不動産奇譚
神憑み之函
藍内 友紀
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刊行日 2026/01/21 | 掲載終了日 2026/01/16
ハッシュタグ:#不動産奇譚 #NetGalleyJP
内容紹介
友人の茅ヶ崎恵は不動産屋で働いている。
わたしは彼女に誘われるまま、さまざまな家へ立ち入ることとなる。
住人が失踪した貸家と、空っぽの家に残されたぬいぐるみ。窓が塞がれた家と偽者の両親。箱が詰まった家と金盃。
不可思議な家には不可思議なモノが残されていて──。
そして、まるで同調するように恵は「家」に不可思議なものを集め始める。
カクヨム発、京女ふたりが巡る家系ホラー。
「こわいことは、なにも、おこりません」
おすすめコメント
【担当編集のおすすめポイント】
怪談アンソロジーを発表する同人サークルを運営される藍内友紀先生のホラー連作短編集。
Web小説サイト「カクヨム」で発表されていたものを加筆修正していただき、わたしと友人の物語に再編集していただいた1冊です。
とにかく不気味! いろいろな家の奇妙さに向き合いながら、積みあがる居心地の悪さ。
そしてそれが爆発するように現れるもの。
なにか、おおきなものが、ついてくるような1冊です。
出版情報
| 発行形態 | ソフトカバー |
| ISBN | 9784839990114 |
| 本体価格 | ¥1,630 (JPY) |
| ページ数 | 344 |
閲覧オプション
NetGalley会員レビュー
書店関係者 1692133
「わたし」目線で語られるエピソードを読むうちに「わたし」の感覚とのズレが大きな違和感となっていく。
あれ…こっちがおかしいのか…?友人「恵」の危うさや奇妙な関係性が不安感をあおり謎に引き込まれる。
それぞれの事案が連鎖していくように結びついて、ヤバイ何かに…怖っ。
図書館関係者 1065370
最初だけ試し読みしてみようと開いたはずが、先が気になって結局最後まで読んでしまいました。
「奇譚」なので不思議なことは起こるのですが、主人公の現実的で、かといって説明できないものを否定するわけでもないというスタンスが絶妙で、もしかしたら自分の回りでもあるのではないかという怖さを感じさせます。
レビュアー 513020
不動産屋の友人・秋月恵と「私」が巡る奇怪な不動産。
生命の危機を感じるような恐怖感はあまりないが、これまで経た経験や知識があまり通用・適応しない些細なずれがそこかしかにぽっかり穴をあけているような恐怖感が溢れている。宗教観が薄いとされる現代日本人でも祖先からのDNAのように刷り込まれている神(のようなもの)への畏れや禍々しいものへの恐れは拭い去られるものではないと改めて実感した。「集める」ような恐れ多い蛮行の先はと思えてしまう。またガイド役の二人も複雑な過去を匂わせられながらも、最後まで詳しくは明かされないまま終幕し、知りたいと思いつつも知れない、知り得ないという怖さも実感させられる。
極めて人的な「不動産」に惧れを背負わせた奇譚集。
レビュアー 1754098
不動産に纏わる怪奇なできこと。
ボリューミーです。各章、それぞれの物語が(一応?)解決していきますが、大筋の謎や不穏さを引きずって進んでいくので、なかなかにハードです!少しずつ、全体像がわかるようになっていくので、読んでいるこちら側も、じわじわ侵食されているような気持ちになりました。
レビュアー 1910750
不動産屋で働く友人恵とわたしの物語。
恵があまりにも腹立ちすぎて、絶対読み切れない‥と思ってたのに気づいたら読み終えてた。
不気味を積み重ねていくような形で、わかりやすくホラーを感じる瞬間は少ないのに、じわじわと怖さを感じていくので、私は一体何に恐怖を感じてるんだろうか‥と、不思議に思う。なのに怖い。夜読んだらトイレに行けなくなった。
幽霊も、悪霊も、神様も、祟りも、全てざっくりおおまかにいえば同じようなものなのかもな〜と、この本を読んで初めて思った。
少し読むつもりが、次が気になり徹夜して一気に読み終えてしまった・・・。
スッキリしないところが面白い。モヤモヤするところがこの作品の魅力ではないだろうか。
学生の「わたし」と、不動産屋に勤める恵のバディものかと思いきや、思いっきり裏切られた。
恵が「わたし」を巻き込むのは説明のつかない案件ばかりだ。
「わたし」の視点で進む物語で、「わたし」の事は多く語られないが、恵は「わたし」がなんらかの霊感を持っていると考えているようだ。
そのことを「わたし」は、違うと思いながらも強く否定することもなく、恵に流されるようにして関わってゆく。
短編集のような感じで1つ1つのエピソードは完結するが、どれも原因がわかってスッキリ解決という感じではない。
しかし、私たちが怪異と感じる事は大体がそうなのではないか。
原因と結果、理由を理解できないから怪異と捉えているのではないか。
物語が進むにしたがい、まさに恵の存在が理解できないものになってゆく。
「わたし」を通して語られる、信仰とは、神とは、呪いとは何かの答えが、常々「こういう事じゃないかな」と思っていた事だったので、少し嬉しかった。
教育関係者 645139
《怖いのは、幽霊でも呪いでもない。
「信じてしまった」その選択そのものだ》
不条理、説明を拒むもの。
否定もできず、
ただ「似ている」という理由だけで、不意に繋がってしまう。
囲まれていくうちに、人は自分を特別だと思い始める。
そして――信じること。
それが引き起こすものに気づかぬまま、
自分自身をも飲み込ませていく。
家にまつわる15篇からなるこの短編集は、
読み進めるほどに説明不能な違和感を積み上げ、最後には「怖さ」よりも強い「後悔」を残していった。
⸻
『第1話 貸家』
狭い押入れの奥に祀られた鳥居。
“そのこと”を知らなかった人だけが、見ても違和感を抱かない。
なぜ当たり前として受け入れてしまうのか。
なぜ誰もが、長いあいださわらずにいたのか。
最後まで理由は語られない。
ただ、不気味さだけが残り続ける。
⸻
『第2話 水たまり』
わからないものほど、恐ろしいものはない。
何が起きているのか、なぜ起きるのかがわからないからだ。
“わたし”は小学生の時の経験を思い出し、水たまりを鎮めることができた。
でもなぜ恵が、“わたし”を呼んだのかはわからない。
水たまりが今どうなっているのかも、わからない。
だからこそ、この話は終わらない。
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『第3話 猿の手』
恵があまりにもぞんざいに扱う猿の手。
恵が“わたし”にそれを持たせた目的に、ぞっとする。
彼女自身は何を願ったのか。
その答えも、ヒントさえも与えられないまま、不気味な疑問だけが読者の手に残される。
⸻
『第4話 201号室』
入居者のいない部屋から聞こえる歌声。
空き部屋が増えると、現象め移動していく。
“わたし”の提案によって恵が打った一手は、確かに効果を示した。
だが、理由はわからない。
残るのは結果だけだった。
そして、恵と“わたし”の関係が、微かに変わり始めているのを感じた。
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『第5話 時計部屋』
人は、説明できないものに耐えられない。
科学であれ呪いであれ、理由を与えなければ平静でいられない。
予想もつかない方法によって、現象は消える。
それでも人は、その効果の理由を求めてしまう。
説明という名の呪いに、人は取り憑かれているのかもしれない。
そして最後に現れた老婦人は誰だったのか。
だから、そのことを考えてはいけない。
⸻
『第6話 袋小路の家』
両親ではなく、恵の母親役、父親役とは何だったのか。
なぜ、あの家は母親が入り込めない構造になっていたのか。
事実だけが突きつけられ、理由は語られない。
さらに、廃墟となったその家とともに、母親役と父親役、そして“本当の父”までもが姿を消していた。
人間関係の輪郭が、完全に欠落した恵。
彼女は、いったい何者なのか。
⸻
『第7話 形見分け』
大学に入学し、中古の軽自動車を買った“わたし”。
同乗する恵が、なぜスコップを持っているのか。
亡くなった恵(めぐむ)の代理を、恵(めぐみ)はいつ、誰から引き受けたのか。
全員が死ぬまで続いていく「タイムマシンごっこ」。
それがすでに無効であることを、恵と“わたし”以外は知らない。
無益に続けられていくだけ。
いや、最初から何ももたらさなかったはず。
父親が亡くなった娘、愛を「めぐみ」と呼んだ瞬間、読み手の思考は完全に停止した。
⸻
『第8話 歯の小箱』
講師仲間のミチルのアパート。
トイレ天井に隠されていた手製の小箱。
中身を見て、鳥肌が立ってしまった。
それを見て「お作法通りに作ってある」と言う“わたし”。
これまで偶然の助けで解決してきた、と思っていた事が揺らぐ。
“わたし”とはいったい何者なのか。
箱の作り主の願いは叶った。
長年の辛さに耐え抜いて、とうとうその方法しかなくなるまで追い詰められてやったこと。
それだけに、同情を禁じえなかった。
⸻
『幕間 キャンプ場』
中学生時代の“わたし”。
なぜSは「鶏ガラ」を必要としたのか。
理由は最後までわからない。
ここでも残るのは、結果だけだ。
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『第9話 壁の中』
恵に黙って、“わたし”は乙見と京都へ向かう。
壁の出っ張りから現れた壺。
四国由来であることはわかる。
だが、なぜ人が消えたのかはわからない。
どこへ消えたのかも。
恵が関わっていたら、更にどんなことになっていたことか。
「知らぬが花」
その言葉を思い出していた。
『第10話 右袖』
存在しないはずの女の子の、無数の手形。
右袖が切り取られた、無数の振袖。
息子はいないはずなのに、訪ねてくる男。
またしても、答えはひとつも与えられない。
目を閉じたまま彷徨うような感覚だけが残っま。
⸻
『第11話 箱屋敷』
ゴミ屋敷ならぬ「箱屋敷」。
でも“わたし”は気づく。一階と二階で、びっしりと詰め込まれた箱の意味が異なる、と。
やり方は違えど、あの空虚な家と目的は同じなのだろう。
でも、確かめる術はない。
だが、「箱」というモチーフが浮かび上がる。
⸻
『第12話 途切れた橋』
“わたし”は幽霊や神を信じてはいない。だが、キーワードとして機能することは理解している。
届かない橋。
足りない靴。
でもこれらは、
右袖を失った子供服と繋がっている?
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『第13話 神さまの音』
人によって聞こえる音が違う。
「神様とはキーワードにすぎない」
その言葉が、ここで立ち上がる。
だから、人によって聞こえる言葉が違うのか?
意味不明だった断片が、パッチワークのように繋がり始め、言いようのないめまいを引き起こしはじめている。
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『第14話 拾い神』
恵が購入した家は、かつての“あの家”だった。
神を集める恵の真の願い。
それは、完全には語られない生い立ちに根差した願いからなのか。
でもそれは、“わたし”が誤って恵を導いてしまった結果。
立場は逆転し、恵は“わたし”を頼り、信じるようになっていた。
何もわかっていない“わたし”を。
だから、こうなってしまったのか。
⸻
『最終話 彼女の家』
行方知れずの恵を探す“わたし”と乙見。
もし、“わたし”が不可知な出来事すべてに説明を与え、「神さま」という概念を明確に否定していたならば。
恵は、「信じる」ことを選ばなかったかもしれない。
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長い長い道のりの果てに辿り着いたのは、恐怖ではなく、後悔だった。
説明を拒まれたとき、人は何を信じてしまうのか。
この短編集は奇譚であると同時に、信じるという行為そのものの物語でもある。
そう感じた。
レビュアー 483494
不動産屋に勤める年上の友人に強引に連れ回される主人公。連れて行かれる場所はいわくありげな物件や、場所ばかり。意味の分からない、だけどゾワッとする場所や物が沢山登場する。家や土地は必ず誰かしらと関係があって、人が関われば死もあるし、ネガティブな思いもある訳で、霊感の無い私でも関わりたくないが、主人公は嫌々ながらも巻き込まれていく。一つ一つの物語は短めでとても読みやすいのたが、その怪異の正体が何だったのか分からないまま進む。主人公を巻き込んでいく友人の思惑は何なのかとても気になる。小さくゾワゾワくるホラー。
書店関係者 950150
カクヨムで読んでいたのですが、書籍版になったらメチャメチャ恐くなってました。
やっぱり纏まった感じが違うんでしょうかね。
ヒロインの一人称で語るスタイルで言及される恵のどこか危うい感じ。
その境界線を踏み越えるギリギリのところで最後にブワっと持って行かれる構成。
あんな隠し玉を用意しているなんて!
もうホラーSFじゃん!
小松先生や光瀬先生に平井先生、そして多くの巨匠たちが挑んだ領域に実話怪談で切り込んできてるよ!
これは歴史的快挙と言っても過言ではない?
現実のちょっと向こう側、道をひとつ曲がった先、家の路地裏。
SFも怪異も、私たちのすぐそばに・・・。
そんな気持ちにさせる作品でした。
面白いー!