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おまわりさんと招き猫⑤ 表紙

おまわりさんと招き猫⑤

夢みる旅の通り道

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おまわりさんと招き猫 第4巻
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刊行日 2025/07/22 | 掲載終了日 2025/07/12

ハッシュタグ:#おまわりさんと招き猫⑤ #NetGalleyJP


内容紹介

おもちさんは、人の言葉をしゃべる猫。なぜしゃべるのかは、誰も知らない。

舞台のモデルは静岡。大注目の人気「あやかし」物語、第5弾!

☆ ☆ ☆

【ゲラを読まれる方へ大切なお願い】

・校了前のデータを元に作成しています。刊行時には内容が異なる場合があります。

・レビューなどでのネタバレ行為はネットギャリーのみならず、外部サイトやSNS等の多くの方が目にする場でもお控えください。

・本文に対するご指摘などは「コメント」にてお願いします。

・自分には合わない作品だった場合、今後のためにも建設的なご意見をよろしくお願いします。

※今作は作者のご厚意によって提供いただいた校了前の大切なゲラを公開をしています。

※今作にこれから出会うであろう多くの読者のためにも、ご理解の上、素敵なレビューによる応援とご協力のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

☆ ☆ ☆

【あらすじ】

海辺の町・かつぶし町のおまわりさん・小槇(こまき)くんと、交番に住み着く「しゃべる猫」のおもちさんはパトロール中に謎の遊具を見つけた。

それはずんぐりとした白黒の「バク」のアニマルライドだったが、このバクは見かけたと思ったら不意にその姿を消し、また全然違う場所に現れるのだ。

そんなとき「夜見る夢を蒐集している」という作家・暁(あかつき)が町を訪れた。

「猫も夢を見るのかい?」「もちろん見るですにゃ」

そして気が付けば、春から夏に移り変わる町の景色の中にも、不思議な「夢」が侵食し始めて――。

今のかつぶし町は現実なのか、それとも夢か。もし夢ならば、そこから町の人が目覚める日は来るのか。

癒しの「あやかし」物語、ちょっと不思議な第5弾!


【目次】

P6 民宿の旅人

P28 バクの夢

P46 子供の味方

P68 商店街の運試し

P94 雨のプリンセス

P122 拗ねた猫の夢

P144 うちかび

P170 戦え! イワシカイザー

P200 真夏の白球を追って

P226 夢の終わりに

P250 番外編・旅人と夢喰いの獏


【著者】

植原翠(うえはら・すい)

静岡県出身。2016年『LIMIT』にてAmazonPOD大賞受賞。既刊に『喫茶「猫の木」』シリーズ、『手作り雑貨ゆうつづ堂』シリーズ、『死神ラスカは謎を解く』シリーズ(すべてマイナビ出版ファン文庫)、『チョコレートスイッチ! 無気力男子、チョコを食べて大変身!』(ポプラキミノベル)、『浅倉さん、怪異です! 県庁シンレイ対策室・鳥の調査員』(角川文庫)などがある。本作は『おまわりさんと招き猫』シリーズ第5弾となる。2024年、本シリーズ第4弾『おまわりさんと招き猫 秘密の写真とあかね空』にて第12回静岡書店大賞・映像化したい文庫部門第1位受賞。


【イラストレーター】

ショウイチ(しょういち)

背景グラフィッカー。漫画家のアシスタントを経て講談社ヤングマガジンちばてつや賞で優秀新人賞受賞。『京都府警あやかし課の事件簿』(PHP文芸文庫)等書籍装画多数担当。


おもちさんは、人の言葉をしゃべる猫。なぜしゃべるのかは、誰も知らない。

舞台のモデルは静岡。大注目の人気「あやかし」物語、第5弾!

☆ ☆ ☆

【ゲラを読まれる方へ大切なお願い】

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・本文に対するご...


出版社からの備考・コメント

【書店員様へご案内】

◎拡材や新刊配本のお申込みにつきましては、
【マイクロマガジン社 営業部】までお問い合わせいただけますと幸いです。

件名に「ことのは文庫 7月新刊の注文」と明記の上、
「番線 or 番線情報」「書店名」「ご発注者様名」をご記載いただき
【hanbai-bceigyou@microgroup.co.jp】までメールにてご連絡くださいませ。

※受注状況によってはご希望数より調整が入る可能性がございます。予めご了承ください。
※価格は予価です。

◎こちらの新刊タイトルのお申し込み締め切りは2025年6月16日迄承っております。

【書店員様へご案内】

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おすすめコメント

◆町にそっと溶け込み、折々に姿をあらわす不思議な「あやかし」や「幽霊」たちと、そこに住まう人間たちが触れ合ったために起こる事件を、しゃべる猫のおもちさんと、新人おまわりさんが解決する、心温まる「あやかしファンタジー」です。
◆マスコットキャラ「おもちさん」はおやつが大好きなもちもちボティで、ちょっとだけツンデレ感のある、かわいい(けれど謎の多い)あやかし。その存在にたまらなく癒されること間違いなし!
◆舞台のモデルは「静岡」。静岡出身・在住作家ならではの視線で描かれる、リアリティとファンタジーの融合した、ちょっとふしぎで心優しい世界が魅力です。

◆町にそっと溶け込み、折々に姿をあらわす不思議な「あやかし」や「幽霊」たちと、そこに住まう人間たちが触れ合ったために起こる事件を、しゃべる猫のおもちさんと、新人おまわりさんが解決する、心温まる「あやかしファンタジー」です。
◆マスコットキャラ「おもちさん」はおやつが大好きなもちもちボティで、ちょっとだけツンデレ感のある、かわいい(けれど謎の多い)あやかし。その存在にたまらなく癒されること間違いな...

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※掲載時には事前にご連絡・確認をいたします。

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《拡材用の応援レビュー募集期間》

~2025年6月9日(月)午前10時


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《特設サイト応援レビュー募集期間》

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NetGalley会員レビュー

今回も、どこか不思議で、だけど懐かしく安心感がある、そんな雰囲気で包まれるようなお話でした。
5巻は夢がテーマの一冊。バクを中心に、不思議でちょっぴり怖いような、だけれどもどこか懐かしさと安心感がある、そんな雰囲気で包まれる物語でした。
今回は『言語化』がとても印象的!
シリーズ一巻から続き、驚くような現象であったり、はたまた当たり前だけれどもわざわざ言語化するには曖昧なものだったりを、そういうものだと納得させてくれる。その時のしっくり感は恐らく普段の生活を送ってるだけでは感じられないことで、こうして読書をしていて得られる感情かなと思います。

今回は『ヒーローとは?』『お別れの受け入れ方』など、普段疑問に思わないことに対して、考えるきっかけをくれます。
物語を読み進めながら考えて、そうして見えた結果は、きっと心の中にあったモヤモヤを取り除いて、ほんの少し心が軽くなるはずです。

この本を読めて、出会えてよかったと思える一冊だと思います。

素敵な作品をありがとうございました。

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目撃される白黒のマレーバク、家族のみならず町内の人々の間でも共有される夢、民宿に長期滞在して夢の話をあつめる旅人、小槇くんの写生の思い出。夢と現実の境目があいまいになるたび、現実に現れるバクは大きくなっているようでもあり……。
意識してしまうと少し不思議で不気味な出来事。けれども――しゃべる猫のおもちさんのいるかつぶし町では、少しくらい奇妙なできごとがあっても「そういうもの」として受け入れられてしまう。
春から夏へと移り行くかつぶし町での事件にならなかった事件のお話。
小槇くんもすっかりかつぶし町に馴染んでいますね。

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かつぶし町にバクが現れ現実と夢が曖昧になっても、おもちさんは平然としたまま。そして、ちょっとした不可思議に迷い込んだ人々は、大切なことに気づいていく。
そんな中で、かつぶし町がこのかつぶし町でいられるのは、おもちさんありきだけではないのでは?と思った第5巻だった。

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春のかつぶし町に神出鬼没のバグが?更に自称作家の暁が訪れる。今回の根底を流れ続けるテーマは夢なのか?と思ったら、そのスケールは何とかつぶし町全体とは。

連続落書き事件のなんと微笑ましい決着。園長先生はいつでも子どもの味方。それが夢のような子どもでも。特にかつぶし町の園長さんなら、尚更なんだろうな。

ヒスイ色のウノハナクタシガエルの綺麗さに関心していたら、なんとカエルの恩返し(未遂でよかったぁ)とは。

おもちさんが何も食べない?それも1日!?それがきっかけで、見慣れた人々が不可思議な変貌をした、異界のかつぶし町に落ちてしまった小槇。夢の中の夢?でも、おもちさんだけは普通。気まぐれでも、何ものにも侵食されない存在とは、さすが。

こうやって、かつぶし町全体が夢と現実の狭間に漂いはじめる。一人一人のものである夢がかつぶし町としての夢になっていく。でもそれを受け入れて生活を続けていくのは,さすがはこの町の住民。小槙もこれからの生き方のヒントを掴む。
最初は、おもちさんの「大丈夫ですにゃ」がすんなりとは受け入れられなかった。でも、この狭間の中で、かつぶし町の住人は大切なことに気づいていくようすに、流石はおもちさんと思った。更に、このかつぶし町がかつぶし町であることは、おもちさんの存在だけではない可能性が、頭をよぎった。まさか、ね。

夜が明ける手間、「夢」が覚める時が「暁」。だから、一人と一頭は旅を続けるのか。その旅で立ち寄ったここ、かつぶし町での日々が甲斐のあるものであったように。エピローグを読んで、そう願った。

人と人の間が近くて、快く手を差し述べてくれる一方、踏み込んで欲しくない面を機敏に察してくれる。そんな人達が住む、心安らぐかつぶし町に、自分も住んでみたい。そして、それを体現させるのがおもちさん。それとそう、そのスタンスのシンボルこそ小槙君。

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春から真夏へのかつぶし町にやってきたのはバクと職業不明な旅人の暁さん。夢のお話を収集している暁さんにとって町の人が見る不思議なバクの夢は新しい夢のお話を収集するのに絶好のタイミング。見た夢を提供すると一つ質問に答えます、という暁さん。職業を知りたい小槇くんが質問の無駄使いをするたびに、最後まで職業はわからないのでは?頑張れ小槇くん!!と応援していました。
10章もあるのに並びが絶妙なのでクスっと笑ったり心が凪いだりハラハラしたりでどの章も楽しく読めました。
笹倉さんにも苦手なものがあるのが意外でした。
おもちさんはバクの存在は放っておいてもいいというけれど、町の安全を守る小槇くんにとっては気になるところ。そういう人の良さがにじみ出る正義感が好きです。そして、小槇くんは立派に町の人の笑顔を守れるヒーローですよ。ねこパンチ良かったな。イワシカイザーの章は短いのに感情にうったえるあれこれがギュッと詰まってました。
ふわりとバクと一緒に白昼夢を見たような素敵なお話の数々。面白かったです。季節を追うようにかつぶし町に帰ってきておもちさんたちに会えると、どこか懐かしくて久しぶりの実家に戻ったような嬉しい気持ちで笑顔になれます。

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しゃべる猫・おもちさんはいつもゆったりしてて自由気まま。しかしながらかつぶし町の周りの人々は中々に騒々しく・・・
「睡眠時の夢が現実を侵食する」と字面にするとホラーチックだが、しかしそこはおもちさんがいるかつぶし町、なんとなくしかも唐突に治まっていくのが微笑ましい。また仲間とともに勝ちたいとか、両親に旅行をプレゼントしたいとかという「夢」というまでもない願いまでもがかかることに切なさまでも含まれるようだ。
いつからいるかも定かではない、しかも喋るおもちさん、そしてそれを追求することもなくただいるものとして受け入れている少し不思議なかつぶし町の魅力が詰まった第5巻。

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静岡県の住みたぃ町ランキングがあったら、堂々1位のこざかな市かつぶし町。のどかででも不思議がたくさんの町です。不思議大賞のおもちさんは、長くからそこに住んでいて、みんなからは招き猫と言われています。そして、どんなことにも動じず(例外あり)かつぶし町で起きる様々な不思議を冷静に見ているのです。今回もおまわりさんの小槇くんとペアで活躍します。ほっこりな中にドッキリあり。かつぶし町から目が離せません。
バグが出たと言うかつぶし町、夢の中に出てきたバグが、現実世界でも動いている。なんとも不思議な光景です。あるはずのないものをバクバク食べる、バクだけに。
でも、夢には出てくるけど、誰かを傷つけたりはしない。
不思議たんだよなーと受け入れられてしまうバク。
バクは一体何のためにあちこちに出没していたのだろう。
暁さんとの関係は?最後にはそんな疑問を残していきました。不思議な町は、居心地がいい、人にも人ではないものにも。誰でもあたたかく迎い入れてくれ、自分の居場所を見つけることができる、そんなかつぶし町は、自分の実家のような、やさしいところなのだと思う。
住みたい町ランキング、堂々優勝して表彰されることになったら、「あんまりおおげさになるのはいやですにゃあ。いまのままでいいですにゃあ」とおもちさんには言われてしまいそうです。
人から見える自分と自分から見た自分、人に見せている自分と、本当の自分。どんな自分も自分の一部で、大切にて欲しい。
おもちさんからもらう、教訓も楽しみの1つです。

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海の近い小さな町の、喋る猫と交番のお巡りさんのお話。不思議で、楽しいけれど、時々「雨のプリンセス」のような少しヒヤリとする事もある。夢と現実の境目が分からなくなりそうな中で、なぜか一匹だけ本質が分かっていそうな猫のおもちさんの存在感が大きい。

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『おまわりさんと招き猫⑤』。シリーズ5作目ということですね!
わたしは、この作品が初めてでしたが、すんなりと、この江戸長屋情緒のある世界に馴染んでしまいました。
本当に、このかつぶし町は、人と人との距離が近い。それでいて、喋る猫がいても興味本位で謎を暴こうとしない。近いようでいて、必要以上に踏み込まない・・・そんな、町。
今、日本ではこの穏やかさや寛容さがうしなわれ、心地の良く暖かい距離感が壊れかけているように思えてなりません。人と人の間には、高い壁。あるいは、深い堀でもあるかのごとくです。人はみんな違うんだからと・・・現代流行病のように、違いを尊重しすぎて、相手とはわかり会えないものだと寂しい結論。だから、まもるのは自分だけ。人を傷つけてでも生き残れ・・・
でも、かつてのこの国の人たちは、一人ひとり違って当たり前。でも、おんなじ人の子だもの。お天道様の下生きている仲間だもの。生きとし生けるものすべて、こころは一緒。個性の違いは、同じ命の大地の表面に茂る草木の違いくらいのもの。咲く花の色が違うのは大地の違い。違うからこそ色んな花が咲き乱れる。人の違いは豊かさです。そこにあったのは、おおらかな調和です。
違いは、ある意味寂しさです。でも、その違いを自分にはないもの、ステキなものだと認め、愛したときの違いは、豊かなこころ、しあわせなこころを生み出します。どんな歴史を作るより、発明をするより、あたたかなこと。それは、自分とは違う存在を愛おしむこと。
物語の中で登場する、夫をなくした儚げな奥様。儚げに見えて、そのこころのなかに、あたたかな、あたたかな、宝物。
「こういうね、明日には忘れてしまうようなどうでもいい話を、いつまでも、ずっと、あなたとしていたかった」
自分と違う人間を愛した時間。思えば、それは、素敵な宝物・・・
このかつぶし町に、駐在する、小槇くんと、喋る猫のおもちさん。そんな、この町の人たちのこころをそっとそばでみています。そう、この町は、まわりでわいわいと、たんたんと、生きている真摯な人たちを見ているだけで、自分たちまで、豊かで、しあわせになる町です。
今回のストーリを通して、「作家」をなのる暁さんと、悪夢を食べると言われるバクが登場します。作家はこの町の優しい人々を作家なりに気に入って、それぞれの人の夢を溶かし合って、錬金術師のように、ユートピアを描こうとしたのでしょうか?でも、バクは、それがしっかりと存在してしまう前にむしゃむしゃとたいらげてしまう。人の夢を溶け合わせるという、いいとこ取りで、言葉の響きはよくても、ひょっとしたら、ひとりひとりの違いを曖昧にしてしまうのかもしれませんね。夫をなくした、あの奥様の記憶の中から、夫と奥様のちがいを曖昧にしてしまったとき、二人の思い出は鮮やかな彩りをなくし、鈍く濁ったものになってしまうのかもしれません。いいところも、悪いところもひっくるめてその人。その人を愛したのですものね。心の中のその人の、鮮やかな美しさは、お互いの違いが合ってこそ。変えようにも変えられない切ない個性があってこそ。
この物語は、喋る猫が存在したらしたで、受け入れ愛することのできる、おおらかで優しい国日本を取り戻そうと生まれたのかもしれません。一人ひとりの違いをどう受け止めていくのか。自分の好むものばかりの世界で、壁や、堀で自分をまもるのか。はたまた、違いを愛し、鮮やかで暖かなしあわせを作るのか。
わたしは、植原翠さんは、後者だと思いました。ありがとうございました。

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謎のバクのアニマライドからはじまり、移動する落書きや、現れたり消えたりする道路。これは夢なのか現実なのかもあやふやになっていくという、夢をテーマにした1冊でした。
おまわりさんと喋る猫おもちさんとのやりとりは、ほのぼのしつつ学びがあります。
かつぶし町の不思議でほんわかした雰囲気がよく出ていました。
個人的には、ローカルヒーローのくだりを一番楽しく読みました!

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おもちさんと小槙くんの軽妙なやりとり、そしてかつぶし交番の周りで起きる奇妙な出来事と平凡だが心温まる日常の絶妙なアンサンブル。季節の移ろいも感じさせながらホッと一息つける、そんな作品でした。特に小槙くんの優しさはいつもながら周囲を温めてくれる、そんな感じをさせてくれる優しさでした。読後感も爽やかそのものという感じでした。

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かつぶし町・かつぶし交番勤務の小槙くんとしゃべる猫・おもちさんの物語も5作目となる。平和で穏やか、ノスタルジックなこの町で今回も不思議な事件が。謎の旅人、突如現れたバク、壁の落書き、蛙好きの男性などなど…。おっとりしたおもちさんと、真面目で心優しい小槙くんのお陰でほっこりムードではあるが、夢と現の境目が曖昧になっていく過程や、恩人を招待する女性の話は少し怖い感じ。『商店街の運試し』は1番好きな物語で、『子供の味方』も可愛らしく良かった。読む度に書いてしまうが、こんな町に住みたい。

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しゃべる猫・おもちさんが住み着く長閑な海辺の町を舞台に、実直なおまわりさん・小槇くんと町で起こるちょっと不思議な出来事を見守る、癒やしのノスタルジックファンタジー第5弾。

いつも前作を超える「幸せ」で満たしてくれる作品。今回は特に異なる種族、価値観や背景の違いとの「共生」という部分への訴えを強く感じ、現実社会とのシンクロ性が高かった。実害が出ている現実社会と比較してしまうのは違うかもしれないが、すべて押さえ込んでしまうのはそれこそ違う。お互いに歩み寄り、折り合いを付けた先に広がる平和で幸せすぎる世界。「子供の味方」では、園児の手から溢れる思い遣りに視界が滲んでどうしようもなかった。
「かつぶし町」らしい型にとらわれないふわっとした世界の中から、読者が自分で最適解を見出す、学びと成長の作品でもあったんだと今更ながら気付かされた。

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