マリッジ・アンド・ゴースト・ストーリー
大前粟生
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刊行日 2025/09/16 | 掲載終了日 未設定
ハッシュタグ:#マリッジアンドゴーストストーリー #NetGalleyJP
内容紹介
「誰かと家族になるのは、怖いことだった。」
結婚、かあ~。27歳の春崎悠太は、学生時代からの恋人・さやかと同棲している。さやかに急かされ、そろそろ結婚しなくちゃと思うが、なんだか気持ちが乗り切れない。両親に結婚のあいさつをしてもなお、結婚を面倒に感じる自分がいる。
それでもみんなが結婚しているから、きっと結婚したほうがいい。そう思って婚姻届けを出したその日に、さやかと大げんかをして離婚へと突っ走ってしまう。家に帰ると、数か月前に死んだ大学時代の友人・ヒロの幽霊が目の前に現れて――。
「結婚したこと、そして離婚したこと。
家に、死んだ友だちの幽霊がいること。
どれも他人には話せそうにない。」
27歳の春崎が抱えた「秘密」は、自身の深層にある「家族への恐れ」へとたどり着く。
気鋭の著者が描く、家族を超えた新たな絆の物語。
(著者プロフィール)
大前粟生(おおまえあお)
1992年、兵庫県生れ。2016年、「彼女をバスタブにいれて燃やす」がGRANTA JAPAN with 早稲田文学公募プロジェクト最優秀作に選出され小説家デビュー。著書に『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』『おもろい以外いらんねん』『きみだからさびしい』『チワワ・シンドローム』『かもめジムの恋愛』『物語じゃないただの傷』『7人の7年の恋とガチャ』などがある。
出版社からの備考・コメント
※書影は仮のものです。
※ゲラは校了の前のデータにつき、修正が入る可能性がございます。
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出版情報
| 発行形態 | ソフトカバー |
| ISBN | 9784575248449 |
| 本体価格 | ¥1,600 (JPY) |
| ページ数 | 180 |
閲覧オプション
NetGalley会員レビュー
書店関係者 1816442
『彼氏・彼女』『夫婦』『家族』
どれにも当てはまらない『腐れ縁』の2人と
『家』に縛られ続けて死んでいった『友達』
〝3人〟だから上手くいった。
〝3人〟だからやっていける。
関係性や、立場、括りに拘らなくても生きていける今だけど、幸せの定義というものは昔からなかなかアップデートされていないように感じる。
家庭があるから幸せなのか、家庭を持たないから幸せなのか、どちらとも言えなくて同じ家庭の中でも幸せを感じる人と感じない人がいて、幸せの形ってなんだろう?幸せって何なんだろう?と凄く考えさせられた。
この2人にとっては『家族』や『恋愛』とかではなくて大学時代のモラトリアムに浸っていた時のような『友達』がいること、3人でいることが『幸せの形』だったのかなぁ。こういう人生も悪くない、楽しそうでちょっと羨ましいと思う関係性で、また少し世界が広がった。
教育関係者 645139
結婚直後に別れを選んだ春崎とさやか。そこに亡き親友ヒロが幽霊となって現れる。その奇妙な3人暮らしの中で、2人は互いを見つめ直し、ヒロは抑え込んできた過去と対峙する。
形式ではなく本音で結ばれる絆とは何か?心の奥まで刺さる物語だった。
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ついたり離れたりを繰り返す春崎とさやかの姿は、若き日の自分を思い出させて苦笑いすら誘った。だからこそ、娘への一方的な親の態度や、妊娠や出産に無理解な春崎に苛立つさやかに、余計に共感してしまう。
そして過去編に描かれるのは、互いを傷つけ合う2人と、その間に立ち続けたヒロだった。でも、ヒロに単純に感謝してしまったのは早計だった。ヒロの「僕たち三人は、〝お互い〟になれなかった」という言葉は、抑え続けたヒロの心の声だったのだから。だからこそ、ヒロの葬儀で春崎がつぶやく「やさしさのせいで死んじゃったら、意味ないだろ」が余計に胸を突いた。
結婚にこだわるさやかと、形式に割り切れない春崎。そのすれ違いは、ヒロがいないことで一気に露わになり、即離婚へと。だからヒロは幽霊になってまで現れたのか。2人はヒロに不満や弱さを吐き出す。でも、幽霊であるヒロは記憶を失ったまま、「悪いことをした」という激情に振り回される。その姿を目の当たりにしたからこそ、春崎とさやかは歩み寄ることができたのだろう。そう、今度はヒロのために、と。
偽装結婚のまま、ヒロの過去を探していく2人。更に、さやかの両親に離婚を告げながらも「さやかのことが好き」と言い切る春崎の想いは、形式と本音の両立を選ぶ覚悟の表れだったのか。それを受け入れるさやかもまた、微笑んで「わたし達の家」に帰る。これが、絆なのか。
明らかになっていく、ヒロの小学生時代。ネグレクトの一方で母親を求めて歪んでいく、目をそむけたくなるその様子。妹を大切に想う心はかろうじて残るが、限界を超えてしまうヒロ。全てを優しく受け入れるように見えたヒロにとっても、2人の存在は不可欠だったのか。3人でいなければ、それぞれが不安と向き合うことはできなかったのだ。CDの空白部分に録音された、生前のヒロの未来へのメッセージに、涙が止まらなかった。
もう、春崎とさやかは形式には囚われない。本音をぶつけ、自由の不安を受け止めて生きる準備が整った。これから始まる、三人の「本当の生活」。それが幸せであることを、もはや疑う余地はない。温かな余韻に浸りながら、最後の行の「春」という文字を確かめた。