涙の箱
ハン・ガン
ログインするとリクエスト可能か確認できます。 ログインまたは今すぐ登録
出版社がKindle閲覧可に設定した作品は、KindleまたはKindleアプリで作品を読むことができます。
1
KindleまたはKindleアプリで作品を閲覧するには、あなたのAmazonアカウントにkindle@netgalley.comを認証させてください。Kindleでの閲覧方法については、こちらをご覧ください。
2
Amazonアカウントに登録されているKindleのメールアドレスを、こちらにご入力ください。
刊行日 2025/08/08 | 掲載終了日 未設定
ハッシュタグ:#涙の箱 #NetGalleyJP
内容紹介
ノーベル文学賞作家ハン・ガンがえがく、大人のための童話
この世で最も美しく、すべての人のこころを濡らすという「純粋な涙」を探して
昔、それほど昔ではない昔、ある村にひとりの子どもが住んでいた。その子には、ほかの子どもとは違う、特別なところがあった。みんながまるで予測も理解もできないところで、子どもは涙を流すのだ。子どもの瞳は吸い込まれるように真っ黒で、いつも水に濡れた丸い石のようにしっとりと濡れていた。雨が降りだす前、やわらかい水気を含んだ風がおでこをなでたり、近所のおばあさんがしわくちゃの手で頬をなでるだけでも、ぽろぽろと澄んだ涙がこぼれ落ちた。
ある日、真っ黒い服を着た男が子どもを訪ねてくる。「私は涙を集める人なんだ」という男は、大きな黒い箱を取り出し、銀の糸で刺繍されたリボンを解くと、大小、かたちも色もさまざまな、宝石のような涙を子どもに見せた。そして、このどれでもない、この世で最も美しい「純粋な涙」を探していると話す。男は子どもがそれを持っているのではないかと言うのだが――。
「過去のトラウマに向き合い、人間の命のもろさを浮き彫りにする強烈な詩的散文」が評価され、2024年にノーベル文学賞を受賞したハン・ガン。本書は童話と銘打ちながらも、深い絶望や痛みを描き、そこを通過して見える光を描くハン・ガンの作品世界を色濃く感じられる作品です。
幸せな出会いが実現し、日本語版の絵はハン・ガン自身、長年ファンだったというjunaidaさんが担当。ハン・ガンが、「読者それぞれのなかにある希望の存在」としてえがいた主人公や、どこともいつとも特定しない本作の世界を美しく描き、物語とわたしたちをつないでくれます。
2008年、韓国で発売され、本国では子どもから大人まで幅広い年齢層に愛されている本作。ハン・ガン作品との出会いにもおすすめの一冊です。
「きみの涙には、むしろもっと多くの色彩が必要じゃないかな。特に強さがね。
怒りや恥ずかしさや汚さも、避けたり恐れたりしない強さ。
……そうやって、涙にただよう色がさらに複雑になったとき、ある瞬間、きみの涙は
純粋な涙になるだろう。いろんな絵の具を混ぜると黒い色になるけど、
いろんな色彩の光を混ぜると、透明な色になるように」
―本文より―
涙をめぐる、あたたかな希望のものがたり。
出版社からの備考・コメント
・雑誌「イラストレーター」の特集”夏の美術学校特集2025”で表紙と
挿画を描かれたjunaidaさんの特集でも紹介されています。
・月間MOE9月号でもご紹介されます。
・雑誌「イラストレーター」の特集”夏の美術学校特集2025”で表紙と
挿画を描かれたjunaidaさんの特集でも紹介されています。
おすすめコメント
担当編集者より
ハン・ガンさんが、だれもが自分の物語として読めるよう、どこともいつとも特定せず、美しく、シンプルなことばで紡いだ物語。Junaidaさんがその思いを受け、描いた絵は、物語の世界を静かに広げ、読み手へとつないでくれます。心のなかで大切にしている原風景を思わせる、美しい一冊です。
担当編集者より
ハン・ガンさんが、だれもが自分の物語として読めるよう、どこともいつとも特定せず、美しく、シンプルなことばで紡いだ物語。Junaidaさんがその思いを受け、描いた絵は、物語の世界を静かに広げ、読み手へとつないでくれます。心のなかで大切にしている原風景を思わせる、美しい一冊です。
販促プラン
・POP/ポスターのご要望は下記、評論社販売部までご連絡ください。 ➡ hyoronsha-eigyo@hyoronsha.co.jp
・新聞広告は、8月20日(水) 朝日新聞
8月21日(木)or23日(土) 読売新聞 を予定。
・POP/ポスターのご要望は下記、評論社販売部までご連絡ください。 ➡ hyoronsha-eigyo@hyoronsha.co.jp
・新聞広告は、8月20日(水) 朝日新聞
8月21日(木)or23日(土) 読売新聞 を予定。
出版情報
発行形態 | ソフトカバー |
ISBN | 9784566024892 |
本体価格 | ¥1,500 (JPY) |
ページ数 | 81 |
関連リンク
閲覧オプション
NetGalley会員レビュー

涙を集めるおじさんの孤独と、純粋な子どもの純粋さゆえの未熟さというものが描き出されているのかな、と思いました。涙をこらえることを覚えた子どもは、少しだけ強さを手に入れて少しずつ色彩のある涙を流せるようになるのかもしれない。美しい涙は見た目だけのものではなく、その人自身がにじみ出た美しさのことなのかなと思いました。表紙の雰囲気と、本文の描写の美しさに惹きつけられます。完成した本を手に取るのが楽しみです。

装画のjunaidaさんのファンなので、この本は必ず手にしようと心に決めていました。
しかも物語はハン・ガンさん。なんという嬉しい一冊でしょう。
どんな挿絵になるのか、本の発売日が楽しみです。
涙を集めるおじさん。
そして、思いもよらぬ場所で涙を流す「涙つぼ」と呼ばれる子ども。
おじさんが飼っているのは、“青い明け方の鳥”。
見せてくれるのは、さまざまな色の涙。
ふたりは、ある人を訪ねていきます。
色や心情の描写がとても美しくて、読んでいるうちに心が優しくほぐれていきました。
まさに大人のための童話だと思います。
私は読みながら何色の涙を流していたのでしょう。
おじさんが集めているような、特別な色ではないですが、無意識に遠ざけてきた過去の出来事を思い出し、ゆっくりと涙がこぼれました。
「涙つぼ」と呼ばれるその子は、きっとこれから、喜びや悲しみ、怒りや戸惑い、たくさんの感情と向き合いながら、大人になっていくのでしょう。
複雑な心があるからこそ、涙は美しいのだと思います。