流星と吐き気
金子玲介
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刊行日 2025/05/19 | 掲載終了日 2025/05/21
ハッシュタグ:#流星と吐き気 #NetGalleyJP
内容紹介
//『死んだ山田と教室』の金子玲介が贈る、嫌愛連作短編集!//
記憶の中の自分、記憶の中のあなた。
答え合わせなんてしなければよかった。
――――――――――――――――――
◆流星と吐き気
高校時代、たった数ヵ月付き合っただけの彼女のことが忘れられず、偶然の再会を「運命」と勘違いして、安全圏から告白をするアーティスト。
◆リビングデッドの叫び声
かつて付き合っていた年下彼氏が超有名覆面漫画家になったことを知り、アニメ化にもなった作品の主人公が自分なのではとサイン会に出かける高校教師。
◆種
担当編集者とプライベートも二人三脚で作品を生み出し成功したものの、振られてしまい、漫画作品だけで繋がっている人気漫画家。
◆消えない
恋愛に興味が持てないまま何人もの男女と付き合い、家庭を持ったが、昔付き合っていた女性から独り言のようなLINEが送られてきた編集者。
◆プラネタリウム
自己肯定感が浮上しないまま生きていたある日、かつて旅行先で意気投合した男性が偶然お客さんとなり盛り上がるレンタル彼女。
――――――――――――――――――
【 担当編集者より 】
かつて付き合っていた恋人と再び出会う――。
ロマンチックな物語を想像した皆様ごめんなさい。
『死んだ山田と教室』『死んだ石井の大群』『死んだ木村を上演』の三作品では予想外のラストで感動を呼び込んだ金子玲介氏。
今作では、ブラックな方向で読者の期待を裏切ります……。自己中心、身勝手、独善。登場人物たちは誰もがクズばかり。でも客観的に読めなくなるのは、共感性羞恥を含んでいるから。
金子玲介の仄暗さをご堪能ください!
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著者/金子玲介(かねこ・れいすけ)
1993年神奈川県生まれ。慶応義塾大学卒業。『死んだ山田と教室』で第65回メフィスト賞受賞しデビュー。同作で王様のブランチBOOK大賞2024、第8回未来屋小説大賞第2位、第11回山中賞、本の雑誌が選ぶ2024年度上半期ベスト10第1位。2025年本屋大賞ノミネート。ほかの著書に『死んだ石井の大群』『死んだ木村を上演』がある。
出版社からの備考・コメント
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販促プラン
★
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著者・担当編集者ともに楽しみにお待ちしております。
また、適したメディアやお持ちのSNSにもレビューを投稿いただき、多くの方に本を拡げていただけますと嬉しく幸いです。
※発売前作品のため、ネタバレになるレビューはくれぐれもお控えくださいませ※
ご協力の程、何卒宜しくお願いいたします。
★★★
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恐れ入りますが<講談社 書籍営業部>まで直接お問合せをお願いいたします。
★★
出版情報
ISBN | 9784065394229 |
本体価格 | ¥1,800 (JPY) |
ページ数 | 224 |
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NetGalley会員レビュー

山田、石井、木村という突飛な設定で驚かせるこれまでの3作とは違って、極めてオーソドックスな、しかし愛も恋も全てを信じたくなくなる佳作。
出てくる人物の誰にも共感しない。しかし「確かにいるよな」という気持ちにもさせられる。
SNSが日常になっている、そしてAIと共存が当たり前になっている令和ならではの一作。

過去の長編3作全て拝読させていただきましたが、それぞれ違った作風で、シュールな一面がありどれも楽しく読ませていただきました。本作はミステリではないとの紹介で、どのようなストーリーになるのかとても楽しみでしたが、しっかり金子先生味を感じることができて大満足です。
短編ごとに、前章の脇役が主役となっていくシステムで、それぞれのキャラを深く知ることができて面白かったのですが、その誰もがとんでもないエピソードながら、こんな人いるよね。と、どこか共感できてしまい、次はどんなキャラなんだろう。と最後までワクワクできました。
流星と吐き気
風景の描写や会話のリズムがまさに青春小説のように綺麗で、失礼ながらこんな文章も書けるんだとびっくりしました。過去を引きずる遥也と、当たり前ではあるけれども千瀬が辛辣すぎるのがリアルすぎて辛くなりました。最後急に必死で見苦しくなる遥也に失礼ながら笑ってしまいました。
リビングデッドの叫び声
死んだ山田と教室で感じた、何気ない会話の面白さが存分に発揮されていたと思います。元彼の漫画エピソードだけじゃなくて、千瀬の同僚のエピソードが不意打ちにやばくてびっくりしました。
オチを含め、全体に金子先生味を感じで一番好きでした。
種
引き続きシュールではあるけれど、また雰囲気の違った暗さがあって、最後いい物語だなと感じてしまったのが悔しいです。
消えない
女性の一人語りがメインで進んでいくのですが、だんだんと編集者のいい人感が伝わってきて好きなキャラになりました。女性と編集者は言葉を交わしてないのに、会話ができてるところも素敵でした。
プラネタリウム
遥也が登場し、綺麗に一周したのですが、まさかの女性版遥也の登場に冷たすぎる遥也に終始ツッコミながら読みました。あんなこと言っておきながら、レンタル彼女利用してる理由もまあまあ気持ち悪くて面白かったです。

気鋭のアーティスト・HaRUKAは星を見に秋田へ訪れる。案内してくれるはずだった友人の代わりに現れたのは・・・
「あざとさ」をキーワードに告白したり、気を引いたりと恋愛関係(人間関係も含む)を構築することがもてはやされている昨今、反するかのように関係のエピローグに特化した連作集で、「すっぱりあきらめて切り替えて新しい関係を探す」という理想論に対して、嘲笑うかのように引きずり、うだうだぐたぐたのオンパレードで失笑を禁じ得ない。ただ自身やリアルの周囲の人々と照らし合わせると「案外、そんまものか」と納得させるようで油断できない気持ちにもなる。さらに連作の繋がりがその「ぐだぐだ」ぶりというのがなんとも皮肉だ。
さまざまなリアルが散りばめられたエピローグ連作集。

「死んだ〇〇シリーズ」にハマっていたので、新作を心待ちにしていました。
本作は、ロマンチックなんて言葉が似合わない、大人たちの拗れた恋愛を描いた連作短編集です。
忘れられない元恋人との再会があり、そこからまた恋が始まるのかと思いきや、展開は驚くほど現実的。偶然の再会は運命か、それともただの偶然か。もしも昔の恋人から「あなたを忘れられません」と言われたら、誰でも戸惑ってしまうでしょう。「終わった人間関係に、意味なんてないからね」という一言には、思わず頷かされました。
中でも印象に残ったのは、「消えない」に登場する怒涛のLINE。まるでホラーのようで、背筋がぞっとしました。
忘れられない思いを拗らせてしまった大人たちの姿には、どこか愛おしさも感じられました。だからこそ心に傷を負ったとしてもいつか花を咲かせるために、彼らが前を向いて進んでいけたらと願わずにはいられません。

忘れられない人。
というのは、一見してロマンスの響きを感じさせる。
実際、本編に登場する五人の男女にはどれだけ意識しても記憶から引っ掛かって落ちない『忘れられない人』がいる。
しかし本作は『恋愛小説』ではなく『嫌愛小説』として上梓された。
これが何を意味するのかというと、愛や恋をすることの難しさを“嫌悪的”に描いているのだ。
もしも、『忘れられない人がいて、あまつさえ割り切れていない』状態で読めば、胸に太い針で刺されるような痛みを覚えるかもしれない。そのくらい収録作の毒味は強く、取扱注意だ。
割り切れなさは拗れ、それはやがてぐずぐずに腐って匂いを放つ。だが、臭いものに蓋をしたからといって事が解決するわけではない。
文体はこれまでの作品と同じでどこかフランクなのに、端々にカミソリのような鋭利さを兼ね備えていて、ページを捲ればめくるほど薄らジクジクと痛みを与えさせられるのだ。
とはいえもちろん、読者を徒に痛めつけようとする小説なのではない。
連作短編形式で演出される数々の出会いと別れを通じ、『人というのは他人の存在があってはじめて己を知ることができ、それに伴う傷は成長の糧となる──可能性がある』こともまた、綴られているのだ。
人を愛することに、恋を抱くことに、どんな理由や意味があるのか。
恋愛のキレイゴトを真っ向から撥ねつけるような、決して優しくないながらも、ひとつまみの情が忘れ難い作品だ。

荒ぶる情念のほとばしりが
圧倒的な迫力で眼前に迫る一冊。
クライマックスからさらなる衝撃がくる!
こんな恋愛小説、見たことない!
予想を縦横無尽に裏切るもの凄い作品でした。
「思い通りなんかにさせないよ?」って
著者の高笑いが聞こえてきそうです。
一番面白かったのはテスト問題のくだり。
思わずその場面を想像して吹いたわ~。
多様な恋愛観が出てきますが
一筋縄ではいかない悲恋のなかに
狂おしいほど共感の粒がぎっしり。
決してよくないとわかっているのに
制御できない感情の奔流。
身につまされました。
思い出させられました。
しあわせの記憶、苦い過去、
どうしようもなくとらわれる心。
これは誰しも自身の経験に
重ねる部分があるはず。
つまりグワングワンに
揺さぶられることうけあいです。
この読書体験は古傷に効く!
効きすぎてもうフラフラなのよ。
(対象年齢は13歳以上かな?)

登場人物全員漏れなく気持ち悪い。
これはすごいことだ。出てくる主役として出てくる奴が本当に全員気持ち悪い。
なのに全員自分のことをわりとまとも(どこにでもいる人間)だと自覚している。
本当に気持ち悪い。共感もしないし納得・同情もない。
なのにすいすいと読み進めて、「面白いな~」なんて思ってる。変な作品!

SNSや一昔前のネット文化に親しみを覚える一方で、登場人物たちのどこか現実離れした存在感が、感情の衝突や辛辣な言葉を逆に本音として際立たせていたのが印象的でした。
作者は自身に近い男性像を媒介に、感情を率直に描きつつも、男女いずれも偏らず生々しく、それでいて一定の距離感を保っていたように感じます。
特に印象に残ったのは、冒頭で振られた男性が最終話では振る側へと立場を変えていたところ。その豹変ぶりに驚かされつつも、彼が本当に愛していたのは“相手”というより、“その人といる自分”だったのだと腑に落ちました。まあ、多くの恋愛の根底にはそういう要素があるのかもしれません。
相手の魅力を問われる場面では抽象的で凡庸な言葉が並ぶ一方、自分と相手がいる情景だけはやたらと鮮明で、恋愛に潜む自己愛が自然と浮かび上がっていました。
それも人間の一面であり、自己嫌悪することもあるけど、この感情と生きてくしかないし。
純粋で素直な恋愛小説だと感じました。

金子作品初心者が恐縮ですが、金子作品は軽妙な文章とセリフで、人の痛い部分や、闇みたいなものを書くというイメージで、私はそのギャップというか、淡々と語られる感じがすごく好きです。
この作品も、そのイメージを裏切らず、いや、恋愛という身近なテーマだからこそわかりやすくて(わからなさすぎて)期待以上でした。
人を一途に思い続けることができることが羨ましく思えると同時に気持ち悪く、微笑ましいように思える自意識過剰が痛すぎる。
「恋愛したい」ではなく、「恋愛って怖い」と思わされる、気持ち悪さと痛さ全開の恋愛小説だと思います。