蒼天のほし
いとうみく
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刊行日 2025/05/19 | 掲載終了日 未設定
ハッシュタグ:#蒼天のほし #NetGalleyJP
内容紹介
夜、子どもを一人にしないために。
親が安心して働けるために。
夜間保育園が見守る、親と子の心。
●あらすじ
仕事と育児に追われるシングル保護者、自身も一人の母親である保育士、そして自宅を改築して夜間保育園を開いた園長。
様々な想いが交錯する夜間保育園。都会の片隅で、今夜も温かな光を灯している――。
新米男性保育士の成長とともに描く親と子のドラマ。
野間児童文芸賞、河合隼雄物語賞、坪田譲治文学賞ほか、各賞受賞の注目作家が静かな祈りを込めた物語。
前作『天使のにもつ』(双葉文庫)で保育園の職場体験をした主人公中学生・風汰が、本作では保育士となって登場!
●著者プロフィール
いとう みく
神奈川県生まれ。2013年『糸子の体重計』で第46回日本児童文学者協会新人賞、15年『空へ』で第39回日本児童文芸家協会賞、20年『朔と新』で第58回野間児童文芸賞、21年『きみひろくん』で第31回ひろすけ童話賞、22年『つくしちゃんとおねえちゃん』で第69回産経児童出版文化賞ニッポン放送賞、『あしたの幸福』で第10回河合隼雄物語賞、23年『ぼくんちのねこのはなし』で第38回坪田譲治文学賞を受賞。その他の著書に、『かあちゃん取扱説明書』『夜空にひらく』『真実の口』『天使のにもつ』など多数。
出版社からの備考・コメント
※書影は仮のものです。
※ゲラは校了の前のデータにつき、修正が入る可能性がございます。
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出版情報
発行形態 | ソフトカバー |
ISBN | 9784575248173 |
本体価格 | ¥1,700 (JPY) |
ページ数 | 280 |
閲覧オプション
NetGalley会員レビュー

支え合う気持ちを呼び起こす物語。
気高い意識のもとで
運営される夜間保育園を舞台に、
学生っぽさが抜けない青年保育士や、
頼られるベテラン、情の厚い園長先生らが躍動します。
お迎えは深夜2時まで、
時には朝まででも受け入れる施設は
どこか特別。
けれど、一人ひとりの園児はやはり、
当たり前に愛情を欲するちいさな存在ですね。
元気いっぱいだったり
涙に溺れるような姿に触れて
彼らの明るい未来を
願わずにいられませんでしたよ。
とくに面白かったのは、
若々しさが微笑ましくもある
やんちゃ保育士が関わるエピソード。
現代っ子らしい感情の漏れ方や、
挫けそうになる性分もありますが、
だからこそ彼の成長するさまは
愉快で、嬉しく感じられたんです。
少し大人向けの本という印象ですが
ターゲット層を上げてみても
驚くほど読みやすいのは
いとうみく先生ならでは。
そして、本作でもやはり
社会問題に切り込むような
深みがありました。
夜間保育への偏見や批判など百も承知。
それでもどこかで困窮し、
立ち尽くす親子がいる事実がある。
現実を直視しろ。
綺麗ごとで助けられない命がある。
心を揺さぶりつつ、
そう訴えかけてくるストーリーに
背筋がピンと伸びる思いでした。
人々の意識に新たな風を吹き込む力作。
あらゆる気遣いの中に
揺るぎない信念がにじみ出る
代表の生き様にもぜひ注目してください。
(対象年齢は12歳半以上かな?)

貴方とは違うかもしれないが ぼくや俺 私にとっては それがふつう の物語
子育てや自分探しにわしゃわしゃしていた時期に読みたかった
夜間保育所
それだけで否定感情 嫌悪感 距離を抱く人がいるのかもしれない
けれど たとえば 次の信号をぎりぎり渡り切ってしまったばかりに
そっちの道を歩く ということと同じなんじゃないかと思った
ひとり親 多忙 働く時間帯 夜間保育所への需要理由は多種多様
べき論や母親がいちばん思考を唱える存在は 令和の時代になっても少なからず存在する
でも 物語は綴る
誰もかわいそうなんかじゃない 周りを頼っていい 迷惑はかけていいんです
義務でなく好きだから作りたいからという関係性を
ストーリーのなかに 時間をかけて落とし込む
だから エピソードのあれこれが 豆から煮だす麦茶のように
じわっーと沁みる
物語のA面とB面を描く章がある
観る角度を変えてみたり 時間軸を俯瞰したとき
それは誰もの人生にあるのだと
人って いつまでも変わり続けられるのだと 思った
期待していい 本です

「だれに頼るんですか」「だれが助けてくれるんですか」という玲奈さんの悲痛な叫びは、玲奈さんだけのものではないはず。「子どもを幸せにするには、親も幸せにならないと」という園長先生の言葉は、本当にその通りだと思う。残念ながら今の日本は、誰もが子育ての理想を実現できる社会じゃない。夜間に働いていたり、仕事の都合でお迎えの時間が読めなかったりしても、子どもを預かってくれる場所がなければ、親に無理がかかり、子どもへしわ寄せがいく。このストーリーの中でも、何度か危うい場面がありましたが、誰に頼ることも、助けを求めることも出来ずに追い詰められれば、不幸な結末を生むことも現実にはあるだろう。だから、「困っている親子」のために「すずめ夜間保育圓」のようなところがもっと増えたり、いろいろな支援が受けられる社会になるといいなと思います。楓太くん、相変わらずだけど立派になっていて嬉しかったです。

必死に生きる親子を支える「すずめ夜間保育園」の保育士達。そこには中学の職場体験で保育士を選んだ風汰(『天使のにもつ』)もいた。
子どもの心、親の言葉、それに対する保育士達の応じ方に、児童文学作家である著者の想いが溢れていた。
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『溺れる親子』
玲奈の必死さが自分と萌を追い込んでいく様子を読むのは辛かった。
斗羽が口にする軽い言葉、でもその〈深さ〉と〈重さ〉。中学時代から今まで、どれだけの体験を積み、「すずめ夜間保育園」に辿り着いたのか。ルックスや態度に決して表さないが、その積み重ねが言葉に如実に現れていた。
子どもの幸せのためにと子どもを見ているのでは不十分。まず親が幸せになること。
「すずめ夜間保育園」の園長鈴音のこのスタンス、まさにこれだと思った。
『保育園は寿司屋じゃない』
男性保育士への偏見に悲しくなった。斗羽はこんなに頑張っているのに。
斗羽自身は保育士になって後悔したなどと言ってはいるが、中学時代の職場体験のことをあれだけ覚えているのだから、やはり人生の最大の岐路だったはず。
そんな「すずめ夜間保育園」の日常。それは斗羽にとり日々勉強であり、この仕事への愛着を感じられた。
もちろん、「夜間保育」かな預ける親だって不安をぬぐいきれない。でも子どものためそれに真摯に対応していく先輩保育士に頭がさがるとともに、それを常に目の当たりにしている斗羽の成長が、本当に楽しみになった。
『三葉のクローバー』
今回は千温視点ですすんでいく。彼女の目に映る「すずめ夜間保育園」の様子から、子ども達の〈あやまる〉と〈仲直り〉の意味合いについて、特に考えさせられた。
そして、子どもの目線にまで降りられるのが、子ども達に斗羽が人気の理由なのか。大人はなかなかそこまでできない。斗羽の凄さが改めてわかった気がした。
そんな中で、小学5年生の浩介が抱える悩みももっともだと感じた。そして、それを諭す生みの親の千温の言葉が心に響いた。「人は他人によって自分の立場にしてもらう」。そうなのだ。
皆が集まり幸せになる。だから、特別な四葉のクローバーは必要ない。〈当たり前〉という本当の幸せ、その三葉のクローバーをみんながもっていることが、胸にじーんときた。
『呪いのことば』
ママが帰ってこないめぐみへの対応から、「すずめ夜間保育園」の人達の温かさが描かれていく。それだけに、一見たくましいと見えるめぐみが抱えていた、不安さや怖さをこのような方で実感するとは。
1人より皆の力で。その中で子どもが母親を心配し必死になれる強さはすごかった一方で、大人とは慣れていってしまう者だと言う事がさみしかった。「いいお母さん」であり続けることは辛いもの。その呪いを少しでも解くために、ここの保育士達がいる。
『すずめ夜間保育園』
園長の鈴音が選んだ「すずめ夜間保育園」の保育士など。もとボランティアの中込や、見た目はヘラヘラしていた斗羽たち。決め手は子ども達への態度、それが一番。それは幼いころの鈴音(自分で言うと「すずめ」となってしまう)の経験からなのだろう。
そしてこの「すずめ夜間保育園」を鈴音が設立した理由。それが第一章と重なってきて、目頭が熱くなった。
「普通の家族」や「いい親」と言う〈決まったもの〉はない。だから、それぞれに異なる幸せがある。だからそれに向かっていく手助けをするのが、ここ「すずめ夜間保育園」。
児童文学/YA文学作家である著者のいとうみく先生が書かれた文芸書は初めてでした。でも、子どもの気持ち、その親の想いが今までの児童文学/YA文学作品でしっかりと描かれてきたからこそ、それに前向きに関わっていこうとする「夜間保育」の人達が生き生きとしていました。ぜひまた、このようなまずは〈子どもの気持ちありき〉の文芸書を書いていただきたく思います。

自分がこの子を幸せにする!という気持ちと、自分以外が育てた方がこの子のためになるんじゃないか、と感じる不安。相反する感情に苛まれてしまう瞬間をリアルに描き出していて、自分が育児で楽しかった頃を、苦しかった頃を、何度も何度も思い出しました。
風汰くんのようにのびやかにすこやかに子どもに接する事が出来たなら、と感じつつも、風汰くんにはまた違った葛藤があったりして、隣の芝生は青く見えるってことなんですね。
第3章で風汰と浩介の会話のなかで、『同じ人間でも頑張れるラインみたいなのってみんな違うんだなって思ったら、なんか納得できたんだよね』って言葉が達観してて、『普通なんだけど一生懸命』と合わせて、子育て真最中に読んだら泣いちゃうな、と。
第4章の心臓が早鐘を打つのを抑えられないほどの展開が苦しくて、先を読むのが怖いんだけど止められなくて、途中、『いいお母さんって、呪いのことばだよね』と言う千温先生の言葉が深く刺さりました。

なんと温かな物語だろう。
親としてとる行動に、正解も不正解もない。
それでも、他人の目が気になったり、「正しい」とされることから外れないようにと、保護者たちは日々葛藤している。
この夜間保育園では、そんな葛藤を抱える保護者たちを否定することはない。
そっと見守るように、いつも寄り添い、手を差し伸べてくれている。
親に正解がないように、子どもにもまた正解はない。
子どもはその小さな体と心で、精一杯に親の愛情を受け止めながら、親に言えない不安を抱えている。
親の数だけ、子どもの数だけ、いろんな形があっていいはずなのに、社会はなぜ親子を追い詰め、正解を求めようとするのだろうか。
これから親になる人、今まさに子育てに追われている人、そして子育てが一段落した人。どの世代にも響く物語だと思う。
この優しさが広がり、もっと寛容な社会になりますように。
この本には、そんな社会をつくれる可能性が感じられ、多くの人に届いてほしいと願わずにはいられない。
眠れない夜、たとえ星が見えなくても、夜空を見上げたくなった。
そんなときは、きっと自分にも少しだけ優しくなれる気がする。

理想だけでは何もうまくいかない。痛感させられました。
こういう志のある方々のお陰で親は働くことができるので感謝しかない。
園長や保育士も色々な過去を抱えていたが、子どもたちに寄り添い、家庭のように包みこんでくれて...。
登場人物の描写がリアルで、テーマとしては重い方だけど読んでいて心は軽くなるようなお話でした。
私は児童とかかわるので、関わり方や保護者対応なども参考になる部分がちりばめられていました。
疲れた親たちには本を読む余裕なんてないだろうけど読んでもらいたい。

虐待や育児放棄をする親を、人として最低だと思っている。でも、それを責めるだけでは何も解決はしない。では、どうすればよいのか。困っている人にいろんな助けの手があれば不幸な事態は回避できるのではないか。それを実践する夜間保育園でのお話は、どれも身近にありそうで辛い。しかし、この園の園長先生や他の保育士の、子どもの幸せと共に保護者の幸せを考えるスタンスは素晴らしい。そんな人たちと関われた子どもにとってそこは、ずっと支えになる心のふるさととなるのだろう。どの親子にも笑顔でいてほしいと思う。