走れ!スーパー茜号
小川マコト
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刊行日 2025/11/21 | 掲載終了日 未設定
ハッシュタグ:#走れスーパー茜号 #NetGalleyJP
内容紹介
【第2回ハナショウブ小説賞 opsol部門大賞受賞作】
走り、立ち止まり、立ち止まり、走る。
そうして日々は、進んでいく。
〈あらすじ〉
心も身体も、限界だった。
ハードワークが原因で体調を崩した宮沢祐介は、三十歳を前にIターン転職を決意。生まれ育った東京を離れ、限界集落とも呼ばれる場所で、移動スーパー「茜号」を走らせている。
複雑な家庭に育ち、かつての恋人とはうまく付き合うことができなかった。過去の経験から、つい人との距離感に慎重になってしまう祐介だったが、茜号を通して繋がる町の人たちとの出会いが、深く傷ついた心を静かにほどいていく――。
“変わらない現実”の中で“変わる心”を描く、再出発の物語。
人生は、そう簡単には変えられない。
それでも、偶然出会ったこの場所で、俺は確かに救われたのだ。
〈著者プロフィール〉
小川マコト(おがわ・まこと)
TVドラマ、アニメの脚本家として『世にも奇妙な物語』『dinner』『山田くんと7人の魔女』などを手掛ける。
2024年『走れ!スーパー茜号』で第2回ハナショウブ小説賞opsol部門大賞を受賞し、同作にて小説家デビュー。
出版社からの備考・コメント
※発売前の作品につき、ネタバレを含むレビューやご感想はお控えいただきますよう、ご協力のほど何卒よろしくお願い申し上げます。
※全国の書店員様・NetGalley様でレビュアーの皆様にいただきましたレビュー・コメントを、帯、pop、web、SNS等で利用させていただいております。
※ハナショウブ小説賞とは?
opsol bookの所在地・三重県の県花でもある「花菖蒲」と「話で勝負(ハナしでショウブ)をする」という意味を込め、2023年に開設。
「介護・医療・福祉」がテーマの「opsol部門」のほか、回ごとにテーマが変わる「テーマ部門」や「エッセイ部門」など、多岐にわたるジャンルの作品を募集。「地方出版社」×「募集テーマが介護・医療・福祉」というめずらしさから、各種メディアが注目する期待の小説賞。
出版情報
発行形態 | ソフトカバー |
ISBN | 9784434365072 |
本体価格 | ¥1,700 (JPY) |
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閲覧オプション
NetGalley会員レビュー

ストレスで心身が限界を迎えた祐介は、都会を離れ、縁もゆかりもない山間の町へ移住する。心療内科で言われた「なるべく嫌な仕事はしないで、好きな仕事をしなさい」という言葉がきっかけだった。
移動スーパー「茜号」の販売員として始まった新しい日々。
「茜号」は、手作り惣菜が評判のスーパー「茜屋」の移動販売車。限界集落に暮らす、買い物に出るのが難しい高齢者たちのもとを訪ねる。お年寄りたちの優しさや、悲しい過去の話、心に引っかかる違和感を感じながら、祐介は少しずつ地域の暮らしに溶け込んでいく。まるで孫のように見守られているような光景は微笑ましい。
母との確執、消せない過去はあまりにも切なく重い。
親のことを誰にも話せなかった気持ち。ようやく言葉にできたと思ったら、安全圏から正論を投げかけられてしまう痛み。その苛立ちや悲しみが伝わってきた。
祐介は、みんなに「手が冷たい」と言われるが、「手の冷たい子は心があったかい」と言ってくれる人の、ささやかな優しさに触れる。そして、何気ない日常のなかに自分なりの幸せを見出していく。
限界集落での移動スーパーという地味な舞台に、大きな事件や派手な展開はないがそこがいい。日常のやりとり一つ一つがどれほど尊いものなのかを改めて感じた。
小さなやりとりのひとつひとつに、人の気持ちが詰まっていて静かに心に残る。お客さんの細かい要望や、なぞなぞのような注文を解き明かして届ける姿には、祐介の誠実さと優しさがありとても素敵だ。
私自身も、移動スーパーの来る田舎で育った。今でも、移動スーパーの音楽を覚えている。高齢者にとっては、買い物の場であり、ささやかな憩いの場であった。田舎の口コミの早さには、どこも同じなのだなと思わずくすっとしてしまった。
「一人でいるより、人といる時の方が俺は孤独を感じますかねえ」
この言葉に共感する人には、ぜひ読んでほしい。
人といる時のほうが孤独を感じる、その言葉の重みに痛いほど共感した。
それでも祐介は人と関わりたいと願う、その思いはきっとあなたの心にも静かに染みてくると思う。
心配してくれる人がいる、自分のために言い争ってくれる人がいることが、嬉しいなんてどれほどの祐介が辛い思いをしてきたのだろう。
そんな祐介だからこそ、この場所で自分の人生を歩んでいってほしいと願わずにいられない。
『風と共に去りぬ』のラストのように、「明日は明日の風が吹く」と気持ちを切り替えながら、祐介はこれからも、死と生が近い茜号で、人々と触れ合い自分の好きな仕事を続けていくのだろう。
いつも全力で走れるわけではないし、立ち止まってもいい、そんな余韻を残す読後感がとても心地良かった。

不揃い賛歌
ハードワークストレスを抱えたまま 仕事を続けなくてよかった
ミュージシャン 諦めてよかった
リモコンの電池 切れてよかった
1万円のお釣り間違えて よかった
落ち込んだ日に 雨が降ってよかった
おれの手が 冷たくてよかった
あのとき 自棄にならなくてよかったね
史上いち旨い茂さんのカータルボレ 食べ損ねるわけにはいかないよね
あっ! えっ? お~
大人が一日に使う言葉数の平均は7千個と聞いた
完璧じゃない
だから たった二文字に気持ちがとまる
床に落ちていた 穴あけパンチのまるの欠片を 拾い捨てるような奴を
ちゃんと見ているひとを描く作品を 丁寧に評価する出版社から
あたらしい光が放たれた
本を読む 時同じくして アダム・エリオット映画監督を知った
最新作は「かたつむりのメモワール」というらしい
なんかいい すごくいい 本も ひとも でこぼこも