陰陽師と天狗眼⑤
ークシナダ異聞・女神の章ー
歌峰由子
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刊行日 2025/05/20 | 掲載終了日 2025/05/10
ハッシュタグ:#陰陽師と天狗眼⑤ #NetGalleyJP
内容紹介
知らしめましょうぞ。ここに、怨みのあることを。
人気爆発! 広島もののけファンタジー、驚天動地の第5弾!
☆ ☆ ☆
【ゲラを読まれる方へ大切なお願い】
・校了前のデータを元に作成しています。刊行時には内容が異なる場合があります。
・レビューなどでのネタバレ行為はネットギャリーのみならず、外部サイトやSNS等の多くの方が目にする場でもお控えください。
・本文に対するご指摘などは「コメント」にてお願いします。
・自分には合わない作品だった場合、今後のためにも建設的なご意見をよろしくお願いします。
※今作は作者のご厚意によって提供いただいた校了前の大切なゲラを公開をしています。
※今作にこれから出会うであろう多くの読者のためにも、ご理解の上、素敵なレビューによる応援とご協力のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
☆ ☆ ☆
【あらすじ】
怨鬼のとり憑いた「神楽面」を取り逃がした美郷(みさと)たち「広島県巴市役所特殊自然災害(もののけトラブル)係」。
事件の起きた安芸鷹田の市役所や警察官などをはじめ、これまでにないレベルで「一般人」を巻き込み、事件解決へとむけて再始動するが、まさにその一般人である大学生の由紀子(ゆきこ)にも、怨鬼の魔の手は忍び寄って来ていて――。
「知らしめましょうぞ。ここに、怨みのあることを」
誰からも、自分からも知られることなく、それでも確かに在り続けた想いの化身に、美郷と怜路(りょうじ)、そして広瀬(ひろせ)が真正面から向かい合う――!
【目次】
9.「特別」な友人 P6
10.女神の舞 P54
11.蒼き瞋恚の炎 P104
12.長い闇夜を抜けて P142
13.反撃の支度 P208
14.一陽来復を願う一歩 P256
15.そして進み行く日常 P308
■著者
歌峰由子(うたみね・よしこ)
広島県三次市出身。大学は生命科学を専攻したゴリゴリの理系だが、何故か伝奇物の執筆を好み、自室の本棚は郷土誌と民俗・オカルトの本で埋まる。『陰陽師と天狗眼―巴市役所もののけトラブル係―』でデビュー。現在シリーズ既刊4巻まで好評発売中。
■装画
カズキヨネ(かずき・よね)
イラストレーター。大人気ゲーム『薄桜鬼』キャラクターデザインを務め一躍世界的人気に。和のテイストを生かした、躍動感あふれる美麗なキャラクターを描くのが得意。『破滅の刑死者』シリーズ(著:吹井賢/メディアワークス文庫)、『華鬼』シリーズ(著:梨沙/講談社文庫)等書籍装画担当作品も多数。
出版社からの備考・コメント
◎拡材や新刊配本のお申込みにつきましては、
【マイクロマガジン社 販売営業部】までお問い合わせいただけますと幸いです。
件名に「ことのは文庫 5月新刊の注文」と明記の上、
「番線 or 番線情報」「書店名」「ご発注者様名」をご記載いただき
【hanbai-bceigyou@microgroup.co.jp】までメールにてご連絡くださいませ。
※受注状況によってはご希望数より調整が入る可能性がございます。予めご了承ください。
※価格は予価です。
◎こちらの新刊タイトルのお申し込み締め切りは2025年4月9日迄承っております。
おすすめコメント
◆シリーズ最大の大ピンチに、《もののけトラブル係》はどう立ち向かうのか。
「普通」「普通ではない」の線引きとは、連綿と続く「そこに在る怨み」とは、果たして何か。
登場人物たちが自らつかみ取る「結論」とは。
前作「怨鬼の章」から、本作「女神の章」へ。シリーズ屈指の問題作・【クシナダ異聞】、ついに完結です!
◆そしてやはり、本シリーズと言えば…!?
ご安心ください、全国の白太さんファンの皆様!
今回もシリーズ最高峰の愛されマスコット・白蛇の白太さんは、特盛の可愛さとかっこよさで大活躍します!
販促プラン
あなたの【おすすめコメント】大募集!! 拡材に使わせていただきます!
①応援レビューを拡材(帯またはPOP)やECサイトに使用させていただきます!
期間内にいただい応援レビューを、拡材に使用させていただく場合があります。
掲載文字数に制限がありますので、一部抜粋の上、整理した文面になります。
書籍オビに採用された方にはサイン本を1冊進呈します。
※掲載時には事前にご連絡・確認をいたします。
※サイン本の発送は国内に限らせていただきます。
※出版社にメールアドレスを開示設定されていない場合は、送付先の確認のご連絡ができかねますのでご注意ください。
《拡材用の応援レビュー募集期間》
~2025年4月11日(金)午前10時
②応援レビューを特設サイトで紹介します!
期間内にいただいた応援レビューは、刊行時に公開する予定の作品特設サイトのレビュー紹介欄にて掲載する場合がございます。
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《特設サイト応援レビュー募集期間》
~2025年4月11日(金)午前10時
作品の拡材や指定配本をご希望の書店様は、
恐れ入りますが『マイクロマガジン社 営業部』まで直接お問合せをお願い致します。
出版情報
発行形態 | 文庫・新書 |
ISBN | 9784867167571 |
本体価格 | ¥770 (JPY) |
ページ数 | 352 |
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「普通」な自分が「特別な」美郷との友人でいいのか悩み続ける広瀬。
一方、「特別な」ものは持っていないけれど、親族や世間の言う「普通」を選び続けることが、由紀子にはもう苦しい。
読むうちに自身の悩んだ経験が思い出されては胸がヒリヒリと痛み、彼らの思いが辛いばかりでない出口にたどり着けることを願い続けていた。「普通」と「特別」に正否も優劣もなく不偏でもないのだと、見せつけて欲しいと願っていた。
怨鬼と姫神の正体とそれに伴いいつになく人員も組織も集められた大がかりな解決手段と共に、広瀬と由紀子、広瀬と美郷、それから美郷と怜路、相手を大切に思い手を伸ばす――隣に立っていたいと思いあう彼らの姿の描かれる、見たいシーンてんこ盛りの5巻でした。

前巻では『特別な人』である美郷の辛さに焦点を当てた物語は、今巻では『普通の人』である広瀬や由紀子の辛さに当てられます。家庭に問題があるわけでは無く、経済的にも恵まれている。そんな『恵まれた』『普通の』二人は、『特別な』人達の辛さへの遠慮から自分の辛さを口に出すことなく飲み込んでしまいます。
そんな二人の周囲の辛さは今はリアルよりネットの方に多く見られるのかもしれません。嘘か誠か真偽のつかない『特別な辛さ』や、亜沙美のような刺々しい言葉、一方的な価値観を押し付ける論調。それらに巻き込まれたり、偶然に見てしまって、ひっそりと傷ついてしまう人達にも、美郷が広瀬にかけた言葉を、広瀬が由紀子にかけた言葉を届けてあげられたら、と思いました。
そして、『特別な』美郷と怜路にも、事件を通して、警察、一般の神楽研究者、神楽団など、大勢の人達が手を貸してくれます。いつになく大人数での事件解決への動きに、孤独だった二人を思い、嬉しくなりました。
ラストは可愛らしいカーテンコールに穏やかな終幕。ずしりと重くも、少し心が軽くなる、読み応えたっぷりの物語でした。

第四巻から繋がる第五巻。《もののけトラブル係》は大ピンチを迎えています。
どうやったら捉えられるのだろうか、美郷と怜路たちは手がかりを求めて奔走していきます。
前作に引き続き「普通」であることに悩み、「普通ではない」ことに悩み、人とはなんと悩みの多いことでしょう。
自分の今までの生き方は「普通」であったのだろうか。
誰かにとっての「普通」のためにと思う気持ちはなかったのだろうか。
他人の目を気にして諦めたことはなかっただろうか。
ただのもののけの物語ではなく、人としてどう成長していきたいのか、どう関係を気築いていきたいのか、本当の気持ちをどう伝えたらいいのかという、今回も人間の心模様の描かれ方がとても深かったです。今「辛い」と感じるならそれを言葉にして吐き出してしまおうと思うと心が軽くなりました。
前作で初めて広島の神楽のことを知りましたが、今作も神楽の話がたっぷり出てきます。そして参考文献の多さにもびっくりです。いつかぜひ本物の神楽を見に行きたいと思いました。
愛されキャラの白太さんの可愛さは増すばかりです。
嫌われたくない思いや、ちょっとヒスったり、嗚咽したりと抱きしめてあげたくなりました。ラストの白太さんの姿はもはや反則級の可愛さでした。

前巻で大きく広がった怨鬼の呪われた舞台が、広島固有文化ともいえる神楽を通して収まっていく本作はおんてん全巻の中でも圧巻の話でした。
人それぞれに別々の地獄がある。他人の地獄は自分のものよりもより苦しそうに見えて、けれど所詮どちらも地獄でしかない。他人と比べても意味はなく、自分は自分の地獄と向き合って折り合いをつけて生きていく...本作を通じて読み手もまた自分の地獄が思い起こされることになると思います。
その痛みもまた物語の収束に向けて解き放たれて昇華されていくような物語でした。人生の苦しみと向き合ったことのある人にこそ読んでもらいたい本です。

取り逃がした怨鬼が何不自由無く普通に生活しているようにみえる大学生の由紀子ちゃんに取り憑いてしまった!?
この普通という言葉の概念が厄介で、前巻で白太さんに怯えてしまった広瀬さんが美郷さんと普通に話せるかな、と心配したり、本作の前半は登場人物と一緒に普通ってなんだろうな⋯⋯。と悩み考えながら読み進めました。そこへ怜路さんが、こういうことだろ、と温かい言葉をかけてくれるから、その言葉の数々が心に沁みました。
白太さんが「りょうじ、だいすき」と言うのに「わかる」と共感。
この巻の最大の見せ場はなんといっても舞いです。その長丁場は圧巻で、本当に舞台を観ているようでした。由紀子さん、美郷さんが美しいのはもちろん、怜路さんの「猿田彦」の力強さがとても良かったです。このお話、巻数を重ねるごとに怜路さんがいることでの安心感が大きくなりますね。
靖さんのアドバイスをうけながら由紀子さんは外部が決めたこうあるべき自分じゃなくて、自分で決めたこうありたい自分になっていって欲しいです。
広瀬さんとも仲良くなりたい白太さんの気遣い変装に笑顔になりました。ほのぼのして和みますね。白太さんも美郷さんもそのままでいいんですよ、と思いました。
手強い相手なのでどうなるかドキドキでしたが今作も面白かったです。

「最初から撤退戦」とベテラン上司に言わしめた大事件、なんとか鬼女面を捕縛できたと思いきや逃げられ、というところからの後半戦である。
後手へ回らざるを得ず悩む美郷だが、県職員や神楽の専門家といった新たな登場人物を迎え、怨鬼対策はまさにチーム戦となっていく。
しかしそれが本作でのもう一人の主人公である広瀬を更に悩ませる。ぎくしゃくしたものを抱えながら糸口が見いだせず延々と引きずる広瀬。片や「人生の正解」に身動きが取れなくなっているインターン生・由紀子。2人の悩みは重く、物語も重く沈んでいく。そして現れる鬼女面=怨鬼。ただただ怨みを重ねた存在に取り込まれた由紀子を追う美郷、怜路、そして広瀬。怨みよりも絶望に呑まれる由紀子にどうしたら届くのか。
ここまでの広瀬の逡巡があって、長く苦しかった痛みが溶けていくカタルシス。そしていよいよそこから始まる対怨鬼戦。神楽大会の名を借りた怨鬼との戦いは、大会の進捗とともに徐々に盛り上がり一気に最終戦へとなだれ込む。怜路との息の合った舞=攻撃が目に見えるようだ。思えば前巻での怜路の想いが美郷に届いた、それを確定させるかのような美郷の怜路への、背中を支える力強い手への、揺るがぬ信頼。あぁもう読んでもらうしかない!
今回も我らがアイドル「白太さん」は健在。しかしそれよりもむしろ美郷のネーミングセンスが相変わらずで、緊迫した物語中での癒しだった。
怜路と白太さんを介した美郷との関係性から見えるものは確かに「情愛」と言えるだろう。本作はBLでこそないが、そういった物が苦手、という人も是非読んでいただきたい。それを越えた「人間」がそこにいるのだから。

満たされない、行き場のない負の感情を抱えた人間にささやきかける怨鬼。
被害者のひとりである由紀子の複雑で苦しい胸の内(普通であるからこそ、自分自身の思いに生きられないのはあると思う)や、美郷の能力ゆえに距離を取ってしまい、今後の関係性に悩む広瀬など、リアルで等身大の悩みや苦悩、そこから生まれる身勝手な感情は見覚えのあるもので、読んでいて何度も苦しくなる。そういう感情を誇大化せず、今を生きる大人として向き合うお話の誠実さは、読み進めるうちに救いになっていった気がしました。
さまざまな事情でどんな立場の人間にも苦しさがあり、それに立ち向かうのは最終的に自分ではあるけれど……偶然の出会いやかかわりの中で、突破できるきっかけがあるのだという希望を、描いているように読めました。
精神的な救いのある話なのはもちろん、緻密な取材と描写による神楽が解決のキーになる展開には手に汗を握り、随所に差し込まれるキャラクター同士の信頼や関係性などの展開も楽しみました。

鬼女面を追う中で力と意思の〝4人組〟となった彼らの、互いを自己実現へと導く深い想いからの会話、心の絆。ここまでに5巻をかけたのだ。
そしてとうとう、鬼女面を鎮める「神楽大祭」が始まった。
最後はモチロン、白太さんが可愛く〆る🩷
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前巻の直後からの開幕。それだけに、皆の動揺は静まっていない。
美郷を取り巻く者たちが広瀬に気を使う様子から、その必死さが伝わってくる。美郷を支えるポイントが広瀬なのだから。続いて彼らの日常が。それもまた、心に重い荷を背負ったそれぞれの様子が辛く感じられる。それでも鬼女面について調べていく、皆の地道な姿。それは、「公務員」、と言う立場を超えた「人を大切に思う」姿だった。「姫荒平事次第」は、それ故の成果なのだろう。これこそが突破口。
そうして、互いの腹を割ってのやりとりが、とうとう再会から一年かかって美郷と広瀬の間で行われる。白蛇を解放したら怒鬼と変わらぬモノになってしまうのが怖い。それが美郷の本音。それに対して、そばに居ることならできるという広瀬の決心。ひょうひょうたる態度を見せている怜路の心中は、ずっと前の「誓いの言葉」を変えるはずはない。力ある者と意思ある者の〝3人組〟の真の誕生。
更に、美郷、広瀬、怜路、そして高宮のそれぞれの心中からの言葉にはっとさせられていく。それは、〝力〟のある無しとは関係ない、「自分の意思で今を生きている」からこそ言葉にして出せる〈本音〉だから。この5巻はシリーズ最終巻というだけ以上に厚い。その理由がわかった気がした。これらのやり取りが必要だったから。それを一つ一つ書き残していくことが必要だったから。今まで自分を縛り付けていたものを互いに解放し合う、自己実現に向けた道。そのやり取りが眩しい。それにより〝3人組〟から〝4人組〟へとなった彼ら。
そして、人ともののけの関係者や協力者の総力をあげて、鬼女面の調伏への準備に入り、2ヶ月後、とうとう「神楽大祭」が始まる。
今回一番変わったのは怜路かもしれない。それを自覚したのは一番最後なのかもしれないが。とうとう第5巻終幕を飾るのは、もちろん白太さん。美郷の本心といえる白太さんと正面から相対した広瀬。白太さんの問いは美郷の心の一番奥底からの問い。それに答える広瀬。そして、この物語は続いていく。

大丈夫。君は君の心のままに生きられる。そんな声が聞こえたような気がした。それに伴う結果や責任も含めて、すべてが君の人生、君のものなのだから。そんな生き方は一見、あえて困難に立ち向かうことにも感じるけれど、本当は、すべてを自分のものとするそれが、自分にとって一番自然な無理のない道を力強く歩むことになるのだろう。
広瀬だからこそ持っている言葉。由紀子だからこそ歩み出せる道。苦しみの末につかめた彼らの未来も楽しみだ。
前巻で大切な友人広瀬を思いやるあまり、また自身の在り様への不安から弱さを露呈し、唯一無二の相棒怜路の存在に救われた美郷だが、この巻では本来の強さを発揮する。なかでも、自分を裏切った世界を忌みながら、それでもそこに在ることを望み続けた美郷が、自分と世界との関係を修復できる可能性に気づいた時に動いたことは、特筆に値する。それがもたらした結果は、「おんてん」全体に対する私の見方をガラリと変えてしまうほど大きなものだった。詳細は述べないが、元々大好きだったこの作品を更に好きになった。そしてこの相棒コンビを好きな人なら間違いなく歓喜する、美郷の大きな変化は他にもあるので、是非ご覧いただきたい。クシナダ異聞は「おんてん」の大きなターニングポイントだ。
白太さんのかっこかわいさは今回も爆発した。最後の最後に見せる愛らしさも、広瀬の対応とともにとてもよかった。
怨鬼対応にかかわったすべての善き人々、善き人外たちを祝福したい。皆とても素敵な方々だった。
この作品が描き出す人と人との様々な関係性や、人を思う人の心の複雑さや優しさがとても好きだ。途中どんなにつらく悲しいことがあろうとも、読み終わった後に温かなものをもらえている、だからまた繰り返し読みふけることになる、そんな作品だ。

総務局の木元さんという曲者、ヤッサンこと森山さん(PN)、克樹の新しい側近の都築とキャラ立ちの良い新キャラが登場する5巻。
今後も付き合いの続きそうな木元さんは本当に曲者だけど、将来性のあるお付き合いになりそうで、美郷達の課にとっては良いコネクションになった気がする。
組織の関係性や将来の部分がクシナダで沢山描かれていて良かった。
ヤッサンは協力者的なポジションで出てきたんだけど、今回は神楽に関する知識が必要で、ヤッサンのような一般人の人と連携していくところも良かった。
広瀬と由紀子は自分とガチガチに向き合い、2人とも普通に恵まれていながらの辛さを抱えていて雁字搦めになりつつあったのが、今回乗り越えて成長したよね。
由紀子は家と友人の柵と向き合い、広瀬も友人(美郷)との蟠りと向き合い、解決できて本当に良かった。
神楽やこども食堂など県民性や地域性について、密度の高い内容が盛り込まれていて、地元の人や近隣に住む人には解像度高めで読めて知らない人は興味を惹かれるだろうなと思った。
そして、毎回私的に注視している怜路と美郷のバディ感と白太さんの可愛さと活躍ぶりが5巻でも炸裂していた!
怜路と美郷、本当にますます理解を深め合ったいいバディに…!
白太さんは今回も強くてかわいかった!
5巻もすごく面白かった。

逃げた鬼女面に対抗すべく、神楽を奉納し土地神の力を借り受ける計画を立てた巴市特殊自然災害係の面々。ただこの計画にはリスクも多く・・・・。
隣県までも巻き込んだ大事件の収束巻だがシリーズとしても転換点のようにも思えた。シリーズを通して綴られるのがあちら側にいざるを得ない者の喜怒哀楽であり、彩りとなっているように思えるが、この巻では逆にこちら側にいる所謂「普通」の人々の苦悩、哀しみに焦点をあてているようだ。そしてそれは「こちら」と「あちら」を隔てる壁はもともとなくとも、無知などの理由でどちら側からともなく生じるものであることを暗示し、現実世界でのLGBTや人種といったものでのすれ違い衝突を暗喩しているようにも思えた。さらにはマスコットキャラの必殺技の可笑しさや、神楽シーンの優美さ迫力などがより物語を太く厚く見せてくる。
不穏さを示すキャラも新登場しさらなる深みを予感させつつ、一定の収束の安堵感をも示した第5巻。