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風になるにはまだ 表紙

風になるにはまだ

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刊行日 2025/08/22 | 掲載終了日 2025/08/22

ハッシュタグ:#風になるにはまだ #NetGalleyJP


内容紹介

散りたくない。

無形の情報に還るにはまだ、わたしというものへの未練が濃い。

病気や障害などの事情で生身の体で生きることが難しくなった人々が、〈情報人格〉として仮想世界で暮らせるようになった近未来。情報人格の小春は、大学時代の同級生が集うパーティに出席するために「一日だけ体を貸し出してくれる」サービスを利用する。体を貸してくれたのは年の離れた大学生だった。ひとつの体を共有して、ふたりは特別な一日を過ごす。第13回創元SF短編賞受賞作を含む瑞々しいデビュー作品集。

散りたくない。

無形の情報に還るにはまだ、わたしというものへの未練が濃い。

病気や障害などの事情で生身の体で生きることが難しくなった人々が、〈情報人格〉として仮想世界で暮らせるようになった近未来。情報人格の小春は、大学時代の同級生が集うパーティに出席するために「一日だけ体を貸し出してくれる」サービスを利用する。体を貸してくれたのは年の離れた大学生だった。ひとつの体を共有して、ふたりは特別な一日...


出版社からの備考・コメント

【ネットギャリーをご利用の方へ大切なお願い】
・多くのレビューをお待ちしておりますが、物語の核心をつくような、所謂「ネタバレ」はお控えください。
・ネタバレ行為はネットギャリーのみならず、読書メーター、ブクログ、Twitter 等の多くの方が目にする場でも同様にお控えいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
・本作は校了前の大切なゲラデータを著訳者よりご提供いただいた上で公開をしています。本作の刊行を楽しみにお待ちいただいている、多くの読者のためにも、ご理解、ご協力のほど何卒よろしくお願い申し上げます。

・多くのリクエストをお待ちしておりますが、過去のフィードバック状況やレビュー内容からリクエストをお断りする場合がございます。予めご了承ください。

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・本作は校了前の大切なゲラデータを著訳者よりご提供いただいた上で公開をしていま...


出版情報

発行形態 ソフトカバー
ISBN 9784488021061
本体価格 ¥1,900 (JPY)
ページ数 288

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瑞々しく爽やかでしなやか。それでありながら芯のある文章であっという間に惹き込まれました。SF短編賞を獲った作品を含む短編集ではあるが全編通して読者に直接投げかけられる疑問。そしてそれを紐解いていく様に興味を惹かれる。キャラクターたちもしっかりと確立しているのにくどい説明が無くさらりと紹介され、それでも忘れることなく作中で伸びやかに動いているのがとても印象的でした。
様々な事情を受け入れ『情報人格』として仮想世界で暮らす……いつかそんな日常が訪れたら私はどんな人生を歩むんだろう。

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近未来。人は肉体を捨て、仮想世界に仮想人格として住めるようになっていた。
仮想世界に住む人と現実に住む人のやりとり、喜びや悲しみ、葛藤などの様々な思い。それらを描ききった連作短編集。

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『風になるにはまだ』
第13回創元SF短編賞受賞作。
肉体を持つ「あたし」と、その感覚を借りる情報人格・樽山が交互に語る、その対比が胸に迫ってくる。
14年ぶりに現実の感覚を味わう樽山。布地の手触りひとつが歓びとなり、旧友のまなざしが現実と仮想を越えてつながる。
そして、「あたし」と樽山の心が重なる瞬間、半透明の布を共に感じたその瞬間が、胸が熱く迫ってきた。
樽山が風になるのはまだ先でも、その記憶は風になって仮想世界で舞い続けるのだろう。



『手のなかに花なんて』
仮想世界にログインした優花がアバターを介して伸ばした手では、仮想の花に触れられない。
現実に疲れた彼女が、仏壇の祖母を見て問いかける――肉体とは何か、人格とは何か。
その思いを知らず、仮想世界でリハビリを続ける祖母。でも、ずっと姿の変わらぬその存在は、やはり情報にすぎないのか?
やがて自らが情報人格であることを悟り、優花に「現実で生きよ」と諭す祖母。その言葉にアバターのまま逃げ出す優花の痛みが、胸をするどく刺す。
情報であっても肉体に宿っていても、人格とはつまずきながら前に進んでいくもの。それを心に刻み込まれた気がした。



『限りある夜だとしても』
余命わずかな三森の前にある選択は二つ。延命治療か、情報人格として仮想世界での生を選ぶか。
「同じ空間にいる意味」「肉体で触れ合うことの重み」を榛原と語り合う様子は、選択肢が増えたからこそ、「現実で生きる」意味を照らし出していく。
三森はどちらを選ぶのだろう。そんな彼と「ランプの魔神になる」と約束した三森。彼は最後に20年来の相棒であるカメラに触れる。それは、確かな決意の灯を示していると見えた。



『その自由な瞳で』
仮想世界に暮らす映とトオル。互いの境界が曖昧だからこそ、体や感覚を交換しながら愛し合う。
情報人格は散逸を避けるために、仮想世界でも普通の「生活」を営む。食事をし、会話をし、現実にいる家族と繋がる。
映がトオルのためだけに費やしてきた時間と覚悟は、救いでも愛でもなく、自らの「半身を見つけた」ことからなのだとわかった。
だからこそ、重なり合う二人の仮想世界での歩みは、ゆっくりと確かに続いていくことを願ってやまない。



『本当は空に住むことさえ』
仮想世界から現実を覗けるのは、はめ殺しの窓越しから。それだけに、誠治の「もっと繋がりたい」という渇望が胸を打つ。
だが、情報人格の散逸を遠ざける手立てとみなされるそれは、過度になると「不健康」と捉えられてしまうとは。
そんな誠治が手伝う、敷島の仮想世界での建築は、人が住む住居だけ。その理由が情報人格が「風になる」のを抑えるためと知った時、情報人格達は自ら生き延びようとしている事に気づいた。
更に現実にいる勝村と敷島の建築競争、更に誠治と敷島が交わす議論は、彼らを更に高みに押し上げ、仮想世界を現実の付属物ではなく独立した「もうひとつの世界」へと進ませるきっかけとなるとは。その先を見たい、そう思った。



『君の名残の訪れるを』
理知がいなくなって26年。翼は、散逸した人格データの削除に反対する運動の中心から引退し、語り部となっていた。
現実で生きていた時の理知と翼、更に第一世代の情報人格となった2人。勝村の協力のもと理知が仮想世界を創り上げていく様子に息を呑む。「いてくれることが救い」と初めて言葉にできた二人の想い。そして風となった理知が翼に遺した揺るぎないスタンス。それが翼を強く変えて生かし続けることを、言葉もなく見守っていく。
そして語り部となった翼は、風となった理知を感じながらその時を待つ。
寂しさと決意に満ちた姿が示す、静かでも確かにある熱が胸を満たしてくれた。

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