
子どもたちとの生活のために立ち上がり
世論に訴え、住居獲得に向かって戦う話。

読み進めるうちに、戦うシングルマザーたちを
応援せずにはいられなくなる。彼女たちの
苦しみは、誰もが経験し得るもの。どんな
境遇の人でも安心して生きていける世の中に
なるように願ってやまない。

声をあげて訴えることが時には必要なんだと
感じた。また、海外在住の史奈子の決断にも
拍手を送りたい。

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理不尽に住居退去を迫られたシングルマザーたちの尊厳を守るための闘い。

ジェイドたちのように、政治や運動というものに馴染みが薄く、史奈子のように、日本のシステムを海外にも重ねて考えていた自分には、彼女たちの視点に共感を抱きやすく、社会問題を扱った作品と分かっていても、とても読みやすい内容でした。

もともと、読書に現実逃避を求める自分に、現実と真っ向から向き合うこの作品がちゃんと読めるのか不安なところがありました。それでも、ストーリーのもとになった占拠事件を知らない読者へ、「本書をぶち投げる」と書かれたその力強さに惹かれ、文字通りクリーンヒットを受けた身として言えるのは、自分のように現実から目を背けている人にこそ、広く知られてほしい本だということです。

著者の活躍は、「僕はイエローでホワイトで、ちょっとブルー」で知っていましたが、作品としては本書が初読みとなります。

文体は柔らかいながらも力強く、洒落と皮肉が効いたセリフが流れるようにストーリーを読ませる、ユーモアと重要視される点の切り取り方が上手い方だなと思いました。

恥ずかしながら、モデルとなった占拠事件を知らない自分でしたが、占拠事件の背景にある現実は、読み味ほど軽く流せないぐらいに重く鬼気迫るものがあり、この事件を下地にした本作は、生半可な気持ちでは書けないものだと強く感じ入りました。

日本では運動のイメージがかなり薄いですが、運動の始まりというものは、本書のように何をどこに向けてどう訴えていきたいのかが明確でなくても、感情の爆発から始まっていくのだろうと思わされる瞬間があり、心の叫びをあげることは、解放への貴重な第一歩でもあるのだろうなと考えさせられます。

本書でも言及があるように、生きていくなかで一番楽なのは、支配に従うことだと自分自身思います。国が示す理不尽に見て見ぬふりをして荒波を立てない。従順な奴隷になることが、苦しい生活をさらに苦しくしないための楽な方法なのだと。それでも、声をあげることに意味があるのか。なんのために、運動をするのか。

立場が違っても、同じ目的のために闘える。

とても素敵な言葉だなと思います。
特に、占拠事件に関わる人々の多くが子を持つ親であり、もうすぐ親になる自分としても切り離すことのできない話でした。路頭に迷うことが許されない状況下、自分のためだけだけではなく、子どもの未来も考えて闘った彼女たちは、正に尊敬に値します。

子どもを大事にしない社会に未来はない。

日本においても、子どもが明るく生きられる未来であってほしいと強く願います。

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2023年8月初頭刊行のブレイディみかこさんの新刊はロンドンが舞台のフィクションだが、彼女の筆がむかうもの、根ざすもの、訴えかけるもの、はぶれない。
貧困は負の連鎖を産む。
オリンピックパーク用地だったロンドン東部のホームレス・シェルター住まいのシングルマザーたちが主役。彼らは五輪後のジェントリフィケーション(gentrification※)によって住むところを奪われようとしていた。空いている住宅はあるのに割り当てられず、住むことができない。
2014年におきた公営住宅占拠事件。
尊厳の問題。生きるための尊厳を奪われないために、共に声をあげる。
貧困は恥じゃない。力強さに満ち溢れている。下を向かない、諦めない、力を合わせる。


※ジェントリフィケーション(gentrification)
都市において、低所得の人々が住んでいた地域が再開発され、お洒落で小ぎれいな町に生まれ変わること。「都市の高級化」とも呼ばれ、住宅価格や家賃の高騰を招き、もとから住んでいた貧しい人々の追い出しに繫がる。(本書解説より)

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『R・E・S・P・E・C・T』はじめのページのページのスピーチから、私には驚きでした。
あたしは社会運動家でも労働組合員でもありません。20歳の母親です。」 とあります。
私の認識では、ただの母親に20歳はふさわしくないというか、そうそう20歳の母親に出会えるものではないと思っています。

これは『R・E・S・P・E・C・T』の中で誰も言及をしませんが、こうして明記されないところで、この小説『R・E・S・P・E・C・T』はたくさんの問題を溶接されているように感じました。

日本的感覚からの疑問を『R・E・S・P・E・C・T』の読者に解説してくれるのが、史奈子さんの役割でしょう。

彼女が同じようなことを言っていて、「なんだかその日本的感覚もわかる」というような文体で描いてくださることで、
自分の認識は間違っていなかったことと、
文化の違いがこんなところにも現れてくるんだということを教えてくれます。

実際に史奈子さんはかなり日本寄りの思想の持ち主であることが最後にもよくわかりますが、彼女がこの物語『R・E・S・P・E・C・T』の中にいてくれた事で与えられた影響がとても大きかったと感じています。

〜〜〜〜
日本の学校教育で、「尊敬」と訳すように教わった日本人読者たちへ。
さあ、あなたは「リスペクト」をなんと訳す?
この小説を読んで答えてください。
〜〜〜〜
自分の人生の中において、死守するべきリスペクトは何かを考えさせられました。
文化の仲介者のような登場人物がいて、自分の心を顧みながら読むことができる。
なんてお上手に、読者を誘導してくれる小説なんだと思いました。
〜〜〜〜

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ブレイディみかこさんの作品には、いつも熱量に圧倒され、社会問題
の根源を考えさせられます。

この作品で初めてシングルマザーによる公営住宅占拠運動の事実を知り、
ジェントリフィケーションという言葉を知りました。
当事者でなければ見ようとしない、知ろうとしない。
いつの時代も、どこの国でも貧困差による差別は起こっていて
今なお苦しみ続けている人たちがいるという事実に目を向けなければいけない。
自分たちの見たいこと、知りたいことだけを都合よく切り取ってしまうこの
世の中を変えなければならない。

P262~の史奈子のセリフは私のセリフでした。
しょうがない。無駄だ。面倒だ。
とにかく行動を起こすこと。
大きなことはできなくても、まずは自分をリスペクトできるように。
たった一言声を上げるだけで変わることもあるのだと勇気をもらえる作品でした。

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序章 オープニングスピーチの「あたしたちが求めているのは少しばかりのリスペクトなのです」その言葉にまず心を動かされた。彼女たちの求める「リスペクト」とはいったい何か。読んでいて何度も自分に問いかけた。

2014年にロンドンで実際に起きた占拠事件をモデルとした今作。私はその占拠事件を知らなかった。あの華やかだったロンドン五輪が開催された地域でこのような運動があったのか。まずそれに驚いた。
占拠した女性たちの行動力や発信力がこの物語を前に前にと進ませる。そこに訪れる日本人ジャーナリストの史奈子。史奈子の視点から見た占拠する女性たちが描かれることにより、占拠した女性たちを客観視でき彼女たちの抱える問題点が他人事ではないのだと捉えることができた。

生きていくために彼女たちが必要としたのは「パンと薔薇」なのだろう。そして私は自分達の居場所を勝ち取った女性たちにリスペクトを送りたい。そして自分自身にもリスペクトを。

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こんなにも、読みながら自分も一緒に拳を振り上げて行動したかのような気持ちになってしまうしまうとは。

早く、はやく周りに読むように薦めなくては。読んで欲しいのは特に、見えない天井にぶつかって、どうしようもないと、諦めかけている…そう、私自身だ。

舞台は五輪後の英国。
なのになぜか日本のこととしても読めてしまうのだ。

だが、おそらく残念ながら日本では同じように動いてはいかないのではないかと、絶望的な気持ちになる。

なぜなら他人への尊敬が、相手の尊厳を保つことになるという意識が薄いから。

そんなムラに住む私たちに、レンガを投げ込まれた、そんな気持ちにさせられる本。
でもそれは痛みや驚きよりも、パワーとなって私を突き動かす。

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この本のモデルになった公営住宅占拠運動の事は全く知りませんでした。少人数の母子が始めたこの運動が大きな反響を(良くも悪くも)得て行く過程は時にハラハラ時におかしく時に青春ものでした。

政治家にうまく利用されながらも、ちゃんちゃん、これでおしまい!ではなく強く地に足を着け、これからの長い将来に向かって進んでいく、これは更に大変な道のりであろうが、最後の終わり方も、この戦いは終わりではない、というメッセージを押し付けることなく伝えてあることに個人的には何ともスッキリしない気持ちが後を引いた。そうなんだ、この占拠運動は単なる始まりなんだ、と。。。

政府の理不尽な政策に対してあまり声も挙げず、まぁ仕方ないよと背を向ける日本人に対してブレイディみかこさんからの「おい、日本人!何ボケーっとしてんのよ。このファッキン・グレートな人たちを見てごらんよ」というメッセージをところどころに見たのは私だけでしょうか。。。

これからも彼女の著書を追っかけて行きたいと思います。

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すごく読みやすかったけれど、内容はとても熱く、自分も何かできるのではないか、声を上げることができるのではないか、と思わせてくれる作品でした。

とても勇気をもらえました。
日本に住んでいると、こういうニュースを知らずに過ごしておりましたが、ロンドンにこんな出来事があったとは。
勉強にもなりました。

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強い信念で突き進む人たちから、パワーをもらいました。
風貌がキリストか又吉直樹とは!さすがのチョイス。
「あげる」「貰う」の中にいると、自分も自然に何かをしてあげたい気持ちになる。素敵な世界だなと思いました。
「抵抗なんて無駄」抑えつけていると、自分が自分の人生の当事者じゃなくなっていく。という部分も共感できた。
衣食住はリスペクトされる部分。どんな人でも、平等に屋根のあるところで暮らしたい。
空き家問題とか日本でも問題になっているので参考になる部分がありそう。

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「"おかしい"と言いたい衝動を抑えつけていると自分が人生の当事者じゃなくなってくる」という言葉が強く心に残った。貧困の連鎖から這い上がることは容易ではない。しかし、理不尽な状況に対して泣き寝入りするのではなく、自分たちで声を上げ、闘い、自分の人生を生き抜こうとする母親たちの姿は、その子どもたちにも生きる希望を与えることになると感じた。また、彼女たちは一人ではなく、互いを信じてエンパワメントし合える関係であったことも大きい。当事者数人の動きから波紋が広がるように、相互扶助の輪が広がり、社会にうねりをもたらす光景は圧巻だった。
ひとり親家庭の孤立や貧困の連鎖、日本でも溢れている課題に、もし私たちであればどのような闘い方があるのだろうと考えさせられた。一見遠く感じるロンドンの出来事だが、日本人新聞記者の史奈子の目線で物語が進むことにより、ぐっと身近なものとして感じとることができた。たくさんの人に勧めたい。

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ロンドンで公営住宅占拠⋯反ジェントリフィケーション運動を初めて知りました。
シングルマザー達は社会的には弱い立場であるけれど、自分たちの尊厳を守るために声を上げて戦う⋯、その姿に一緒に戦っている気持ちで読みました!

日本も政府のおかしい政策に対して、声を上げる人は少なく、大手数は羊のように従っている⋯、こんなおかしい状況に対して、もっと一人一人が声を上げていかなくては、と思いました。

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イギリスってこんな面があったのか、と驚いた。
紳士的でプライドが高く、他者にはあまり心開かず背筋をピンと伸ばして歩く・・
イギリスに対してそんなイメージを持っていた。
それが、弱いものを排除することで保たれていたのか‥と、
頭をたたかれたような気がした。
それにしても、母たちの強いこと。
読んでいて、その強さに胸がスカッとするようだった。
そして、歳をとっても変わらない女性のカッコよさにしびれた。
リスペクトという言葉が心にしみていくような作品だった。

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鮮烈な出会いだった「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」の作者であるブレイディみかこさん。何作かを経て久々に読んだこの作品も、やはり社会で底辺を彷徨う人々を題材とした物語だった。ジェントリフィケーションという言葉も、公営団地を占拠して闘うシングルマザーたちも、全くこの本を読むまで知らなかった。日本人の新聞記者が言う「表層をなぞった右へ倣え」の記事だけがニュースになる日本は、まさにこう言うニュースにスポットライトを当てないのだろう。知らないことは怖いことだし、無知は罪にもなる。自分の中の門戸をもっと広げなくてはと思い知らされた。

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この物語はフィクションだけど、限りなく現実を教えてくれる。お金のない奴は田舎へ行けと役所も、事情を知らない世間の人も言うけれど、そこに仕事があるの?そこに人が住む環境があるの?自分が生まれ育った町(都会)に住み続けようと思うことがいけないことなの?

 ブレイディみかこさんらしい、地べたで生きる人たちの物語は、とても面白かった。そして、戦うことを忘れたわたしたちに、ちゃんと自分の意見を言おうよと語りかけてくれた。

 「Get up, Stand up. Don’t give up your right」を思い出させてくれて、ありがとう。

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小説家としてのブレイディさんにも前作から期待がふくらむところ、
社会的なテーマを「小説」としておもしろく読ませてくれるのがさすが。

『わたしは、ダニエル・ブレイク』、『ボブという名の猫』、『おみおくりの作法』など、
イギリスの公的サービスや貧困支援などについては映画などでも見てきてはいたけれど、
政治と生活が地続きであることをくっきりと映画いているのが印象的です。

前作同様、日本人を絡めることで(今回の方が直接的に絡んでますし)、
イギリスのシングルマザーと聞くと縁遠く感じてしまいそうな中高生でも、
それほど興味がなかったシナコの目線から読み進めていく中で、
問題に無関心でいられた彼女と同様に関心を深められるのではないかと思いました。

パンクなおばあちゃん、かっこよし。

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あきらめて流されること。
自分にために声を上げること。
自分をー 無力だと思っていたジェイドが若年ホームレスのシェルターから退去せよという通知をいきなり受取、その横暴さに立ち上げる。
様々な人を巻き込み、運動は大きな波となる。
関わった者たちは、それぞれの立場で新たな道を探し始める。
自分をレスペクトする。
そこから道が始まる。

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このシングルマザーたちのエネルギーに圧倒された。
多くの賛同と応援を得られたとしても、それまであのような運動とは全く無縁だった人たちが、どうしてここまで戦えるのだろうか、と。

リスペクトのないところに尊厳はない。尊敬のないところで人は生きられない。(作中より)

人としての権利を守るための戦い。
そんな戦いをせずとも、お互いに尊重し合って生きられる社会にならないものだろうかと考えさせられる。

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この作品のモデルはロンドンオリンピックの2年後に実際に起こったジェントリフィケーション(「都市の高級化」都市の再開発により住宅価格、及び家賃の高騰で低所得者の追い出しに繋がるもの)に反対する運動について書かれています。

 典型的な公益住宅地系ファッション(霜降りグレーのスウェットの上下のような)に身を包んだ女性三人はホームレスシェルターから追い出されることが決まっていた。福祉事務所も区役所も私たちの話を聞いてくれない。子どもを抱えたまま役所から追い出される時にシングルマザーの彼女たちは黙ることを辞めた…

 実際にあったことをノンフィクションではなく小説というかたちになったことで感情移入しやすくなりました。作者のブレイディみかこさんは『ぼくはイエローでホワイトでちょっとブルー』からロンドンでの実情を伝えてくれています。『ぼくイエ』ではLGBTQの保育園での取り組みなど「日本で取り入れられるのはいつ?」というものも紹介されていましたが、大きな団体(政府や役所など)が得をするようなシステムが日本に入るのは早いと思います。もう起こっているのかも。これは私たちの話になるのでしょう。
 貧困の連鎖やシングルマザーの人たちが主な登場人物ではありますが、介護をしている男性なども脇を固めています。彼女たちの運動は終始ワイワイと明るく、助け合いながら行っているのが好印象です。
昔とった杵柄というかたちで「運動」の仕方を教える初老のローズがカッコいいです。
声をあげなければ。選挙にも行かなければ。

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2013、2014年にロンドンで起きた実際の出来事を土台にしたフィクション。この作品を読んでまず思ったのは、政治家はどこの国でもろくでもないということ。無職のシングルマザーから住居を取り上げるなんて正気とは思えない。再開発の為に空き家があるにも関わらずだ。シングルマザー達が生活を守る為に声をあげ、闘う一部始終が小説となっている。低所得故に教育を充分に受けれない、DVの原因ともなる、若い妊娠や、離婚。負の連鎖を断ち切る為の闘い。真のハッピーエンドまで闘い続ける彼女達を応援せずにはいられない。

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『ブレイディ節炸裂のアナーキー小説』

英国の緊縮政策に対する市民運動を描いた小説。2013年にロンドン東部で実際に起こったFOCUS E15運動から着想を得たということもあり、著者の代名詞である英国ノンフィクションを読んでいるような臨場感を味わえるフィクション作品だ。

ストーリーの舞台はブレイディ作品に頻繁に登場するブライトン、ではなく首都ロンドン。五輪を機とした都市再開発計画で、住む場所を追われたシングルマザーたちが公営住宅の空き家を占拠するという政治的メッセージの強い作品である。

物語は主に2人の女性視点から描かれる。一人は活動の中心を担う白人女性のジェイド。もう一人はロンドン駐在の日本人記者・史奈子。…この史奈子という人物は著者の分身ではなかろうか。著者は過去に新聞社で働いていた経験もあり、自伝小説かと思うようなリアリティを感じる描写が多い。

本書を読んで感じるのは「日本人との考え方の違い」である。自分たちの問題を自分たちで解決しようとするバイタリティ。赤の他人でも困っている人を助けようとするソーシャリティ。世間体を気にする日本人には、人種・年齢・性別・職種など関係なくシームレスに尊重し合える関係は新鮮に映る。現代の国際社会において、社会教育性の強いこのような作品がもっと広まってほしいと思う。

ブレイディみかこさんの作品はコラムや絵本も含めてほとんど読んでいるが、この作品はノンフィクションにもできたはずである。ただ作品の中に日本人を登場させることで、読者が自分ごとに捉えられ、著者の意図がより明確に伝わるのだと思う。また幸太というユニークな日本人キャラクターが物語を面白くしている。著者の2作目の小説であるが、本作もやはりブレイディ節炸裂のアナーキーな一冊であった。

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世界では色んな事が絶えず起こり、そのほとんどを知らずに
私は生きているという無知さを実感しながら
じっくりと読ませていただきました。

2014年にロンドンで実際に起きた占拠事件を
モデルとしたフィクションとの事。
あきらめず、行動する。そのあとがまた困難だらけでも
逃げずに立ち向かい続ける彼女たち。
最後の潔さはただ「リスペクト」でした。

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ブレイディさんの著書は手元に何冊か持っていますが読むのは初めて。
社会的弱者とされるシングルマザー達が起こした社会運動の物語。
実際にあったことを基に作られている。
初めのスピーチから心惹かれた。
人間は平等と言われているのに「ふつう」の括りから外されるのは何故だろう。「ふつう」を願うことすら許されないのは何故だろう。
史奈子さんの職場の上司の対応にイラッとしながらも私も結局はステレオタイプで不満を持っていても同じようにしか行動に移せないだろうなとも思ったりそれぞれの登場人物の心情に共感しながら読んだ。
自分たちの境遇が改善されたからといってそこで終わる運動ならここまで心惹かれないだろう。
表に見えている部分は一部分であり苦しんでいる人たちは大勢いて、戦いは続いておりそれに向かい奮い立っていく未来が見えたことが大きいかもしれない。
今立っている場所に疑問を抱くということが大きな一歩だと思った。

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読む前には、ただ、ほんの少し前のイギリスの実話に基づいた小説で、シングルマザーたちが、住む家を追われ困って起こした運動のことだけかと思って読みましたが、それだけではなかったこと、当事者やその周囲にいる登場人物一人一人の思いや人となりが語られ、深いテーマがあることを知り、読む進むうちに、とても興味深く、面白い作品だと思いました。

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リクエスト承認いただきありがとうございます。

ブレイディみかこ先生の新作聞いて読み始め、実際の事件を題材に書かれたものだということにまず驚きました。

またジェントリフィケーションについては「知っている」つもりでいましたが、新たな人やビジネスの流入し、インフラ整備が進んだり、公共施設が新設されたりして文化的・経済的に発展する。治安も改善し、住む人の生活水準が上がる。不動産の資産価値が上がるなど、良い文脈でしか捉えておらず、人為的に地域の価値を上昇させ、不動産価格の高騰につながり、もともとの住民が住めなくなってしまうことについて考える視点が欠落していたことを突きつけられました。

日本でも同様のことは起きていて、それによって生活をおびやかされている人がいるはずで、また生きている以上、自分もまたいつそのような状況に陥るかわからないのに、関心を持たずにいたことを深く反省しました。

ブレイディみかこ先生らしい、平易な文体で、テンポよく描かれていて、登場人物の過去、現在の状況や心情に関する描写も丁寧で、話の筋も追いやすいので、若い世代の方にも読みやすいのではないかと思います。たくさんの人に読まれて欲しい一冊です。

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世の中には本当に、自分の知らないことがたくさんあって、それを知るたびに自分の不勉強さを恥じいることになるけれど、それでも知らないよりは知っている方がいい。それがいくら、辛い現実であっても。
ブレイディみかこさんの新作。ロンドンの富裕化と緊縮財政の煽りを受けて住居をなくした女性たちの戦いをもとにした小説だった。もちろんこれは小説だから、そのままの出来事が起きたわけじゃない。それでもなお、現実のシングルマザーたちを取り囲む困難を思うと辛い。なぜ。どうして。自分にできることがなんなのか。いろいろなことをグルグル考えてしまって、読後は寝られませんでした。でもやっぱり、読めてよかった。ありがとうございました。

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2014年にロンドンで起きた占拠事件がモデル。ブレイディ氏のキレの良さが際立つ。シェルターを追い出され、自分達の個人的な問題が社会全体の問題の一部だと気づき、声をあげた若きシングルマザー達。彼女達を支えたのは同じ境遇にいる人達の「親切さ」だった。「大切なのは人を縛る道徳観ではなく人を自由にする親切さ」にはぐっときた。他者にも自分にもリスペクトが必要。イギリスの抱える問題はそのまま日本にも当てはまる。闘うことも抵抗することもムダではない。面倒な事だと避けずに声を上げる勇気が必要なのだ。

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ロンドンの緊縮政策が失敗だったことは、ブレイディみかこさんの他の作品でも触れられていたが、今回は2014年に実際に起きた、ホームレスのシングルマザーたちのシェルター強制退去問題を扱ったフィクション。どこにも頼れないなら自分たちで立ち上がり、戦うのだという決意。前途は多難、粘り強く少しずつ賛同者を増やしていく草の根運動。実は市のやり方にみんなも呆れていたという底が見える。一旦の勝利は勝ち取ったが戦いは終わらない。いや、終わりにできない。構造から変えなければ、すぐに逆戻りすることが見えている。これがロンドンだけの問題ではないところが悲しい。

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ホームレス・シェルターから退去を勧告されたシングルマザーたちは無人の公営住宅を占拠する。ロンドン特派員の女性記者は彼らとの取材をし、交流し、運動の顛末までを見届ける。2014年にロンドンで起きた占拠運動が元。女性たちの和やかな会話にイギリス政府の不条理が垣間見える。彼らを動かすのは生活のため。戦うのは尊厳のため。自己責任と日本では考えがち。だが、住むのは人間の権利であるという主張に納得させられる。彼女たちの運動が世界に広がったのは、普遍的な尊厳が蔑ろにされる怒りが世界共通だからなのだろう。

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史実を元にした作品ということで、
かなり読むのに時間がかかりました。
読んでは調べの繰り返し、
少しだけ学生に戻ったように勉学に励んだきっかけになった作品です。
日本人は、とても奥手でシャイな人間性を誰しもが持っているからこのようなことは基本起こりえないと思っています。
彼女たちが言ったことはそれぞれに新鮮味と自分を大切にしたいという思いを感じました。
リアリティがあってとてもよかったです。

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【公営住宅占拠運動から世界で行ってることを知るきっかけに】

2014年にロンドンで実際に起きた占拠事件をモデルとした小説。

モデルとなったのは、オリンピックパーク用地だったホームレス・シェルターを追い出されたシングルマザーたちが、公営住宅占拠運動を行ったとということ。

普段読まないジャンルの本でした。

占拠、事件 というと、 どこか自分ごととしてとらえにくく、
ニュースで流れている感じという状態でした。

この本を読むことで、すごく恥ずかしくなった自分がいた。

運動を行った人を当事者と呼ぶなら
・外部から見ている視点
・当事者とじかにインタビューしている視点
・当事者とともに運動をする視点
この3つの視点がトライアングルのように交錯する中で
地域開発や女性の問題など、さまざまな問題提起がされた作品であった。

普段読まない人も、一度手にして読んでみてほしい。

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この作品は、2012年のロンドンオリンピックのあと…2014年のロンドンで実際に起きた占拠事件をモデルとしたお話。ホームレスシェルターに住んでいたシングルマザーたちが地方自治体の予算削減のために退去を迫られて、立ち上がる。こんな出来事が実際にあったのかと…全然知らなかった。そんな彼女たちが実際に社会を動かしているんだからすごい。こういう話は割と苦手なんだけど、これは思っていた以上に読みやすくて勉強になった。

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