
父の回数
王谷 晶
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刊行日 2025/04/21 | 掲載終了日 2025/04/23
ハッシュタグ:#父の回数 #NetGalleyJP
内容紹介
// 話題のシスター・バイオレンスアクション『ババヤガの夜』の著者が放つ傑作小説集 //
人間関係にレッテルなんて必要ない!
孤独な現代人の心を揺さぶる
「ダイバーシティ」ファミリー小説5編!
誰にも同情されず注目もされず、
生きる営みを鬱々と続ける人々の心を照らすものとは?
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■ こんな風に書かれる主人公たちが心底羨ましい。理屈じゃなくて、肌触りが好き。独り占めしたいから読まないでください!
[ 尾崎世界観(シンガーソングライター・小説家)]
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■ あなたの人生と、わたしの人生が重なった。それだけで、これからも生きていける。
[ 町田そのこ(作家)]
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■ 本書は家族という最小の社会につけられた、無数の傷を愛そうとするこころみである。
[ 海猫沢めろん(作家)]
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■ これはあなたの話であり、わたしの話であり、あなたのすぐ隣で生きているひとの話だ。
[ 永井玲衣 (哲学者・作家)]
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著者/王谷 晶(おうたに・あきら)
1981年東京都生まれ。著書には『ババヤガの夜』(ロサンゼルス・タイムスで「この夏読むべきミステリー5冊[2024年]」に選出)『君の六月は凍る』『完璧じゃない、あたしたち』『40歳だけど大人になりたい』『他人屋のゆうれい』などがある。
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★★★
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出版情報
ISBN | 9784065389683 |
本体価格 | ¥1,800 (JPY) |
ページ数 | 240 |
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私達の日常に漂っている諦めや希望を胸を刺す切実な心理描写、だけど、登場人物たちがちょっと俯瞰で自分を見つめている、という新感覚の人間ドラマで、楽しく一気に読んだ。
行間に潜んでいる登場人物たちの心の声まで聞こえてくるようで、マインドリセットされる。本を閉じると、抱えていた自分のモヤモヤが少し晴れていた。

家族といってもその関係性は無限にある。一緒に暮らしているだけが家族ではない。無言で隣りにいても平気だったり、何かあったら話したい人が家族だったら居心地は良さそうだ。
居心地の良い家族の話だけではない。自分の両親だったらどうしようと思ってしまうような家族も描かれている。消息が途切れていて戸籍の上だけの関係だと割り切っていても、本音はまた別のところにあるのかもしれない。
一編ごとの家族の話を読みながら、型にはまった家族ではない人々の心の内を覗いているようだった。どこの家族も他人には言っていないだけで問題を抱えているだろう。だからこそ他人事に思えない気持ちになる話だった。

この作者の前の作品「ババヤガの夜」はけっこうおもしろかった。暴力団の娘のボディガードをする、暴力依存症の女性の話。人物設定も良かったし、カラッとした文章が何より気持ちいい。
そしてこちらは打って変わって、ダイバーシティーをテーマに据えた家族の物語。
いまやLGBTQは特別なことではない。愛情だって、異性愛があって、同性愛があって、アロマンティックがあってアセクシャルがある。しかし身の回りにそんな多様性のある人がいるとは限らない。実際に接してみないと、人のことを理解するのは難しい。
だから本を読む。擬似的にそんな人たちに会うために、本を読む。
この本を読むと、いろいろな人がいて世界は鮮やかに輝くということがわかる。性嗜好が多様であるから、世界は豊かになれる。そんな事実がSNSの存在で知られるようになってきた。
世界がわざわざ「ダイバーシティ」と言わなくてもいい時代にいつかなるといい、そんな気持ちになれる一冊。
全てがダイバーシティを扱っているのではなく、普通に家族の話もある。それもまたいい。
特に最後の「かたす・ほかす・ふてる」が淡々としていていい。母親と離婚した父親が亡くなり、実は再婚していて子供もいると分かった話で、父親の新しい家庭の子供と一緒に遺品整理をする。主人公には父親が亡くなった実感がない。しかしある瞬間に死を実感する。
会話が中心の短編だが、なんだか好きな話だ。

外堀からすっと核心にはいってくる えって思う で、なに?なにが起こったの
書き手の妙にわたしはすぐに虜になった
数十ページ 長くても百頁 その重厚 引き摺り ずーんの跡 重いわけではないし 影
そこに レンタルビデオの店員 スーパーのバックヤードでしゃべくる女 知らない 知る由もない
ここで何を言わせるか 言葉にしなくても伝わる 映像のような言葉をだす作家
タイトルの付け方の才 最後まで読んであーそういうことか
劇的な何かがなくてはダメな人生ですか
これが人生じゃなくてなにが人生だという気がしてきた
クアラルンプールに転勤する親と比べてもだからどうなんだって話だ
ハッピーターンを食べる 家具は日本直販 窓の外からは「灯油~灯油~」と移動販売の音
もうずっぱりこの世界
人生の最適解ってあるんだろうか ぼんやりとそんなことを考えた
無性に歩きたくなって1日の歩数を1万歩にした

普通とはひと味もふた味も違う
さまざまなカタチの家族を描いた小説集。
ダイバーシティファミリー小説って何?
と思いつつ手にしましたが
多様性の枠を軽々踏み越えてますね~。
新鮮そのものの読書体験になりましたよ。
「知らない誰かの不幸が、僕の生活を救った」
表題作『父の回数』にある
このフレーズには眉間を射抜かれました。
人の不幸が俗に言う”蜜の味ではなく、
魂の救済になるという視点。
これが自分にはまるでなかったのですが、
ストンと腑に落ちたんです。
共感しづらいと感じていた主人公が
急に身近に感じられた瞬間でした。
『おねえちゃんの儀』は
微笑ましい愛情表現が好き。
『あのコを知ってる』では
イライラするけど憎めないアイツに
読んでるほうも首ったけ。
意外な組み合わせのバディには
思わずフフッと含み笑い。
『リワインド』の吸引力は圧倒的。
SFは避けてきたのに気づけば夢中でした。
「絶対に二十分で好かれてみせる」に
共感のタガが外れっぱなしでしたよ。
『かたす・ほかす・ふてる』は
後からじんわりくるストーリーで
とくにラストの心境が胸に沁みました。
全体に、伏線から回収へという
普通すぎる流れにあえて逆らうような
意外性が散りばめられていて魅力的。
これって絶対に確信犯ですよね?
読者の予想をスルっと裏切るけど
期待はガッチリ裏切らない一冊です。
(対象年齢は13歳以上かな?)

短編が5作収録されていて、興味を惹かれた書籍タイトルが「父の回数」だったのでお父さん系の話を楽しむ本なのかなと思っていて、最初の「おねえちゃんの儀」が予想していなかった内容で新鮮でした。
繊細な心情が綴られていて、他人事なんだけど段々読んでるうちに自分事に思えてくるのがすごい。
独特の「その場の空気」みたいなのを感じて、心地いい。
リワインド、父の回数、かたす・ほかす・ふてるの3作が特に好きです。
のんびりと作中の日常に浸っていたら、ふと胸を突かれたり、ドキドキはらはらしたり。切なくなったり苦しくなったり。短いんだけどキレがあって、面白かったです。
リワインドは何回も「まただめだった!?」ってなって再チャレンジするのが楽しくて。
父の回数はラストの父に「おい!」と声に出してつっこみたくなり。主人公に全力で味方したくなりました。幸せになってほしい……。
かたす・ほかす・ふてるは感情が湧いて来る締めにグッと心を掴まれて、「いいな」ってなりました。
あと、表紙イラストの雰囲気・世界観も好きです。

5編の短編集。
”ダイバーシティ=さまざま”な人が主人公。
同性のパートナー、彼女の息子、娘、父親…など家族との関わりがある物語。
一番好きだったのは、「リワインド」。
当時は苦手だったバイト仲間を助けるために、何度も過去に戻る。
何度も何度も。
関わる時間が多い分こちらは友情も増すが、相手にとっては―というのが何ともせつない。

風変わりなタイトル、ちょっと変わった読み口の短編集です。
最初の数篇は、だいぶ読者が限られるかも・・・と思いながら読みましたが、全体としては普通に読めました。
とはいえ、内容的にシュールな印象が残るものが多く、ある程度「読み慣れた」人に向くように感じました。

以前に読んだ「ババヤガの夜」が良くてね。この本も、結構変な話をしてるんだけど、すぅっと読めちゃう。登場する人たちは世間の真ん中じゃなくて、端の方にいる人ばっかり。女ふたりのカップルとか、父親が死んだという連絡をもらって、始めて自分に兄弟がいることを知った人とか、年上の彼女が消えてしまってオロオロする男とか。いるいる、こういう人。本人は真面目に生きているつもりなんだろうだけど、どこかいい加減な人たち。
でもね、よく考えてみるとみんな被害者なのよ。「おねえちゃんの儀」では、公営住宅に住みたくても、そこを借りる条件として夫婦か家族って規定があるから、戸籍上他人の女ふたりだと、そこには住めないのよね。だから姉と妹ということにして借りてる。世の中の不公平を率先してやってるのは、やっぱり役所なんだよなぁ。結婚だけなく、同棲すらも邪魔してくるのって、ひどい話。
一番好きだったのは「リワインド」。かつてバイト仲間だった子を助けようとするのだけど、なかなか上手くいかなくて、何度も何度も同じことを繰り返していくところが面白い。繰り返していくうちに少しずつ利口になっていくところが、「おお、やるじゃん」って感じで楽しい。

【父の回数】
初読みの作家さんです。短編5話すべて、その後が気になる終わり方ですが、人の心の声を細やかに拾っている文章が好みでした。タイトルも、読み終えると「それでこのタイトルなのだ」と納得。5話それぞれいろんな主人公たち。皆の未来に幸あれと祈ります。著者の他の作品も読んでみようと思います。

薄っぺらいようにみえて、相手のことをなんにも知らなくて、それでも残る関係こそが本物なのだと思わされた。
たくさんの色々な形の人間関係が描かれていて、そのどれもが自分に当てはまらないと思えるのに、どれもがわかる気がした。
自分がどんなことを他人や家族に求め、どんな形を理想としているのか、改めて考えるきっかけになった作品。

王谷晶さんの本を初めて読みましたが、この本に収められているどの話も面白かったです。
私は特にタイムリープしてバイト先の同僚を助けようとする「リワインド」と表題作の「父の回数」が好きでした。「リワインド」は次はどうなる?同僚は助かるのか、助からないのか、続きが気になってどんどん読み進められましたし、リープする中で、元々の人生ではほぼ関わりのなかった同僚との関係が変わっていくのもよかったです。「父の回数」は実の父親ではないけれどよくしてくれる今の父との暮らし。一緒にいても一人になれる友達。そこへ突如現れた生みの親である父親の存在。といった青春小説のようだけれど、ただ青春でくくれないような喪失が描かれているように感じました。悲しいけれど好きな話でした。

短編集。
バイオレンスな小説の印象が強い作者だが、こちらの短編集は純文学寄りのエンタメ。
「お姉ちゃん」と同居するレズビアン女性の痛み、再婚した父の息子と遺品整理をした話、クアラルンプールに転居する友人の話など。
ジャンルや枠に押し込めたくない作品。

家族にまつわる5つの短編。
同性愛女性の同居だったり、ふらっといなくなる母だったり、数十年会ってない離婚した父だったり。
家族ってほんと不思議な関係だなってしみじみと。
感情表現が繊細で、どれも主人公を応援したくなる話でした。
タイトル作はオチが切なかったし、昔のバイト仲間を助けようと奮闘する『リワインド』はドタバタ展開が楽しくて、とても面白かったです。
そういえば昔テレビデオってありましたね。

家族って、面倒だなぁとつくづく思いました。
家族であることも面倒だし、家族でないことも面倒だし、家族になることも面倒だし。
生まれ落ちた家族も育つ家族も子どもは選べないことがほとんどだから、
自分で選べるようになったからってそう簡単に上手には選べないものなのかもしれないですね。
家族がメインではないタイムリープものがいちばんおもしろく読めました。
映画をビデオで見た時代を知らない人にどのくらい伝わるかわからないのですが、
ビデオが巻き戻しされていなかったときのあのうわっと感とか懐かしかったです。

王谷さんの作品は初めてでした。河出から出ている作品はどれも装画が独特で作品の異質感を相乗させるような効果があって書店でも惹きつけられました。本作もインパクトのある装画で若干肖ったのかななんて思いました。完全に独立した短編集で表題作も好きでしたが、「おねえちゃんの儀」や「リワインド」のほうが印象に残りました。特に「リワインド」はむさ苦しい朝みたいなじっとりとした重さがクセになりました。

いろな形の家族が登場する5つの物語からなる短編集。
それにしても私の周りにはいないな…と思う人ばかり出てきた。(笑)
共感ではないけれど、淡々と語られる物語は読みやすかった。
いろいろな人がいて、いろいろなことを感じながら日々生きているんだな、きっと。
「あの子を知ってる?」「かたす・ほかす・ふてる」が今の私には特に印象に残った。
表題作「父の回数」に登場する実父、残念な人過ぎる…

初読みの作者さんでしたが、尾崎世界観さんの推薦文が気になって読みました。ダイバーシティファミリー小説ってジャンルって何ぞやと思いましたが、短編5話それぞれの主人公に感情移入ができて、とても面白かったです

いろんな形の家族を題材にした5編の短編集。いかにも今だから表に現れてきた家族の姿を見せている。今までは隅っこで暮らしてた人たちが、こういう形態の繋がりもあるよねと教えてくれる。表題作『父の回数』はSNS世代でないと書けないと思った。

家族をテーマにした5つの短編集。
どれも甲乙つけがたいほど、良かった。
ハッピーな話もあれば、切なくなる話もあり。
表題作「父の回数」は、胸糞悪い最後だった。タイトルの意味がわかると、本当にムカついた。
小説を読んで、怒りの感情がわくことはあまりない。主人公が哀れで、抱きしめて、慰めたくなる。
「おねえちゃんの儀」は、同性婚が認められないので、「姉と妹」として暮らしている女性二人の話。家族になりたいけど、なれない主人公の切なさが沁みる。
「あのコを知ってる?」はシュールでおかしかった。思わず笑ってしまう。
「リワインド」は爽快!
何度も過去をやり直す主人公を応援したくなる。
「かたす・ほかす・ふてる」は、疎遠だった父を亡くした主人公と、義理の弟の話。父の死を悲しいとも思わないくらい、思い出も特にない主人公が語り手なので、全体的に淡々としているけれど、ラストはしんみりさせられる。
自分の中の、色んな感情を引きずり出されてしまう、恐るべき一冊でした。
一言で言い表せないけれど、無理やりまとめると、「とっても良かった」!

5編の短編集。中でも表題作「父の回数」生き別れの父親に会う話が印象深い。母親が見限るのがわかる父親の無自覚な残酷さが痛い。「◀◀(リワインド)」時を遡りさほど親しくない昔のバイト仲間を助けようとする話。ほろ苦くも爽やかで良い。シニカルだけど、どこか見守っているような優しさを感じる。

レズビアンの2人の同居生活を描く「おねえちゃんの儀」
紗代子が部屋を出て行ってしばらく経ったある日、りょうの元へ、紗代子の息子だという男が訪ねてきた。「あの子を知ってる?」
晴子が娘を連れ戻った実家で、レンタル落ちのビデオテープを再生してみると、大学時代バイトをしていたレンタルビデオショップでの1日が再現される。これは夢なのか。「リワインド」
母の再婚相手と義弟と暮らす高校生千波英雄の元へ、実父の姉という人が訪ねて来て実父と会ってほしいと言われる。実父の名を検索してみると、かつて炎上したYouTuberだった。「父の回数」
波子の父母は30年以上前に離婚。ずっと会うこともなかった父は再婚しまた離婚し、生活保護を受け孤独死したという。異母姉弟である父の再婚後の息子と、父亡き部屋を片付けることに。「かたす・ほかす・ふてる」
様々な形の家族の物語。